音楽・コンサート関連

2024年10月24日 (木)

Carmenにハマってしまった・・・(笑)―オーディオ的には「センターSP考」かな?

これはどこかにチラッと書いたような気がしますが、9月下旬にDonguriさんとともに、八ヶ岳の「やまびこホール」で開催された、オペラ『カルメン』に行ってきました。

 

正直申し上げると、これはDonguriさんのお連れ合いが参加される「市民オペラ」で、いくらメインの歌手はプロのオペラ歌手が来るとはいえ、音楽的にはあまり期待していなかったのですが、全体的に期待以上のクオリティでした。特に感激したのは、カルメン役を演じ・歌った堀 万里絵さんという方。

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本番の写真は不可だったので、パンフからの写真ですが、この方の「カルメン」は、私が『カルメン』のレコード(当時=ベータ時代=は大学生の一人暮らしでビデオは買えなかった…売ってたのかな?)を<レンタルレコード屋=懐かしい響き!>で借りて初めてまともに聴いて以来、ずっとイメージしてきた「カルメン」、そのままだったんです!!!

 

そのレコードとは、カラヤン&ベルリン・フィルにパルツァ&カレーラスという、超定番のやつで、オペラ好きの方なら必ずお持ちではないでしょうか?(X1さん、今度お邪魔したときはこれのアナログレコード、聴かせて下さい!)

 

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で、このジャケットの写真にある、ちょっと顎をあげた高慢そうな(笑)「カルメン」が私のカルメン像の<アーキタイプ>となったのですが、残念ながらその後、NYMETでも、NHKBS?)の番組でも、どの「カルメン」を見ても、肉感的で色気満々のちょっと蓮っ葉な悪女イメージの方ばかりで、「いやあ、僕のカルメンはこれじゃないんだなあ。歌はうまいんだけど、見た目が・・・」という満たされない思いを抱き続けていたのです。それがなんと!こんな鄙(Donguriさん、すみません!)で今になって巡り会えるとは!!!

 

つまり、私が勝手にあのジャケットからイメージを膨らませていた「カルメン」は、背が高くスラッとしていて、高貴な顔立ちなのに冷たい怪しい色気おばけの気の強い女(笑)。こういう二律背反する魅力を備える人が、まさにAddictedな<悪女>だと思いません?(笑)

 

そのような魅力を備えた女性を演じておられた(と私には思えた)のが、堀さんだったんですよ。正直、私はオペラはこれまで米英の留学先でしかほとんど観た・聴いたことがなく、それは「日本人のキャストで西欧人役をやられても…」という、一種の偏見(汗)があることに加え、リアルな問題として、日本に来る欧米の一流オペラの舞台なんてとてもAffordableじゃないからです、私にとっては(泣)。

 

ということで、私にとってほとんど初といっていいような日本人歌手Onlyによるオペラで、しかも、素人感満載の(笑)「市民オペラ」だったんですが、この堀さんの「カルメン」のお陰で(特に第二幕のホセを悪党仲間に誘い込むときの歌と踊りは!あれをやられたら私も喜んで悪の道に行きそう=爆)、私にとっては素晴らしい『カルメン』Live体験となりました!

 

その後、もう1ヶ月経つのですが、未だに頭の中から一連の魅力的なメロディーが離れず(笑)。ついに『Carmen』のBD2枚も買って、<おさらい>している日々を最近は送っております(笑)。

 

それがこの2枚。

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方や、Royal OperaLive、方や、ドミンゴが歌っている映画化されたもので、どちらもそこそこ有名な作品ですからお持ちの方もおられると思います。残念ながらどちらもAuro-3Dではなく、ATMOSですらありません(泣)。ただ、一応5.1chのマルチですから、聴く(観る?)ときは当然Auro-Maticにしております。

 

で、この2枚を、東京の書斎、東京のリビング、伊豆の2種類のセッティングという4つのシステムで妻に呆れられながら何度も聴いていて(まあ、観ている、と普通の方はいうのでしょうが、私は「聴く」重視)、今更ながら気付かされたことはやはり、センターSPの重要性。

 

伊豆では写真を取り忘れましたが(よくこのブログを見ておられる方はもう見飽きているかと=笑)、スクリーンを下ろすとメインCのSonetto VIIIがOffになり、スクリーンの上下に配したSonetto I 二台Virtual Center化する設定(映画ならセリフが「画面中央」から聞こえるので、没入感はかなりある)。ただし、今回の『Carmen2つはもちろん、「非Visual派」の私は、スクリーンを降ろさずにSonetto VIIIをメインCにしたバージョンも何度も(笑)「聴いて」います。

 

一方の東京の自宅では、書斎はCだけがSonetto VIIIで、見た目だけでなく(汗)、質的にも「突出」したセッティング(映像は小さく、CRの間にモニターがあるだけ=汗。ここに映っているDomingoはNYのMETで何度か観た・聴いたが、かなり若いな、これ=笑)

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リビングは、これは非常に一般的なレイアウトのLCRTVの配置になっており、ここは5.1.4ATMOS環境のみ。LCRSPKEFの昔のiQシリーズの最後のモデル群で、テレビ台の中に収められているCはよくある横置きのモデル。

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さてこの4つの中で、最も感動するアリアを聴かせてくれるのが、<伊豆のスクリーンレス>セッティングなのは言うまでもないのですが、その次に素晴らしいのはどれだと思います?

 

これ、「感動」が映像とのコンビネーションで脳内に出現するタイプの方は、言うまでもなく140インチスクリーンの伊豆のシステムでしょうが、音、つまり声質に主に感動する私的には、東京の書斎のほうがグッと来るんですよ(ちなみに画面はたった19インチ=笑)。

 

特にこの2つのBDは、アリアのパートではCへの出力が90100%という録音になっているので、Cレスならともかく、「Cはあるけど、LRより落ちる」という場合は、オペラで最も肝心なところがむちゃくちゃがっかりな出来になりかねません…。リビングのシステムは普段、映画を観るときはCからセリフがはっきりと聞き取れて不満はない(ちなみに映像は有機4Kだから、UHDだと下手すると伊豆のスクリーンよりきれいかも!)のですが、オペラはあかん(笑)。オペラのときだけはCレスのセッティングにしたほうがいいかも(汗)。

 

ミュージカルはいざ知らず、オペラはアリアはほぼ必ず、舞台中央で「不動」の姿で歌い上げるので、マルチch収録になっている場合は、4ch録音でない限りCにアリアが来るはず。当然、<いちばん大事な音>は、一番手をかけ、カネをかけているSPとアンプの組み合わせで聴きたい。オーケストラや室内楽などはともかく、オペラだけは、<いちばん大事な音>がどのSPから出るかがはっきりしている。実は私は隠居したら伊豆に籠もって毎晩オペラ鑑賞をしたいと思っていて、密かに(笑)ベルディなどのオペラBDを買い集めている(ただし、観る・聴く時間が取れないので、今は埃を被っている=泣)のですが、やっぱりオペラを最高の音質で聴きながら観るなら、サウンドスクリーンしか無いか(私は音質>画質)と。 退職金でなんとかなるといいんだけど?(笑)

2024年9月 2日 (月)

ATMOS Music用のセッティングを詰めました!-「灯台下暗し」的なATMOS 9.1.6フル音源も発見!!!

季節労働者の私は、今は長い夏休みの最中なので、連日の投稿となります(台風で家に閉じ込められて庭仕事もできないし…他にやることないので=笑)。

 

今日は、前から一度はやらなきゃ、と思っていた、Dolby ATMOS用のSP配置の見直しとそれに伴うキャリブレーションをしました(つまり、今回の記事はAuro-3Dは全く関係ないです=汗)。

 

この春にSonetto VIII5台をすべてチャンデバ3Wayマルチアンプ化したので、当然それまでのAVプリの出力チャンネルレイアウトは変わっており、また、SPの性能そのものも「大きく」変化したので、Dirac Liveのキャリブレーション自体もやり直す必要があり、もちろん、Auro-3D用には何度も手直ししつつ、今はとりあえず満足の行く各種設定のパラメーターを見出していることは、すでにこのブログでも何度も書いていることです。

 

しかし、伊豆のシステムでは、Auro-3D用とATMOS用は全く別のConfigurationとしているので、実はATMOS用については、家族や友人などが遊びに来るため、取り急ぎ「映画用」のセッティングだけはしたのですが、「Music」用のセッティングとキャリブレーションは未だしていなかったのです(同じATMOSでも、映画用とMusic用でまた別のConfigurationにしている)。

 

春休み後は仕事があるので、伊豆に来てもせいぜい2泊程度しかできないので、Auro-3Dの新譜を聴くのに精一杯だったし、そもそも、ATMOSの音楽ソースは少ないため、ほとんど聴く機会が無かったということもあります(Apple Musicなどの「なんちゃってATMOS」なんか伊豆のシステムでは聴く気にもならないし=後述)。

 

さて、ここで、「音楽用のATMOSセッティング? ATMOSは一つじゃ?」と不思議に思われる方がおられるかもしれませんので、ちょっと説明しておきます。

 

私はこれも何度も書いていますが、映像を見ながら音楽を聴く趣味がありません(例外はオペラだけ)。映像付きのBDDVDなどの音楽ソース(例えば、ClassicのLiveビデオ)を再生するときは、常に映像はオフにします。コンサートに行っても、Classicなら目を瞑って聴きたいタイプ(笑)。自分の脳を、「音」だけに集中させたいのです。

 

ゆえに、伊豆ではスクリーンを降ろす「映画用のATMOS」セッティングと、スクリーンを降ろさない「音楽用のATMOS」セッティングに分けているのです。

 

二つのセッティングの大きな違いは、1.使用するセンタースピーカーが異なる2.LRと、SLRSP位置が異なる―の2点。

 

1については、映画用はスクリーンの上下にSonetto I各1台を置いて2台でSplit Centerにして、画面中央にセリフがファントム定位するようにしています(サウンドスクリーンではないため)。音楽用には、5chの昔からマルチChで音楽を聴く際の基本中の基本である、LCR同一SP(Sonettto VIII)としています。

 

2については、映画試聴時にはLRがスクリーン(140インチ)にかからないように配置せざるを得ないので、かなりLR間が広くなり、かつ、Rの方がややCから遠くなります(キャスター付きなので動かせる)。また、SLRは、そもそも映画試聴時にはLP(映画なら視聴位置というべきか!)を最後部のソファにしているので(私は映画館でも一番後ろに席を取るタイプ)、90度(真横)に配置すべきSLRの位置も当然後ろに下がるのです。音楽用ATMOS配置のSLRの位置は、なるべくLRと正三角形(一辺約3.5M)に近くなるように、映画視聴時のソファより約1.5Mほど前で聴きますので、必然的にSLRの位置も1.5Mほど前に出ます(ATMOSではサラウンドSPとして使うAmator IIIは、キャスター付きのTAOCSPボードの上にあるため可動性がある)。

