« 日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まる?(笑) | トップページ | 改めて、WOWOWのセミナーでの入交氏の「結論」の確認と、Auro-3Dの第一層のSP配置について »

2025年2月12日 (水)

「画竜点睛」を、ついに描きました!

これまで、私の伊豆の別宅においでいただき、そこのシステムをご覧になった方なら、<必ず>思う(口に出すかどうかは別にしても・・・汗)のが、「ここまでやったら、あと一か所だけなんだから、TOP=VOGSonetto にしたいよね・・・」ということでしょう。

 

まあ、そんなことは、Ownerが一番日々(笑)感じていることで、「Complete癖のある男の子」なら誰でもやりたいとは思いますよ、そりゃ。

 

ただ、「言うは易し、行うは難し」で、いや正確に言うと、「行う」は<技術的には>それほどは難しくはありません。一階の出窓の下、ソファの後ろに隠してあるパワーアンプから、天井までスピーカーケーブルを引けばいいだけのこと。大工に頼めばすぐだし、器用な方ならご自分でも脚立に乗ってやることができるでしょう(天井が普通の家より高いのでちょっと怖い思いをするとは思うが=笑)。

 

ただ、それはつまり、この「美しい部屋」の壁の隅々にモールが蛇のように這うことになり、Ownerの私はそれはどうしても<美的に>許せない。いくらその方が「理論的には」音色が揃って音が整う(はず)と言われても、その代償として音楽を聴くたびにモールが目に入って、「あーあ、せっかくのXXホーム自慢の珪藻土のシミひとつない白壁が台無しだ・・・」と毎回思うようでは、耳で聴くのではなくて、「脳で聴く」音楽を堪能できないというのが私の<哲学>(笑)。

 

13分の1に過ぎない1スピーカーの音色の多少の違い(1chだけ違うSPと言ってもわざわざシルクドームという、同じ素材・方式のツイーターのものを選んでいる)より、見た目の違和感の方が「脳で感じる音」を悪化させると頑なに信じ(笑)、これまで、誰に何と言われようがTOPには無線Activeスピーカーの、DynaudioXEOを使い続けてきました。

 

とはいえ、「ソナスから無線Active SP出てくれればなあ…」と思い続けて数年。出たんですよ、昨秋! 

 

これです!(なぜか、輸入代理店が違うような・・・?)

 

早速、購入完全前のめり(笑)でカタログを取り寄せて調べてみたんですが・・・

 

「うーん・・・」

 

<うーん、その1>

私が12台まで揃えているSonetto シリーズは、「すべて同じツイーターを使っている」という点が最大の特徴で、このDuettoというのも同じツイーターなら、と期待して詳細にチェックしてみると、まず、カタログ上で径が1ミリ違うのです。Sonettoシリーズが29ミリ径のシルクドームなのに対し、このDuetto28ミリ径と、たった1ミリだけですが小さいようです。

 

「まあ、これはもしかすると測定誤差かな?イタリア人の仕事だし・・・爆」とPreferredに捉えつつ、さらに少し調べてみると、Sonettoの方には、「高域には、ソナス・ファベール独自の「アローポイントDAD (Damped Apex Dome)」テクノロジーに基づく」とカタログにあるのに対し、Duettoの方には、「ドーム周囲にウェイブ・ガイドを設けてワイドな音波放射を実現」との表記があって、どうもチト違う。見た目もSonettoのツイーターには、「橋」(笑)が架かっている(これは、Amator IIIも同じ)のに対し、Duettoのツイーターは、何もなし。

 

まあ、ここまで見ればいくら素人の私でも、この二つのツイーターが同じではないことぐらいは分かりました(泣)。

 

<うーん、その2>

これ、カタログをよく読むと、無線で送れるソースはBluetooth経由だけで、それ以外はソース機器から「有線で」片側のSPに接続しないといけないようです。Bluetoothって、スマホじゃあるまいし、ワシのStorm AVプリにはそんなもん、付いてませんがな・・・。AVプリからの出力はXLRしかないので、それをRCAに変換し、またそれにBluetoothアダプターを付ければもしかすると可能かもしれませんが、そんなんで音質はどうなんでしょうか?さすがに、「音がでればそれでいい」レベルのオーディオではない(汗)ので・・・

 

