And in the End…
これは自分のシステムに関する、当面の締めの記事です。
拙宅のAuroシステムの主力であるSonetto VIII 5台を、デジタルチャンネルデバイダー・マルチアンプ駆動化してから、ちょうど一年。これから先の1年は本務(Auro-3Dは余技です、私にとっては=笑)に集中するためあまりハードいじりに時間をかけたくないので、今年度内に「いったんケリをつける」覚悟でこの春休みに集中的に取り組んだことをここに整理して、現時点でのFinishとしたいと思います。
2,3月に、「おなじみさん」を中心にしたオフ会を拙宅で開催し、5人の方に来ていただきました。そのうち、初めてのお客さんは一人だけでした。
初めてのお客さんはともかく、何度目かに来たお客さんには、「前ほどの感動が感じられない」とか「ソナスらしさが消えている」とか「SPユニットが無理して音を出している感じがする」「前より音のフォーカスが甘くなっている」などと言われたのですが、それにショックを受けることは全くなく、実は「お、なかなか鋭いな!」と納得していたのです。というのは、自分自身、その原因に対してそれぞれ心当たりがあったからです。
そこで、一連のオフ会終了後、友の会の仲間に「背中を押していただいたので」(笑)、私が重い腰を上げて取り組んだことは、大別すると以下の3点です。
1.Mid用パワーアンプのシングル化
2.サラウンドとサラウンドバックのパラ化
3.チャンデバ設定の再々再々…調整(笑)と、それを反映したDirac Live(ART)の設定
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1については、High用のパワーアンプとしてA-0を導入したのに伴い、これまでSTA-9をBTL化してMidに使用していたことはすでにご報告済みです。
実は、チャンデバ化する前は、このステレオパワーアンプであるSTA-9を、「敢えて、片チャンネルだけ使う」、つまりモノーラルアンプとして中高域用に使っていました。
そのメリットは、「理論的には」二つあり、一つは、アンプの電源部に余力が出ることによる<力感の向上>、もう一つは、チャンネルセパレーションの向上による<混入ノイズの減少>だそうです。
このうち、私の駄耳でも確認できたのは後者の方で、それは以前もどこかに「余韻がきれいに出る」と書いた記憶があります。
実は、これはチャンデバ化改造で大変お世話になったMyuさんにも、私がSTA-9をBTL化してMid用にしたときに、「個人的にはシングル使いの方が遠近感がより出ていて好みだ」と言われていたのですが、「せっかくHigh用のパワーアンプを3台追加購入して、STA-9が5台フリーになったのだから、今回はすべてBTLで運用してみたい」という、単なる好奇心が当時は勝ったのでした。
しかし、昨年秋にA-0をツイーター用に導入した後、いろいろとチャンデバをいじってみているうちに、Midが少しSonusらしくない、「荒々しい」=逞しすぎる?=音がするのが目立ってきました。これはおそらく「相対的な感じ方」で、以前は気が付かなかったものが、A-0の「静謐な感じ」との比較で気になるようになったのだと思っています。
Jazzメインの方であれば、「荒々しさの表現力」は大切なポイントだと思いますが、「教会のオルガンや合唱」が好きな私にとっては、「静謐さ」のほうに軍配が上がるのは当然です。
一応、今回の組み換えの際に、「念の為」(笑)、STA-9のBTL出力をLowに使うのも試してみましたが、やはり前回の実験のときと同様の結論(StormのPA-16のほうがSolidな低音)となり、STA-9は「シングルでMid用がベスト」、という判断となり、5台とも組み換えました。
結果として、荒々しさより、Silkyさが特徴の「Sonusらしさ」が少し戻り、S/Nと遠近感の表現力が向上しました。
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2の「サラウンドとサラウンドバックのパラ化」とは、サラウンドSPとサラウンドバックSPをLRごとにまとめて、パラレル接続する、という意味です。
実はこれ、かなり前に入交さんに教えていただいたテクニックなんです。現状、拙宅では、「入交教の信者の証」として(笑)、サラウンドの開き角(方位角)を90度、つまり、LPの真横にしてあります。ただ、このポジションは第一層が7ch、つまりサラウンドバックも使っているときに有効というのが入交さんの主張で、第一層が5台のSPによる再生になる場合は、御存知の通り、ITUの規定するサラウンドの開き角は110度が標準であることは言うまでもありません。
