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2024年12月

2024年12月26日 (木)

今年の仕上げ3連発―Magnetar導入、チャンデバ調整(またまた・・・)&Amator III再配置(その3)

Amator III再配置】

 

これは、このブログの主旨からは外れている、2chのお話ですが、前回、伊豆の<Auro-3D特化>がますます進むに連れ(笑)、はみ出しもの扱いされていくAmator IIIOctaveチームに関し、ちらっと「憐憫の情」(笑)を吐露したら、X1さん、Siltechさんのお二人から応援の(笑)レスが付きまして、「やっぱり、Traditionalなオーオタは、2chへの興味は強いんだなあ」と改めて認識した次第。

 

そこで、「その後どうなった?」を気にしている方も少なくない(?)カモ(笑)と、続報をば。

 

先に、Auro-3Dの文法から見て「正しい位置」にサラウンドバックを置くには、「移動可能なTAOCのラック上」しか無く、その上を長らく占めていたAmator IIIにご退場いただいて、格落ちではありますが、「同一ツイーター」にこだわって、Sonetto Iに置き換えました。そのあおりで(汗)、Amator IIISonetto Iと入れ替えで、ATMOSのときにしか出番のない、リビングルーム(リスニングルーム?)最後端の、出窓に作り付けの棚の上に引っ越しを余儀なくされた、というところまでは書いたと思います。

 

しかし、しかしです。いくら大工さんに、「人が乗っても耐えられる」程の強度で造り付けてもらったとはいえ、所詮、棚は棚。オーディオラックのようなちゃんとした脚で支えられているわけではないため、よほどの小音量でない限り、やっぱりあそこではボンつくんですよねぇ・・・(Amator IIIに限らず、ブックシェルフのハイエンドは、低域再生能力に力を入れているので)

Img_0021_20241226083201

そこで、今回伊豆に来て、実は最初にやったのが(「3連発」の最後に書いてますが!)、このAmator IIIの再度の引っ越し先探し。伊豆の家中を見て回りました。X1さんオススメのベランダへと続く掃き出し窓を背にした位置は、確かにベスポジなんですが、どうしても<邪魔>(泣)。たとえキャスターを付けても片付ける場所がない・・・。だいたい、そこには、チャンデバ化されたSonettoVIIIをゴロゴロと移動させて2chとして聴くための「先約」があるし(汗)。

 

ということで、最終的にひねり出したのが、<寝室用にする>という手。なぜって、ここなら、寝る前に「必ず」使用するから。前にも書きましたが、リビングにAuro-3Dシステムと共存しているAmator IIIは、下手すると一ヶ月に一度も出番がない状態が続いていたのですが、寝室なら、寝る前に、ちょっとだけでも必ず火が入る(Octaveは真空管=笑)。

 

もちろん、先住として寝室には高校生の時に購入した、<どうしても捨てられない>CelestionUL-6が出窓のところに設置してあるんだけど、これを単純に入れ替えるとするとある意味、今以上にオーディオ的環境が悪い場所にAmator IIIを追い込むことになってしまう。ここは置き場所の剛性は高いのだけど、奥行きがないのだ。つまり、Amator IIIをほぼ、後ろの壁(窓)につける置き方になってしまう、リアバスレフなのに(泣)。

 

P 寝室の出窓のスペース。以前はここにUL-6を置いていた…(ドロンコーン型なので幸いバスレフポートがないため押し込めた)

Img_0044_20241226084001

そりゃ、オーオタ的には無いわな。ブックシェルフは、フロア型以上に、周りに空間を要求するのはちょっとオーディオをかじった人なら誰でも知っている、「常識」。

 

そこで「二晩」考えまして(汗)。案じた計が、「デスクトップオーディオにする」。実は寝室にも仕事道具の勉強机とPCモニターがあるのですが、これ、コロナの在宅勤務期間後は殆ど使ってない(汗)。まあ、別荘に来てまで仕事する人、普通いないでしょ?(笑)

 

で、模様替えも兼ねてこうなった

 

PImg_0030_20241226084201

 

デスクトップオーディオの最大の欠点はSPを机の一番奥に置かざるをえないこと。それだと机と壁の反射で、中低域がやはりダブつくのを知っている私は(学生時代、狭いアパートで散々Tryしましたから!)、今回はこの写真のように、机の「一番手前に」Amator IIIを置いた。こうすることで、SPの下に空間ができるため、低域が回り込む余地があり、しかも机の脚のほぼ真上にSPが来ることになって足元の剛性もかなり確保できるため、事実上、スタンド設置と同等の条件になるかと。その代わり、Workspaceはほとんど無くなったが・・・(まあ、最近あんまり勉強しないからいいや=笑)

 

そして、仕上げのテクニックは、ダイナの島さんに教えてもらった、「スパイク直挿し」。

 

これ、普通の方は、「スパイク受け」を使っていると思いますが、これを使うと結局スパイク受けが共振するので、「スパイクにした意味がほとんどない」。スパイクを使うというのは、振動源であるSPと、その台(フロア型なら床)の「接点を極小にして、振動を極力遮断するため」なのに、スパイク受けを使うとそれがまた共振源になる。

 

オーオタレベルだと既知のことではあるのですが、さわさりながら「直挿し」するばあい、受け側が木だったりすると、穴が開いて傷だらけになるわけで。フロア型SPをコンクリート打ちっぱなしの床の上に置くのではない限り、なかなか「胆力」の要る行為であるため()、殆どの方が、「わかっちゃいるけど、床を傷つけたり、スピーカーを傷つけるわけには・・・」となって止むなく「スパイク受け」を使っていますよね?

 

私は、AmatorIIIに付属してきたSPスタンドの脚のスパイクには「受け」を入れていません。豪胆にも(笑)、TAOCの台に「直挿し」です。その絶大な効果を経験済みですので、今回も「直挿し」にしましたよ。

 

実は非常にラッキーなことに、このAmator IIIって、底部が人工大理石だって知ってました?木製じゃないんですよ。

 

だから、「石ならスパイクも刺さらんだろう」(笑)ってことで、スパイクをSP台から上向きに置いて、その上にAmatorIIIを直に置いてみました(いつか中古で売りたいと考えている方は真似しないほうがいいです。小キズでも商品価値は落ちますから)。

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その効果はてきめんで、「これが本当にデスクトップオーディオの音?」と思うぐらい、我ながらボン付きの無い(少ない?)どころか、結構締まった低域再生にびっくりして、毎晩聴き惚れています(笑)。事実、テーブルに手をおいても、ほとんど振動を感じられないので、前の棚と違って、恐れていたテーブルの共振はほとんど無いようです。

 

ただ、Lが左の壁にものすごく近いので、極端な内振りにしています(これは、フウ先生のところの「カタツムリ」のセッティングを参考にした)。これにより、ある程度は壁の影響から逃れているようで、私の駄耳では、Lの音が極端に増幅されている感じはなく、ちゃんと定位は両SPの真ん中に来ています。

 

なお、ソース機器については、書斎で余ってた(汗)、MarantzSACD 30nOctaveのV70 Class Aと繋いでいます。30nは、Roon Readyなので、寝転がりながら、RoonTidalをタブレットで操作できるのがいいですね!(そのまま寝てしまうのが少々不安だが・・・) 一時真剣に検討したアナログレコード再生は、流石にいまだプレーヤーの置き場所が見つからない・・・(泣)

 

P) UL-6はATMOS&ART用にここで余生を送ってもらいます(笑)

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置き場所・置き方によってここまで再生音質が違うとは、改めてオーディオの奥深さを知ることになりましたが、これらはまだ設置したばかりなので、今後、数多いらっしゃる「2chの大家」のご助言を仰ぎつつ、さらに煮詰めていきたいと思っております!