 

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<LCR側からLP側を撮影。中央の椅子が、ATMOS音楽鑑賞用のLP(映画時はその後ろにあるソファ)LP前方左右にあるSonetto VIIIFront Wide(その上にあるSonetto IIMiddle Top)、その後方にあるAmator IIISurround、ソファの後ろの棚にあるSonetto ISurround Back(その上にある、Venere1.5Rear Top)>

 

今回、この、「音楽用のATMOS」再生のためのSP位置を微調整して、そのうえで、やりましたよ、9点測距(汗)。この時だけはTrinnovがうらやましい(笑)。Dirac LiveARTを適用するための測定にはかなり時間がかかるし、その間、静かにしていないといけないんです(測定に15分ぐらいはかかる。その後、ARTの計算にまた15分ぐらいかかる=汗。しかも一発でうまくいくとは限らない・・・途中で雷や電話なんか鳴ろうものなら、やり直し=泣)。

 

つまり、今日のような、よほど暇な時しかヤル気にならない・・・(笑)。

 

言うまでもなく、ATMOSセッティングは今まで何度もやっているのですが、今回はStormでのスピーカーレイアウト設定値を従来とちょっと変えてみました。

 

これまでは、第一層にFWを含めた9chSW1ch3台、第二層はATMOS的にいえば、2列各3台(フロント、ミッド、リアの各トップSP)の計6ch(=9.1.6)を実現するのに、Storm的に書くと、「9.3.5.3」、つまり、第二層と第三層にそれぞれ、5台(HCと、フロント&リアハイト)と3台(TOPと、トップミドル)のレイアウトにしていました(ATMOSでは、HCTOPは定義されていないが、ARTでは定在波制御に利用できる)。

P(SPレイアウトの多様性があるのが、StormやTrinnovのメリットの一つ)20240901-144050_20240902132801

 

今回は、「9.3.1.7」というレイアウトにしてみました(SP数はどちらも20台で同じ)。何が違うかというと、第二層にはHCだけを定義し、第三層に2列各3台とTOPVOG)の1台の計7chを定義してみました。これにより、ATMOSが必要とする上部SP群の6台を、すべて同じレイヤーにあるとAVプリに認識させたわけです(だからといって、各SPLPとの距離はマイクで測定しているわけだから、恐らく、音場感はなんら変わらないだろうが、この方が6台すべてATMOSでいうところの「トップスピーカー群」と認識されるので、気分の問題!=汗)。

 

さて、キャリブレーションが終わり、何かATMOS音源の音楽を試し聴きしようとおもい、手持ちのディスクを物色していると・・・

 

以前、記事にしたことのある、『狂気』や『宮殿』、また一連の「John WilliamsVienna, Berlin, Tokyo」、これも定番の『Hans Zimmer Live in Prague』などに加え、Auro-3DBDでATMOSバージョンもあるものもいくつか選び、とっかえひっかえ聴いてみました。

 

それにしても、前も書きましたが、ATMOSって、Front WideスピーカーやTop MiddleにDiscreetに音が振られているソフトって少ないですよねぇ・・・最近、Denonの一体型と、Marantzのプリのハイエンドモデルが、それぞれ16ch対応したんだけど(ちなみに、私のStorm24ch対応!)、これらを購入して、頑張ってSW含めて16ch、つまり、ATMOS9.1.6を構築した人は皆さん、がっかりしておられません?(笑)

 

ATMOS映画ですら9.1.6の全チャンネル使っているソフトって、私の手持ちでは、『Gravity』ぐらいじゃないかな?(しかもこれ、今は絶版) ATMOS音楽に至っては、『宮殿』だけかな?特にApple で配信している「ATMOS Music」なんて全然<なんちゃって>でひどいもので、ほとんど7.1.2(しかも、チャンネルベース)。さらに悪いことに圧縮ソースなのでその音質は、東京のボロシステムならともかく、伊豆のシステムでは聴くに堪えない酷さ。入交さんが「こういう質の悪い音源のがイマーシブオーディオだと思われると困るんだが…」と嘆いておられたのもむべなるかなレベル。部屋とシステムと耳の3拍子が揃っている人にとっては、1分も聴いていられないよ、あれは(泣)。まあ、BDによる「本物のATMOS Music」を聴いたことない人ならともかく。

 

ということで、Auro-3D13.1chの良質な音楽ソフトがほとんどないのと同様、15.1chの民生用フルフォーマットの良質な「本物のATMOS音楽ソフト」は皆無に近いのが現実・・・

 

と思ったら、思わぬところにありました!

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いやあ、このアルバム、正直言って一応ワタシ、中学時代に「ビートルズ・シネ・クラブ」の会員だったほどのBeatlemaniaだったので(当時は既に解散していて、映画でしか<演奏している彼ら>を見ることはできなかった…)、はっきり言ってこれまでに1000回以上聴き込んでいると思う(爆)。つまり、完全に耳にタコができていて(笑)、これがATMOS版で出た、との情報を数年前に得たときに、「まあ、一応、元マニアの端くれとしてコレクションしとくか」ぐらいの気持ちで買うには買ったが、恐らく一度か二度くらいしか聴いていなかった代物。今回、暇に任せて漁っていると、ATMOSの表示が目に留まったので何気なく再生してみて、InputsPCで見たらびっくり!!!

P(Inputsに16ch、しっかり、すべて入力がある! OutputsはARTなので30ch出力中=笑)

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これ、世にも珍しい100%、9.1.6 ATMOSです! なんでもあの、George Martinの息子さん(笑)がATMOS化したそうで。で、聴いてみると結構遊んでいて(笑)、遊園地気分で楽しめる! 音質もいい(ただ、ちょっと低域=LFE=盛り過ぎかな…思わずSWの出力を落とした)。

 

P(こちらはStormXTという拡張モードを適用したもの。ATMOSには無い、HCTOPにも音が入って18ch化!)

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デノマラのハイエンド16chを購入して頑張って16chシステム組んじゃった人、これ、おススメです、投資と努力の元が取れますよ(最後の、Her MajestyPaulの声が一周するときにFWも使ってくれるのがウレシイ!)。Beatles嫌いな人はいないと思うので、是非聴いてみてください(Apple Musicとかのストリーミングじゃだめですよ!音質悪いし、16chは絶対に出て無いから…)。

2024年8月17日 (土)

Auro-3D 13.1chの、有料ストリーミング配信を聴きました!!!(恐らく、世界初の商業クオリティのもの?)

すでにここでも何度も紹介しているWOWOWKORGのコラボ?のプロジェクト、Jazz not only Jazz 公演のLiveAuro-3D13chフォーマットで収録したものを、解禁日の昨晩、無事伊豆のシステムで聴くことができました!

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11.1chのハイレゾAuro-3DソースならBDであまたあるが、13.1chフォーマットの音楽ソフトは私の知る限り未だ販売されていない(実験的なものは存在するが、商業ベースに乗るクオリティのものはまだないはず)ので、私的には13.1ch一択!!!

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技術的な詳しいことは、オーディオ評論家の生形三郎氏が記事にしているので、そちらを読んでみてください。

 

録音を担当・指揮された、WOWOW技術センターのエグゼクティブ・クリエイターである入交英雄さんは、常々、「Auro-3Dで最も重要なスピーカーは、センター」と言い続けておられるだけあって、彼が手掛けるAuro-3DソフトはLCR3台が同じSPであることを前提にエンジニアリングされているようで、このストリーミング配信でも彼の<哲学>が垣間見れたような気がします。

 

まず第一部?は、JazzというよりはPopsみたいに私には思えたのですが、ボーカルはセンターだけに入力がある、という「入交流」(笑)。

 

次にピアノ好きな私の本命の上原ひろみは第二部(1時間40分過ぎから、2時間5分あたりまで、約25分間の出演)のトップバッターだったんですが、Lとセンターの間に彼女のYAMAHAのピアノを定位させている(これも入交さんがよくやるテクニック!)。

 

彼女はシンセサイザーも演奏することがあるのですが、これはセンターを中心に左右上下に広がりのある音像になっていました。

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これ、最初のゲストのボーカルも上原のピアノも、センターレスか、センターがLRと異なるSPの場合は、「Director’s intention通り」には再生できない録音になっています。この辺は入交流は<容赦ない>というか(笑)。SACDマルチやLive映像付きの音楽BDなんかだと、センターレスのユーザーやセンターがLRとは異なるものを使っているユーザーが少なくないのを<勘案して>(笑)、センター<だけ>に音を入れたりL(またはR)とCとの<間>に主要な楽器の音像を定位させるようなことはせず、モノによってはボーカルをCには全く入れず2chと全く同様にLRだけに振ることでセンターに定位させたりピアノやドラムをLかRのいずれかを中心に配置したりして、<センターSPはただのアンビエント音しか入っていない!=センターが無くても違和感が無いように、その役割を最小限に留める>、なんてソフトも少なくないのですが・・・(汗)。

 

言うまでもなく、今回の配信サービスはLive映像付きなので、拙宅には一応スクリーンもありますから、スクリーンとプロジェクターを使って、「映像を見ながら音楽を楽しむ」というスタイルを取ることもできるのですが、そうすると拙宅の場合はセンターSPがスクリーンで隠れてしまい、サウンドスクリーンではないので「センター」はスクリーンの上下に設置してある小型ブックシェルフでVirtual Centerになる設定になってしまいます。つまり、スクリーンを出すと、CをLRと同じものを使うことができないのです。


私は最初のゲストのボーカルがセンター「だけ」から出ていることを確認したので、スクリーンを使うことなく、LCR同一SPという「正しいAuro-3Dのスピーカーレイアウトによる13.1ch再生」で<聴く>ことに徹しました(笑)。

 

目を瞑って耳に集中して「音楽だけを聴く」と、何度も足を運んだことのある、NHKホールの空間感が正しく表現されていることに気が付きます。まさにこれは「臨場感」、つまり実際にこのコンサートに行って聴いた気分が味わえました。

 

これ、有料でそこまでは安くはありませんが(汗)、23日まで配信していて期間中繰り返し聴けます(週明けには東京の書斎のシステムでも聴いてみよう!)から、興味のある方は是非! 特にATMOSには無いSPである、センターハイトとトップ(VOG)の2台をAuro-3D用に設置している方にとっては、世にも希少な、<ホンモノのNative Auro-3D 13.1ch>ソースですよ!!! Don't miss it!

2024年8月 2日 (金)

Live 3連荘!―Jazz、Rock、Classic!!!