ということで、結局、カタログ検討の段階でDuettoの試聴すらする気が失せ、当初の前のめりが、すっかり「後ろのめり」に(笑)なったのが、昨年末。

 

そこで一旦は諦めたんですが、今年に入ってセミナーの準備などをしているときに、なぜかふと、「パワーアンプもSPと一緒に3Fに乗っければ、長いSPケーブルを部屋中に張り巡らせる必要はないのでは?」とひらめきまして。つまり、AVプリの出力をパワーアンプの入力まで飛ばせればSonetto Iをパワーアンプと一緒に天井に乗っけりゃイケるんじゃ?と。

 

そこで思い出したのが、かつて、螺旋階段の上の踊り場にSW(最終的にはELACのRS500 )を設置した際に、そこまでAVプリからXLRケーブルを引くのではなく、無線で飛ばしたこと!これはTomyさんに教えていただいたアイデアで、日本ではなぜか売ってないのでアメリカのAmazonで探して装置を取り寄せたんです(アメリカでは、部屋が広いので、SWの場所までケーブルを延々と引きたくない、というニーズは結構あるらしい)。この装置はXEOと同じ2.4GHzの電波を使っているため、Bluetoothに比べ音質もCDクオリティで、Delayも少ないというメリットがあるのです。実際、私の「第二層のSW」は、Dirac Liveが対応できる範囲でのDelayの距離(20Mぐらい離れていると認識されている=汗)に収まっています。

 

「これと同じようなものを探して、AVプリ(出力側)とパワーアンプ(入力側)に応用して接続すれば!天井に電源はある(天窓の電動ブラインド用のタップから分岐)ので、パワーアンプもオーディオトランスミッターのレシーバーも電源は取れるはず!」と探したところ、ちゃんと今回は日本のAmazonにもありまして、速攻でポチったのが、1月の上旬。

 

PImg_0068 Img_0070

 

セミナー前に届いたのですが、さすがに仕事も残っていて時間が取れず、セミナー後、「春休み」(笑)に入って伊豆に来てから開封しました。これは「LR」として2ch送れるタイプなので、SW用(1ch)ではないようですが、私が今回TOPに設置したいSPSonetto I2台(ただし、Mono)なので、ステレオパワーアンプを使うのに2chの入出力があればSplitしなくていいので便利です。アンプは今、サラウンドバックのさらに後ろにAtmos映画用に置いてあるUL-6XEOに置き換えれば、そこに使っているSTA-9を回せると計算。

 

さて、いざ伊豆に来て早速やろうかと思ったのですが、XEO3の代わりに今、サランドバックとして使っているSonetto Iを乗っけるのはいいとして、じゃあ、Sonetto Iの後のサラウンドバックはどうなる?ってことにこちらに来てから気が付く始末・・・(まさかUL-6じゃあ、Sonus Completeという目的は果たせないし・・・完全にボケ始めているナ=泣)

 

実はこの秋にSonettoシリーズにG2が出て、私が揃えているSonettoシリーズが「旧モデル」になった時に、「在庫処分で安くなっているなら、サラウンドバックをSonetto Iから、同じブックシェルフ型のもう一回り大きなIIか、いっそフロア型のSonetto IIIに代えちゃおうかな?」(理由は後述)という、「ボーナスを前にした悪魔のささやき」が聞こえてきて(笑)、輸入代理店のノアさんに「まだ在庫ありますか?」と問い合わせたことがあるんです。

 

その時は、畏れ多くも(笑)社長の牧野さん(拙宅にお越しになったことがある)からわざわざメールをいただき、「IIIならありますよ」と。で、ダイナのSさんにお幾ら?と伺うとさすがに新品だしそこまでは安くはならなかった(汗)・・・で、「いやー、いくらなんでも、ダウンロード版のAuro-3Dソフト(=9.1ch)ではほとんど鳴らないSPにそこまでカネかけても・・・IIでいいんじゃ?せっかくAmator IIIの純正SPスタンドもあるし」などと迷っているうちに、年末の<師走>になりまして、多忙の中、すっかり忘れてしまっていました。

 

その時思い切ってIIIを買っていれば、今頃Iが余っていたはずなのですが、さすがに今ではもう「旧モデルの在庫品=新品」はないようです。

 

「じゃあ、程度のいい中古でもいいか」(私は素人なので<長期保証が付かない中古品>は買わない主義)とネットを検索するとIVIII(つまり一番小さいものと大きいもの)なら中古である程度出ているようですが、お目当てのIIIIIは見つからなかったんです。