 

ということで、皆さん、良いお年を!

 

今年の仕上げ3連発―Magnetar導入、チャンデバ調整(またまた・・・)&Amator III再配置(その2)

【チャンデバのまたまたの調整・・・】

 

シーズン中(笑)は伊豆に来ると行っても月にMax2回程度、しかもせいぜい一泊か二泊なので、こちらに来るとどうしても「お気に入りのAuro-3D音源」を中心に聴いてしまう。つまり、いつも同じような曲ばかり聴くことになるのだが(汗)、今回は冬休みモードに入ったため、夏休み以来の1週間以上の長期滞在をしているので、久しぶりに聴く音源がいくつかあったのですが、その中に、「えっ?」という音に違和感を感じるソフトが出てしまいまして(汗)。

 

それはGattiの『春の祭典』(Auro-3D9.0ch BD版)です。このアルバムはLiveで、最初に演奏されている『牧神』と次の『La Mer』の方は、伊豆に来るとよく聴く「定番」なのですが、最後に入っている『ハルサイ』の方は・・・。先の「フォッサマグナツアー」の課題曲に自ら選定しておいてなんですが(笑)、「オーディオ的に聞きどころが多い曲」であるのはわかりますが、「音楽」として聴く分には保守的な私にはちょっとアヴァンギャルドすぎて(汗)。

 

でも、今回はたっぷり聴く時間が取れたので、久しぶりにこのBDを最後まで聴いたのですが・・・

 

以前の設定で聴いたときの記憶(恐らく夏休み=汗)に比して、金管楽器に力がほとんど感じられない。これはMilesのトランペットを愛するJazzファンなら「なんじゃこれ?」というレベルかも・・・

 

「こりゃ、何かの特性が狂っているな」と、慌てて、Dirac Liveで測定・調整をしてみました。

 

P. DLが示したLCRの合成f特@LP

4000-dirac-live-f

一見して誰でもすぐわかるのが、3Khzを中心に大きなへこみがあるということ。これを、さすがに「BBC Dipでしょ」?とごまかすことはできまい()。どう見ても、Dipというよりは大きなPitかCraterかTrenchである()

 

なるほど、これが「金管の音に迫力がない」原因なのか、とデータ的にまずは納得。

 

前回、ツイーター用のアンプにSoulnoteA-0を導入した際にチャンデバ設定を調整し直したときは、 自分が一番好きな楽器である、ピアノとチェロを使い、最後の仕上げにボーカルソースを使って「自分の聴感だけ」で決めただけで、測定は一切しなかった(過去に測定したデータを参考にしたまで)。「f特を見ながら調整する」なんて、「自分の耳に自信がない人のすること」と思っていたからだ(ピアノのベテラン調律師はマイクとPCを持ちこまないですよね?=爆)。

 

しかし、「自分の耳」はやはり偏った音色が好きなんだな、と今回つくづく反省した(泣)。CO4000に引き上げたら、<ピアノの高域の残響音はきれいになったし、チェロとボーカルは魅力的になった>、と「私の耳」は判断したのだが、これは後付けで考えれば、3Khzに大きな穴が開いて、ピアノは恐らく基音を再生するMidと、倍音を再生するHigh(なぜか、10Khz近辺が持ち上がっているし)の役割分担が明確になったことの「メリット」が出た?(デメリットも必ずあるが、駄耳では気が付かなかっただけだろう)および、チェロとボーカルに関しては元々3Khzまでも音が出ていないソースなのだから、事実上LowMidによる2Wayスピーカーとしてのまとまりの良さという「メリット」が強調されたのではなかろうか。

 

こうした、「偏った、自分の好きな楽器の音」を追求しただけのセッティングは、そればかりを聴いている間はなんの疑念もなく楽しめていたが、今回、普段聴かないようなソースを再生してみて、その「デメリット」が露呈したということだ。

 

ということで、さすがにこのままでは次の「オフ会」では披露できない()。お客さんのすべてが必ずしもピアノ・チェロ・ボーカルだけが好きとは限らないからだ()

 

ということで、やむを得ず(汗)、チャンデバ設定の見直しをする羽目となり、今度は同じ轍を踏むまいと、きっちりREWによる測定を踏まえることにした。

 

ちなみに、ここで「そんなの、全部Dirac Liveに任せればいいじゃん」と発想する人は、トーシローです(=実はついこの前までのワタシではあるが=笑)。確かにDirac Liveをフルに適用すれば、f特の凸凹はかなり補正してくれる。このように:

 

P <CO:4000で、Dirac Live後にREWRchを測定したもの。この太い線が補正後のLPにおける実測値>

4000art_20241226075901

 

さすがDirac Live! きれいに3Khz付近の大穴を埋めている。でもこれは、「かなり無理をさせている」ので、この3Khz付近の歪み率が高くなってしまっている。「出しにくい音域を、無理に出させている」からであろう。

 

つまり、Dirac Liveは、可能な限り元のf特などのデータが良くなるように調整した後の、「最後の仕上げ」に使うべきなのだ!

 

ということで、まずはCO値を変えて測定してみたが、多少の変動はあるものの、どれも「大きな穴」が残ったままだった。

 

REWによるRch計測@LP(2.5M)-25dB

 

CO:4000 (Default

Mid:LPF:24 -10dB

High:HPF:48 -2dB

 

CO:3500

Mid:LPF:24 -10dB

High:HPF:48 -2dB

 

CO:3000

Mid:LPF:24 -10dB

High:HPF:48 -2dB

 

(以上、測定画像は割愛)

 

ただし、f特的には大きく変わらなくても、聴感上の音質は結構変わる。ゆえにここで一旦、「自分の耳」をもう一度信じて(笑)、これらCO値の違いによる音の違いを今回は「金管楽器」でチェック。最初に「気づき」を与えてくれた、「ハルサイ」は使うとしても、どうもこれをくり返し聴くのは個人的にはツライ(笑)。他に「金管楽器」といえば、Classic初心者のワタシ的には、Brucknerの交響曲しか思いつかない(古典派とロマン派ぐらいしか知らないので・・・)。ということで、8番も試聴用にした。

 

P.Img_2996_20241226081201

 

