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2025年2月

2025年2月26日 (水)

5chソースの、Auro-Matic化 再論

表題に取った「Auro-Matic」とは、このサイトの常連さんには言わずもがな、ではあるが(笑)、<これからイマーシブ>という方がGoogleの検索などでここに辿り着くことが最近結構あるようなので、改めて。

 

Auro-Matic」というのは、Auro-3DNative ソフト(Auroコーデックでエンコードされたもの)ではないソース(2ch5.1chなど)を、<Auro-3D風に>仕立てるUp Mixの名称。これは有名な所でいえば、「Dolby ATMOS」と「Dolby Surround」の関係と同じと考えていただいていい。

 

だから、「Auro-3D対応」というAVアンプを持っている方であれば、もれなく「Auro-Matic」も使える(ただし、それが使える設定をしていれば=笑)。

 

先日の入交さんによるWOWOWのセミナーの時も、オーディオショップの方から質問が出たが、Auro-3DNative SoftにはClassic系が多いため、それ以外のジャンルの音楽がお好きな方が、対応AVアンプとスピーカー配置を整えたうえでAuroの「世界観」?を味わいたい場合は、どうしても「Auro-Matic」のお世話になることになる(AVショップの方でもこの二つを弁別していない方もおられるが、「Auro-3Dを聴く」のと「Auro-Matic」を聴く、のは全くの別物です)。

 

斯く言う私自身も、Auro-3Dのシステムを揃えたばかりの頃(Marantz88052018年の春=約7年前=がスタートだった)は、Auro-3DNativeソフトが世の中にほとんどなく、ノルウェーの2Lレーベルが出しているBDを輸入して取り寄せてはいたが、当時はノルウェーの作曲家・演奏家によるアヴァンギャルドな作品が多く(汗)、保守的なClassic好き(笑)としては「二度目は聴かない」(泣)ものが少なくなく、お気に入りのSACD MultiAuro-MaticAuro化したものを主に楽しんでいた。

 

そうした経験を基に、もう何年も前になるが(初出がいつだったかのデータが無い)、Phileweb Communityという、今は亡き「オーオタ交流サイト」で(笑)、Auro-Maticについては自分なりに「ケリをつける」(笑)論考を書いている(これはPhil-Mで保存されているコピー)

 

そこの結論部分だけを以下に引用する。

・・・・・・・・・・・・・・・ 

Auro-Maticがイケてる「普通のソフト」の条件>

5.1ch2ch(やはり、元のチャンネル数が多い音源の方が、効果は出やすい)
・音数の多いもの(大編成のオーケストラなど)
・アヴァンギャルドな演奏(ストラビンスキーなどの20世紀音楽。例えばシェーンベルグはピアノソロでも最高!)
・オルガン、合唱(つまり、バロック系のミサ曲なんてバッチリです)
・金管楽器(ビブラフォン含む。木管も悪くないですが、金属音の方がどうもAuro-Maticがより得意とするようです)
・教会などの高さのある(またはOpen Air)録音現場(これなら、RockでもJazzでもイケます。オペラはオペラハウスでのLiveならホール感を伴う声楽を楽しめる=風呂場のカラオケ状態?)

 

<ダメなものの条件>

Pops Jazzのスタジオ録音盤のボーカル(どうしても口が大きくなる) 
On 録音されているピアノソロで、ホール音があまり収録されていないもの(アタック音などが甘くなる。高音の「硬質感」がやや損なわれる傾向。これは音のFocus2chに比して、どうしても落ちるためと思われる)
・天井の低いJazz Clubなどでの録音(リアリティが落ちる。かぶりつきの緊迫感が無くなり、ゆったり聴けるようになってしまう=笑)
Rockは録音による。空間感を演出するような壮大なサウンドはOKだが、タイトな音像を求める、シンプルでストレートなスタジオ録音は×(野外ライブはイケる!)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

基本的な印象は今も変わってはいないのだが、上記記事を書いた時と今では、自身のシステム的にかなり異なっており、特に、ちょうど一年前に主力の5台のSonetto VIIIをチャンデバ・マルチアンプ駆動に改造したことによる「音の変化」はとても大きいものがあると日々感じている。どう違うかと言えば、簡単に言えば、改造のご指南を受けたMyuさんにもはっきり指摘していただいているように、それは駄耳の私でもはっきりと分かる、「まるでスピーカーとパワーアンプをグレードの上のものに総入れ替えしたような」、馬力と瞬発力という、およそSonusらしくない側面(笑)を中心とした再生能力・品質の向上である。

 

この「向上」は、Sonetto VIII単体の能力向上なので、当然のことながらSWDirac Liveなど、「他の力」を借りていない状態どうしの比較の方が差がはっきり出る。拙宅では、「2chソースを2chで聴きたいとき」は、かつてはAmator IIIOctave Class Aの組み合わせを使っていたが、チャンデバ調整後は、Sonetto VIII2台とLPで理想的なポジショニングを作った環境に移動して聴くようになっている(2ch派のMyuさんには、「これ以上、何が要るの?」(笑)とまで言っていただいているが!)。

 

しかし、5ch再生に於いては、これまでは「5ch5chで聴きたいソース」の場合も、Sonetto VIII5台+SW3台+Dirac LiveART)というセットで聴くことが多く、Sonetto VIII5台だけの「Pure 5chセッティング」で聴くことはほとんど無かった。その理由は、ARTによる「締まった低音再生」が捨てがたいのと、正直に言えば、Dirac Liveを使わない場合の「様々なパラメーターの手動調整」に自信が無かった&面倒臭かった(汗)からだ。

 

ところが、この春の「伊豆合宿」(笑)で、チャンデバ調整でf特も変化することが分かり、MyuさんとTomyさんのご指南を受けて、曲がりなりにも満足のいくパラメーターを見つけることができ、しかもf特だけでなく聴感上の出音の変化もちゃんと確認できたので、「これで、Pure 5ch を組んだらどんな音がするかな?」と、相変わらずの好奇心(笑)が抑えきれず(春休みでヒマもたっぷりあるし!)。

 

残念ながら、拙宅のSonetto VIII 5台(LCRSLR)は「完全等距離配置」にはなっていない。LCRLPから約2.9m、SLRは約1.3mの位置にある。これまではユニット間の位置(でっぱり)の差だけをパラメーター入力し、「あとはDirac Liveにお任せ」(笑)で、ch別のDelay(距離)と音圧を自動調節してもらっていた。ただ、今回、新たなパラメーターを「発見」したので、SLRにも新たな数値を入れる際に、「もしかして、これって、5chだけなら単純にLCRとの距離差を測定して足し算や引き算をすれば、手動でも調整できるのでは?」と気が付きまして。

 