私は、最近はSACD MultiやDVD-Aの5chソースもほぼAuro-Maticで聴くので、この場合は拙宅のStormだと「強制的に」(笑)第一層は7ch(+6ch=13ch)に拡張してくれるため、特にこのままで不満は感じていなかったのです。
しかし、拙宅のシステム環境では、ダウンロード購入したAuro-3Dの9.1chソフト(5.1.4)をRoon Bridge経由で再生するときだけは、なぜか、Stormの方で第一層だけは7chに拡張してくれず(?)、5.1.5.1の11.1ch再生になってしまうのです(不思議なことに、同じ9.1chソフトをOPPO205やMagnetar 800のネットワーク機能を使って再生すると、ちゃんと、7.1.5.1の13.1chに拡張します…)。
ただし、11.1chのソフト(7.1.4)は、Roon Bridge経由の再生でも、Stormの方で、7.1.5.1の13chフルに拡張されるのです。
P(これ、上がInputs、下がOutputs。Roon Bridge経由の9.1ch再生だと、LB・RB(左右サラウンドバック)にInputが無く、Outputもないのが分かる。これがMagnetar経由の再生だと、OutputsはLB・RBからも出力がある=拡張される)
なにかRoonの設定変更等での解決法はないか、とずっと探ってきましたが、未だ見つからず(ご存じの方がおられましたら、ご一報ください!)。
NASにあるAuroソフトは、Roon Bridge経由で再生したほうが音がいいので、オーオタとしては当然こちらを使うのですが、せっかく最近Sonetto IからIIにパワーアップさせたサラウンドバックSPから「全く音が出ない」のは、その状態が<オリジナル>とはいえ(笑)、なんとなく釈然としない感じが続いていました・・・
実は拙宅のサラウンドのSonetto VIIIにはキャスターが付いているため(笑)、やろうと思えば、110度の位置に移動させることはできます。つまり5ch用の理想の位置にサラウンドSPを置くことは物理的には可能です。しかし、前の記事で書いたことが自分に跳ね返るのですが(汗)、Lは問題ないが、Rは、110度に設置すると、リビングからキッチンに行くドアの真ん前に立ちふさがる(笑)のです。「キャスターがせっかく付いているんだから、いちいち動かせばいいじゃん!」といわれそうですが、実践的には音楽を聴いている途中で、のどが渇いて冷蔵庫に行くたびにSPをゴロゴロ動かすのは、「勘弁」したいところです(汗)。
P(SR=90°とSBR=135°。110度は、この間、ドアの真ん前!)
という「悩み」を以前、入交さんにお話したところ、この「パラレル接続=サラウンドへの入力をサラウンドバックにも送る」という解決法を教えていただいたのです。こうすれば、現在のサラウンド(90度)とサラウンドバック(135度)の位置はそのままに、両者の間、つまり、112.5度の位置にサラウンドSPを置いたことと同じ効果があると。
でも、これも前に書いたことで、「幽霊」はダメですよね?と入交さんに言うと、「人間は真横より後ろの定位感は甘いのです。特にClassicを聴くのであれば、そこには普通はホールからの反射音や残響音しか入っていないはずでこれらは音像定位とは無縁なため、全く問題ありません」。
まあ、「教祖様」(笑)が太鼓判を押してくれれば、それを信じて実行するのが「信者」というものですが(笑)、実はこの助言を受けてから1年近く、捨て置いたんです(汗)。
その理由は、「パラレル接続にすればいい」って簡単に言いますけど(汗)、それってスピーカーとアンプのケーブルを繋ぎ変えるってことですよね?それをまさか、9.1ch AuroをRoonで再生するときだけにいちいちやるんですか?11.1ch Auroのときはまた戻すと?BDの時も?
・・・やってらんねぇ(笑) それならまだ、ドア前にゴロゴロとSPを移動するほうがマシですよねぇ(笑)。
しかし、今回、見つけてしまったんです!私のStormって、サラウンド(だけじゃないが)を複数台設定できるということを。これは、自宅でのパーティー文化のあるアメリカなんかでは、大きな部屋に10人ぐらいのお客さんを入れてみんなで映画を見る、なんていう使い方があるのに対応している機能のようです。つまり、サービスエリアを広げるために、1chのソースを複数のSPで再生する機能がBuilt-inされているのです。
P(これ、右側にある、"Configuration"に注目。Rs(右サラウンドのこと)とLs(同左)が、1と2と、二つある!)