4000では金管楽器の高域に力強さが足りない、3000だとピアノの高域の澄んだ感じが損なわれる。3500が一番バランスが取れている。

 

ということで、ここから先は、CO3500に固定して、あとは「f特上の大穴を埋める」べく、スロープとユニット別のGainを調整してみる。

 

この後、「チャンデバ地獄」をたっぷり味わい(汗)、さまざまな試行錯誤をした(お陰でかなり経験値は上がった・・・)のだが、それを全部書くとキリがないし、チャンデバ弄ったことのない人には興味もないことだろうから(関心を持ってくれるのはMyuさんくらい?)、わかりやすい変化のあったものだけを紹介していく。

 

まず、「コペルニクス的転回」(笑)を見せたのが、スロープをHighMidで入れ替えてみた変化。つまり、DefaultではMidLPF24で、HighHPF48にしていたのだが、これを入れ替え、MidLPF48に、HighHPF24にしてみたのである(3500-1)。

 

3500-1

CO:3500

Mid:LPF:48 -10dB

High:HPF:24 -2dB

 

このアイデアを思いついたのは、各ユニットの周波数別の歪み率を調べていたときで、どうも、このSonettoのスコーカーは周波数が4000あたりより高くなると歪率が増えてくる(1%を超えてくる)。一方、このツイーターは比較的低めの周波数帯(2500あたり)でも歪み率が高くない(1%を大幅に下回る)。ということはMidのスロープを急峻にし、Highのスロープを緩やかにして繋いだほうが全体の歪み率が下がるのでは、と素人なりに発想したもの。

 

で、その結果のf特がこれ。

 

P: Before

3500_20241226080201

P: After

35001_20241226080201

 

不思議なことに(汗)、ほぼ3Khz近辺の大穴が消えている!!!歪み率を良くしようと思って弄ったスロープが、f特にも効くとは!まさに「瓢箪から駒」である(笑)。

 

気を良くして次のステップに進む。

 

今のままだと、10Khzあたりに大きな山ができており、全体的にかなり<High上がり>のf特になっている。御存知の通り、一般のメーカー製ハイエンドSPではやや<High下がり>に調整するのが、最近のトレンド。10Khzあたりに山があるのは、いわゆる「音の良い三つ山」と古典的に呼ばれるイコライザーを使って補正する際の有名なテクニックではあるが、いくらなんでもこれはチト山が高すぎる。

 

そこで今度は、MidHighの各ユニットのGainを以下のように変えて試してみた。

 

3500-2

CO:3500

Mid:LPF:48 -10dB

High:HPF:24 -7dB

 

3500-3

CO:3500

Mid:LPF:48 -7dB

High:HPF:24 -4dB

 

3500-4

CO:3500

Mid:LPF:48 -10dB

High:HPF:24 -4dB

 

各測定結果のグラフは割愛するが、この中で「f特1等賞」を取ったのはこれ。

 

P (3500-4

35004_20241226080801

特に中高域はなかなかでしょ?これ、イコライザーは何も使ってないのですよ。しかも2.5M離れたLPでの実測値であって、「無響室1M」という実験室の結果ではありません。これ、超ハイエンドのSPを持っている方のお宅にお邪魔して、LP地点で実測したものと比べてみても、かなりいい勝負をすると思います!

 

ここでさらにダメ押し的にDirac Live ART様のお出ましでございます(爆)。

 

P. (一番下の赤いラインがDirac Live ART全域適用後の、LPにおけるf特。紫は無補正。青は、ART150Hz以下だけに適用したもの)

3500art_20241226080801

 

流石だわ(笑)。Dirac Live10KHzあたりを均してくれるのは当然としても、やっぱり500Hzから下のフラットさは半端ではないです。普通のお宅なら、LPでは床や壁、天井の反射や家具などによる吸音、さらには定在波の影響でもっとむちゃくちゃ波打ってますよ。恐るべしART

 

P (これ、個人の部屋の2.5MLPでの測定で、スムージング1/6なのに、この低域のフラットさ!=分かる人には分かるARTの凄さ!)

3500art-6-octjpg_20241226080901

 

ただ、問題は、結局、「これで、音はいいの?」ですよね~(笑)

 

これはMyuさんのブログにもコメントしたのですが(偶然、彼も制作中の自作ハイエンドSPを測定した記事をUPしておられたので)、このデータを見てしまってから音を聴くと、どうしてもデータ的に優れている(つまりフラットに近い)もののほうが、<イイ音>に聴こえてしまうのが、聴覚も脳に支配されている人間のサガかと(笑)。

 

ただ、個人的には、Dirac Liveフル帯域適用(赤線)のセッティングより、低域にARTだけを効かせたもの(青線)のセッティングのほうが、「出音」がVividで好みではあります(データ的には前者のほうが圧倒的にフラットで優れているが)。

 

まあ、これからしばらくはこれで様々な音源を聴き込こんでみますが、もしかすると、「舌の根」ならぬ「耳の根」?も乾かぬうちに(笑)、また<問題ある音>を発見してしまい、「チャンデバ地獄」のループに陥るかもしれません・・・(笑)。取り敢えず言えることは、今聴いている「ハルサイ」は、自分史上ベスト(断言!)。ご関心のある人は年度内に是非聴きに来てください!

今年の仕上げ3連発―Magnetar導入、チャンデバ調整(またまた・・・)&Amator III再配置(その1)

Magnetar UDP800の導入】

 

まずは、お待ちかね(?)MagnetarUDP800です。

Img_0042_20241226135701

これを購入するかどうかについては、正直迷いました。理由は単純、「果たしてこの先、<ディスク>を再生する装置が必要であり続けるのか?」という疑問が拭えなかったからです。

 

言うまでもなく、時代の潮流はオーディオのみならず、映像すらダウンロードまたはストリーミングによる配信が中心になりそうな勢いです。現状では、少なくとも2chの世界ではほぼ「データ量」(=「音質」かどうかは議論の余地あり)的にはディスクは不要になっていると言い切ってもいいでしょう。

 

私は何度も書いているように映像は重視していないので、映画を見るだけならまあ、普通のUHD対応BDプレーヤーで十分なんです。映画は画質・音質より、Story重視派なので(笑)。

 

私がプレーヤー(あらゆる意味での再生機)に求めるものは音楽再生、しかもマルチチャンネルソースがHDMI出力できること。そうなると今世の中にあるマルチチャンネルソフトは、1.ストリーミング、2.ダウンロード、3.BD、4.SACD-multi(+DVD-Audio)―の4種類。この内、1はAuro-3Dは無いし(もうじき、という「オオカミ少年」状態が続いているが=汗)、ATMOSは圧縮版なので音質が論外(そもそも私はAuro-3D派)。2は最近増えてきて今後の主流になりそうだが、まだタイトル数が少ないし、未だAuro-3Dフルフォーマットの13.1chのファイルは売られていない。3はダウンロードでは入手できないソフトもあり、映画だと13.1chもあるので、そろそろ音楽でもフルフォーマット版が出そう?=期待! 4は、「これまでに制作された」作品数という点では、恐らく最も多く、Auro-Matic映えするLiveもかなりあって音質もいい。惜しむらくは5.1chということだが、Classicの場合は、これをHDMI出力でAVプリに入れてAuro-Maticにして13ch化して聴くと個人的には満足感大。

