Eversolo DMP-A6 Master Edition VS Roon Bridge
私の「師走」は山を越えまして(笑)、伊豆に来ています。
実は、かなり前から、「忙中閑あり」が見込まれるこのタイミングに合わせて、いつもお世話になっているダイナの島さんに、Eversolo DMP-A6 Master Edition(以下、A6)の試聴機を予約して、送ってもらったのです。
これはいわゆる、「ミュージックストリーマー」?とか言われる、ネットオーディオ時代の到来とともにスタンダードになりつつあるソース機器で、インターネットやLANにあるデジタル音楽ソースを再生する専用機。
はっきり言ってこの手の機器は今や各メーカーから出ているが、私がこれに注目した理由は言うまでもなく、「もしかして、Auro-3Dファイルが再生できるんじゃない、コレ?」ということ。
これは、HDMI出力があり、それ自体は今や珍しくもないのだが、その殆どがARC用で、要するにテレビの音をちょっといいDAC経由でアンプに出力して、外部スピーカーで多少いい音でテレビを楽しみたいというニーズ用のものばかり。
でも我々「友の会」的には(笑)、HDMI出力と言ったら、「マルチ、5.1ch、7.1chでデジタルアウトさせて、それをAVアンプに入れてAuro-3Dデコードさせて、9.1chや11.1chで楽しむためのもの!」、これしか無いですよね(笑)。
しかし、この「マルチ出力」に対応するHDMI端子を備える「ネットワークプレーヤー」って、現状、ほとんど存在しない。ダウンロード購入したAuro-3Dファイルを、NASに入れて、それを吸い出してAVアンプでAuro-3Dとして正しくデコードさせるには、私の現在の環境では1.OPPO-205を使う 2.Roonを利用し、HDMI端子のあるPCをRoon Bridgeにする―の二通りしか無い。
前者は、最近、動作が不安定な時があって、都度再起動したりするのだが、すでに絶版で修理も受け付けていないので、この先が不安・・・ゆえに、1年ほど前からTomyさんなどのご指導を受けてAuro-3Dのファイル再生は、Roon Bridge経由を今はメインにしている(実は、音もこちらの方が良い)。
ただ、音楽を聴くたびにPCを立ち上げる(しかも、Roon CoreのPCを含めて2台も・・・)のが、どうにも「優雅」じゃないのが、貴族趣味(笑)のワタシはずっと気になっていて、この解決法として、Roon Nucleus というハードを導入すればいいことは私なりに研究して(笑)わかっているのだが、その最新型のTitanというのが、いつまで経っても日本では出ないし、円安もあって、並行輸入してもかなりお高い(しかも「保証」がつかない=汗)。
そんな中、これ、実は、Master Editionが出る前のA6の時代に、TIASで「展示」(私が行ったときは再生していなかった)されているのを見て、「これ、HDMI出力があるようだけど、マルチで出せるの?」とダメ元で説明の輸入代理店の方に伺うと、「YES」と言うじゃないですか!
「じゃあ、Auro-3Dにデコードもできますか?」と畳み掛けると、
「それ、何ですか?」・・・(泣)
輸入代理店では全く検証もしていないことがわかり、一瞬にして冷めて一時忘却の彼方にあったのですが(笑)、この夏に、Master Editionというクロック?をUpdateした上位機が出るという情報が。
残念ながらこの記事にも、「5.1ch再生ができる」とは書いてあるものの、Auro-3Dファイルが正しく展開できるかどうかは書いてない(マイナーだからなあ・・・)。
理論的には、5.1chがビットパーフェクトで出力できるなら、AVアンプ側で9.1chにデコードできる<はず>なのだが、こればかりは相性問題などもあり、いままで何度も痛い思いをしてきた(汗)。
「誰か、人柱になってくれないかなあ」と待つこと4ヶ月。
この間、オーディオ評論家や『価格コム』などのネット上の情報はすべてこの機器の2chアナログ出力の音質を云々するものばかり・・・
そうこうしているうちに、書斎の古いMarantzのユニバーサルプレーヤーとRoon Bridge用の古いPCの動作がほぼ同時期に怪しくなってきて(汗)、書斎でもAuro-3Dを聴ける環境を維持するために、1.書斎にOPPO-205を移動し、伊豆に新しいユニバーサルプレーヤーを入れる 2.伊豆にA6を導入し、伊豆で使っているRoon Bridge用PCを書斎に移動する―の2択状況になってきた。
この場合の判断基準は、やはりオーオタとしては、最後は「使い勝手」よりも「音質」ですよね!つまり、A6とRoon Bridgeのどっちが音がいいのかを試して(まあ、その前にそもそもA6でAuro-3Dが再生できるかが先だが!)、A6の方が音が良ければ、2の選択に、Roon Bridgeの方が音が良ければ1の選択にしようと心に決めまして。
で、お借りしたんですよ、A6Master Editionを。
いつものことながら前置きが長くなりましたが(笑)、以下に比較試聴結果を。
その前に、そもそもこのA6でAuro-3Dファイルが正しくAVアンプに送れるのか、ですが、結論を先に言えばOKです!