しかも、アンプと複数SPをパラレルに接続する方法では不可能な、当該SP間の音圧やf特などの調整もバラバラに行える(AVプリから別々にバランス接続されているため)ことが判明しました。拙宅の場合、サラウンド(Sonetto VIII)と、サラウンドバック(Sonetto II)が同じSPではないため、パラ接続しても「正確には」1台とみなせることはないのは素人的にもわかっていて、それゆえ以前のサラウンドバックがAmator IIIだったこともあって、この「パラ接続」は見送っていたのです。
しかし、Dirac Liveがきっちり別々に測定したうえで、「Sonetto VIII」と「Sonetto II」を<1台のサラウンドSP>として調整してくれる機能がある(実は、この機能は、映画を見る際にスクリーン上下のSonetto IでVirtual Centerを形成しているものと同じだった…)ことを知り、これなら面倒な配線も切り替えも必要なく実現できるため、Why not? と今回やってみたわけです。
で、無事、Roon Bridge経由の9.1chソースの再生でもサラウンドバックからも音が出るようになり、イマーシブ感がUP!これで、配線の繋ぎ変えも、ゴロゴロとSPも移動することも無く、PC画面からConfigを切り替えるだけで第一層が5chのときは112.5度の位置にVirtualサラウンドSPを置く設定に変更できるようになりました。
P(上記と同じソフトをRoon Bridge経由で再生したところ。Inputsは5ch設定になっているためLRBが無いが、OutputsのLRSが「4ペア」出力されている点に注目。これは、3Wayマルチアンプ出力+もうワンセットのLRS=サラウンドバック用のSPに出力があること示している)
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3つめの、チャンデバ設定の再々再々…調整(笑)と、それを反映したDirac Live(ART)の設定ですが、前も書きましたが、このところ、「チャンデバいじり遊び」をやりすぎて(笑)、<怪人二十面相>状態、つまり、「どれが本当の自分の顔だったのか?」がわからなくなってきた部分がありまして(汗)。
自分でも、「なんか、前の音とは違っているな、ちょっとたまに嫌な音がするなあ」ぐらいの認識はあったのですが、この春休み中のオフ会で、Siltechさんと、K&Kさんに「前来た時より、音がおかしい」というようなご指摘を受け、自覚・納得する部分があったのです。
そこで、1の、STA-9のシングル使いにすることでBTLに比してゲインが二分の一になるので、理論的には6㏈下げる必要があることもあり、この際、昔Myuさんと一緒にユニット別のImpulse応答をみて設定したDelay値(これが王道。その後f特をみながらこれをいじったのは完全に邪道…)に戻し、これを基本としながら、サラウンドのDelay値は、LCRとの距離差をレーザーセッターで測定したうえで、理論値を計算し、それを当てはめました。音圧に関しては、測定値をベースにしつつも、それを自分の耳で微調整しました(入交さんもこの方法を推薦されている。オーナー=人間=の耳は、マイクとは異なり、形や向き、感度に至るまで左右差があるため)。
そしてこのマニュアルで設定したパラメーターを入れたうえで、Dirac Liveの測定を行い、ARTを適用したのです。
お恥ずかしい話ですが(汗)、実はこれまでは、「Dirac Liveは何でも調整してくれるのだから、パラメーターはDefault値のままで測定だけして後はお任せでいいんだ」と思い込んでいたのです。ゆえに、前回DLを回してARTを設定したときには、その前に「遊んでいた」メチャクチャな(汗)パラメーターのまま、DLを適用していました(理論上、ウーファーだけが数メートル前にあるようなパラメーターだった・・・)。ここだけの話(笑)、3月のオフ会のお客さんたちにはこれを聴かせていた・・・(大汗!)
先日、別件で、Dirac Liveのカスタマーサービスとメールで遣り取りをすることがあり、そのときに、念の為に(笑)、「チャンデバで使っているんだけど、ユニット別のパラメーターはそっちで設定してくれるんだよね?」と確認してみたんです。
すると、「DLはマルチアンプシステムのユニット別の測定とそれを元にした調整はしていない。<完成されたMulti-Wayスピーカー>として認識して、そのf特や他のSPとの位相調整は行うが、ユニット間のDelayや音圧の差は、DLを適用する前に、マニュアルで調整することを推奨する」との回答が来たんです!
「正しい」パラメーター入力後にDirac Live(ART)を適用した音は、Beforeの設定を残しているのでPC上で簡単に切り替えて聴き比べができますが、DLらしい、「パリッとした空気感」がより出たのがわかります。Stormのチャンデバ機能を使う場合は、Dirac Liveに完全お任せするのではなく、ちゃんと測定の上でパラメーターを設定してから、AI補正に委ねる必要があることを理解した次第です・・・(Trinnovはどうなんだろう?)
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一連のオフ会<後>にこれら3つの改良?をしたのは、言うまでもなくオフ会<前>にやってみて変な音になって元に戻せなくなったら目も当てられないからです。幸い、この3つの効果はとても大きく、今は、<ものすごくまともな音、クセのない普通の良い音(笑)>になりました。
この春休みに、せっかく来ていただいたお客様方には大変申し訳ない(大汗)。また機会があれば「違い」を確かめにお越しください!
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