 

ただし、このうち、4だけは、これがHDMIでマルチ出力できるプレーヤー(私はアナログ出力は全く使わないので、900ではなく、800を選んだ)って、完全に「絶滅危惧種」。どうやら「アブナイ」(大汗)ことをやれば、これをファイル化できるという噂は聞いているが、職業柄その「アブナイ」橋は少なくとも(汗)、現役の間は絶対に渡れない。

 

レコード会社(?)によっては、SACD-MultiのソースをPCM化してダウンロード販売しているところもあるが、過去に遡ってすべてのSACDをファイル化してくれているわけではないし、そもそもDSDではなく、PCMにしている段階で音が変わっている。どちらのフォーマットの音が好みかは個々人だが、私はSACD-DSD派。

 

私が現在所有しているSACD-Multiのディスクは約200枚程度しか無いが、それでもこれらが「ただのコースター」(泣)になる日を早々に迎えたくはない。

 

となると、この「絶滅危惧種」であるSACD-Multiとそれを再生できるプレーヤーは、生存が確認されているうちに「サンクチュアリ」(笑)に保護してあげないと!(オーディオ環境保護派か?=爆)

 

ということで、手持ちのOPPO-205が健在なうちに、後釜(笑)として購入しました。これで少なくとも私が「現役」を退くまでは、SACD-MultiAuro-Maticで楽しめるメドが立ったと信じたい!

 

さて、音の印象(申し訳ないが、映像の品質については私は語る資格がないと強く自覚しているため割愛)について。

 

一言で感想を言えば、「それまでのOPPO-205に比してS/Nが上がり、全帯域で解像度が増した」。

 

ただし、これは実は、「新品」VS「中古品」の結果である可能性を排除できないのではないだろうか。

 

私は常々、オーディオ評論家なる人種が、「前モデルから格段の進化!」ってなことを書き殴っているのを見ると、あれは半分は商売だろうけど(笑)半分は「本当にそう聴こえている」と思っている。ただし、これはほぼ確実に、「旧モデルVS新モデル」をメーカーの試聴室でやっての感想であることに注意が必要だろう。つまり、この比較の対象になっている「前モデル」は、何年も前に作られ、これまで<試聴機>として使い回されてきたものなのだ。「旧モデルVS新モデル」の比較試聴は、常に「中古品VS新品」対決なのである。

 

言うまでもなく、あらゆる「機械」(これは電気製品でも電子製品でも)は、経年劣化する。さらに使用時間に応じて減価していく(この場合は値段だけでなく、性能価値も)。

 

私は基本的に古いオーディオ機器を買う趣味はない。基本、新品を買うが、中古品を買うときも「新古品=現行モデル」という類のものしか買わない。それは以前、Fostexのエンジニアが、「出荷したその日から、劣化は始まっています」と断言するのを聞いたからだけではない。実際に、ある超ロングランモデルで、<20年前に作られたもの>と<全く同じものだが作られたばかりのもの>を聴き比べた経験から言っている。同じものとは全く思えなかった。その経験から、20年前に100万円だったオーディオ機器が、現在10万円で売られているのは、その音質・品質が十分の一になっている、つまり「10万円の音になっている」ことを市場が正しく価値づけているからだと私は考えている。だからヴィンテージの<過去の超高級機>に、その「当時の価格なりの音質・品質的な価値」は見出さない。あくまでも「中古で入手した時の価格相応の音」であり、過去の100万円が中古で10万円で入手できるものは、現代の新製品の20万円のものより確実に「科学的に見た場合の音質(音色、ではない)」は劣るとこれまでの経験から考えている。ここにも「需要と供給のバランスで決まる価格は価値を示している」という、<神の見えざる手>が働いていると思うからだ(もちろん、劣化しているのは「工学的データ」だけで、「音質・音色」評価は主観的なものであるから、<個人差>はある。人によっては、古い車でダンパーがスカスカになったものの方が、「乗り心地が良い」という人がいるのと同じだ=笑)。

 

だから、本当に「旧モデルVS新モデル」対決をするのであれば、両方とも作られたばかりの新品(在庫品ではダメ)で勝負しないとFairではないはずだ。誰しも車を買い替えて新車に乗ると「静かになって乗り心地が良くなった」と<毎回思う>だろう。それって、買い替える前の車が、「新車だった頃」と比べてますかね?(笑)

 

ロジックが長くなったが(汗)、今回の800がこれまで聴いてきた205(約7年前に購入)に比して「良い音質」と聴こえるのは、単に「新品だから」という面があるのは科学者マインドを持つものとして否定できないと強調しておきたい。つまりそこまでの大差ではない、ということだ。しかし、このことは私をがっかりさせるものではない。今回の判断に際して、私にとって最も大事だったことは、「音質の向上」ではなく、「7年間稼働してきたOPPO-205と同等の製品」の<新品>を、2024年末時点で入手する(=少なくともこれから7年は楽しめるだろう・・・)、ということなのだから。

 

ただし一つ、明らかな両者の違いを書いておかねばならないことがある。この機種はOPPO-205にできたことができない部分が<少なくともDefaultのままでは>いくつかあるようなのだ。

 

まだ使い始めて間もないが、使い始めた時点で気がついたことは、1.ダウンロード購入してNASにあるAuro-3Dファイルが、この機器を通すとAVプリでAuro-3Dと認識されない 2.PCMBDに記録されたAuro-3Dファイルが、この機器を通すとAVプリでAuro-3Dと認識されない(DTSのものは大丈夫)―の2点。いずれも、OPPO-205ではできていたので、恐らく、内部的にビットパーフェクトでHDMI出力できていないのだと思われる。これについては、現在、輸入代理店のエミライがメーカー側に問い合わせているところ・・・

 ・・・とここまで書いた時点でエミライのサポートから有力な情報が!「ボリュームMAX(100)ならビットパーフェクト出力が可能」とのことで、リモコンでVolume100%にすると、1,2どちらもAuro-3D再生が可能になった。確かOPPO-205だと、出力は「Max状態でFix」がDefaultだったと思うが、800はHDMI出力を固定する設定が見当たらない。ゆえにいうまでもなく、今度リモコンを手に取るときに、Volumeボタンを少しでも押してしまったら、またAuro-3Dは再生不可になろう(汗)。接着剤で固定しておこうかな?(笑)

Img_0034

他にもいくつかDefault設定を変更すべき点があるが、エミライのサポートとは数回(汗)メールを交わし、恐らく時差のある本社との間に入って頑張ってくれた。そのお陰(?)で、この問題のノウハウは先方に知的蓄積ができただろうから、今後のサポートはスムースに行くだろう(まあ、こういう問い合わせは、極めてマイナーだとは思うが=笑)。