 

「今回の伊豆滞在中には無理だな」と諦めムードになってふて寝をして、タブレットでダイナのHPを見ていたところ・・・ここは中古も扱っているのですが、普段は中古のページを見ないため、ぱっと見した時には「SonettoIIIII、ここもないなあ」と思って、他のサイトに移ろうとしたら仰向けで見ていたためか、手が滑ってどこかを押したらしく、そしたらダイナの中古の「裏サイト」(ウソです、単に「2ページ目」があって、そこに行くにはクリックをしなければいけないのが分からなかっただけ・・・笑)が出て、何と、あるではないですかIIが。

 

しかも、「店頭展示品」と書いてあるので、これはつまり、保証は買った日からまるまる1年付くはず!

 

翌日、開店を待って(笑)電話を入れて、まだ在庫ありというので、即決(牧野社長、すみません=笑)。信頼マークのダイナですから試聴もせず、「今、カード決済するから明日の朝、伊豆に届けて!」と(爆)。

 pImg_0085_20250212124301

 

で、昨日の午前に届きまして(前の晩のうちにはしごを買っておいた!)。

Img_0075

あとは大工的な苦労話も多々ありますがこれはオーディオとは関係ないのでパス。ということで、TOPXEO 3Sonetto ISurround Back: Sonetto ISonetto IIという、今回のSystem Upが完了しました。

 

Before

P

Img_0069

 

After

P (トランスミッターもSTA-9も無事収まりました!)

Img_0079

AVプリ→TOPXLRアウト→RCA変換→RCA into 2変換→オーディオトランスミッター(LR)→同レシーバー(LR)→STA-9Sonetto I2台)

Img_0076_20250212123101

 

設置上の変更点は、前のXEOより横幅が広いので、レールの幅を広げたことと、前のXEOがリアバスレフだったのに対し、Sonetto Iはフロントバスレフなので、ウーファーの下についているバスレフポートを塞がないように前よりかなりBox(梁)から離したこと。

 

ついでにSonettto IIIの記念写真(笑)

PImg_0077_20250212125301

 

ちなみに、今回交換した3台のカタログSpecは:

 

XEO 3:14センチウーファー  (リアバスレフ)  48Hz22kHz

Sonetto I15センチ (フロントバスレフ) 45Hz25kHz

Sonetto II16.5センチ (フロントバスレフ) 42Hz25kHz

 

うーん、最低域がきれいに3Hz刻み(笑)。たかが3Hzですが、この帯域における3Hzの差は、音質の差だけでなく、重量・大きさの差や金額の差(汗)に結構なることは、皆さまよくご存じの通り(笑)。

 

さて、まだ<慣らし>の最中でDirac Liveでのきちんとした「調整」をしていない段階なので、「音」がどう変わったかを断定的には言えませんが、いくつかの「決め」ソースをざっと聴いてみたところでは、1.オーケストラや合唱などで、やや「迫力」を増した(気がする=笑)、2.頭の後方上部あたりの音像がしっかりした(気がする=笑)、3.空間(特に天井感)が少し高くなった(気がする=笑)-程度で、駄耳には<激変>というほどではありません(汗=入交さんなら両者の「違い」に敏感だろうけど)。

 

ただ、今回のSystem Up、物理的に(?)改善された点が二つあるのは確かです。

 

一つは、TOPの最小再生音の閾値がなくなった、ということ。これはどういうことかというと、XEOはトランスミッターやSP内蔵のパワーアンプ部の保護のためか、入力が「無い」時にはSleep Modeに入るという機能が常に働く設定になっています。「無い」と書きましたが、これには電気的な「閾値」があるようで、例えば、Boleroの始まりの部分のような超ピアニッシモ(笑)の部分では、入力「無」と判定されてしまい、Activeになりません(つまり、TOPからは音がでていない状態)。これはOwnerは前から気になっていたのですが、お客さんにはずっと「内緒」にしてました(笑)。

 

今回StormSTA-9との間をつなぐ無線装置はこのような「おせっかい」な機能は無く、ずっと電源が入りっぱなしなので、ちゃんと「超ピアニッシモ」の部分も、超微弱な音(LRではなく、TOPは元々相当音量が小さいのは皆さん、よくご存じですよね)が確実に出て、超弱音のホール音を演出してくれているはず(笑)です。