で、早速手持ちのレーザー測定器でミリ単位でLPからの距離を測定し、それをDelay値に反映させ、さらに、チャンデバいじりのお陰で「距離が半分になると音圧は6㏈増える」、ことも勉強していたので(笑)、それも考慮して音圧のパラメーターもSLR用に調整した。

 

SWは、定在波などの問題があり、手動での調整が難しい(はっきり言って完全無響室でない限り、どんなゴッドハンドでもARTには絶対に勝てないのが明白)ため、今回はパスし、5.0chのシステムとした。SWを使わないのであれば、3Way 5ch をすべてデジタルチャンデバ・マルチアンプ駆動にしているメリットを活かせば、Dirac Liveを使わないでもかなりの補正ができると考えたからだ。

 

そもそも、Dirac Liveのお仕事は、1.f特の補正、2.位相の補正、3.定在波の抑制(ART)-なのだが、1は、今回の5台だけならチャンデバの調整で何とか誤魔化した(笑)し、2は、デジタルチャンデバはミリ単位でユニットを「動かせる」わけで、この目的はユニット間のタイムアライメントを揃えることにある。理論的に<各SPからの直接音だけで考えれば>(DLは複数SP と反射音まで計算したLPにおける位相合わせをするのがウリではあるが)タイムアライメントを合わせれば、位相もある程度は整う「はず」(笑)。3は、恐らく結構差が付くポイントだろうと想像できるが、まあSWという大物を外せばそこまで不快な音にはなるまい、と判断。

 

で、試行錯誤を経てなんとか完成させまして(チャンデバいじりは、どこかで見切りをつけないと「無限ループ」に陥る=汗)。客観的な評価は近々来ていただくお客様にお任せするとして、主観的には(笑)、「これは、5台ある、3Wayスピーカーを、すべてチャンデバ・マルチアンプ化している者しかできないテクニック」であるという点だけで、もう満足(笑)。

 

これまで一応、一通り手持ちの5chソフトを片っ端から聴いてみての結論を言えば、以前書いた、<Auro-Maticするとダメになるもの>はさらにそのダメさが際立つこととなった。チャンデバ・マルチアンプの、「一音一音が、とてもはっきりする」という2chで確認できていたメリットが、5chでも発揮されるようになったため、「ボーカルとかシンバルの音のくっきりした定位」、なんていうところに聴きどころがある、Pops/Rock系は、5chソフトでもAuro-Maticにすると、「せっかくの鋭い音・定位感が鈍る」(繰り返しますが、これはMaticであって「Auro-3D」ではありません。Auro-3DのNativeソフトであれば、2chや5chよりはるかに正確で立体的な定位感が得られます)。かつては、どちらかというと5chソフトなら大抵のものはAuro-Maticで再生した方が個人的には好みだったのだが、今回改めて聴きなおしてみて、「これは5ch Nativeで聴くべき!」と判定したソースがかなり増えた。もちろん、Auro-Maticにするとステージが広がるという<メリット?>は相変わらずあるのだが、この<メリット>がとても重要なジャンルの音楽では必ずしもないことがよりはっきりしたのだ。

 

Rockの典型的なテスト音源は、高校時代の思い出の(笑)、Pink Floydの天下の名作、『狂気』

P (これは、いくつかのSACD Mulitがでているが、この写真上にある、Analog Productionの盤が一番音がいい=アナログじゃないけど=笑。ちなみに、これはATMOS版(下)も出ているが、音質自体は私はSACDの方が好み)

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Pops/JazzのMultiの名盤もいくつか聴き込んだ

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写真にあるもの以外にもいろいろ聴いたが、Auro-Maticからはやや脱線するかもしれないが、Pops/Rock/Jazzだと、SWって無い方がいいのでは?と改めて思わされる曲が多かった(拙宅のシステムでは、Auro-Maticにすると必ずSWが参入するセッティングになっている)。ここで拙宅のシステムの名誉のために(笑)お断りしておきますが、一般に映画用をメインにしておられるお宅のSWの音を想像して「そりゃそうだろ、そんなこと、今頃気付いているのか、このご仁!」と思っている方がおられるかもしれないが(汗)、拙宅の低域はSWにある5つのユニットを含め、全部で33のウーファーユニットをDirac LiveARTという技術が統合的にコントロールしていて(まだStormAVアンプでしかARTは世に出ていないので、聴いたことがある人はとても少ないと思うし、日本のオーディオ雑誌ではほとんど取り上げられていないが)、一般的な「音楽にSW? 邪道でしょ、それ。低域が膨らんじゃって」というイメージとは正反対で、はっきり言って、その辺のフロア型2chシステムより、3台のSWが入っているウチのシステムの方がTightで解像度の高い音が超低域まで出ます(断言!証人多数!!!)

でも、このクオリティの超低域ってPops/Rock/Jazzではほとんど不要で、むしろ、ここの解像度が上がることで恐らくエンジニアが意図せざる暗騒音が聞こえてしまって、不快な思いをすることが多々あるのです。Pops/Rock/JazzLFEを使っているものは、たいてい「下品」な(笑)、映画のような効果音(EDMのような)が多く、普通の2ch録音はSWを入れることをエンジニアは想定していないはず。だからSWをいれてしまうと、「想定外」の音が出てくることが起きるようです。

いずれにせよ、数年前の印象に比して、拙宅のシステムアップは、<Maticはダメなソース>を増やす方向に働いたようです。

 

逆に、<Auro-Maticにするとイケてるソース>については、拙宅で聴く場合は、少し減ったような気がしています。

 

例えば、マーラーの『交響曲第8番』(いわゆる、『千人の交響曲』)。私は前にもどこかに書いたと思うが、実はマーラーは苦手(汗)で、あまり聴かないのだが、先日の入交さんのWOWOWのセミナーでこの曲が「Auro-3DNative (22.2chだったかも?)で再生されていて、「・・・」と唸ったのです(いい意味で!)。Cmiyajiさんが、「これ、Auro-3Dで販売してくれないかなあ」とおっしゃっておられたが、全く同感。マーラーはキライですが、この曲のコーダだけは好きです!