 

800は上位機の900とはこの点(HDMI出力およびNASのファイル再生)について「機能的な差はない」とエミライのサポートが明言しているので、他に差があるとすれば、電源部の差と、内部剛性の差だろう(繰り返すが、私はDACは使わないので、ここの差が本当は一番大きいようだが私には無意味)。このうち、個人的な経験では「電源部」は結構出音に差がつく点なので、900との差額(約20万円)が浮いたので、この際、この800専用にHondaの蓄電器を奢って「電源部の強化」をしてやろうと思っている(笑)。この蓄電器は今はStormAVプリだけに使っているが(出力は2ソケットあるが、2つの機器を同時につなぐとやはり音質が落ちる。恐らく、電源ケーブルを通じて相互のノイズが入るのだろう)、その威力は完全に実証済み(グランドスラムさん、Tomyさんも証人!)。蓄電器は停電のときにはLife Lineにもなるので、まあ、伊豆に2台置いても「いざというときに備えた」とも言い訳ができるのでいいだろうと(笑)。

 

FIBBRの光HDMIケーブルを「音声専用出力」とStorm ISP MK2との間に使い(なぜか、電源投入時にはNegotiationに失敗する事が多く、一度つなぎ直す必要があるが・・・)、年明けに専用蓄電器も届けば、「新品のピックアップとクロック」を通じてよりクリーンな音が楽しめると期待している。

 

2024年12月22日 (日)

『Mr. Big』のAuro-3D、正しく再生できていますか?


すでに入手されている方も少なくないとは思いますが、「何、それ?」という方のために(笑)。これは、以前、どこかにチラッと予告的に書いた気がするのですが、単独記事として見出しには取っていなかったようなので、改めてご紹介します。

 

まずは、Disk Unionのネット上の販売ページからの引用:

 

MR.BIG、 最後の武道館公演収録した映像商品と新作のスタジオ・アルバムがついに発売!

1989年デビュー以来、日本で愛され続けたロック・バンド”ミスター・ビッグ”。去年7月に惜しまれつつも、最後の日本ツアーを開催。往年のファンから若い層まで幅広いファンへ最後の勇姿を見せたバンドの映像商品と話題となっていた新作の発売がついに発表された。

9月6日に発売される『ザ・ビッグ・フィニッシュ・ライブ』は2023年7月26日に日本武道館で開催された追加公演最終日の模様を収録。バンドとして初のアルバム『リーン・イントゥ・イット』の全曲演奏に、恒例のバンドメンバーの楽器パート替え演奏、ビリー、ポールによる超絶ソロプレイ、そして伝説となったビリーの最後の挨拶と感動的なフィナーレを余すところなく収録した2時間半の長編映像となっている。ボーナス映像には伊藤政則氏による独占インタビュー、武道館公演の舞台裏などファンには堪らないコンテンツを収録予定。さらにバンドのライブ収録としては初のイマーシブ・オーディオ(3Dオーディオ)で録音。当時の臨場感を自宅で体感できる特殊音声をブルーレイに収めている。

(中略)

●武道館に多数のマイクを設置しバンド初のイマーシヴ・オーディオ録音を実現

※イマーシブ・オーディオはDolby ATMOSとAURO 3Dフォーマットで収録
●ステレオは96bit/24kHzの高音質音源を収録
●イマーシブ録音にはWOWOWの入交英雄氏が参加

(以下、略)

 

 

といことで我らが入交さんが手掛けた作品で、以前のBob Jamesとは違って(笑)、ちゃんと武道館で彼の指示でAuro-3D用のマイキングがされて収録されたもので、Rockの作品でAuro-3D録音になっているのは恐らくこれが世界初。

 

さて、これ、上記記事には、「96日に発売」とありますが、ちょっとトラブルが合ったそうで(入交氏談)、本国アメリカでの発売が11月にずれ込み、予約注文していた私の手元に届いたのは、11月末でした(汗)。

 

それにしてもそれから約1ヶ月も経過しているのに、なぜ今頃になって記事にするかと言うと(いつも、早いだけが取り柄なのに!)、このBD、ちょっと再生にトラブルが出やすいようなので、それをきっちり検証してから記事にしようと思ったからです。

 

このBDが届いた、11月下旬から12月中旬は、「季節労働者」の私にとって、1年で最も繁忙期で、毎年、伊豆に行く時間を取ることができません。書斎には一応、ボロですが(汗)Auro-3Dシステムは組んであるのですが、残念ながら2台あるBDプレーヤーが両方とも古く、UHD対応していないので、この『Mr. Big』は再生できなかったのです。

 

とはいえ、「まあ、3週間後に伊豆に行ってから聴けばいいや」とは思えないのが、Auro3D」のハンドルネームを名乗っている所以でもあるわけで(笑)。1日だけ時間が空いたある日、意を決して二階のリビングにある、シャープの4K対応録画機を取り外して、書斎のシステムに繋いでみたのでした(リビングのTVラックから出すのはおおごとになるので、連れ合いの冷たい視線が・・・汗)。

 

このSharpの機器は、4B-C20AT3 という型番のもので、4K放送が始まった頃に、4K対応テレビとともに購入したものなので、もう5,6年ほど前の製品です。HDD録画専用機ではなく、ディスク再生機能もあり一応UHD BD対応です。

 

ディスクを入れて、Topメニューで「Auro-3D」を選ぶと・・・

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あれれ、ソースがDTSとしてしか認識されず、5.1chソフト扱いになっちゃっている(汗)

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これはもしかしてソフトが不良品かな?と疑い、12月中旬に伊豆に行ったときに向こうのOPPO-205で確認するのを待とうという判断に。

 

で、1週間ほど前に伊豆のシステムでやってみたのですが、

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あっさり、Auro-3DとしてUnfoldされました。「DTS-HD MA」として認識され、96Khz11.1ch(7+4)として再生できました(一部、「13.1chで収録されている」、という情報が出回りましたが、あれは誤報です。制作された入交さん本人に確認しましたので!)。

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これでソフトは無罪確定。でも、「これまさか、AVアンプ側の問題じゃないよな?」という疑いは残ったので、わざわざ、OPPO-205を今度は書斎に持ち帰って、繋いでみましたよ(こういうところは、我ながら「科学者Mind」に呆れる・・・笑)。

 

すると、無事、書斎のDenon 3800HでもOPPO-205との接続なら、この『Mr. Big』がAuro-3Dとして認識され、再生できることがわかりました。

 

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ということで、このOPPO-205はこのまま書斎で使うこととし、伊豆にはMagnetar UDP800という、最新型のユニバーサルプレーヤーを導入(OPPO-205との音質比較など詳細は別項にて)。

 

こちらをISP MK2に繋いで『Mr. Big』 のディスクを挿入すると、「ロード中」と表示され読み込みにかなり時間がかかる(一度だけ、「データディスク」と認識されてしまった・・・)。