 

もう一つは、サラウンドバックのツイーターの位置が、Sonetto VIIIで構成されるLCRSLRより、少し上がった、という点です。

P(ツイーターの高さが10センチほど違う) 

Img_0084

 

これは先日のセミナーでも入交さんが少し言及されていましたが、7.1.5.1のフルバージョンのAuro-3Dの正規の配置では、ATMOSのようなトップリア(Auro式の表現なら「サラウンドバックハイト」と言えるかな?)がありません。Auro配置では、真横にあるサラウンドSPの真上(=サラウンドハイト)が、第二層では「最後尾」となるわけです。つまり、耳の後ろの上の方には音源が無いのです。

 

しかし、特にClassicの生演奏を聴く方はよくお分かりのように、普通のClassicの演奏会場って、階段式の後ろ上がりですよね(例外で有名なのはウィーンのムジークフェラインかな。昔の記憶ではカーネギーホールも?)。ということは、Jazzはともかく、少なくともClassicでは我々がLive会場で体験する「後ろからの反射音」って、やや上方からだって意識してました?

 

つまり、Auro-3Dの13chでは、「耳より後ろ」からの音は、第一層のサラウンドバックLR<だけ>で担っているのです(11chシステムでは、サラウンドとサラウンドハイトの4台が「耳より後ろ」に置いている場合があるが、これはLRとの開き角が60度以上になるため「中抜け」リスクが高まるとして、入交さんは推奨していない配置)。もちろん、後方上部からの音の形成には、「耳の真上」にあるTOP(VOG)も分担しているのですが、あくまでもSBとの間で形成されるファントムであり、リアルのSPがあるフォーマットとの違いははっきりあります。ここがフルバージョンAuro-3Dの正規配置の「数少ない」?弱点で、先日もWOWOWのセミナーで同じソースを22.2chと切り替えたときに気づいた方もおられるかもしれませんが、22.2chとAuro-3Dで一番差が出るのは実はココなんです。

 

この欠点を解消する方便の一つとして、入交さんは、「第一層はツイーターの高さを耳の位置に揃える、というのがマニュアル的ではあるが、実は、サラウンドバックだけは少し高めでも(の方が?)良い」と常々おっしゃっているんです。実際、WOWOWのあのスタジオも、サラウンドバックSPの設置位置が階段席の上方にあることもあり、ツイーターの高さは他の第一層のSP群よりある程度高い場所にあるのに気が付きましたでしょうか?

 

だから私は今回、この効果を狙ってSonetto IIIIIを探していたんです。Iだとまだちょっと低くて効果が薄いかな、と思って。拙宅のサラウンドバックSPTAOCのキャスター付きのSP台の上になるので、フロア型でもSPスタンドでも、通常設置状態より20センチぐらい高くなるため、狙い通り、今回、サラウンドバックのツイーターの位置を「耳より10センチ近く」高くすることができました。

 

先ほど書いた、「今回の変更にともなう、音の変化」は、多分にこれら二つの「物理的な改善?」も貢献していると思います。

 

もちろん、今回の苦労の最大のメリットは、「心理的な改善」であることは言うまでもありません(笑)。

 

Img_0082_20250212123101 Img_0083_20250212123101

Img_0086

Img_0087_20250213073201

(醜いモールが見えない壁は、やはり美しい!)

 

かつて、グランドスラムさんに、「My電柱の効果は?」と尋ねたところ、「オーディオルームを作った時からだからBeforeと比べられないので効果は分からない。ただ、電源に関しては<これ以上はない>という安心感はある」とおっしゃっておられましたが、私も今、同じ思いです。

 

これで、Auro-3Dで再生するシステムにおける13chのツイーターが全く同じもの(Sonus FaberのSonettoシリーズVIII×5、II×4、I×5) になり(拙宅では、TOPは2台パラレルで使用しているので、台数的には14台) 、少なくとも「音色の統一」度合いに於いては、<これ以上は(ほぼ)ない>という、安心感というか達成感(脳内ドヤ顔=爆)。

 

今は、ムッチャ、いい気分!!!でAuro-3Dの音楽を聴けています。 これで4月から心置きなく、日本を離れられる!(離れたくなくなる?=笑)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