今回は、Liveコンサート(まあ、一つは「Auro-3D版Live」だが)に3日連続で、しかもJazz、Rock、Classicの3大ジャンルを横断するという、自分の短くもない(汗)人生の中でも初めての経験を(笑)、「オーディオ的観点から」紹介してみたいと思います。

 

まず、初日は、これ。

 

P (HPより引用)

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実は上原さんのコンサートは、個人的には今回が2回目で、1年ほど前にTomyさんとご一緒しています(その時は、矢野顕子とのDuo Piano)。で、今回はSiltechさんとご一緒しました(笑)。いうまでもなく、上原さんも出演する、来たるLive収録のAuro-3D 13.1ch配信(8月16日―23日)の<予習>(本物のLiveと、伊豆のシステムでの「Auro-3D Live」の比較検証のため!)を兼ねての参戦です。

 

場所はBlue Note Tokyoで、Siltechさんが取ってくれた席は、なんと!下記の写真の角度(上原さんがばっちり見える!)で、ピアノまでの距離約2M!!!

 

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前回Tomyさんとご一緒させていただいたコンサートは、確か有楽町の国際フォーラムの大ホールで、ステージまでこの何十倍の距離があったので、当然、PAを通しての音を聴いたわけですから、まあ個人的な判断基準では、「音楽を聴きに行った」というより、「上原・矢野のPLAYを見に行った」(笑)という感じでしたが、今回は違います!

 

ピアノはピカピカに磨き上げられたYamahaのコンサートサイズのもので、蓋の反射版の角度も、心なしかClassicのコンサートよりは閉じめ?に見えました(先日の清里でのPianoコンサートに比して)。

 

ただ、Blue Note Tokyoに行かれたことのある方はご存知と思いますが、ここはPA(JBL)も入っています。ステージの中央上部(4−5Mぐらいの高さ)に、Line Arrayスピーカーが2台並んでいましたので、私の勘だと恐らくピアノの音はここから後部座席に届くように再生されていたと思います。ここ以外にもステージの奥と左右にもありますが、ここからは恐らく、エレクトリックベースの音を中心に再生されていたように感じました。ただ、2Mの近さでしたので、我々の席は多分、ピアノとドラムスはほとんど、PAを通さない直接音で満たされていました。

 

上原さんの演奏は相変わらずEnergeticで、直接音主体の「Jazzらしい」音質・音像・音場が楽しめました。私はまだたった2回しか彼女のコンサートに参戦していない「にわか」ファンですが、前回と同様に<とても楽しそうに>、活き活きとニコニコとPLAYされているのを再確認できました。彼女が日本以上に、特にアメリカで人気があるのは、作品(基本、彼女のオリジナルです)や演奏の素晴らしさもさることながら、この「キャラクター」がアメリカではMustな資質だよなあ、と、米国留学の最初に自動車免許を取りに行った時、写真撮影の際に、やたら、「Smile!!!」と声をかけられた記憶が蘇りました(日本の免許証の写真は笑って歯が見えると撮り直しになるのに=笑)。

 

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翌日は、これです。

P (HPより引用)

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Mr.BIGというアメリカのロックバンドの日本公演のLiveを、WOWOW(入交さん)がAuro-3D録音をしたBDが、9月6日に発売されるそうで(私の知る限り、Rock のAuro-3D録音版が出るのは初めてかと)、その「完成披露試写会」に来ないかと入交さんにお招きを受け、初日の初回に、私とグランドスラムさんとCmiyajiさんの3人で参戦してまいりました(笑)。

 

正直申し上げますと、私はこのバンド、全く知らなかったのですが(汗)、このLiveで34年に渡る活動を終えるとかで、「ベストアルバム」的なLine Upだったらしいのですが、私でも「聴いたことあるな」という曲が2曲はあったので、結構Smash Hitsをかつては飛ばしたバンドのようです(別の日に参加されたSiltechさんはよくご存知のようでした)。

 

WOWOWのスタジオにお邪魔するのは今回が3回目ですが(2回目は事実上、「Auro-3D友の会」設立の契機となったもの)、前回同様、ムジークのプロ用アクティブスピーカーに囲まれた、VOGのDelay以外は無補正で機能するように距離や角度を完璧に調整してある、作品を市場に出す前にチェックを行う「モニタースタジオ」です。

 

Live会場は武道館で、私はこのMr. Bigのコンサートには参戦していませんでしたが、もちろんここでのロックコンサートは大学進学で上京してきて以来、何十回?と行っている、聴き馴染みのある「空間」です。この「空間感」が、かなり忠実に記録されているようで、目を瞑ると、武道館のあの巨大な空間の中にいる感じが極めて精緻に再現されているのに驚きました。これは是非、BDが発売されたら、伊豆のセットで再生して記憶の中で聴き比べたいと思います!

 

上演終了後、Q&Aタイムがありましたので、元記者・現学者として、このような機会に沈黙するタイプではない私(笑)は、挙手の上、入交さんと以下のやりとりをしました。

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Q: 発売されるBDのフォーマットは、96/24の11.1chだと思うのですが、今日聴かせていただいている13.1ch版のレゾルーションは48/24?

 

A: 96/24です。

 

Q: この作品は、最初からAuro-3Dで録音するためのマイキングをして臨んだのか?それとも、Bob JamesのBDのように、通常の録音ソースを活用してAuro-3D化したものなのか?

 

A: 最初からAuro-3Dのマイキングで収録したものです。

 

Q: 途中で、ギターサウンドが空間をぐるっと回ったり、サブボーカルがサラウンドSPから再生されたりしましたが、これは実際のLiveでもこのような演出がされていたのか、それともAuro-3D化する際に入交さんのミキシングで入れたのか?

 

A: 実際のLiveではあのような音像にはなっていません。Auro-3D用に私のミキシングで入れたものです。

 

・・・・・・・・・・・

 

さて、さらにその翌日(笑)。最後はこれ

 

P (最後のカーテンコールは写真撮影が許可されていた)

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「交響曲の王道」と題されているだけあって、普通はどちらか1曲で客を釣って(笑)、もう一曲は渋―い、玄人受けする、私レベルではさっぱり聴いたのことのない(汗)曲を組み合わせるものですが、今回の2曲は、天丼と鰻丼がセットになっているような(笑)。有名曲好きで(というかそれしか知らない…)、さらに甘口好きな私に取っては、自分の中の好きな交響曲ベスト5に両方入っている選曲で、高校生ぐらいの頃から死ぬほど(笑)聴いている2曲なので、一音たりとも「知らない音」は無く、指揮者代われそう(実際、客席で指だけで「振ってました」=爆)。

 

今回、このコンサートに足を運んだのは、演目もさることながら、会場が、「ミューザ川崎シンフォニーホール」だったということも大きいです。関東地方にお住まいの方でClassic好きの方なら、「知らぬものはいない」ホールで、その理由は「音が良い」とされているからですね。

 

恥ずかしながら実は私は今回、ここのホールに行くのは初めて。東京の西部に住んでいるものにとって、「川崎」って、ものすごく遠いイメージなので、「そんな遠くまではるばる行かなくても都心にいいホールはいっぱいあるし」(笑)という感じで、これまでわざわざこのホールに行こうとは全然思わなかったのです。でも、演目に惹かれて調べてみると、川崎って東京駅から東海道線で15分ぐらいで着いちゃうんですよね。しかも駅から雨に濡れずに1、2分で歩いて行ける。「こりゃ、仕事帰りでも7時からのコンサートに間に合うわ」と認識を改めました。

 

ということで、今回の目的は音楽鑑賞に加えて、「ホール鑑賞」(笑)。ここが「音が良い」と言われる秘密は、絶対にオーディオ(ルームアコースティック)にも活かせるだろうと、会場を見て回ってきました。

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まずすぐに気がつくのは、オケが「すり鉢の底」のようなところにある。オペラのオケピのようだ、というとちょっと言い過ぎですが、<オーディオ的に考えると>これは「音量」の確保、という点ではメリットが大でしょう。音の逃げ場が少ないですから。

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その代わり、オケと同じ高さのフロアの面積が比較的小さく、さらに「第一層」(笑)の一番後ろの客席のすぐ後ろが壁になってしまっています。<オーディオ的に考えると>ここはマズイ。LPのすぐ後ろに壁、というのがダメだというのは、どのオーディオの教科書にも書いてありますよね。確実に反射音で音が濁ります(距離が短いので、「ホール音」として分離して知覚できず、ただ直接音をゴースト化してしまう)。一応、この「壁」はQRD風の、音を拡散させる工夫がされていましたが。

 

Classicに造詣の深い友人から、「ミューザで聴くなら2階席」と聞いていたので、今回は2階のやや右サイドの席を確保していました。ここだと、後ろの壁からは遠く、左右の壁との距離もたっぷりあるので、反射の悪影響は少なそうでした。

 

もう一つ、ルームアコースティック的に興味深かったのは、天井の「穴」(笑)

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エアコンのダクトにしては大きすぎるしたくさんありすぎるので、これは恐らく吸音トラップなんでしょう。「天井吸音」というのはかつてGRF邸でも体験していますが、もしかすると「いい音響」の一つのKeyかもしれませんね。ただ<個人的には>天井からのホール音が好きだからAuro-3Dというフォーマットに惹かれているのですが(笑)。

 

最後に、音楽的に興味深かった点を一つ。

 

今回のブラームスの1番はもう何度かLiveで聴いていますが、モーツァルトの40番は、たぶん、中学生の頃に母親に連れられて行って以来のLive。その頃には全く気がつかなかった、「現場ならではの発見?」があったんです。

 

私は中でも、ちょっと幻想的な感じがする第二楽章が好きなのですが、あの冒頭のパッセージって、3小節がセットになっていると思うんですが(音楽的素養がないので、間違っていたらご指摘ください=汗)、あれ、最初の1小節がビオラ、次の1小節が第二バイオリン、最後の1小節が第一バイオリンという風に、弾き分けているのをご存知でした?これ、全部同じ音程なので、普段映像レスの音源しか聴かない私は、完全に3小節全部同じように演奏(例えば、第一、二、ビオラの合奏とか)されているものだと思い込んでいました(ビオラのド、とバイオリンのドの音色の違いに気が付かなかったワタシ=汗)。

 

ご存知のように、一般的なオケの楽器の配置だと、ビオラが指揮者の右サイド、第二バイオリンがほぼ正面、第一バイオリンが左サイドになってますよね。ということは、このパッセージ、音が右から左に流れていくんですよ。このパッセージは何度か途中でも出てくるのですが、なるほど、だからなんか幻想的な感じ(「牧神」と通じるところがある。当日配布されていたパンフには、この曲はロマン派に片足突っ込んでいる、というような紹介のされ方がされていたが、さもありなん!)がするんだな、と。

 

で、改めて手持ちの40番を伊豆システムで聴いてみました。定番のベームのウィーンフィルのと、ラトルのベルリンフィルを(どちらも2ch)。と、確かにどちらも最初の1小節(つまり、ビオラパート)は、右サイドから音がするようにエンジニアリングされています。次の2つの小節は私の駄耳(または拙システム)では、はっきりと「中央と左」のようには分かれては聴こえませんでした。