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ただ、無事、Auro-3D11.1chとして再生されました。

 

入交さんによると、このディスクは、「三層構造」で記録されているとかで、初期のUHDプレーヤーだと「二層」のUHDBDまでしか対応していないものもあるそうで(しかし、OPPO-205Sharpのものより古いはずなのに・・・)、その場合は「Auro-3D」としては再生することができないそうです。すでに発売元にも同様の報告がいくつか届いているそうですので、もし、このアルバムをAuro-3Dで楽しみたいとお考えの方は、ご自分の持っている再生機が「三層構造」のUHDBDに対応しているかを確認したほうがいいと思います。

 

最後に(笑)、『Mr. Big』の、伊豆のシステムで聴いた「Auro-3Dハイレゾサウンド」の感想ですが・・・まあ、武道館の雰囲気は出てますね。一応、エンジニアリングした入交さんがすこし遊び心を入れて、ギターの音を回すような、恐らくLiveの現場ではなかったかもしれない(?)、音響上のAuro-3Dらしい?演出をされていますので、そういう「いかにもイマーシブ」感(笑)を映像とともに楽しみたい方にはいいと思います。

 

ただ、映像をオフにして、LCR同一SPのセッティングでストイックに音質的にどうなの?と聴きこむと、PAを使った人工的な大音響が、武道館の中で鳴り響いているのを収録したのですから・・・会場の臨場感にはリアリティがあるものの、EギターやEベースには「Referenceとなる原音」がない(結局GアンプやPAスピーカーで音が変わる)ので、「音質」を語れるものがあるとすればオンマイクを仕掛けてあるドラムの音ぐらいでしょうか?(笑)

2024年12月15日 (日)

Eversolo DMP-A6 Master Edition VS Roon Bridge

私の「師走」は山を越えまして(笑)、伊豆に来ています。

 

実は、かなり前から、「忙中閑あり」が見込まれるこのタイミングに合わせて、いつもお世話になっているダイナの島さんに、Eversolo DMP-A6 Master Edition(以下、A6)の試聴機を予約して、送ってもらったのです。

 

これはいわゆる、「ミュージックストリーマー」?とか言われる、ネットオーディオ時代の到来とともにスタンダードになりつつあるソース機器で、インターネットやLANにあるデジタル音楽ソースを再生する専用機。

 

はっきり言ってこの手の機器は今や各メーカーから出ているが、私がこれに注目した理由は言うまでもなく、「もしかして、Auro-3Dファイルが再生できるんじゃない、コレ?」ということ。

 

これは、HDMI出力があり、それ自体は今や珍しくもないのだが、その殆どがARC用で、要するにテレビの音をちょっといいDAC経由でアンプに出力して、外部スピーカーで多少いい音でテレビを楽しみたいというニーズ用のものばかり。

 

でも我々「友の会」的には(笑)、HDMI出力と言ったら、「マルチ、5.1ch7.1chでデジタルアウトさせて、それをAVアンプに入れてAuro-3Dデコードさせて、9.1ch11.1chで楽しむためのもの!」、これしか無いですよね(笑)。

 

しかし、この「マルチ出力」に対応するHDMI端子を備える「ネットワークプレーヤー」って、現状、ほとんど存在しない。ダウンロード購入したAuro-3Dファイルを、NASに入れて、それを吸い出してAVアンプでAuro-3Dとして正しくデコードさせるには、私の現在の環境では1.OPPO-205を使う 2.Roonを利用し、HDMI端子のあるPCRoon Bridgeにする―の二通りしか無い。

 

前者は、最近、動作が不安定な時があって、都度再起動したりするのだが、すでに絶版で修理も受け付けていないので、この先が不安・・・ゆえに、1年ほど前からTomyさんなどのご指導を受けてAuro-3Dのファイル再生は、Roon Bridge経由を今はメインにしている(実は、音もこちらの方が良い)。

 

ただ、音楽を聴くたびにPCを立ち上げる(しかも、Roon CorePCを含めて2台も・・・)のが、どうにも「優雅」じゃないのが、貴族趣味(笑)のワタシはずっと気になっていて、この解決法として、Roon Nucleus というハードを導入すればいいことは私なりに研究して(笑)わかっているのだが、その最新型のTitanというのが、いつまで経っても日本では出ないし、円安もあって、並行輸入してもかなりお高い(しかも「保証」がつかない=汗)。

 

そんな中、これ、実は、Master Editionが出る前のA6の時代に、TIASで「展示」(私が行ったときは再生していなかった)されているのを見て、「これ、HDMI出力があるようだけど、マルチで出せるの?」とダメ元で説明の輸入代理店の方に伺うと、「YES」と言うじゃないですか!

 

「じゃあ、Auro-3Dにデコードもできますか?」と畳み掛けると、

 

「それ、何ですか?」・・・(泣)

 

 

輸入代理店では全く検証もしていないことがわかり、一瞬にして冷めて一時忘却の彼方にあったのですが(笑)、この夏に、Master Editionというクロック?をUpdateした上位機が出るという情報が。

 

残念ながらこの記事にも、「5.1ch再生ができる」とは書いてあるものの、Auro-3Dファイルが正しく展開できるかどうかは書いてない(マイナーだからなあ・・・)。

 

理論的には、5.1chがビットパーフェクトで出力できるなら、AVアンプ側で9.1chにデコードできる<はず>なのだが、こればかりは相性問題などもあり、いままで何度も痛い思いをしてきた(汗)。

 

「誰か、人柱になってくれないかなあ」と待つこと4ヶ月。

 

この間、オーディオ評論家や『価格コム』などのネット上の情報はすべてこの機器の2chアナログ出力の音質を云々するものばかり・・・

 

そうこうしているうちに、書斎の古いMarantzのユニバーサルプレーヤーとRoon Bridge用の古いPCの動作がほぼ同時期に怪しくなってきて(汗)、書斎でもAuro-3Dを聴ける環境を維持するために、1.書斎にOPPO-205を移動し、伊豆に新しいユニバーサルプレーヤーを入れる 2.伊豆にA6を導入し、伊豆で使っているRoon BridgePCを書斎に移動する―の2択状況になってきた。

 

この場合の判断基準は、やはりオーオタとしては、最後は「使い勝手」よりも「音質」ですよね!つまり、A6Roon Bridgeのどっちが音がいいのかを試して(まあ、その前にそもそもA6Auro-3Dが再生できるかが先だが!)、A6の方が音が良ければ、2の選択に、Roon Bridgeの方が音が良ければ1の選択にしようと心に決めまして。

 

で、お借りしたんですよ、A6Master Editionを。

 

 

いつものことながら前置きが長くなりましたが(笑)、以下に比較試聴結果を。

 

その前に、そもそもこのA6でAuro-3Dファイルが正しくAVアンプに送れるのか、ですが、結論を先に言えばOKです!