 

さて、この『千人』であるが、先に書いた「Auro-Maticにイケてる音楽の条件」のほとんどを備えている曲です。

 

・大編成のオーケストラ

・オルガン、合唱・金管楽器(ビブラフォン含む。木管も悪くないですが、金属音の方がどうもAuro-Maticがより得意とするようです)

・教会などの高さのある(またはOpen Air)録音現場

 

有名な、ショルティの『千人』は2chなので、2chの大編成Classicは圧倒的にAuro-Maticに軍配があがることには変わりはないのだが、5chについては、拙宅のシステム変更を経て少し印象が変わり、オリジナルのPotentialに気づくこととなりました。

 

以前は、このような「Matic映え」する条件が揃った曲は、5chでも<圧倒的に>Auro-Maticの方が素敵に聴けたのだが、今回、手持ちの『千人』(キライ、と言いながら実は何枚も持っている。だって、<オフ会ご用達>ですもん、マーラーは・・・リクエストされた時用に=笑)の中で、特に比較的録音が新しく、優れていると思われる、ギルギエフのLSO Liveとトーマスのサンフランシスコ交響楽団(いずれも録音は2008年)のSACD MultiNative 5ch Auro-Maticで最後のCodaを聴き比べてみると・・・

 

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5chでも、部屋の空間容量を十分に「音(と振動)」で満たす大音量で再生すると、なかなかの感動力! これ、以前の5ch再生だったらここまでボリュームを上げると「うるさく」感じて、聴くに耐えない感じだったのだが、ちゃんとパラメーターを調整した5chはうるささを感じない。これだけの音量にすると、Live録音ならではの位相情報の再現と部屋の中の反射音も盛大になるからだろうか、微妙なビブラートがかかったような音質と、拙宅の天井の高さをちゃんと感じさせる空間表現もなかなかのものだった。

もちろん、この曲はPops/Rock/Jazzとは違って、グランカッサやオルガンが入っているので、20Hz前後と思われる帯域の再生品質に於いては、言うまでもなくAuro-Matic13ch+3SWART)の方が勝っている。しかし、Dirac Live無しのオリジナル5chSWも無し)の方が、張り詰めた緊張感のような部分でAuro-Maticを上回る空気感が感じられ、「こりゃ、一長一短、あるな」と今回初めて思った。

 

ただ、5ch Nativeの場合は、ある程度の音量を上げないとここまでの「実力」を感じられないので、集合住宅にお住まいの方や夜に音楽を聴く趣味のある方にとっては、(モンテモンテさんが指摘されているように)「音量が低くても、空間的な広がりを感じられるAuro-Maticに分がある」と思うだろう。

 

結論的に言って、5ch Nativeなら(2ch Nativeの場合は、どんなハイエンドでも大編成のClassic音源なら私の耳にはAuro-3DMatic含む)には及ばない。入交さんがセミナーで指摘しておられたように、音源が2か所しかないための「マスキング効果」でどうしても音数=楽器=が消えるし、いくら部屋を工夫しても、2台のSPだけではホールの反射音を完全には再現できていないと感じる)、

1.五台とも同じSPを使っている 

2.ITUの完全等距離配置になっていてLPで5台間の位相の狂いがない 

3.設置環境(壁との距離・角度など)も5カ所が完全に同一条件で、LPにおける5台のSPから届く音の各f特に差がない

―というような条件を満たしたうえで(拙宅はデジタルチェンデバシステムを使ってある程度調整したが=それでも2.3の条件は完全には満たせていない=汗、それが無い場合は上記3つの物理的条件を整えるしかない)、さらに(笑)、

4.部屋にある程度の高さがあり(これは5chの場合、高所からの音は部屋の天井からの反射音に頼ることになるが、そこに十分な距離が無いと「残響音」として感じられないため)、

5.そしてある程度Liveである(Dead過ぎる部屋だと天井や壁からの反射が少なすぎて、ホール感が出せない)というルームアコースティックの状態において、

6.<大音量再生>ができる環境

であれば、AVアンプの世話(補正)になる必要もなく、5chソースを「Auro-Matic」で拡張する必要はないかもしれない(笑)。

ただ、ここまでの条件を揃えるのはスペース面、経済面、家庭環境面などで無理(典型的なのはウチの東京の書斎!)、というほとんどの(笑)方は、5chソースもAVアンプを使った「Auro-Matic」で聴くことをお勧めします!

2025年2月21日 (金)

改めて、WOWOWのセミナーでの入交氏の「結論」の確認と、Auro-3Dの第一層のSP配置について

先日の入交さんと共同企画したWOWOWでのセミナーには、二日間で延べ50人ほどの方にご参加いただきました。その中の少なくない方が、イマーシブオーディオ界のインフルエンサー(笑)だと拝察しており、あそこで学んだことを「拡散」していっていただけることを、Auro-3Dの普及を目的の一つとしている「Auro-3D友の会」の会長としては期待しております。

 

ただ、これまでに二日間のどちらかに参加された方に「セミナーで何を学ばれましたか?」と伺うと、こちらが期待する答えが必ずしも返ってこないことが企画側としては気になっておりまして(汗)。

 

入交さんと一緒に作成した「進行案」(台本)には、はっきりとしたメッセージを送り出そう、ということが書かれているにもかかわらず、必ずしも伝わっていないような・・・。

 

確かにお話は音響理論から始まって、プロ品質の「純正13chAuro-3D音源」と、2ch5chATMOS22.2chとの聴き比べなどがあり、その間(後?)にスピーカーの配置に関する説明があるなど、盛りだくさんでしたので、参加者の興味関心によって、強く記憶に残っているポイントが異なるのはある意味当然です。

 

しかし、企画側の狙いとしては(汗)、セミナーの案内文にも書きました通り、「Dolby ATMOSAuro-3Dなど、多様なフォーマットが存在しているにもかかわらず、それぞれの特徴や、セッティング方法の違いなどを「正しく」理解・実践している方は少な」い現状に対し、<理論的・実践的に考えて>何が最も「正しい」実践方法なのか?をお示しすることにありました。

 

そして、その方法とは、「規格が乱立するイマーシヴオーディオ(音楽再生方式)ではあるが、Auro-3Dが定義するSP配置が最も音響理論的に合理的であるため、Auro-3Dのルールに準拠したSP配置をしておいて、ATMOS<>楽しむようにするのが現時点ではベスト」ということで、これは進行案メモに書いてあったんです!!!(Auro-3Dの何たるかに無知なAVショップのインストーラーに任せると、AVアンプ=映画=ATMOSとの固定観念から断りもなくATMOS配置にSPを設置して(恐らく、不勉強でそれしか知らない=泣)、「これでAuro-3D<も>楽しめますよ」、と言ってくるので、AmazonやAppleの「イマーシヴオーディオ」(音楽再生)をメインにしたい方はくれぐれもご注意!!! 2chソースのUp MixはAuro-Maticがベストだとお感じになっている方は多いと思いますが、ATMOS配置でAuro-3D(Matic)にしても「いい音」しませんから(汗)。ATMOS音源でもいい音が楽しみたいのならAuro-3D配置一択!シーリングSPなんか使ったらホテルのロビーのBGMレベルの音です(笑) これは入交さんと我々「友の会」の完全共通見解です!)

 

これ、入交さんは当日、ちゃんと強調されたと思うのですが・・・記憶に残ってない方も散見されますので(汗)、ここに改めて、はっきり・きっぱり(笑)書いておきますね!