 

でもミューザでは、目を瞑って聴いてもこのパートがはっきりと右から左に音が流れているのがわかったんです。<オーディオ的に考えると>私の席はオフセンターでしたからこのような音像定位はセンターに陣取らない限り(特に2chなら)はっきりとはわからないはずなのですが、こういうところがミューザが「音がいい」と言われる所以の一つなのかもしれないなあ、と思いました。

 

これは是非Auro-3D録音版が出て欲しいところですね。恐らくRCLの順にきっちりと1小節ずつ主音が割り当てられるでしょう。そうするとオフセンターで聴いても右から左に音が流れるのがわかるはずです。サービスエリアが広いのが、Auro-3Dというフォーマットのメリットの一つ、というのは、入交さんが常々おっしゃっていることですから。

 

さて、3日連続で異なる種類のLiveを聴いて、「Auro-3D」聴き(笑)の私の耳には、やはり小さなLiveハウスでのJazzはあまりAuro映えしないだろうな、と感じざるを得ませんでした。最近、すっかり「前からの音より横や後ろからの音に敏感」(笑)になっている<Auro耳>には、大きな空間にこだまする、観衆の拍手や叫び声を含めた大音響(RockやPopsかな?)による包まれ感や、中規模な空間に漂う倍音(Classicのホール音)の乱反射して消え入る様が、その音楽性のキモになっているような音源は、Auro-3Dと親和性が高いのは間違いないと三日連続のLive体験で改めて思いました。Jazz ClubのLiveも確かにオーディエンスのプレゼンス感などは2chよりSACDマルチの方がよく出ていて好きなんですが、Auro-3Dの強みの一つである、「高さ感」の演出はそこまで重要ではないので、キースの「ケルンコンサート」のようなもの以外は、Auro-3D(Matic含め)のメリットをそこまでは活かせないかな、と感じました。ただ、「奥行き感」はAuro-3Dだと確実に2chより出るので、たとえばピアノの立体感、のような部分に耳が行く方はAuroにメリットを感じるでしょうが、まあ、Jazz好きの方はたいてい、JBL+マッキン的な(笑)、「音が前にずんずん出てくる、かぶりつきで聴いているかのような音場・音像」を好まれるので、「ピアノがちょっと遠くで鳴って、余韻がホールに吸い込まれる」ような音場・音像はお好きでない方が多い気がします。

いつか、Jazzの素晴らしさを最大限に発揮しているNative Auro-3Dソース、というのが出てくると、Auro-3DファンをJazz好きの領域にも増やせるキラーコンテンツとしてとてもいいのですが!

2024年7月24日 (水)

入交氏のAuro-3D 13ch 音源の「現場と演奏」を確認してきました!

矢継ぎ早の投稿ですが(笑)、私は季節労働者なので、今、夏休みモードなんです!(だからといって、こんなことばかりしていてはマズいのだが・・・汗)

 

今回は、前回のDonguri邸訪問に先立って行った、清里におけるピアノコンサートにまつわる、Auro-3D的エピソードを少々(笑)。実は、これ、すべて我らが!WOWOWの入交さんと関係しているんですよ!

 

まず、会場の清里の「オルゴール博物館」。

 

すでにピンと来ている方も多いと思いますが、ここは、今年の228日、KORGLive Extremeという方式で、入交さんがエンジニアリングをしておられた「世界初の?映像(フルHD)+音声AURO-3D (Auro Codec/96kHz/5.1.4ch)フォーマット」による、Liveストリーミングが行われた発信元の会場です。

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わたしはもちろん参加試聴させていただいたのですが、伊豆のインターネット環境の問題か途中でブチブチと途切れたし(泣)、また当時は「Sonetto VIIIのチャンデバ化作業」に追われていたこともあり(汗)、ここのブログで記事にするのは見送ってしまいました。

 

幸い、我々友の会のDonguriさんがPhil-Mに記事をUPしてくれましたので、そちらで知ったという方も少なくないかもしれません。

 

今回、この同じホールでのコンサートとのことで、一応(社会)科学者の端くれとして(笑)、「伊豆の拙宅のシステムで再生された、Auro-3D Nativeによる音場・音像・音質感と、現場の本物の音の違いはどの程度あるのか?」という問題意識を抑えきれなかったというのが参加を決めた理由の第一。

 

そして、さらに興味を引いたのは、ピアノピアニストピアノ曲

 

「オルゴール博物館」にあるグランドピアノは、アメリカのアンピコというメーカーの「チッカリング9フィートモデル」というものです。これは今はもう存在しないメーカーだそうで、日本ではかなり珍しいピアノではあるようです。1926年製ということで、約100年前のもの。長らく放置されていたらしいのですが、最近、弦?とハンマーをすべて交換して、蘇らせたものだそうです。

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私は、楽器の中ではピアノの音色が一番好きで、ピアノ曲であれば、ショパンでも武満徹の曲でも、ビルエバンスでもポリーニでも久石譲でも(笑)、何でもOKなんです。で、最近、ピアノにはとてもお詳しいKKさんの影響でピアノのメーカー別の音色の違いにもちょっと関心を持つようになり(笑)、この前のLive Extremeの際に、自動演奏装置によってここのピアノが鳴らされていた「音」が結構気に入って、「本物を聴いてみたい」と思ったというのが、理由のその二。

 

そしてピアニストの福井真菜さんという方。特にどこかのレーベルに所属しておられるわけではなく、ソロのプロなので、そこまで知られている方ではないかと思います。で、「なんでそんな方をお前が知っているの?」というと、それは、先日入交さんに誘われて参加した、OTOTENで彼女の演奏を聴いたからです(以下の写真はその時のもの)。

 

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ただし、OTOTENですからもちろん「生演奏」ではありません。入交さんのAuro-3D Native 13ch 録音です。

 

彼が、福井さんのピアノ演奏を録音した(会場はオルゴール博物館ではない)ソースをGenelecのブースで聴いたのですが、その演奏が気に入ったんです。司会をしておられたオーディオ評論家の山之内さんが、「いつもあんなにゆっくりとしたテンポで演奏されるんですか?」と会場にゲストで来ていた福井さんをイジっていた(笑)ぐらい、独特な演奏で、<甘いもの>なら何でも好きな私の好みにぴったり(爆)。フランスものを中心にしておられるようで、その時もドビュッシーの曲が一番多かったと思うのですが、演奏時のこだわりが、「微妙なタッチのために素足でペダルワークをする」ことだと伺い、これは一度見てみたいな、と(笑)。

 

あまりに気に入ったので、終了後ご挨拶をさせていただき、「今度、Liveコンサートはいつ、どこ?」と伺うと、「清里のオルゴール博物館」だとおっしゃるではないですか!何たる偶然!!!

 

そして最後の決め手は、ピアノ曲。ドビュッシーの「沈める寺」というのは、ピアノ好きな方なら知らぬ方はいないであろう名曲で、いままで何度も聴いているはずでしたが、今回、OTOTENで入交プロヂュースによるAuro-3D Native、しかもGenelecGLMという最新システムと最強モニターSP群の組み合わせで聴かせていただいた「沈める寺」に、鳥肌が立ちそうなぐらいの感動を覚えまして(笑)。特に最低域の鍵盤を「ドーン」と鳴らす部分がとても印象的な録音になっていました。「この曲にこんなに感動的な低音が入っていたとは!」と、家に帰ると早速Streamingも使って他の演奏者の録音(ただし2ch)のものをいくつか聴いたのですが、正直、入交録音版ほどの感動が得られない。せいぜい、グラモフォンのメナヘム・プレスラーというお爺ちゃん(笑)が演奏するTakeがそれに近いぐらい。

残念ながらこの曲はこれまで私はLiveで聴いたことが無かったので、「こりゃあ、生でどの程度の低音が出ているのか、実体験するしかない」と、「オルゴール博物館」での福井さんの演目の中に「沈める寺」が入っているのをネット検索で確認し、チケットを取ったというわけです(笑)。

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ということで前置きが無茶苦茶長くなりましたが(汗)、偶然にもすべて入交さんつながりで、ここに行くのがDoomedであったかのような(爆)。

 

さて、当日は関東地方では公立学校が夏休みに入ったばかりというタイミングでしたが、さすがに家族連れが来るような選曲ではなく(武満も入っていましたし=汗)、指定席方式ではなかったのでちょっと早めに行ったこともあり、なんと、一番前、ピアノが置いてあるのと同じフロアで距離約1.5M!!!の、演奏者の真横の席に陣取ることができました(まるで、KKさんのご自宅の音楽室みたいな距離感だった・・・あそこはスタインウェイだけど)。

 

<私の席からの写真!!!> クラシックで(ジャズならまだしも)、プロのピアノ演奏をこの距離で聴いたのは初めて!

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入場前にピアニストの福井さんが出迎えてくれ、私のことを覚えていてくれたようで「あら、本当にいらっしゃってくれたんですね!」と握手(笑)。

 

正面に「リモール」と呼ばれる巨大なオルゴールがあり(残念ながらこれは聴けなかった)、その前に「チッカリング9フィートモデル」が置いてある。演奏開始までに時間があったので、中を覗かせてもらうと(普通のコンサートホールではいくら演奏前でも舞台には上がれないですよね!)、弦やハンマー、その他の金属パーツはピカピカで、中身は新品のよう(交換したばかりなので当然か=笑)。

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時間になると照明が落とされ、福井さんが入場。本当に<はだし>で入ってきた(冬ならどうするんだろう?=笑)。自己紹介の後、着座されると、右足の親指と人差し指(とは言わないな=汗。第二指というのかな?)の間に、3つある中の一番右側の真鍮(恐らく)のペダルを挟むように。

 

ここから先は私のような音楽的素養の無いものには、楽譜の解釈なり、演奏のテクニックを描写する語彙は残念ながらありません(泣)。

ただ、音場感としては、天井が高く、かなりLiveな会場のAtmosphereは、Auro-3DLive配信を拙宅で受けたときと極めて近い印象を持ちました。

 

音像感(定位)は、これは目の前1.5Mですし、圧倒的にLiveの勝ちです。目を瞑っても指が左右(音像的には<前後>です)に動くのが分かる。右手は手前(私から1.5Mのところにある弦をハンマーで叩いている)、左手は奥(私から2.5Mは離れている)。この1Mの音源の位置の差は、私の席でなら誰でも聞き取れると思いますが、さすがに、Streamingによる拙宅のAuro-3Dシステムではここまでの再現性は無かった(まあ、Mikingにも拠るのかもしれないが)。

 