追記(2月15日)

 

これは、単独記事にするほどでもない、「一部マニア向け」の内容なのですが、当方としては備忘録にしておきたい(何をしたか、書いて残しておかないとすぐ忘れてしまう・・・)内容なので、「追記」とします。

 

今回、「ハード的な変更」をした点をこの記事で書いたのですが、それだけで<完了>するほど、私の現行システムは単純なものではなくなっています(汗)。これだけ特性の異なるSPを入れ替えれば、当然、Dirac Liveもやり直さなければ、f特も、音圧も、位相も、狂った状態で聴く羽目になります。

 

「やり直す」と書くのは簡単ですが、拙宅の場合、まずSP数が23台あり、これらのSPで構成される、Auro-3D、音楽用ATMOS、映画用ATMOSはすべて使用するSPの位置や台数が異なるので、これらのフォーマット別に<イチイチ>(笑)Dirac Liveのキャリブレーションをしなければなりません。しかも、拙宅の「ウリ」の一つである、Dirac LiveのARTを設定するには「測定箇所を減らす簡易版」を許さない(汗)ので、やるとなったら1台1台、Sweep音を聴き終わってマイクを何度も移動する、というBoringな作業が半日は続くんです・・・

 

で、今回、「どうせ測定をやり直さなければならないなら」と、以前、チャンデバ調整をした際に、この道の大先輩である、ご近所のMyuさんに、「クロスオーバー周波数、減衰特性、ゲインは調整されたとありますが、タイムアライメントの状態を確認して欲しかった」とのコメントをいただいたのですが、これに関する「実験」をしてみようと。これ、素人の私はその「真意」が汲み取れず、その後直接お会いした時に教えを請うと、ナント!、f特って、Delay値を変更しても変わるものなのだとか!

 

このロジックは、2Way以上のSPで出音が「重なっている」周波数帯に影響があることなのですが、この二つのユニットの出音のタイミングによっては、この重なり部分の周波数(=音)が、相互に高めあったり、逆に弱めあったりすることが起きるということ(=定在波の節と腹の原理)。ゆえにこのユニット間の出音のタイミング(=Delay値)を調整すると、f特が変わるというんです。

 

実際にはこの方法でf特をいじるのは恐らく「邪道」で、まず、タイムアライメントを合わせてから(=出音のタイミングを同じにする)、他の手段を使ってf特を調整するのが「王道」のはずです。

 

しかし、今回、私がやってみたのは、タイムアライメントを合わせるのではなく(汗)、Delay値を変えることによってf特がどの程度変わるかを実験してみたいという知的好奇心からの所業です(Tomyさんに入れ知恵していただきました笑)。

 

さて、前置きが長くなりましたが、結果を以下に示します(このグラフは、私が測定したデータを見やすいようにMyuさんが加工してくれたものです)。

P

Auro3d-before-and-after_20250213202158

青がBefore、赤がAfterです。Afterでやったことは、1.MidのDelay値を11㎳から15㎳に増やす、2.Highの音圧を3㏈下げる―です。

 

「邪道」は重々承知ですが(Delay値を動かしすぎ=笑)、かなりf特の直線性は変化しました(だからと言って、音が良くなったとは限らない=汗)。理論(机上の知識)が実証でき、私の知的好奇心は満たされました(笑)。その後、これをベースにDirac Liveで補正をしたので、正確なタイムアライメント調整については、「そっちでやってくれているだろう」と、大船に乗った気分で(爆)、音楽を聴いています。さて?肝心の音質の変化については、月末にお客さんを予定しているので、「第三者委員会」(笑)の評価を待ちましょう!

 

再追記(2月20日)

コメント欄でTomyさんに指摘された通り、前回の調整はDelay時間(ミリセコンド=ms)をいじったので、距離に換算するとメートル単位で動かしたことになっていました(汗)。このまま晒しておくのもあまりにおかしいデータなので(笑)、今度は、距離(ミリメートル=mm)単位で調整してみました。1ミリ単位でMidを動かしてf特を測定したところ、スコーカーから7ミリツイーターを出す(LPに近づける)ときが最もf特が改善されました(以下)。

 