 

さて、ここから先が本日の新ネタです(笑)。

 

先日、セミナーに参加されたK&Kさんが追加的な質問がある、ということで、入交さんとの3人でメールのやり取りをしまして。以下はそのやり取りに基づき脚色したものです(著作権は入交さんにあり、ここで公表することに関し、ご本人の許可はいただいております)。

 

私は今回のメールの中で、せっかく13chすべてをSonettoにしたこともあり、「やるならさらに<完璧>を追求!」とAuro-3Dの第一層を7chとする場合のSP配置において、前から気になっていたことを議論させていただいたのです。

 

何度も書いてますように、伊豆の拙宅には、これまで入交さんに度々お越しいただいており、その度にSP配置のチェックを受けて今に至っています。拙宅のシステムは「友の会」の横綱級の方々の装置に比べれば、「小結」程度なのですが、唯一、その横綱に土を付けられる点があるとしたら(笑)、拙宅は「入交さん手ずからのセッティング」である、という点であることはもう何度も書きました。

 

http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2024/09/post-84e82d.html

http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2022/12/post-a2b624.html

https://philm-community.com/auro3d/user/diary/2022/09/23/9861/

 

しかし、いままで34回ほどお見えになっていただいているのですが、実はその度毎に「サラウンドバック」(以下、Auro-3Dのマニュアル表記に従い、LrsRrsと表示)の位置が微妙に違っていたんです。拙宅ではLrsRrsについて、「どのスピーカーを使って、どこに置くか」にずっと悩んでいて、ある時は後方の出窓を大工さんに広げてもらった「棚」の上にSonetto Iを置いたり、ある時はキャスターに乗せたAmator IIIをサラウンドバックにしたり。でもその位置や開き角(同マニュアルでは「方位角」とありますので、この記事中では「方位角」を以下、使用)は、都度、バラバラでした。

 

入交さんも、拙宅で、LrsRrsについては特に厳しいご指摘をされなかったのです(LCRについては、「2度」ズレている、とまで言われたのに・・・)。その理由はセミナーの時も説明しておられたように、「人間は後ろからの音の定位感は甘い」ためで、「できるだけ7chを等距離に配置して」、LrsRrsの方位角は、我々「友の会」が翻訳したAuro-3Dの「マニュアル」 にあるように、「135度から155度の間に入っていればいいですよ」とのことだったのです。

 

拙宅では残念ながら部屋の形状から7chの等距離配置は難しく(やろうと思えば、半径1.5Mぐらいの小さな空間になってしまうが、Sonetto VIIIにこの距離で囲まれると圧迫感がハンパでなく、心理的にイヤ=笑)、仕方なくAVプリ側でDelayをかけているのですが、その分、方位角だけは正規のものにしようと心がけてきました。

 

しかし、これも以前彼と議論したことがあるんですが、Auro-3Dのマニュアルに書いてある「サラウンド」(以下、同様にLsRsと表示)の方位角って、「90度-135度」って書いてあって、なぜかここだけやたら許容範囲が広いんですよね!(他のSP20度ぐらいしかAllowanceが無いのに、サラウンドだけ45度もある!)

 

なんですかい、<135度>だったらLsRsLrsRrsを同じところにおいてもいいってんですかい?(笑)と、江戸っ子調に突っ込みを入れたくなりますよね。

 

今回、入交さんとのメールのやり取りで分かったことは、「第一層を7chにした場合の、LsRsとLrsRrsの位置については、業界レベルで統一されたものが無い」ということ!

 

皆さんよくご存じのように、5.1chにはITU基準という世界的な基準があり、C=0度,LR=30度、LsRs110度となっています。

 

じゃあ、これにLrsRrsを足して7chにするなら?

 

「マニュアル」では、それは150度の位置に増設、ということになっています(いずれも「標準値」)。つまり、Auroの正規の第一層7chの標準位置は、LsRs=110度、LrsRrs=150度となっています。

Auro_20250222073701
 

(「Auro-3D友の会」編Auro-3D導入マニュアルver.1 p.20より引用)

しかし、実はこの150度っていうのは、入交さんによると、「110°と150°と表示されているのは、5.1chのサラウンドチャンネルをデフューズ(パラで鳴らす)する場合の基準」だそうで、これはパラレル接続ということは二つの距離が等しければそのど真ん中にレベル差定位をしますから、要するに「130度」。ここで先に書いた、LsRsLrsRrsの方位角の上限と下限が重なっているのはこれに近い、「135度」であることに気が付かれましたでしょうか?

 

「マニュアル」には方位角の標準値としてはどこにも入っていない「135度」ですが、実はこのように「強く意識されている角度」(笑)なんです。

 

ここに目を付けた?のがATMOSで(笑)、ATMOSで第一層を7chにする場合は、入交さんによると「暗示的にLsRsが±90°で、LrsRrsは±135°を推奨して」いるそうです。

 

Dolby-atmos

(DolbyのHPより引用)これ、確かによく見ると、サラウンドSPは90度、サラウンドバックSPは135度に位置に描いてある!

 

そしてここが大事なところで、「人は後ろ側の定位閾値が大きい、すなわち定位感覚が鈍いことを考えると(第一層のSP配置に関しては)Atmosの方が良い」。特に音楽の場合は通常は前からの音に集中するので、「正面側の定位感覚が鋭い方のスピーカー密度を上げる方がコストパフォーマンスが高い」とのこと。

 

うーん、これは新知見!確かにこれまでも何度も書いてきた通り、第一層が7chの場合のLsRsの方位角は、「90度」つまりLPの真横がいい、というのは入交さんの従来からの主張ですし、彼の仕事場のモニターSPの配置もこうなっています(つまり少なくとも入交さんが制作されたAuro音源は、LsRs90度に置いていないとDirector’s intention通りに再生されない)。

 

しかし、LrsRrsについては、私は「マニュアル」の標準値である150度がいいのかな、と思ってこれまで実践してきました。これだと、LsRs90度に置けば、ちょうど60度刻みできれいにLrsRrsが並ぶし、LRLPを挟んで対角に位置することになるので、「なんとなく(笑)合理的で、美しい配置」のような気がしていましたが・・・。

 

ところがです、「人間は前の音に敏感で後ろの音には鈍いので、前重視!」という入交さんのロジックは、なるほど説得的です。

 

ただし、入交さんは、「プロの場合、9.1ch5.1chとの互換性まで考えなくてはいけませんので、左右を±100LbRbを±135°とすることが多いと思います。この配置で作成する所が多いので、再生も同じようにするのがよろしいかと思います」と、<どの録音エンジニアの作品でも許容できるようにするためには>LsRsを100度、LrsRrsを135度を推薦されておられるようです。

 

しかし、「Auro-3D推進派」(笑)の入交さんが、第一層のLsRsLrsRrsの方位角については、「ATMOSの方が優れている」とまで言われたことの重みは相当なもので、彼個人はそう考えていることが伺えました。

 

ということで、<生粋の入交教信者>を自任する私は(爆)、LsRsを90度のままにして、Sonetto IITAOCのキャスター付きの台に乗せたLrsRrsをこれまでの150度から135度に速攻で移動させました!