 

ただし、ちょっと設定に工夫がいります。このA6はマニュアルが無いので(Onlineはあるけど、元々見ないタイプ=笑)、若干苦労しました。後に続く方のために、ツボをご紹介します。

 

P LANケーブルを繋げば、すぐにRoonからは見えるが・・・

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まず、このA6は、デフォルトだとOutputがアナログ2chXLR/RCA)にしか出ない!普通は、アナログとデジタルの両方から出力してますよね?(この機器は排他利用になっているようです) だから、LANとHDMIケーブルを繋いでRoonから操作しただけだと、いつまで待っても音が出ません(汗)。「ソース」の中の「出力ポート」(入力ではない!)という画面で、「HDMI」を選ぶ必要があります。

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次に、デフォルトだと「HDMI出力」のPCMオーディオのところが「Auto」になってますが、ここは「マルチチャンネル」にしておいたほうがいいです。AutoだとAVアンプ側とのネゴシエーションに失敗する事があるからです。Img_0019_20241214211801

 

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最後に、ここが見逃しやすいのですが、5.1ch出力が「ビットパーフェクト」でないとAVアンプ側でAuro-3DにUnfoldができません。この「ビットパーフェクト」の要件は色々ありますが、この機種で肝心なのは、ボリューム。これを右一杯に回す、つまり100%出力=0dBReduceにしておかないと、「ビットパーフェクト」にならないので、ただの5.1chになってしまいます。再生ソフトにRoonを使う場合は、Volume ControlFixedにすれば、A6のボリューム位置は無視できますが。

 

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これでOK

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さて、今回の比較に使用した機器は、Eversolo DMP-A6 Master Edition VS Roon BridgeWindows)+ Roon Core Mac :M1

 

書斎 Denon 3800H HDMIケーブル:FIBBR King-A Bridge PC: AMD

伊豆 Storm ISP MK2 HDMIケーブル:FIBBR King-A Bridge PC: Intel

 

P 今回使用した光HDMIケーブル。Tomyさんに推薦していただいたもので、とても気に入ったので、追加購入し、現在は3本ある(笑)

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念の為、書斎と伊豆の両方のシステムで、比較しました。全体に、A6の方が、2dBほど音量が大きいので、試聴の際はボリュームを調整しました。

 

 

以下はすべてAuro-3Dのダウンロード音楽ファイルです。

 

・・・・・・・

リスト ピアノソナタ 最初の低域の音の深み 高音部のフォルテの強さでBridgeが勝る

 

Pax 最初のViolinの「強打」奏法のPulsiveな音の凄みでBridgeが勝る

 

ストラビンスキー 『イタリア組曲』 立体感 味わい深さでBridgeが勝る

 

『四季』の「冬」 凄み 奥行き感でBridgeが勝る

 

シューベルト 「菩提樹」 A6の方がハイ上がり ボーカルが前に押し出される Bridgeの方がバリトンの声質が魅力的に聴こえる

 

名倉 マリンバ 空間感 倍音・残響音の深みでBridgeが勝る 伊豆だと、A6の方が高域の残響音が目立つ(やや過剰?)

 

ピアノ・ソロ Live ホール感でBridgeが勝る A6はオンマイク録音?のように聴こえ、ピアノが近い

 

ビオラ・ダ・ガンバ 重厚さでBridgeが勝る

・・・・・・

 

ということで、伊豆のシステムでも書斎のシステムでも、Roon Bridge経由の音が私の駄耳によれば圧倒! A6は全体的に腰高で、平面的。もしかするとJazzPopsでシンバルの音が好き、という方ならA6に軍配を上げるかもしれないけど、そのようなAuro-3DNative ダウンロードソースってあります?BDなら少しはあるみたいですが、現状、ほぼClassicかと。

 

正直言って勝ち負け入り乱れる感じだったら、「華麗な使い勝手」のA6を導入しようと思っていたのですが、ここまで差があると今回はパスです(実は、今回の試聴の際に、EversoloHPを改めてみたら、UHD8000とかいう上位機種らしき新製品を発見!これもマルチOutができるらしいので、せっかくならこっちも取り寄せたかった・・・またの機会に)。

 

また、とても重要なことですが、このA6のマルチ出力は、5.1chどまり。つまり、7.1chソースはサラウンドバックの2chの音がカットされてしまうのです(失われた音楽データをA6がどう処理しているかは不明だが、私の聴感では情報が失われているように聴こえた)。今回の試聴ソースでは2番目のPaxがそれで、伊豆のフルシステムでは、Bridgeだとサラウンドバックから音が出ますが、A6だとそこに音が振られてないので、出ません。

 

 

P A6によるPAXの再生。上部Inputs7,8番 LBRBに入力が全く無いのがわかる。ゆえに下部Outputs12,13番に出力がない(Bridge再生の場合は、この2chにも入出力がある)。 20241214-234106

 

 

これは第一層に7chを用意しているAuro-3Dファンにとっては致命的で、確かに現状はほとんどのAuro-3Dダウンロードファイルは5.1ch9.1chではあるものの、今後恐らく7.1ch11.1chソフトが増えるであろう(Hopefully!)ことを考えれば、さすがにA6は選択から外れますよね(汗)。

 

【念押ししますが、この機器には非常に多くのInputsとOutputsの機能があり、この中で私が今回検証したのは、Roon ReadyのInput、HDMIマルチのOutputだけです。ほとんどの雑誌やネット上の「激賞」(笑)は、本機のDACを経由したアナログOutの音だと思います】

 

ということで、結局、OPPO-205を書斎に移動させることとし、後釜にMAGNETARUDP800を注文します(流石に試聴機を借りといて何も買わない、のは気が引けるし=笑。ただ、ユニバーサルプレーヤーは絶滅危惧種でまともなライバル機種が残念ながら全くないので、試聴もせず・・・900は私にとって全く不要なDACにカネをかけているので、HDMI出力しか使わない私の用途にはあまりに非合理的)。これもまた「人柱」情報が少ない機種ですが(Sさんによると上位機の900ともども、そこそこ売れているらしいが、情報を出さないタイプの人が買ってるんだろうなあ・・・)、届いたらまたいずれご報告しますので、お楽しみに(笑)。

 

 

【おまけ】

 

この機器の個人的なもう一つの興味は、これまで「Apple TV 4K」の専用機器でしか再生できなかった、Apple ATMOSをこれを使えばちゃんとATMOSとして再生できるか?だったので、一応Tryしましたが、残念ながら「説明書をちゃんと読まないワタシ」(爆)では、操作が複雑でApple Musicにまでたどり着けませんでした(汗)。もしこれを購入したのであれば、真剣に取り組むとは思いますが、主目的のAuro-3Dの再生でパスという判断になったので、これ以上これに時間を費やす価値を見いだせず(私はオーディオ評論家ではないので=笑)。

 