ただし、私はいい加減な人間なので、マイクとSPとの距離も、高さも適当なので、前回の結果との厳密な比較の対称性は取れていません(汗)。単に、カーブの変化状況だけに注目してください(笑)。クロスオーバー(3.5Khz)付近のDipが改善されていますが、200Hz付近のDipは変わらずですね(前回、ここが改善されたのは、やはり距離換算で「1メートル以上」スコーカーを動かしたからのようです=200Hzの波長は約1.7メートル=汗)。出音も、今回は結構はっきりと変わりました。少し、もやが晴れて鮮度が上がった気がします。チャンデバいじりは面白いですね!音響とか、マルチWay SPの仕組みなどに対して、ものすごく勉強になります。

 

Delay

 

 

 

 

« 日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まる?(笑) | トップページ | 改めて、WOWOWのセミナーでの入交氏の「結論」の確認と、Auro-3Dの第一層のSP配置について »

Auro-3Dマニュアル関連」カテゴリの記事

伊豆リビングのAuro-3D」カテゴリの記事

チャンデバ・マルチアンプ化関連」カテゴリの記事

コメント

今回の改造後、チャンデバの調整も行ったので、追記しました。

Auro3Dさん、今晩は

私の名前が出ていたので、レス致します(笑)。
タイムアラインメントのことについてです。

Delayでタイムアラインメントするのは、特に邪道では無く、デジタルチャンデバを使ってマルチアンプをする方法の大きな利点と言われています。皆さんがされていることですね。勿論できるならSPユニットの前後位置を物理的に移動させるのが一番です(K&Kさんが行われたように)。K&Kさん宅はアナログチャンデバだったと思いますので、これが唯一の方法です。Auro3Dさんの場合、ユニットを物理的には動かさないでしょうから、タイムアラインメントを行う唯一の方法はデジタルチャンデバによるDelayです。

上記のようにユニットの物理的移動の代わりなので、それに対応するだけのDelay調整を行うわけですね。音速は約330m/sなので、3㎝の物理的移動なら、Delayを0.1ms位変化させることになります。クロスが3kHzなら、330mの1/3000である10㎝で一波長ですから、その半分の概ね5㎝以下の距離に対応する、0.2ms以下の範囲で調整するのが良いと思います。3msもDelayを変えることは、ユニットを1mほど前後させたことに対応します。仰る通り、大きすぎですね!


Tomyさん

>私の名前が出ていたので、レス致します(笑)。

毎度、ありがとうございます!統計的に、閲覧数とコメント数は普通は比例関係にあるのですが、この記事は他の記事よりかなり閲覧数が多いのにも関わらず、Tomyさんが初コメです!どうやらここまで行くと、畏れ入ってか?(笑)、それともあきれて?(汗)、誰もコメントできなくなるみたいです=笑。今回のAchievementは自分のシステム構築の過程でも「一つの到達点」であることは間違いなく、ある意味、「突き抜け」ましたからね(笑)。出来栄えを見ているだけで、ニヤニヤしちゃいますもん(笑)。

>タイムアラインメントのことについてです。

そっちかい!(笑) でも今回の改良のKeyとなったトランスミッターのところでもTomyさんの名前は書かせていただきましたよ!いつも、いいアイデアをありがとうございます!!!

>
>Delayでタイムアラインメントするのは、特に邪道では無く、デジタルチャンデバを使ってマルチアンプをする方法の大きな利点と言われています。皆さんがされていることですね。勿論できるならSPユニットの前後位置を物理的に移動させるのが一番です(K&Kさんが行われたように)。K&Kさん宅はアナログチャンデバだったと思いますので、これが唯一の方法です。Auro3Dさんの場合、ユニットを物理的には動かさないでしょうから、タイムアラインメントを行う唯一の方法はデジタルチャンデバによるDelayです。

その通りなんですが、ここで私が「邪道」といったのは、<f特を動かすという目的のために、Delay値を動かす>という手段と目的の関係性についてです(汗)。Myuさんが言われた方法論は、インパルスレスポンスをMidとHighで見比べて、そのタイミングを合わせろ、すなわちタイムアライメントを調整せよ、というもので、これがDelay値をいじるという手段と目的の関係の「王道」ですよね(爆)。

>
>上記のようにユニットの物理的移動の代わりなので、それに対応するだけのDelay調整を行うわけですね。音速は約330m/sなので、3㎝の物理的移動なら、Delayを0.1ms位変化させることになります。クロスが3kHzなら、330mの1/3000である10㎝で一波長ですから、その半分の概ね5㎝以下の距離に対応する、0.2ms以下の範囲で調整するのが良いと思います。3msもDelayを変えることは、ユニットを1mほど前後させたことに対応します。仰る通り、大きすぎですね!
>