 

p この写真は、LPのほぼ真上から見る、サラウンド(90度)とサラウンドバック(135度)の位置関係

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P 椅子の下にある白いテープがLP (この真上の梁の、さらに上にTOPがある)

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この「新配置」で、早速いくつかのAuro-3D Nativeソースを聴いてみました。不思議なのは、「後ろのSPの配置を変えた」はずなのに、「前から来る音、前にある音」の音場・音像が変わったと感じたことです。でも最もはっきりとした効果を感じたのは、フォッサマグナツアーの課題曲にも選んだ『Polarityで、 LsRsLrsRrsの「間」にいくつかの音がはっきりと定位して感じられる曲が増えたのです。言うまでもなく、従来この二つのSPの開き角は60度だったものが、今回45度になったわけですから、「定位感の鈍い」後方の音とはいえ真後ろではなく左右斜め後方であり、かつ45度の狭さの間なら、ある程度くっきりと知覚できるようです。その代わり、頭の真後ろの2台のSPの開き角は従来の60度から、90度に開いたわけですが、ここには「真後ろ」に音源(ここではドラム)があるものの、その定位感は変わりませんでした。やはり入交さんがおっしゃる通り、後ろの音は「ここがシンバル、ここにタムタム」と10センチ刻みで位置が分かるような定位感は無いらしく、90度でも60度でも「まあ、後ろにドラムセットがあるよな」程度で変わらず、それで十分でした。

 

P サラウンドバック(Sonetto I)はこのようにかなり開き角が大きくなるのが「正解」(正面上下にある4台のSPはATMOS=映画用)

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以上、ここまでの結論をまとめますと(笑)、

 

1.第一層が7chの場合は、ATMOS配置がよい(LsRs=±90°、LrsRrs=±135°)

2.第二層は、Auro-3D配置がよい(仰角、スピーカーの向き、垂直配置など)

 

【おまけ】

 

実は、私はリラックスしてAuro-3Dを聴きたいときは、べスポジより、数十センチ下がったところで「本を読みながら」とか「パソコンをやりながら=今も=笑」聴くのが好きなんです。で今回、入交さんが、サラウンドの位置について、「正面に正対して聴くとき、音楽の拡がりという観点からは(中略)、後ろに定位が必要無ければ、±7090°が良いくらいです」と書いてこられ、「おお、これは私の好きなリスニングポジションのことじゃん!」と膝を打ったのです。

 

私が好きな音源はClassicなので、「後ろに定位」が無ければならないものはほとんどありません(Tacetレーベルの室内楽なんかで、たまーに、右後ろにチェロ、左後ろにコントラバスみたいな録音があるが=笑)。そして、LPを数十センチ下げるという行為は、まさにサラウンドSPが斜め前に来ることになるわけで、方位角は70度ぐらいになっているかもしれません(その分、LRの開き角が狭くなり、逆にLrsRrsの開き角が広くなるが)。

 

拙宅の場合、TOPVOG)を2台使っているのでサービスエリアが縦に長いのもありますが、コンサートホールの真ん中やや後ろ目(=私の好きなポジション!)でやや遠めのオケを見ながら聴いている感じがして、なかなかいいですよ!是非、お試しあれ!!!

2025年2月12日 (水)

「画竜点睛」を、ついに描きました!

これまで、私の伊豆の別宅においでいただき、そこのシステムをご覧になった方なら、<必ず>思う(口に出すかどうかは別にしても・・・汗)のが、「ここまでやったら、あと一か所だけなんだから、TOP=VOGSonetto にしたいよね・・・」ということでしょう。

 

まあ、そんなことは、Ownerが一番日々(笑)感じていることで、「Complete癖のある男の子」なら誰でもやりたいとは思いますよ、そりゃ。

 

ただ、「言うは易し、行うは難し」で、いや正確に言うと、「行う」は<技術的には>それほどは難しくはありません。一階の出窓の下、ソファの後ろに隠してあるパワーアンプから、天井までスピーカーケーブルを引けばいいだけのこと。大工に頼めばすぐだし、器用な方ならご自分でも脚立に乗ってやることができるでしょう(天井が普通の家より高いのでちょっと怖い思いをするとは思うが=笑)。

 

ただ、それはつまり、この「美しい部屋」の壁の隅々にモールが蛇のように這うことになり、Ownerの私はそれはどうしても<美的に>許せない。いくらその方が「理論的には」音色が揃って音が整う(はず)と言われても、その代償として音楽を聴くたびにモールが目に入って、「あーあ、せっかくのXXホーム自慢の珪藻土のシミひとつない白壁が台無しだ・・・」と毎回思うようでは、耳で聴くのではなくて、「脳で聴く」音楽を堪能できないというのが私の<哲学>(笑)。

 

13分の1に過ぎない1スピーカーの音色の多少の違い(1chだけ違うSPと言ってもわざわざシルクドームという、同じ素材・方式のツイーターのものを選んでいる)より、見た目の違和感の方が「脳で感じる音」を悪化させると頑なに信じ(笑)、これまで、誰に何と言われようがTOPには無線Activeスピーカーの、DynaudioXEOを使い続けてきました。

 

とはいえ、「ソナスから無線Active SP出てくれればなあ…」と思い続けて数年。出たんですよ、昨秋! 

 

これです!(なぜか、輸入代理店が違うような・・・?)

 

早速、購入完全前のめり(笑)でカタログを取り寄せて調べてみたんですが・・・

 

「うーん・・・」

 

<うーん、その1>

私が12台まで揃えているSonetto シリーズは、「すべて同じツイーターを使っている」という点が最大の特徴で、このDuettoというのも同じツイーターなら、と期待して詳細にチェックしてみると、まず、カタログ上で径が1ミリ違うのです。Sonettoシリーズが29ミリ径のシルクドームなのに対し、このDuetto28ミリ径と、たった1ミリだけですが小さいようです。

 

「まあ、これはもしかすると測定誤差かな?イタリア人の仕事だし・・・爆」とPreferredに捉えつつ、さらに少し調べてみると、Sonettoの方には、「高域には、ソナス・ファベール独自の「アローポイントDAD (Damped Apex Dome)」テクノロジーに基づく」とカタログにあるのに対し、Duettoの方には、「ドーム周囲にウェイブ・ガイドを設けてワイドな音波放射を実現」との表記があって、どうもチト違う。見た目もSonettoのツイーターには、「橋」(笑)が架かっている(これは、Amator IIIも同じ)のに対し、Duettoのツイーターは、何もなし。

 

まあ、ここまで見ればいくら素人の私でも、この二つのツイーターが同じではないことぐらいは分かりました(泣)。

 