音質も、これも言うまでもないです。もし2月末に聴いたものが、Live Streamingではなく、Onマイク、Offマイクを多用したマルチ録音ソースを、エンジニアが「これでもか!」というぐらい、f特も位相も定位も盛りに盛って(笑)ミキシングして作り込んだ録音ソースとの比較であれば、<Liveあるある>で(汗)、自宅のシステムの方が音(音像定位と音質)がいいかも?、という感想を持つこともあるかもしれないが、1.5Mの距離にあるグランドピアノを小柄なピアニストが腰を浮かせて全体重をかけて弾く(というより「叩く」)フォルテを、「完璧に再現できる」オーディオシステムなんて何億円かけても、いくら我らがAuro-3Dシステムでも、作れるはずがない(笑=一応、コンサートの翌日、donguri邸を辞した後伊豆まで車を走らせて、ミシェル・ベロフのSACDマルチによる同曲をAuro-Maticにしてほぼ同じ音量の下で聴き比べてみたが…)。

 

最後に、「沈める寺」の低音パートですが(これを聴きに行った=笑)、「チッカリング9フィートモデル」、結構深い低音がでていました。会場が木造の教会のような作りで、前述の通りピアノが置いてある木製のフロアと観客席が地続きなので、床の振動も多少感じられ、Literallyに(笑)、「腹に響く」低音を体感できました。これはちょっとだけ、伊豆の拙宅でも、Auro-3Dが形成する「平面波」と、強力なSW3台のサポートを得ての「体感する低音」を彷彿とさせるところがありました。高級なプロ用モニターヘッドフォンでも20Hzは出るそうですが、やはり、このあたりの周波数は「耳で聴く」だけでなく、床や壁の共振およびそれらによる空間の空気の振動込みで「体で聴く」感じの方がRealityがありますよね!

 

これは事前にKKさんと情報交換したことなのですが、この世の中には、通常のグランドピアノの鍵盤を、さらに低い方に9鍵のばした、「ベーゼンドルファーのインペリアル」というピアノがあるそうで、KKさんによると楽譜上は「沈める寺」ではこの延長された鍵盤を使うことはないそうですが、このピアノを使えば倍音としては作用して低域の量感が増すらしいです。OTOTENで聴かせていただいた入交さんの録音の「沈める寺」が、この「インペリアル」を使ったものかどうか、今度お会いしたら是非伺ってみたいと思っています。

 

結論的に言って、「Auro-3DによるLive Streamingの再生音」と「現場の再生音」の比較では、音場感はまあまあいい勝負ができているが、音像定位はやはり「現場」に軍配(ただし、これはLive同士の比較だから。人為的に作り込まれた録音芸術作品との比較であれば話は別)、音質は低域に限ってのみそこそこ、という印象を持ちました。

 

それにしても、あの、福井さんのAuro-3D Naive ソフト、発売してくれないかなあ!もう一度、今度は伊豆のシステムで聴いてみたい!!! 入交さん、頼みますよお(笑)。

2024年7月 4日 (木)

Are you ready? 上原ひとみin Auro-3D:アナタのシステムで、Auro-3Dフルバージョン13chのStreamingは再生できますか?―<Auro-3Dファイルを正しく再生する方法>

前々回の記事の最後に、とても画期的なイベントのご案内をしていたのですが、「見出しに取った方が多くの方の目に留まりやすい」とのご助言を受け、「Auro-3Dファンを増やすこと」をMissionの一つに掲げている「Auro-3D友の会」としては、ここにそれを再度宣伝することにしたのですが、実は友の会の仲間うちですら、このKORGが提供するAuro-3Dのフルフォーマットである13chのストリーミングを「正しく」再生するのに苦労をした方が少なくない、という事実に直面しました。

 

さらに、前回、ここで最近私がダウンロード購入したAuro-3D音楽ソースのオススメをご紹介しましたが、Auro-3Dダウンロードファイルもちゃんと[Auro-3D]として実は認識されていないまま再生しておられる方も少なくない…かも?ということで、<Auro-3Dファイルを正しく再生する方法>の奥義(笑)ここに公開したいと思います!

 

まず、Auro-3D13chのストリーミングのご案内の再録

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WOWOWでは6/21Jazz not only Jazzと銘打った主催公演を行い、石若駿セプテット+ゲスト(ゲストの中には上原ひろみも)のAuro-3D Native Live収録をしたようです。

それをKORGが開発している「Live Extreme」で、8/16から1週間のビデオオンデマンド アーカイブ配信をするそうです。

スペックは、96kAuro11.17.14H)48kAuro13.196kAuroHeadphones

参加方法や申し込みなど、詳しくは以下のサイトをご覧ください。

https://teket.jp/10343/35750

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上記については、後ほど詳しく設定の「奥義」(笑)を紹介しますが、その前に「基本のおさらい」を。

 

ここから先は、最近、DenonMarantz(以下、デノマラ)の新型のAVアンプを、(恐らく一義的には映画鑑賞目的で=汗)お買い求めになり、Atmos映画を見るために、5.(1).4またはそれ以上のSP数をセットされ、失礼ながら(笑)「Auro-3Dはオマケで付いてきた」というご認識のユーザーの皆様をメインターゲットとして書かせていただきます。

 

恐らくですが、今、皆さんは「意外にAuro-3Dっていいじゃん!」と思っておられませんか?(笑)Atmosじゃない映画やテレビ放送、または音楽ソフトを再生するときに、「せっかくこんなにたくさんのSPを設置したのだから」と、<拡張モード>と呼ばれる、オリジナルのチャンネル数(2chとか5.1chとか)を拡大する機能を使ってますよね?

 

で、DolbyDTSなどの<拡張モード>より、Auroによる拡張モードの方が好み、という方は私の周りにもたくさんいらっしゃいます(というか、ほとんど100%の方が拡張モードならAuroに軍配を上げる感じ!)。

 

ここで、気が付く方は気が付きます。アナタが気に入っているAuroは、あくまでも拡張モードの「Auro-Matic」というものであって、ホンモノの、「Auro-3D」ではないことに。

 

ここでいう<ホンモノのAuro-3D>とは、録音段階から、Auro-3Dフォーマットでエンジニアリングされているものを言います。詳しくはこのブログの左サイドにリンクが張ってある、「Auro-3Dマニュアル」およびカテゴリー欄の「Auro-3D入門編」をご覧ください。

 

さて、「拡張モード」のAuro-Maticによる音場・音像・音色が気に入ったアナタは、「拡張のMaticでこんなにいい音なら、純粋なAuro-3Dの音はどんな音がするのだろう?」と興味津々のはずです(笑)。

 

そこで、ホンモノのAuro-3Dの音源を探すことになると思います。Auro-3Dの音楽ソースは、以下のレーベルが多く扱っているので、リンクを張っておきます。実ディスクが欲しい方はBD形式となりますし、これらのサイトからダウンロードで、Auro-3Dファイルを購入することもできます。

 

https://www.nativedsd.com/

https://trptk.com/

https://spiritofturtle.com/

https://shop.2l.no/

 

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実は、ここで、強調しておきたい、非常に重要なことがあります!!!

 

Auro-3Dは、SACDなどで先行する5.1chDTS7.1chのマルチチャンネルフォーマットをベースに、それを「3階建て」にしたテクノロジーです。それゆえ、Auro-3D対応していない機器で再生しても、5.1ch7.1chで再生できるという「下位互換」を保った規格になっています。

 

ところが、たまに、Auro-3D対応している機器で再生しているのに2階建て(5+4 & 7+4)や3階建て(5+5+1 & 7+5+1)<ホンモノのAuro-3D>としての再生に<失敗>することがあるのです。

 

これはどういうことかというと、Auro-3Dは下位互換を保つために、5.1chまたは7.1chのフォーマットの中に、2階(4 or 5ch)・3階分(1ch)のデータを折りたたんで(Fold)作成されています。この折りたたまれたデータを、Auro-3D再生に対応しているデコーダーを内蔵しているAVアンプが正しく展開(Unfold)して、ホンモノのAuro-3Dである、9.1ch 11.1ch、あるいは 13.1chとして出力する仕組みなのですが、「何らかの瑕疵」があると、このUnfoldができず、下位互換フォーマットの5.1chまたは7.1chで再生されてしまうのです。

 

ここでTrickyなのは(汗)、もしアナタがAVアンプの設定を「Auroモード」にしていると、Unfoldに失敗して、5.1chまたは7.1chのソースとしての情報しかない(つまり、23階の情報は再生されていない)にもかかわらず、それをAVアンプ側が<ご丁寧に>(笑)Auro-Maticで拡張し、11ch13chにして再生してくれます。だから、本当は<Auro-3D化に失敗した>5chソースの<Auro-Matic>を聴いているのに過ぎないのに、23階から「ちゃんと音が出ている」ために、自分は<正しくAuro-3Dを再生して聴いている>と勘違いしてしまうことが非常に多いのです(大汗)。

 

この「Unfoldの失敗」は、BDでは起きにくいのですが(HDMI周りの不具合などで起きることもある=後述)、ファイル再生だと結構起きます

 

Auro-3DAuro-Matic であることは、両者の違いを聴きなれた「Auro耳」(笑)ができている方であれば一瞬にして分かるのですが、初めてAuro-3DNativeソフトを買った、という方には恐らく耳で聴いただけでは識別できないと思います。どちらも、すべてのSPから音が出ていますので、「包まれ感」だけは共通しているからです(大きな違いは、音場感と音質に出ます。ソースによっては音像定位も狂います)。

 

では、どう見分ければいいのか?両者の簡単な見分け方は、どのAVアンプにもある、InputとOutputの入出力画面を常に確認することです。

 

以下に、恐らく今、Auro対応AVアンプでは最も利用者が多いであろう、デノマラの設定画面を例に取って、説明します。

 

この二つの画面をよく見比べてください(画像をクリック!)。これは私のサブシステムである、Denon3800からのモニター画面ですが、デノマラならほぼ共通している表示画面だと思います。

 

P1.2.Img_0247 Img_0243_20240704193601

 

まず見ていただきたいのが、この両画面の右下の、「Active Speakers」というところ。どちらも、「11.1ch」(3800の最大出力チャンネル数)になっているのが分かると思います。つまり、これはどちらの再生方式でも、同じ数のスピーカーから音が出ているというわけです。

 

しかし、左下の「Input Signal」に違いがある点に注目して下さい。上は第一層の7.1chだけであるのに対し、下はFHL/RSHL/Rと、ハイトスピーカー4台にInputがあることが分かります。

 

つまり、これは、上は7.1ch(実際は5.1chで、SB/LRは存在しない)への入力を11.1chに<Auro-Maticで水増し>しているのに対し、下は9.1chの「2階建て」のAuro-3Dファイルを11.1chに<Auro-3Dで拡張>しているのです(拡張しない設定も可能)。

 

さらに注意深く比較すると、左上の「Signal」の部分で、上は「PCM」となっているのに対し、下は「Auro-3D/PCM」となっているのが分かると思います。どちらもその右側の「Sound」は「Auro-3D」となっているのですが、この表示に誤魔化されてはいけません(笑)。片方は、所詮、「Auro-3Dもどき」のSoundだからです(笑)。

 

さて、Auro-3Dの再生に於いて、Unfoldが正しくできているかどうかを確認することが大切である、ということが分かったら、いよいよ、本命のAuro-3Dフルフォーマット、13.1ch再生に挑戦しましょう!