さすがに、今頃これをご覧になっているMyuさんもあきれておられると思います(笑)。実は偶然ですが、先ほど私も気になって、念のために今回のCO値である、3.5Khzの波長が97ミリだということを計算して今度伊豆に行くためのメモを作ったばかりなんです(笑)。この前弄ったときは時間(ms)の単位で数字を変えていましたが、今度行ったら距離(mm)でやってみようと思って。半波長で完全逆相でしょうから、タイムアライメント調整目的ならその間でやらないと無茶苦茶になってますよね(笑=180Hz近辺のf特も動いたのは、もしかすると「1Mも動かしたから」かもしれません!)。でもDirac Liveはユニット別の位相も補正するって言ってますよね?このままでも大丈夫かな?(笑) ダメ?(笑)まあ、また近々、伊豆に行くので、また弄って遊んでみますワ。チャンデバの特権!

Tomyさん

>上記のようにユニットの物理的移動の代わりなので、それに対応するだけのDelay調整を行うわけですね。音速は約330m/sなので、3㎝の物理的移動なら、Delayを0.1ms位変化させることになります。クロスが3kHzなら、330mの1/3000である10㎝で一波長ですから、その半分の概ね5㎝以下の距離に対応する、0.2ms以下の範囲で調整するのが良いと思います。3msもDelayを変えることは、ユニットを1mほど前後させたことに対応します。仰る通り、大きすぎですね!
>

ご指摘を受け、改めてミリ単位で調整してみた結果を、再度、追記しました!!!

Auro3Dさん、今晩は

全てのSPをVOG含め全てSonasにされたとのこと、おめでとうございます(あまりに、遅きに失していますが、失礼、笑)。

このTransmitterは元々Subwooferに使われるとのことで奨めさせて頂きましたが、全音域で使ったときの音はどうなのかな?一方で、チャンデバでマルチアンプ化した5ch(タイムアラインメント+光アイソレーターなど)が眼前にあり、頭上のVOGはtransmitter経由。足を引っ張らんかとちょっと心配。実は、最近のTransmitterはBluetoothだそうです。McIntoshやIFiのハイエンドクラスのTransmitterもあり、これらもBluetoothのようです。Bluetooth恐るべし!
サバティカルから帰って、時間ができたら、またこの辺りも探索されることを楽しみにしています!

0.1ms刻みのDelayの効果も拝見しました。上手く行きましたね!!

Tomyさん


>全てのSPをVOG含め全てSonasにされたとのこと、おめでとうございます(あまりに、遅きに失していますが、失礼、笑)。

完全に「言わせてしまった」ようで(爆)、恐縮です!でもまあ、今回のAchievementは、「結婚した」とか「子供が生まれた」とか「新築した」と同じくらいの(人生とオーディオを混同するなって?=笑・・・)「達成度」だと個人的には思っているので、「めでたい」のは間違いありません!!!(かつて、「会長なんだからそこまでやらないと!」と<冗談で>ある方に言われたことがあり、それがずっと気になっておりましたから=汗) しかし、どうせ褒めていただくなら(笑)、全部<同じメーカーのSP>にしている方は他にも結構いらっしゃいますので、<全部同じブランドのシリーズ=デザインもエンクロージャーの形状もツイーターもすべて同じ>にした、という点を強調して欲しかった!!!(笑)

>このTransmitterは元々Subwooferに使われるとのことで奨めさせて頂きましたが、全音域で使ったときの音はどうなのかな?一方で、チャンデバでマルチアンプ化した5ch(タイムアラインメント+光アイソレーターなど)が眼前にあり、頭上のVOGはtransmitter経由。足を引っ張らんかとちょっと心配。実は、最近のTransmitterはBluetoothだそうです。McIntoshやIFiのハイエンドクラスのTransmitterもあり、これらもBluetoothのようです。Bluetooth恐るべし!