<うーん、その2>

これ、カタログをよく読むと、無線で送れるソースはBluetooth経由だけで、それ以外はソース機器から「有線で」片側のSPに接続しないといけないようです。Bluetoothって、スマホじゃあるまいし、ワシのStorm AVプリにはそんなもん、付いてませんがな・・・。AVプリからの出力はXLRしかないので、それをRCAに変換し、またそれにBluetoothアダプターを付ければもしかすると可能かもしれませんが、そんなんで音質はどうなんでしょうか?さすがに、「音がでればそれでいい」レベルのオーディオではない(汗)ので・・・

 

ということで、結局、カタログ検討の段階でDuettoの試聴すらする気が失せ、当初の前のめりが、すっかり「後ろのめり」に(笑)なったのが、昨年末。

 

そこで一旦は諦めたんですが、今年に入ってセミナーの準備などをしているときに、なぜかふと、「パワーアンプもSPと一緒に3Fに乗っければ、長いSPケーブルを部屋中に張り巡らせる必要はないのでは?」とひらめきまして。つまり、AVプリの出力をパワーアンプの入力まで飛ばせればSonetto Iをパワーアンプと一緒に天井に乗っけりゃイケるんじゃ?と。

 

そこで思い出したのが、かつて、螺旋階段の上の踊り場にSW(最終的にはELACのRS500 )を設置した際に、そこまでAVプリからXLRケーブルを引くのではなく、無線で飛ばしたこと!これはTomyさんに教えていただいたアイデアで、日本ではなぜか売ってないのでアメリカのAmazonで探して装置を取り寄せたんです(アメリカでは、部屋が広いので、SWの場所までケーブルを延々と引きたくない、というニーズは結構あるらしい)。この装置はXEOと同じ2.4GHzの電波を使っているため、Bluetoothに比べ音質もCDクオリティで、Delayも少ないというメリットがあるのです。実際、私の「第二層のSW」は、Dirac Liveが対応できる範囲でのDelayの距離(20Mぐらい離れていると認識されている=汗)に収まっています。

 

「これと同じようなものを探して、AVプリ(出力側)とパワーアンプ(入力側)に応用して接続すれば!天井に電源はある(天窓の電動ブラインド用のタップから分岐)ので、パワーアンプもオーディオトランスミッターのレシーバーも電源は取れるはず!」と探したところ、ちゃんと今回は日本のAmazonにもありまして、速攻でポチったのが、1月の上旬。

 

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セミナー前に届いたのですが、さすがに仕事も残っていて時間が取れず、セミナー後、「春休み」(笑)に入って伊豆に来てから開封しました。これは「LR」として2ch送れるタイプなので、SW用(1ch)ではないようですが、私が今回TOPに設置したいSPSonetto I2台(ただし、Mono)なので、ステレオパワーアンプを使うのに2chの入出力があればSplitしなくていいので便利です。アンプは今、サラウンドバックのさらに後ろにAtmos映画用に置いてあるUL-6XEOに置き換えれば、そこに使っているSTA-9を回せると計算。

 

さて、いざ伊豆に来て早速やろうかと思ったのですが、XEO3の代わりに今、サランドバックとして使っているSonetto Iを乗っけるのはいいとして、じゃあ、Sonetto Iの後のサラウンドバックはどうなる?ってことにこちらに来てから気が付く始末・・・(まさかUL-6じゃあ、Sonus Completeという目的は果たせないし・・・完全にボケ始めているナ=泣)

 

実はこの秋にSonettoシリーズにG2が出て、私が揃えているSonettoシリーズが「旧モデル」になった時に、「在庫処分で安くなっているなら、サラウンドバックをSonetto Iから、同じブックシェルフ型のもう一回り大きなIIか、いっそフロア型のSonetto IIIに代えちゃおうかな?」(理由は後述)という、「ボーナスを前にした悪魔のささやき」が聞こえてきて(笑)、輸入代理店のノアさんに「まだ在庫ありますか?」と問い合わせたことがあるんです。

 

その時は、畏れ多くも(笑)社長の牧野さん(拙宅にお越しになったことがある)からわざわざメールをいただき、「IIIならありますよ」と。で、ダイナのSさんにお幾ら?と伺うとさすがに新品だしそこまでは安くはならなかった(汗)・・・で、「いやー、いくらなんでも、ダウンロード版のAuro-3Dソフト(=9.1ch)ではほとんど鳴らないSPにそこまでカネかけても・・・IIでいいんじゃ?せっかくAmator IIIの純正SPスタンドもあるし」などと迷っているうちに、年末の<師走>になりまして、多忙の中、すっかり忘れてしまっていました。

 

その時思い切ってIIIを買っていれば、今頃Iが余っていたはずなのですが、さすがに今ではもう「旧モデルの在庫品=新品」はないようです。

 

「じゃあ、程度のいい中古でもいいか」(私は素人なので<長期保証が付かない中古品>は買わない主義)とネットを検索するとIVIII(つまり一番小さいものと大きいもの)なら中古である程度出ているようですが、お目当てのIIIIIは見つからなかったんです。

 

「今回の伊豆滞在中には無理だな」と諦めムードになってふて寝をして、タブレットでダイナのHPを見ていたところ・・・ここは中古も扱っているのですが、普段は中古のページを見ないため、ぱっと見した時には「SonettoIIIII、ここもないなあ」と思って、他のサイトに移ろうとしたら仰向けで見ていたためか、手が滑ってどこかを押したらしく、そしたらダイナの中古の「裏サイト」(ウソです、単に「2ページ目」があって、そこに行くにはクリックをしなければいけないのが分からなかっただけ・・・笑)が出て、何と、あるではないですかIIが。

 

しかも、「店頭展示品」と書いてあるので、これはつまり、保証は買った日からまるまる1年付くはず!

 

翌日、開店を待って(笑)電話を入れて、まだ在庫ありというので、即決(牧野社長、すみません=笑)。信頼マークのダイナですから試聴もせず、「今、カード決済するから明日の朝、伊豆に届けて!」と(爆)。

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で、昨日の午前に届きまして(前の晩のうちにはしごを買っておいた!)。

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あとは大工的な苦労話も多々ありますがこれはオーディオとは関係ないのでパス。ということで、TOPXEO 3Sonetto ISurround Back: Sonetto ISonetto IIという、今回のSystem Upが完了しました。

 

Before

P

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After

P (トランスミッターもSTA-9も無事収まりました!)