 

まずは、HDMI出力のあるPCHDMIケーブルでAuro-3Dに対応しているAVアンプにつないで、 Korgの配信テストページにあるWindows/Macそれぞれの設定マニュアルに従ってパラメーターをいじって、このテスト用ストリーミングを再生してみてください。

 

一発で以下の画面が出た方は、もう「免許皆伝」(笑)。これより先は読む必要はありません!

 

P Trinnov Trinnov=左側中央に、FMT: PCM | Auro 13.1 UPMIX: None とあるのが、正常な状態です。Upmix されて Auro 13.1になっている場合は、FMT:PCM UPMIX: Auro-3Dと表記されます(情報は、きょやさん提供。写真も)

 

PSucess-storm  Storm=一番上の黒いバーに、「Upmix」が「Native」(=つまり「素のまま」でAuro-Maticは使っていないという意味)の状態で、その右側に、Audio StreamPCM-Auro-3D 48Khz 13.1 となっていればOK

 

PSucess-denon  デノマラ=Infoボタンを押して、左下のInput SignalCH, TSも入った14Inputが確認できていればOK。左上の「Signal」も「Auro-3D/PCM」となっているはず。

 

上述したように、13.1chの場合は、7.1chの形式のファイルの中に23階部分の6ch分が折りたたまれています。これが上手くAVアンプ側でUnfoldされていない場合は、AVアンプ側のInput表示が、「7.1ch」となってしまっているはずです。

 

このようになっている方は(実は、「友の会」のメンバーでも結構出ました=汗)、以下の諸点をチェックしてみてください(以下は我々の仲間が、MLで情報交換をした成果です。メンバーの「苦闘」(笑)の記録は、ここにもあります。

 

キモ:データがBit PerfectでAVアンプに送られないと、Unfoldできない。つまり、送り出し側で少しでもデータを改変していると、AVアンプ側でUnfoldできないということ。

 

上記を頭に入れたうえで、基本的には、KORGのテストページからリンクが張られてある「設定方法」を<正しく>守れば大丈夫なんですが、うっかり見逃しやすい部分も含め、「友の会」的チェックポイント&Tryすべきことを以下に列挙してみます。

  • PC側の出力は100%か?(99%でも、101%でもダメ)
  • ファイルのフォーマットと、PCの出力フォーマットが一致しているか?例えば、チャンネル数やビット数、周波数。
  • 特に注意しなければならないのは、9chと11chのAuro-3Dファイルは、前者が5.1chソフトで、後者が7.1chソフト。Resolutionはどちらも96Khz/24Bitだが、13chの場合は、48Khz/24Bitに落とす必要がある点。特に混乱しやすいのは、11.1chと13.1chの違いで、どちらも同じ7.1chファイルとして提供されるが、この二つのファイルをデコードする際には、それぞれ前者は96Khz/24Bit、後者は48Khz/24Bitに設定する必要がある。

→Windows の場合

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→Macの場合

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  • HDMI周りの不具合や「相性」の可能性(=恐らくノイズの混入がダメ=この問題はBDでも起きる)
    • AVアンプ側のHDMI入力端子をいろいろと変えてみる(何度か抜き差ししてみる。微妙な接触不良でもUnfoldできない)
    • HDMIケーブルを交換してみる。安物はダメなことが多いが、高級品でも光ケーブルはダメという情報あり。長さは短い方がよい。
    • なるべく変換コネクターは使わない(例えばType CHDMI変換器など)。どうしてもコネクターが必要な場合は、一流ブランドの高級品を使う。

 

我々、「友の会」としては、Auro-3Dに対応しているAVアンプをお持ちの方が、一人でも多く、今夏のKORGのAuro-3D Streaming配信を体験してもらいたいと思っております。ゆえに、もし、KORGのテストサイトで、「正しく」Auro-3Dが再生されなかった方は、まずはKORGに問い合わせて(笑)、それでもダメだったら、この記事のコメント欄に書き込んでみてください。我々友の会は、様々なAVアンプを持つメンバーで構成されており、Mac使いもWindows使いも揃っております。Auro-3Dの普及による、「共存共栄」を願う者として、ボランティアでできるだけのご助言は差し上げたいと思います。

 

2024年3月30日 (土)

チェンバロ(ハープシコード)の二つの演奏会:空間とAuro-3D考

先日、曽根麻矢子さんのチェンバロを都内の演奏会場で聴いてきた。

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P(上記は曽根さんの公式HPより転載)

前にも書いたが、ここは「日記」ではなく、「記事」を提供する場だと思っているので、私個人が参加したコンサートについてすべて書くわけではなく、「書くべき何か」を得た時のみ、記事として取り上げている。

 

今回のお題は「音と空間」の問題である。これは我々オーディオファイルにとっても普遍的な大問題であり、自分の持っている機器の出せる音量・音質と、その音を受け止める空間と、自分の好みの音量・音場との3者をマッチさせることが、オーディオ道の一つのテーマであることは論を待たない。

 

今回、曽根さんのコンサートに足を運ぶ気になったのは、先月、名古屋の個人の自宅におけるホームコンサートで、チェンバロの演奏を聴く機会があり、それとの異なる空間における音場感の「対比」がしてみたい、と思ったからである。それまでチェンバロを生で聴いたことが無かった私ではあるが、2ch時代からCDなどはいくつか持っており、しかも昨年入手したAuro-3DNative録音によるチェンバロソースも気に入って聴き込んでいて、「チェンバロの音はAuro-3D映えするなあ」と感じていたが、それと「生音」との違いに興味があり、今回2か月足らずの間にチェンバロのLiveを異なる空間で二回も聴けたのを機にAuro3D的な視点で紹介してみたい。

 

まず、時系列的には逆順となるが、今回の曽根さんのコンサートから。実はこのコンサートに行きたかった理由はもう一つあり、それはコンサート会場が「ハクジュホール」だったからだ。わかる方には分かると思うが、このホール、WOWOWの入交さんのAuro-3D作品の録音現場でよく使われるところなのである。彼の「愛弟子」を持って任じる(笑)私としては、彼の監修による伊豆の拙宅のSPセッティングで、彼がエンジニアリングしたAuro-3Dソースを拝聴するのに、その録音現場の音場感を知らないではマズいだろうと(笑)。すでに「東京カテドラル」(関口教会)という、もう一か所彼が良く収録に使うところは、オルガン演奏会に参加済みなので、どうしても一度、「ハクジュホール」の響きも確かめておきたかったのだ。

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つまり、「チェンバロとハクジュホール」という私の関心の対象がダブルで揃う機会だったのである(笑)。

 

「ハクジュホール」は、HPの情報によると、 客席数は300、天井高は「平均」8.3M。階段席になっているから、一番天井が高くなる舞台側は10Mぐらいは高さがある感じだった。

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ご存知と思うが、チェンバロはピアノ登場前、バロック時代ぐらいまでに良く演奏された古楽器で、音量がピアノに比べて「かなり」小さい。まあ、バロック時代までは今のような「コンサート」というものがそもそもないので、大観衆に聴かせる必要はなく、貴族の豪華なサロン(リビング?)で、数人が聴くものだったのだろうから、この音量で十分だったのだが、それを「現代のコンサート」という形式で聴こうと思うと、ちょっと大変(汗)。

 

私がチェンバロの生演奏コンサート経験が無かったのは、そもそもチェンバロのコンサートってめったにないからだ。というか本当は大都会ならちょくちょくマイナーなものがあるのだろうが、サントリーホールとか新国立劇場、といった大々的に宣伝する資金のあるような大ホールでは広すぎてできない(音が全席に届ききらない。PAを使うなら別だが、クラシックではあり得ない)ため、一般人の目に留まらないのだろう(ちなみに、若い頃、先日他界されたポリーニのピアノソロをサントリーの大ホールに聴きに行ったことがある。もし彼がチェンバリストだったら、絶対にあそこでは演奏会が開催されることはなく、ゆえにもし彼が、ピアノと同じ程度の技量を持つ「天才チェンバリスト」だったとしても、あそこまで有名にはなっていないであろう)。

 

ということで、そこまで有名ではない(?)「ハクジュホール」でのコンサートとなったわけだが、それでも300席もある。「あそこは残響音がいい」と入交さんがおっしゃっていたのだが、HPによると残響時間は空席時で1.6秒とあるから、関口教会ほどは響かない(ちなみに、伊豆の残響時間は0.6秒)。

 

私の席は前から4列目(演奏者から5,6Mぐらい)で、チェンバロの蓋がちょうど正面を向いている位置だったので、直接音(まあ、厳密にいえばほとんどが蓋からの一次反射だが=汗)は割とよく聴ける場所だったと思う。

 

使用するハープシコードはフレンチスタイルで、これは後述するO邸で勉強させていただいたのだが、ジャーマンスタイルより繊細な音がでるが、音量はさらに小さいもの。

 

曲目はバッハのパルティータ集だから文句なし!(笑)

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さて。

 

繰り返し書いているが、私には音楽的な素養が無いので、演奏の技量や解釈などをうんぬんすることはできない。ただ、オーディオ的な感想を言えば、個人的には「もう少し響きが欲しい」(汗)。入交さんが録音しているハクジュホールでの音源(ピアノとパーカッションのジャズとか、宗教曲のアカペラ合唱、落語!など)のイメージほどは響きを感じない…。やはりあの空間をチェンバロ1台の音量では満たしきれていないような気がした。もしかすると私の席が、「ツボの音程」(笑)の節になってしまっていた可能性もあるが、時々、「これ、オルゴールか?」と思わせるようなところもあり…普段Auro-3Dによるチェンバロ演奏を聴きなれている駄耳には、もう少し潤いと音量(迫力)が欲しい気がした。

 

次にご紹介するのが、2月に名古屋のO邸にて開催された、スキップ・センペ(Skip Sempé)氏の「コンサート」(ちなみに、曽根さんはこのセンペ氏に指導を受けたことがあると当日のリーフレットに書かれてあってビックリ!)。

 