ただし、ちょっと設定に工夫がいります。このA6はマニュアルが無いので(Onlineはあるけど、元々見ないタイプ=笑)、若干苦労しました。後に続く方のために、ツボをご紹介します。
P LANケーブルを繋げば、すぐにRoonからは見えるが・・・
まず、このA6は、デフォルトだとOutputがアナログ2ch(XLR/RCA)にしか出ない!普通は、アナログとデジタルの両方から出力してますよね?(この機器は排他利用になっているようです) だから、LANとHDMIケーブルを繋いでRoonから操作しただけだと、いつまで待っても音が出ません(汗)。「ソース」の中の「出力ポート」(入力ではない!)という画面で、「HDMI」を選ぶ必要があります。
P
次に、デフォルトだと「HDMI出力」のPCMオーディオのところが「Auto」になってますが、ここは「マルチチャンネル」にしておいたほうがいいです。AutoだとAVアンプ側とのネゴシエーションに失敗する事があるからです。
P
最後に、ここが見逃しやすいのですが、5.1ch出力が「ビットパーフェクト」でないとAVアンプ側でAuro-3DにUnfoldができません。この「ビットパーフェクト」の要件は色々ありますが、この機種で肝心なのは、ボリューム。これを右一杯に回す、つまり100%出力=0dBのReduceにしておかないと、「ビットパーフェクト」にならないので、ただの5.1chになってしまいます。再生ソフトにRoonを使う場合は、Volume ControlをFixedにすれば、A6のボリューム位置は無視できますが。
これでOK。
さて、今回の比較に使用した機器は、Eversolo DMP-A6 Master Edition VS Roon Bridge(Windows)+ Roon Core (Mac :M1)
書斎 Denon 3800H HDMIケーブル:FIBBR King-A Bridge PC: AMD
伊豆 Storm ISP MK2 HDMIケーブル:FIBBR King-A Bridge PC: Intel
P 今回使用した光HDMIケーブル。Tomyさんに推薦していただいたもので、とても気に入ったので、追加購入し、現在は3本ある(笑)
念の為、書斎と伊豆の両方のシステムで、比較しました。全体に、A6の方が、2dBほど音量が大きいので、試聴の際はボリュームを調整しました。
以下はすべてAuro-3Dのダウンロード音楽ファイルです。
・・・・・・・
リスト ピアノソナタ 最初の低域の音の深み 高音部のフォルテの強さでBridgeが勝る
Pax 最初のViolinの「強打」奏法のPulsiveな音の凄みでBridgeが勝る
ストラビンスキー 『イタリア組曲』 立体感 味わい深さでBridgeが勝る
『四季』の「冬」 凄み 奥行き感でBridgeが勝る
シューベルト 「菩提樹」 A6の方がハイ上がり ボーカルが前に押し出される Bridgeの方がバリトンの声質が魅力的に聴こえる
名倉 マリンバ 空間感 倍音・残響音の深みでBridgeが勝る 伊豆だと、A6の方が高域の残響音が目立つ(やや過剰?)