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AVプリ→TOPXLRアウト→RCA変換→RCA into 2変換→オーディオトランスミッター(LR)→同レシーバー(LR)→STA-9Sonetto I2台)

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設置上の変更点は、前のXEOより横幅が広いので、レールの幅を広げたことと、前のXEOがリアバスレフだったのに対し、Sonetto Iはフロントバスレフなので、ウーファーの下についているバスレフポートを塞がないように前よりかなりBox(梁)から離したこと。

 

ついでにSonettto IIIの記念写真(笑)

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ちなみに、今回交換した3台のカタログSpecは:

 

XEO 3:14センチウーファー  (リアバスレフ)  48Hz22kHz

Sonetto I15センチ (フロントバスレフ) 45Hz25kHz

Sonetto II16.5センチ (フロントバスレフ) 42Hz25kHz

 

うーん、最低域がきれいに3Hz刻み(笑)。たかが3Hzですが、この帯域における3Hzの差は、音質の差だけでなく、重量・大きさの差や金額の差(汗)に結構なることは、皆さまよくご存じの通り(笑)。

 

さて、まだ<慣らし>の最中でDirac Liveでのきちんとした「調整」をしていない段階なので、「音」がどう変わったかを断定的には言えませんが、いくつかの「決め」ソースをざっと聴いてみたところでは、1.オーケストラや合唱などで、やや「迫力」を増した(気がする=笑)、2.頭の後方上部あたりの音像がしっかりした(気がする=笑)、3.空間(特に天井感)が少し高くなった(気がする=笑)-程度で、駄耳には<激変>というほどではありません(汗=入交さんなら両者の「違い」に敏感だろうけど)。

 

ただ、今回のSystem Up、物理的に(?)改善された点が二つあるのは確かです。

 

一つは、TOPの最小再生音の閾値がなくなった、ということ。これはどういうことかというと、XEOはトランスミッターやSP内蔵のパワーアンプ部の保護のためか、入力が「無い」時にはSleep Modeに入るという機能が常に働く設定になっています。「無い」と書きましたが、これには電気的な「閾値」があるようで、例えば、Boleroの始まりの部分のような超ピアニッシモ(笑)の部分では、入力「無」と判定されてしまい、Activeになりません(つまり、TOPからは音がでていない状態)。これはOwnerは前から気になっていたのですが、お客さんにはずっと「内緒」にしてました(笑)。

 

今回StormSTA-9との間をつなぐ無線装置はこのような「おせっかい」な機能は無く、ずっと電源が入りっぱなしなので、ちゃんと「超ピアニッシモ」の部分も、超微弱な音(LRではなく、TOPは元々相当音量が小さいのは皆さん、よくご存じですよね)が確実に出て、超弱音のホール音を演出してくれているはず(笑)です。

 

もう一つは、サラウンドバックのツイーターの位置が、Sonetto VIIIで構成されるLCRSLRより、少し上がった、という点です。

P(ツイーターの高さが10センチほど違う) 

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これは先日のセミナーでも入交さんが少し言及されていましたが、7.1.5.1のフルバージョンのAuro-3Dの正規の配置では、ATMOSのようなトップリア(Auro式の表現なら「サラウンドバックハイト」と言えるかな?)がありません。Auro配置では、真横にあるサラウンドSPの真上(=サラウンドハイト)が、第二層では「最後尾」となるわけです。つまり、耳の後ろの上の方には音源が無いのです。

 

しかし、特にClassicの生演奏を聴く方はよくお分かりのように、普通のClassicの演奏会場って、階段式の後ろ上がりですよね(例外で有名なのはウィーンのムジークフェラインかな。昔の記憶ではカーネギーホールも?)。ということは、Jazzはともかく、少なくともClassicでは我々がLive会場で体験する「後ろからの反射音」って、やや上方からだって意識してました?

 

つまり、Auro-3Dの13chでは、「耳より後ろ」からの音は、第一層のサラウンドバックLR<だけ>で担っているのです(11chシステムでは、サラウンドとサラウンドハイトの4台が「耳より後ろ」に置いている場合があるが、これはLRとの開き角が60度以上になるため「中抜け」リスクが高まるとして、入交さんは推奨していない配置)。もちろん、後方上部からの音の形成には、「耳の真上」にあるTOP(VOG)も分担しているのですが、あくまでもSBとの間で形成されるファントムであり、リアルのSPがあるフォーマットとの違いははっきりあります。ここがフルバージョンAuro-3Dの正規配置の「数少ない」?弱点で、先日もWOWOWのセミナーで同じソースを22.2chと切り替えたときに気づいた方もおられるかもしれませんが、22.2chとAuro-3Dで一番差が出るのは実はココなんです。

 

この欠点を解消する方便の一つとして、入交さんは、「第一層はツイーターの高さを耳の位置に揃える、というのがマニュアル的ではあるが、実は、サラウンドバックだけは少し高めでも(の方が?)良い」と常々おっしゃっているんです。実際、WOWOWのあのスタジオも、サラウンドバックSPの設置位置が階段席の上方にあることもあり、ツイーターの高さは他の第一層のSP群よりある程度高い場所にあるのに気が付きましたでしょうか?

 

だから私は今回、この効果を狙ってSonetto IIIIIを探していたんです。Iだとまだちょっと低くて効果が薄いかな、と思って。拙宅のサラウンドバックSPTAOCのキャスター付きのSP台の上になるので、フロア型でもSPスタンドでも、通常設置状態より20センチぐらい高くなるため、狙い通り、今回、サラウンドバックのツイーターの位置を「耳より10センチ近く」高くすることができました。

 

先ほど書いた、「今回の変更にともなう、音の変化」は、多分にこれら二つの「物理的な改善?」も貢献していると思います。

 

もちろん、今回の苦労の最大のメリットは、「心理的な改善」であることは言うまでもありません(笑)。

 

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(醜いモールが見えない壁は、やはり美しい!)

 

かつて、グランドスラムさんに、「My電柱の効果は?」と尋ねたところ、「オーディオルームを作った時からだからBeforeと比べられないので効果は分からない。ただ、電源に関しては<これ以上はない>という安心感はある」とおっしゃっておられましたが、私も今、同じ思いです。

 

これで、Auro-3Dで再生するシステムにおける13chのツイーターが全く同じもの(Sonus FaberのSonettoシリーズVIII×5、II×4、I×5) になり(拙宅では、TOPは2台パラレルで使用しているので、台数的には14台) 、少なくとも「音色の統一」度合いに於いては、<これ以上は(ほぼ)ない>という、安心感というか達成感(脳内ドヤ顔=爆)。

 

今は、ムッチャ、いい気分!!!でAuro-3Dの音楽を聴けています。 これで4月から心置きなく、日本を離れられる!(離れたくなくなる?=笑)

 

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追記(2月15日)

 

これは、単独記事にするほどでもない、「一部マニア向け」の内容なのですが、当方としては備忘録にしておきたい(何をしたか、書いて残しておかないとすぐ忘れてしまう・・・)内容なので、「追記」とします。

 

今回、「ハード的な変更」をした点をこの記事で書いたのですが、それだけで<完了>するほど、私の現行システムは単純なものではなくなっています(汗)。これだけ特性の異なるSPを入れ替えれば、当然、Dirac Liveもやり直さなければ、f特も、音圧も、位相も、狂った状態で聴く羽目になります。