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O邸での演奏会は、「コンサート」と言っても、私邸なので、オーディエンスは十数人って感じ。鉄筋コンクリート造りの広さ30畳?ぐらいのリビング(音楽室?)のようなところで、天井高もごく普通の高さだったと記憶している(2.5Mぐらい?)。部屋の形状は真四角ではなくやや変形していて、反射音を確保するためであろう、すべての窓のブラインドやカーテンがOpenにされ、ガラスがむき出しにしてあった(オーディオルームとしてなら恐らくLive過ぎる感じ)。O氏からの案内メールには、「最高の演奏家と楽器、ホールでは消えてしまうチェンバロの繊細さがわかるエアーボリュームでの演奏会です」と書いてあったが、先日のハクジュホールでの「コンサート」の後だと、この「宣伝」(笑)が大げさではないことが分かる。

 

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スキップ・センペ(Skip Sempé)氏

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正直に申し上げれば私はこのO邸の演奏会の後ですら、一緒にお招きに預かったグランドスラムさんに、「もうちょっと響きの広がりが欲しかったなあ。吸音体となる客が居なきゃよかったのに!」と自分たちのことをそっちのけで(笑)話したのを覚えている。私の耳はもうすっかり「Auro-3D」の音場感に毒されているようで(汗)、逆に、この演奏会後に伊豆の拙宅にO氏をお招きし、私の好きなAuro-3Dのチェンバロ音源(P)を「鼻を膨らませて」(笑)お聞かせしたところ、「残響音が過多で、私は好きではありません」(汗)。

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もしかするとチェンバロ自体の当たりはずれというか、機種による音の響きの違いというのもあるかもしれないが、そのような差異は微々たるものだと考えると、今回の「比較試聴」の結果、響きの豊かさでは、Auro-3D>O邸>ハクジュホールだったと結論付けられる。もちろん、これは良し悪しの順でないし、聴き手の好みは別れよう。私は京都の上七軒の置屋にお邪魔したことがあるのだが、そこの三味線のお師匠さんが、「最近、三味線や尺八をやたら残響音の多いところで演奏するのが流行っているが、あれは全くの邪道。これらは本来、和室で演奏し、響きなどがほとんどない、<枯れた味わい>を楽しむ楽器」と言い切っていた。ただ、「邪道」といわれても、例えば「鬼太鼓座」あたりのアルバムに挿入されている、残響たっぷりの三味線や尺八の音の方が「好きだ」と言う人もいるはずだ。

 

私自身の好みは言うまでもない。繰り返し、「風呂場のカラオケ好き」と言っているのだから(笑)。邪道、上等である!

 

ただ、O氏のように、「原音の持つ、質素で素朴で端麗な味わいが好きだ」という方は必ずしも少数派ではないと思われるのだが、Auro-3Dの録音になると、確かにやや過剰気味に(笑=繰り返すが、私は好み!)、残響音が入れてあるような気はしなくもない。これは、もしかすると2chの初期には「せっかく2台のSPを使っているのだから!」とエンジニアが気を利かせて左にボーカル、右にギターみたいな音源があったが、それと同様なことが「まだ初期段階にある」Auro-3Dの録音現場でもあるのかもしれない、とチラッと思う。つまり、「せっかくVOGがあるのだから、そこにもDiscreetに音を配置しなきゃ」みたいな(笑)。

 

今後、Auro-3Dフォーマットが3D音楽フォーマットの主流となっていけば、今のような「あざとい」録音をしたソースは減っていくのだろうな。

2023年12月17日 (日)

シューベルトの歌曲「菩提樹」にみる、Auro-3Dのマイキングと、LCR同一SPの威力?

先日、『第九』のAuro-3D版を紹介しましたが、その反応の多さに気を良くし()、今研究中のオーディオネタを後回しにして何と音楽ネタ三連荘を決行することとし、今回は、「菩提樹」を取り上げます。これは交響曲なら『第九』でしょうが、歌曲ならシューベルトの『冬の旅』の「菩提樹」、というぐらい(?)、これを知らない日本人はいないと断言できる、名曲中の名曲です(私は「名曲」好き=笑)。で、そもそも皆さん、これがAuro-3D化されているのをご存知でしたか?

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それは以下のサイトからダウンロード販売がされています(リアルのDiscがあるかどうかは調べていません・・・)。この方はもしかすると、Classic初心者の私が知らないだけで(汗)、すでに有名な歌手かもしれませんが、個人的には彼の歌声は好きです。これ、たぶん(汗)テノールだと思います。結構この歌曲はバリトンやバスが歌うことも多いのですが、シューベルトのオリジナルスコアは、テノール指定であったという蘊蓄をかじったことがあります。

 

https://www.nativedsd.com/product/ttk0078-schubert-winterreise/

 

いうまでもなく、ピアノの伴奏による、ソロですから、「それって、Auro-3Dにする価値があるの?」という疑問を持たれるのは、むしろある程度Auro-3Dをご存知の方なら当然だと思います。実は私も最初はそう思って、購入をちょっとhesitateしました()。単なるボーカル曲に、高さ感や奥行き感に特徴のある、Auro-3DOver Specではないかと。

 

しかし、このソース、結構Auro-3D的に興味深い現象が観察されたので、Auro-3D的システムチェックにはよい音源かも、と思ってご紹介する気になりました。

 

いきなりですが、皆さん、「東海林太郎」って昭和の歌手、ご存じでしょうか?はっきり言って、私の世代よりかなり上でないと、この方が「流行歌手であった時代」を同時代体験しておられないと思います(汗)。私にとってはこの方は、小学生の頃に、大みそかの『紅白歌合戦』が終わった後、日付が変わったころにどっかの民放でたいていやっていた、音楽好きであった両親とともに見た「懐かしのメロディ」みたいな番組の常連のおじいちゃんでした。私はこの方の歌より、実はその歌い方がとても記憶に残っているんです。

 

この人、大英博物館の彫像のように(笑)、1ミリも動かずに歌うんです(口以外)。司会に紹介されて、カメラが振られてこの方がマイクを口元に動かしてから、歌い終わるまで顔は正面を向いたまま。目線もまっすぐで、マイクを持った手も動かない。表情一つ変えないんです。他の普通の歌手が表情豊かに、さらに前後左右上下に体をゆすって、時には舞台を動き回り、マイクを上げたり下げたり離したり近づけたりして、「視覚的にも」歌心(?)を伝えようとしているのに比して、「別格」の趣がある方でした。父や母は、「ラジオの頃のスターだから、<見せる>ような歌い方をしないのだろう」と言っていました。

 

さて、前置きが長くなりましたが(汗)、皆さんが普段ご自分のシステムで聴かれるソロボーカル曲で、しかもLiveではなくStudio録音のソースで、「口」はどの程度移動していますでしょうか?

 

少なくともPopsRockのスタジオ録音なら、確実に東海林太郎の如く「微動だにしない」はずです。よくPVなんかで録音風景を使ったものがありますが、ボーカルって、狭いブースに入って、ヘッドフォンをして(演奏を聴きながら)、上から吊るしてある「一本のマイク」に向かって歌ってません?

 

もちろん、その歌い方はLiveと同様、前後左右上下に動くことで、「情感を込めて」いるはずです(PVを見れば明らか)。決して「東海林太郎」のような「直立不動」という歌い方はしていません。にもかかわらず、ステレオ再生する際に、ボーカルがピタッと微動だにしないのは、それを録音しているマイクがモノラルだからだ、ということをかつて音楽雑誌で読んだ記憶があります。1次元で収録して、それを電子的に(?)LRに分離して収録してど真ん中にピタッと定位させている。1次元録音だから、歌手本人が前後左右に動こうが、音像が揺らぎようがない(マイクとの距離が変われば音量は変わるが、それは簡単に補正できるそうです)。

 

ゆえに、それをご自宅のシステム(特に2ch)で聴くと、「口」がピタッと定位し、「唇は動くが、歌手=口=は動かない」。これを<理想的な再生>と目標にし、それを目指して血のにじむようなセッティング(笑)を日々行っている方がいかに多いことか!

 

でもこの「菩提樹」、伊豆のシステムで聴くと、「お、今、これ右向いたな」とか、「あ、今、後ろに離れたな」とかが、<見える>のです(汗)。

 

実はこの音源をダウンロードして最初に聴いたのは東京の書斎のAuroシステムだったのですが、その時は正直言ってこの「現象」に気が付かなかったのです。書斎のSPシステムは「センター1点豪華主義」(笑)なので、そのSonetto VIIIから「生々しい声」が再生され、「さすが最新のものだけある、クオリティの高い録音だなあ」ぐらいにしか感じておりませんでしたので、伊豆でこの曲を聴いたときは、「ヤバい、どっかケーブルが外れているか緩んでいるに違いない」と思って、見て回ったほどです。

 

でも、「どうやらこれはこういう録音になっているらしい」ということが分かってきたのですが、もしかしたらこれ、「私の空耳」、つまり「単にお前の耳が悪くて、揺れて聴こえるんじゃない?」(=耳の乱視のようなもの?)という可能性も全くは否定できないな(笑)、と思い至り、記事にする前に誰か第三者にも確認してもらおうと思っていた矢先のこと。

 

法事のために早朝に伊豆入りして、伊豆のシステムで上述したように「菩提樹」のチェックを終えた後、朝食をすましちょっと仮眠をとろうかなと思っていたところに電話が。「今日、どこにいます?」「伊豆ですけど」「これから入交さんと一緒に行っていいですか?」…入交さんのお知り合いのMさんからでした!元々、入交さんには「またいろいろご相談したいこともありますので、一度是非いらしてください」とはお声がけしていたのですが、ちょうどMさんもこちらの方に来る用事があり、時間ができたので急遽一緒にどうかということになったようです。

 内心、「明日の法事の準備があるんだけど・・・」と思いながらも、オーディオ的好奇心の方が勝り、「おお、渡りに船!」と快諾。プロの耳で確認していただければ、誰も「お前の空耳だろう」とは言うまい!!!