そうですね、私が、数万円の安物ではない、ちゃんとしたオーディオメーカーのWirelessスピーカーを探していたころ(5年ぐらい前かな?)は、2.4GHzとBluetoothの違いはとても大きく、後者は遅延と音質(圧縮するため)で、とても「オーディオグレード」とは言えないレベルでした。その後、様々な改良が続けられているのでしょうが、本質的にBluetoothは低電力駆動が最大のメリットで、ゆえに持ち運びするような機器用に開発された、とメーカーの人に教えていただいた記憶があります。

音質面ですが、今回購入したものは、2.4GHzですが、カタログ上では、「192/24」とありますので、私が伊豆で聴くメインソース(Auro-3D)の「96/24」を上回っているため、レゾリューションだけで考えれば、このWirelessシステムが音質上のボトルネックになる可能性はない(他の音質劣化要因は多数あるが…汗)と判断して導入しました。確かにSPに届くソースの品質がWiredより劣るのは間違いないとは思いますが(さすがに、チャンデバ化されたVIIIと出音を比較するのは…笑)、その後いろいろなソースを聴き込んでいますが、前のDynaudioより3Hz下がった低域再生能力のUPの恩恵は、思ったより大きいですよ。是非また聴きに来てください!

ハイエンドブランドでもBluetoothが出てきている、ということですが、実は、BluetoothのSPを「Multi chシステムの一部に組み込む」場合に、音質以上に問題になるのが、「遅延」なのです。

先に書いた、ピュアオーディオが楽しめるレベルのWirelessスピーカーを探した時に、最終的に購入したDynaudio(2.4GHz)の対抗馬になったのが、KEFのBluetooth SPでした。私は購入前に、KEFの東京のショールームに行き、2ch再生で、LをWired、RをBluetoothにつないでもらって音楽をPlayしてもらったことがあります。その差は歴然でした。

「2chで使う」ならLR同時に同じだけ遅延するので何の問題もないのですが、これがなぜMultiで問題になるかは、Tomyさんには説明する必要はないと思いますが、一般の方向けに書いておくと、ある程度の遅延であれば、それはAVアンプから見れば「遠くにあるSP」(音が届くのに他のSPより時間がかかる)と見なされ、マイク測定後Delayで調整しようとします。しかし、当然、「限界」があり、大体最長20メートルぐらいなんです。これは58msに該当(チャンデバ調整のお陰で詳しくなりました!)するのですが、(当時の)Bluetoothはこれ以上の遅延があったため、AVアンプのDelay調整の範囲外だったのです(ちなみに、今回購入したトランスミッターの遅延は、40ms)。つまり、(当時の)Bluetooth SPはマルチには組み込めなかったのです(恐らく現在のハイエンドブランドのBluetoothSPもこのような使い方は開発段階で想定していないはず)。

もうひとつ、伊豆の特別な設置状況におけるBluetoothの最大の弱点は、「ペアリング」をしなければ使えない、という点なんです。2.4GHzは「ペアリング」が必要ないので、電源を入れればつながっています。Bluetoothもいったん「ペアリング」をすれば、その後いちいち「ペアリング」をする必要は普通は無いのですが、問題は停電やブレーカーが落ちて、電源が完全にシャットダウンした場合なんです。Bluetoothだとその場合、設定情報が初期化されてしまい、「もう一度ペアリングをやり直す」必要が出ますが、2.4GHzはその必要はない。この違いは、「4メートルの高所にアンプとSPとトランスミッターが置いてある」伊豆においては決定的です。ここ伊豆では都会と違って雷などで年に1回ぐらい、数秒程度の停電が発生することがあるので、その度にいちいち物置からはしごを出してきて怖い思いをする(笑)のはさすがに勘弁なんです(汗)。

>0.1ms刻みのDelayの効果も拝見しました。上手く行きましたね!!
>

お陰様で! ただ、本当はインパルス応答をチェックしたいのですが、REWでのやり方が分からない・・・今度いらしたときに、ご指南、よろしくお願いいたします!!!

Auro3Dさん、今晩は

なるほど、Latencyなら、最近はチップの性能が上がってきているので40msくらいのものはあると思います。IFiはLow Latencyモードを持ったDAC兼Transmitter(Zen Blue 3)なんてのも販売しています。しか~し、Bluetoothのペアリングの問題は残りますよね!!もし、その辺りも解決したモデルが目に入ったら、お知らせします!

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まる?(笑) | トップページ | 改めて、WOWOWのセミナーでの入交氏の「結論」の確認と、Auro-3Dの第一層のSP配置について »