 

「やり直す」と書くのは簡単ですが、拙宅の場合、まずSP数が23台あり、これらのSPで構成される、Auro-3D、音楽用ATMOS、映画用ATMOSはすべて使用するSPの位置や台数が異なるので、これらのフォーマット別に<イチイチ>(笑)Dirac Liveのキャリブレーションをしなければなりません。しかも、拙宅の「ウリ」の一つである、Dirac LiveのARTを設定するには「測定箇所を減らす簡易版」を許さない(汗)ので、やるとなったら1台1台、Sweep音を聴き終わってマイクを何度も移動する、というBoringな作業が半日は続くんです・・・

 

で、今回、「どうせ測定をやり直さなければならないなら」と、以前、チャンデバ調整をした際に、この道の大先輩である、ご近所のMyuさんに、「クロスオーバー周波数、減衰特性、ゲインは調整されたとありますが、タイムアライメントの状態を確認して欲しかった」とのコメントをいただいたのですが、これに関する「実験」をしてみようと。これ、素人の私はその「真意」が汲み取れず、その後直接お会いした時に教えを請うと、ナント!、f特って、Delay値を変更しても変わるものなのだとか!

 

このロジックは、2Way以上のSPで出音が「重なっている」周波数帯に影響があることなのですが、この二つのユニットの出音のタイミングによっては、この重なり部分の周波数(=音)が、相互に高めあったり、逆に弱めあったりすることが起きるということ(=定在波の節と腹の原理)。ゆえにこのユニット間の出音のタイミング(=Delay値)を調整すると、f特が変わるというんです。

 

実際にはこの方法でf特をいじるのは恐らく「邪道」で、まず、タイムアライメントを合わせてから(=出音のタイミングを同じにする)、他の手段を使ってf特を調整するのが「王道」のはずです。

 

しかし、今回、私がやってみたのは、タイムアライメントを合わせるのではなく(汗)、Delay値を変えることによってf特がどの程度変わるかを実験してみたいという知的好奇心からの所業です(Tomyさんに入れ知恵していただきました笑)。

 

さて、前置きが長くなりましたが、結果を以下に示します(このグラフは、私が測定したデータを見やすいようにMyuさんが加工してくれたものです)。

P

Auro3d-before-and-after_20250213202158

青がBefore、赤がAfterです。Afterでやったことは、1.MidのDelay値を11㎳から15㎳に増やす、2.Highの音圧を3㏈下げる―です。

 

「邪道」は重々承知ですが(Delay値を動かしすぎ=笑)、かなりf特の直線性は変化しました(だからと言って、音が良くなったとは限らない=汗)。理論(机上の知識)が実証でき、私の知的好奇心は満たされました(笑)。その後、これをベースにDirac Liveで補正をしたので、正確なタイムアライメント調整については、「そっちでやってくれているだろう」と、大船に乗った気分で(爆)、音楽を聴いています。さて?肝心の音質の変化については、月末にお客さんを予定しているので、「第三者委員会」(笑)の評価を待ちましょう!

 

再追記(2月20日)

コメント欄でTomyさんに指摘された通り、前回の調整はDelay時間(ミリセコンド=ms)をいじったので、距離に換算するとメートル単位で動かしたことになっていました(汗)。このまま晒しておくのもあまりにおかしいデータなので(笑)、今度は、距離(ミリメートル=mm)単位で調整してみました。1ミリ単位でMidを動かしてf特を測定したところ、スコーカーから7ミリツイーターを出す(LPに近づける)ときが最もf特が改善されました(以下)。

 

ただし、私はいい加減な人間なので、マイクとSPとの距離も、高さも適当なので、前回の結果との厳密な比較の対称性は取れていません(汗)。単に、カーブの変化状況だけに注目してください(笑)。クロスオーバー(3.5Khz)付近のDipが改善されていますが、200Hz付近のDipは変わらずですね(前回、ここが改善されたのは、やはり距離換算で「1メートル以上」スコーカーを動かしたからのようです=200Hzの波長は約1.7メートル=汗)。出音も、今回は結構はっきりと変わりました。少し、もやが晴れて鮮度が上がった気がします。チャンデバいじりは面白いですね!音響とか、マルチWay SPの仕組みなどに対して、ものすごく勉強になります。

 

Delay

 

 

 

 

2025年2月 4日 (火)

日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まる?(笑)

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(写真はX1おやじさん提供)

 

先にご案内しました、「直伝 イマーシブ・オーディオ再生技法」セミナーは、2月2日(日曜日)、3日(月曜日)の二日間、WOWOWのスタジオで開催され、無事終了いたしました。

 
詳細につきましては、友の会のDonguriさんがすでに詳細なご報告をネット上にUPしてくれておられます。またFacebookの「イマーシブオーディオ同好会」のグループでも、友の会のグランドスラムさんがご報告をされております。どちらもリンクを張っておきますので、ご覧ください。

 

入交さんと二人で昨年末から企画を練っていたにもかかわらず(汗)、残念ながら初日は仕事でセミナーには参加できなかったのですが終了後の懇親会には参加、二日目はセミナーの司会を務め、懇親会でもしっかり「司会」を務めさせていただきました(笑)。

 

どちらの日程も定員の25名がすぐに満員になる盛況ぶりで、やはりストリーミングでイマーシブオーディオ配信が始まったことで、エンドユーザーも業界の方々もにわかに関心が高まっているということを実感し、Auro-3D友の会の面々は「ようやく時代が我々に追いついてきたか!=笑」と大喜び?で準備を頑張りました!

 

今回は特に、業界関係者の方々の参加が目立ち、オーディオメーカーからはSonyとFostex、オーディオショップからは、ダイナミックオーディオ、SISオーディオ、オリオスペック、AURAS、サウンドラインモノリス、ハイファイ堂、マイクロファラッドからのご参加がありました。その他に音楽業界からは東京芸大(バイオリニスト)と新国立劇場から、さらに、オーディオマスコミ関連ではステレオサウンド、音元出版からのご参加がありました。また、オーディオ評論家の麻倉先生、山之内先生、土方先生のお三方には、ご参加いただいただけでなく、セミナーの進行に於いて司会やコメントを頂戴いたしました。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。

 

今回は、これまで何度か伊豆の家をお互いに行き来してご助言をいただいてきた入交さんが年度末でWOWOWを離れて独立されるため、友の会としてはWOWOWにおける最後の入交さんとの共同イベントになりました。

 

今回のセミナーがここまでの盛況となったのは、我々の努力もさることながら、入交さんという、「イマーシブオーディオ界のBig Name」あってのことです。

 

今回のセミナーが、「日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まった!」と後世になって語られるべく(笑)、我々友の会としても、今後の入交さんの益々のご活躍をサポートしつつAuro-3Dの良さを広く知らしめるよう、努力していきたいと思っております!!!

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