 

ということで、また「入交クリニック」(これについては後日、別稿にて)を受けた後、「ちょっとこれ、聴いていただきたいのですが」と恐る恐る(笑)お願いしました。例によって、目を瞑られて、完全に「職人モード」で姿勢を正して数分お聴きになられた後、以下のようなコメントをいただきました。

 

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この「菩提樹」のボーカル部の録音は、オンマイクがない録音方式で、Auro用のTreeのみで録音されています。ですから3次元に配置されたAuro用のマイキングが正確に音像を3次元的に記録しています。ゆえにシステムの再現能力が高ければ、「口」が動くのがはっきりとわかるのです。どうやらこの歌手は歌いながらかなり動きを入れるタイプのようですね(笑)。一方、ピアノにはオンマイクが何台か入っていて、ピアノの音像をはっきりさせようとして、Mixをしているようです。しかし、ちょっとやりすぎていて、これだとピアノの上に歌手が座って歌っているように聴こえてしまいますね。私ならもう少しピアノが奥、歌手が手前に立っているように、明瞭度を分けたミキシングをすると思います。

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凄くないですか!!!(私は将棋好き。同郷の藤井君のファン。ココ、わかる人だけわかればよいです=爆)

 

入交さんによる太鼓判をいただき、東京の書斎では気が付かなかったのは単に向こうのシステムのクオリティが低い、特にLCRが同一SPではないからではないか、と考えるに至りました。また、特に「前後感」の表現はこれまでの経験からハイトSP群の影響が無視できないため、東京の書斎はここがメーカーすらバラバラなのに対し(汗)、伊豆では同じメーカーの同じシリーズで揃えていることも寄与しているのだろうと分析してみました。

 

ということは、このソース、皆さんのご自宅のAuro-3Dシステムの完成度のチェックに使えると思いません? LCRが同一SPで揃っていれば左右の動きが、第一層と第二層の音色や定位がきっちりそろっていれば(もしかするとサラウンドSPも関係あるかも)、前後の動きがはっきりと<見える>でしょう。

 

是非、お試しあれ!!!(自分のAuroシステムの完成度に自信のある方は入交さんに最終チェックしてもらうといいですよ。でも、「ショック」を受けますよ、きっと=泣=続報を待て!)

2023年12月 2日 (土)

今年の年末は、Auro-3Dで『第九』を聴こう!!!

珍しく、二回連続の音楽ネタとなります。今度は、Liveでなく、録音ソースの話題です。

 

Classic愛好家にとって(いや、そうでなくても=笑)、年末の『第九』はもはや、「日本の12月の風物詩」で、今月に入ると、「OOの第九のコンサートに行ってきた」、などという友人からの報告があちこちから届くようになりますよね(ちなみに、アメリカとイギリスに留学していたころは、年末が近づくと増えるのが、クリスマスミサ曲のコンサートと『くるみ割り人形』のバレエ上演。でもドイツでは、駐在していた友人によると、やはり『第九』、だそうです!)。残念ながらチケットはほとんどこの時期では売り切れているので、私のように「出遅れた」ファンは、録音ソースを自宅で楽しむことになるわけですが、何と!そのソースに、我らが(笑)Auro-3D版が登場したのをご存じでしょうか?

 

これまで、会員の中にも、「Auro-3Dの音場・音像が素敵なのは認めるが、いわゆる、名曲・名演奏の類のソースがほとんどない。北欧の現代作曲家の新作ばかりじゃあ…」とのご不満があることは承知しておりましたが、ついに、出ましたぞ!「名曲中の名曲」がAuro-3D Nativeで!!!(願わくば13chで早く出てほしいが…)

 

目ざとい熱心なAuroファンはとっくに楽しんでおられるでしょうが、このサイトに来る方は「にわかAuro-3Dファン」もいらっしゃいますし、「Auro-3D再生対応可能のシステムを持ってはいるが、Auro-3DNativeソフトは一枚も持っていない」という人も世の中には結構おられるようなので、その「最初の一曲」としても、この超有名曲はお勧めしやすい(さすがに、Classicファンじゃなくても知らない人はいない!)ため、ここでご紹介させていただきますね。

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このソースは、ダウンロード販売しかしていないようで、レーベルは、Turtle Recordsというところです。その公式HPからダウンロードすることができます。

 

https://spiritofturtle.com/

 

これはDSDなど様々なフォーマットで提供されていますので、購入するときは、ちゃんと「Auro-3D、5.1+4」をプルダウンメニューで選ぶことを忘れないでください(上記画面の右サイドに選択メニューがある)。無事クレジットカードが承認されると、登録したメールアドレスにダウンロードへのリンクが来ますので、それをクリックしてPCNASFlacファイルを格納してください。このファイルの再生方法については、すでに記事にしてあるので、ご存じのない方は参照してください。基本的には5.1chのファイルをHDMI経由でAVアンプに送り込める機器をお持ちであればOKです。

 

「誰が振っているの?オケはどこ?」という方は、以下のライナーノーツを見てください。すべての楽器の演奏家の名前が全部書いてあるのですが、これからすると、どうもこれ、特定の固定メンバーのオケではないような…詳しい方がおられたら、彼らが何者なのか、教えてください!

 

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0537/5288/9514/files/beethoven-symphonies--ouvertures-alpha380-20211116103912-booklet.pdf?v=1698839697

 

肝心の音(演奏)ですが、私は何度も書いているように、子供のころ缶蹴りがやりたくてヤマハピアノ教室を数か月で辞め(笑)、未だに楽譜すら読めないような音楽的素養のない人間なので、細かい解釈とか演奏技法については何のコメントもできませんが、「Auro-3D音源」としての評価なら、ある程度聴き込んでいますののでできるかもしれません。

 

ただ、残念ながらこのソース、実は私はこの前のBlack Fridayセールでダウンロードしたばかりで、まだ伊豆のメインシステムでは聴いていないんです。「師走」はさすがに、私の仕事柄忙しく(汗)、行けるとしてもまだ先になりそうなのですが、それを待ってから記事にすると「もうすぐNew Yearじゃん、『第九』はもういいから『Blue Donau』は?」となりそうなので(笑)、このタイミングで記事にしたというわけです。

 

前置きが長くなりましたが(汗)、96/24 9.1chのハイレゾサラウンドですから、東京の書斎の寄せ集めAuro-3Dシステムで聴いても、音像・音場、そして音質に関しても、他にいくつか持っているSACDマルチの『第九』より優れて聴こえます、私の駄耳では。ただし、演奏時間が60分少々と、初演オリジナルのテンポなので、フルトヴェングラーやベームに代表される、重厚な=もったいぶった(?笑)、『第九』が好きな方には、物足りないかもしれません。ベートーベンの曲が持つ、「構築的・理知的な感じ」が好きな方にはいいと思います。演奏も音(352.8kHz/24bitのDXD5.1+4で収録されている)も明晰なので、システム自慢をする(笑)オフ会向きのソースかも。特に奥行き感は、これを2chで出すなら極上のアナログソースを使った天井知らずのシステムと環境(部屋)じゃないと絶対無理というレベルで、恐らくその十分の一以下の価格のシステムで同等の立体感が楽しめる(音質は別=汗)のは、Auro-3Dならではだと断言できます。

 

是非、お試しを!

 

追記

実は個人的には、6、7番の方が好きで、これもAuro-3D版が入手可能なので同時に買ったのですが、とてもいいですよ♪

2023年11月27日 (月)

「音楽が生まれる現場」に立ち会ってきました!!!

久しぶりのコンサートネタなんですが(「日記」ではないので私は行ったコンサートすべてについて記事にする気はない…)、今回、取り上げる気になったのは、「Auro-3D友の会」のCmiyajiさんのお招きであったこともさることながら、「今までの<コンサート>で体験したことのない」感激を味わったからです。

 

このコンサートは、「亀仙人スーパーバンド」 の定期演奏会(?)だったのですが、なんと、Cmiyaji邸のオーディオルームで行われているんです!(左後ろに、彼のご自慢のK2が見えるでしょ!)

 

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この部屋にお邪魔させていただいたのは2回目で、前回は、チャンデバ化されたK2Trinnovの音の涼やかさに感動したのですが、今回はそれとは打って変わって、<熱い>(笑)。

 

ホームパーティーのノリですから、お客さんは5人でバンドメンバーの方が多い(笑=でも実は、YoutubeLive中継をされていて、後日編集したものをUploadしておられるので、Potentialなお客さんの数はかなり多いと思います)。でも、皆さんプロ(「元」とか「セミ」、とかも混在している・・・?)なので、腕は確かで私のような素人では「今のミスったでしょ?」とわかるような変な音やリズムが出ることは一切なく、Jazzやボサノバの名曲からオリジナル曲まで、2時間ほど楽しませていただきました。

 

で、私がどこにこのブログでの「記事」にわざわざするほど感動したかというと、一曲一曲、演奏が始まる前に以下のようなやり取りがあるのです。

 

「これ、ちょっと書いてきたんだけど」(楽譜を配る)

 

「えっ、これベースの譜面がないよ」

 

fでいいんだよ」 「OK

 

「ここは、AABCAAなんだけど、今日はCは飛ばしていいや」

 

「テンポはどんな感じ?」 「ズンタ、ズンタ、ズンッタッタ、ズン」と言いながらソロ演奏が始まる・・・で、そのあとに他の楽器の皆さんが付いてくるんですよ!!!

 

マ、マジ?と、バンド経験がない私は心底思いました。リハーサル、ゼロ。ぶっつけ本番。それでとてもかっこよく始まって、またかっこよく終わるんですよ、これが。

 

途中の各楽器のソロパートも、リーダーみたいな方が手を振ったり目配せをしたりして次が「ドラムソロ」なのか「ベースソロ」なのかが決まる・・・演奏の終わりに作曲者だかバンドリーダーだかが指を3本頭の上に出す。すると、3フレーズというか3小節というのか音楽的教養のない私にはわかりませんが、かっこよくCoda(これはクラシック用語?)を作って、バンドメンバーみんなで顔を合わせながら、「ドン」で曲が終わる。

 

いやあ、無茶苦茶かっこよくて、かつ信じられないものを見ているような気がして、本当にぞくぞくしましたね。私、息子が生まれた時には不本意にも(笑)立ち会わされたのですが、「音楽」が生まれる現場に立ち会ったのは初めてで。

 

私がこれまで行った「コンサート」というのは、だいたいClassic5,Jazz3,Pops/Rock2ぐらいの割合だと思うんですが、素人の私は当然、<事前に>念入りな練習をしてから<本番>に臨んでいると思い込んでいました。ソロ楽器ならいざ知らず、複数の奏者がいる音楽というものは、事前の練習・音合わせ・相談なしでは「商品」の水準にはならないに決まっていると。Beatlesの『Get Back』という映画も見ましたが、ちゃんとスタジオで何度も練習してから、Appleビルの屋上に立ってますよね?

 

特に主力の(笑)Classicなんか、オーケストラは言うまでもなく、弦楽四重奏だって、事前に相当練習して意思統一するんじゃないんでしょうか?しかもClassicの場合は「楽譜通り」に演奏するのが当たり前なので、各楽器の個々人が自分一人でも事前に十分練習をしてきているはず。

 

ところが、Jazzって、その場で譜面渡されてもやれちゃうし、しかもそれがちゃんと「商品」レベルになるんですね、熟練のプロがやれば。

 

本当に驚いて、心底感心して、口をポカーンと空けて聴き入っていました(笑)。Classicの世界では、カラヤンのように「録音芸術」に力を入れる音楽家も少なくない、と聞きますが、Jazzはやはり「生が一番」。録音されたJazzは、「何度聴いても同じ演奏をする」(笑)。生のJazzは「やるたびに異なる演奏になる。それはその時の気分とノリ次第!」。

 

Jazz派に転向しようかな(笑)。