ピアノ・ソロ Live ホール感でBridgeが勝る A6はオンマイク録音?のように聴こえ、ピアノが近い
ビオラ・ダ・ガンバ 重厚さでBridgeが勝る
・・・・・・
ということで、伊豆のシステムでも書斎のシステムでも、Roon Bridge経由の音が私の駄耳によれば圧倒! A6は全体的に腰高で、平面的。もしかするとJazzやPopsでシンバルの音が好き、という方ならA6に軍配を上げるかもしれないけど、そのようなAuro-3DのNative ダウンロードソースってあります?BDなら少しはあるみたいですが、現状、ほぼClassicかと。
正直言って勝ち負け入り乱れる感じだったら、「華麗な使い勝手」のA6を導入しようと思っていたのですが、ここまで差があると今回はパスです(実は、今回の試聴の際に、EversoloのHPを改めてみたら、UHD8000とかいう上位機種らしき新製品を発見!これもマルチOutができるらしいので、せっかくならこっちも取り寄せたかった・・・またの機会に)。
また、とても重要なことですが、このA6のマルチ出力は、5.1chどまり。つまり、7.1chソースはサラウンドバックの2chの音がカットされてしまうのです(失われた音楽データをA6がどう処理しているかは不明だが、私の聴感では情報が失われているように聴こえた)。今回の試聴ソースでは2番目のPaxがそれで、伊豆のフルシステムでは、Bridgeだとサラウンドバックから音が出ますが、A6だとそこに音が振られてないので、出ません。
P A6によるPAXの再生。上部Inputsの7,8番 LB、RBに入力が全く無いのがわかる。ゆえに下部Outputsの12,13番に出力がない(Bridge再生の場合は、この2chにも入出力がある)。
これは第一層に7chを用意しているAuro-3Dファンにとっては致命的で、確かに現状はほとんどのAuro-3Dダウンロードファイルは5.1ch→9.1chではあるものの、今後恐らく7.1ch→11.1chソフトが増えるであろう(Hopefully!)ことを考えれば、さすがにA6は選択から外れますよね(汗)。
【念押ししますが、この機器には非常に多くのInputsとOutputsの機能があり、この中で私が今回検証したのは、Roon ReadyのInput、HDMIマルチのOutputだけです。ほとんどの雑誌やネット上の「激賞」(笑)は、本機のDACを経由したアナログOutの音だと思います】
ということで、結局、OPPO-205を書斎に移動させることとし、後釜にMAGNETARのUDP800を注文します(流石に試聴機を借りといて何も買わない、のは気が引けるし=笑。ただ、ユニバーサルプレーヤーは絶滅危惧種でまともなライバル機種が残念ながら全くないので、試聴もせず・・・900は私にとって全く不要なDACにカネをかけているので、HDMI出力しか使わない私の用途にはあまりに非合理的)。これもまた「人柱」情報が少ない機種ですが(Sさんによると上位機の900ともども、そこそこ売れているらしいが、情報を出さないタイプの人が買ってるんだろうなあ・・・)、届いたらまたいずれご報告しますので、お楽しみに(笑)。
【おまけ】
この機器の個人的なもう一つの興味は、これまで「Apple TV 4K」の専用機器でしか再生できなかった、Apple ATMOSをこれを使えばちゃんとATMOSとして再生できるか?だったので、一応Tryしましたが、残念ながら「説明書をちゃんと読まないワタシ」(爆)では、操作が複雑でApple Musicにまでたどり着けませんでした(汗)。もしこれを購入したのであれば、真剣に取り組むとは思いますが、主目的のAuro-3Dの再生でパスという判断になったので、これ以上これに時間を費やす価値を見いだせず(私はオーディオ評論家ではないので=笑)。
まあ、原理的にApple Musicが提供しているATMOSは所詮圧縮音源で、普段は自宅リビングに置いてある「Apple TV 4K」の専用機器を伊豆のシステムで再生してみたことはあるのですが、どう聴いても音質が(泣)。「とにかく音に囲まれたい。ATMOSならなんでもいい」というニーズの方はともかく、ちょっといいシステムを使っていてバイオリンやピアノなどに真剣に耳を澄ませば「本物の」BDのATMOSとの音質差は歴然なので、こちらは、無圧縮のATMOS音楽配信が始まったら対応機器の購入を真剣に検討したいと思っています。
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