まあ、原理的にApple Musicが提供しているATMOSは所詮圧縮音源で、普段は自宅リビングに置いてある「Apple TV 4K」の専用機器を伊豆のシステムで再生してみたことはあるのですが、どう聴いても音質が(泣)。「とにかく音に囲まれたい。ATMOSならなんでもいい」というニーズの方はともかく、ちょっといいシステムを使っていてバイオリンやピアノなどに真剣に耳を澄ませば「本物の」BDATMOSとの音質差は歴然なので、こちらは、無圧縮のATMOS音楽配信が始まったら対応機器の購入を真剣に検討したいと思っています。

 

2024年12月 9日 (月)

チャンデバ・マルチアンプ化の最後の仕上げ―というか、「何もしない」という判断(笑)

今回の記事は、はっきり言って、スピーカーとアンプとの関係の一面を理解したいという関心がない方にとっては、チャンデバ・マルチアンプに取り組んでいる人以外には役に立たず、それどころか理解もされない可能性すらあります(汗)。

 

にもかかわらずここに書くのは、自分のSPシステムに対し今後起こりうるかもしれない<悲劇>の可能性に対し自分なりの理解の上に<決断>をしたことを、頭がボケる前にマニフェスト的に明文化しておきたいからです。そして「自分の理解と判断の論理的プロセス」を言語化することで脳に固定したい。「なんとなくわかっているつもり」のことでも、文字化しようとするとできないのは、「本質的なレベルではわかっていないから」というのは、仕事の属性から日常的に経験しています(笑)。

 

今回はいつも以上に文章が長く(汗)、写真が少ないので(笑)、長い文章を読むのが脳に苦痛だと感じるという方は、ここから先に進むのはやめておいた方がいいです(爆)。ただ、最後の【おまけ】だけは読む価値あるかも?!

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さて、チャンデバシリーズの前回の記事で、「実はまだこれで「終わり」ではない。検討すべき事項がもう一つだけ残っている。続きは次稿」と書きました。これがその<続き>であり、本当の<終わり>になるはず!?

 

この、「検討すべき事項」とは、私はチャンデバ・マルチアンプに手を染めるホンの数か月前までは知らないことでしたが、チャンデバ・マルチアンプに取り組んでいる人の間では、完全な「常識」のようです。

 

この「常識」とは、「アンプをスピーカーユニットに<直結>する」と表現される、マルチアンプ化の作業過程で、文字通り「電線だけで直結」することのメリット・デメリットを検討し、その対策を最終判断することです。

 

ここから先は、私が今回の判断をするにあたって参考にさせていただいた多くの先達のご意見や、ネット上の様々な情報、さらにはメーカーに直接問い合わせていただいた回答などを自分なりに咀嚼してまとめたものです。繰り返しますが、私は社会科学が専門なので、音響工学・電気工学・電子工学などの分野には全く知識がないばかりか、どんなに丁寧に書いてある文字情報や絵解きや数式を見ても、また、諸先輩方がどんなに丁寧に説明をしてくださっても、<完璧な原理的な理解>には達してないことには自信があります(笑)。

 

ゆえに、私の理解が間違っていたり、書き方が不適当であったりする部分も十分あり得ますので、これをお読みになっておられる先達の方で間違いに気づかれましたら、遠慮なくご指摘いただけると助かります。

 

  • 「アンプをスピーカーユニットに<電線だけで直結>する」ことの、音質的なメリット・デメリットとは何か?

 

今回、既製品のSonetto VIIIの各スピーカーユニットを取り外し、個別に性能を測定し、それらをデジタルチャンデバを使って再構成する、という一連の作業を経て素人の私が大いに学んだことは、<各スピーカーユニットの性能は本来はバラバラである>ということです。単純に再生可能なf特だけでなく、能率も、歪率もです。そして、市販のマルチWayPassiveスピーカーは、これらを、内蔵の「ネットワーク」という装置で、各ユニットのf特や歪率の「おいしいところ」を取り出し、それを同じ音圧出力になるように調整している、ということです。

 

この「ネットワーク」に一般に使われている材料は、コイル、抵抗、コンデンサーが御三家のようです(それぞれがどのような役割をしているのかは、「にわか」の私が下手なことを書くより、ご関心がある方はご自分でググってください=笑)。

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で、この普通のPassiveスピーカーを、チャンデバ・マルチアンプ化するということは、これらの「御三家」をすべてすっ飛ばして、アンプと各スピーカーユニットを一対一の関係で「電線で直結」する、ということです。

 

これは私のやや得意とする自動車(工学というほどでもない、素人に毛が生えた知識・経験)とのアナロジーでいえば、「MT」と「AT」の違いに例えるとわかりやすいかと思います。車では(ただし、現代の電気自動車は違うかも???)、エンジンの回転を、タイヤを回転させる動力に使っているわけですが、MTはこの二つを単純化して言えば「直結」しているのに対し、ATは、この二つの回転の間に「流体」が入っています。

 

ここで「エンジン」を「アンプ」、「タイヤ」を「スピーカーユニット」、「流体」を「ネットワーク」に置き換えて例えることが大雑把には可能だと私は理解しています。

 

つまり、「直結」のメリットは、「MT」のメリットと似ています。損失が少なく、ダイレクト感があります。アンプ(エンジン)とスピーカーユニット(タイヤ)の性能がそのまま出ます。MTのクラッチ操作の楽しみは、チャンデバの調整の楽しみ(苦しみ?=汗)に例えられるでしょうか。

 

クルマ好きの方で、ATMTも乗ったことのある方であれば、こう例えれば、両者のそれぞれのメリット・デメリットは表裏の関係にあることをよくご存じでしょう。

 

つまり、ATはエンジン特性の荒々しさ・変動をうまくいなして、タイヤをスムースに動かす点でMTより優れています。「ATの乗り心地の方が滑らかで好きだ」という人は少なくないのと同様、Passiveスピーカーの方が、アンプの粗をうまくカバーし、各スピーカーユニットの固有の嫌な音を抑えて音を出しているように感じられて、こちらの音の方がいい意味で「角が取れた、大人の音」がすると私も強く思います。

 

しかも、クルマでもATの味付け(動作特性調整)でSportyにも、Gentleにもできるように、Passiveスピーカーでは、「ネットワーク」の<味付け>で、そのメーカーやエンジニアが狙った音質・音像・音場を出力できる性能に最終的に仕上げていて、これはハイエンドになればなるほど、ここに心血(時間とコスト)を注いでいることは明らかです。

 

ということは、このメーカー・エンジニアがそのスピーカーの特色を出すために心血を注いだ「ネットワーク」を外して、ユニット直結にしてしまうというチャンデバ・マルチアンプ化への改造は、単に「メーカー保証が受けられなくなる」だけに留まらず、そのメーカー・エンジニアに<絶縁状>(笑)を突き付けるようなものかもしれません(汗)。そして、いうまでもなく、<絶縁後>の音の行く先は、オーナーの完全なる責任の下にあります。<荒波の中に海図なき航海に出る>(これを避けようと、『改造』の場合は、Cmiyajiさんや最後に紹介するフウさんのように、オリジナルのデータ=海図=をなぞる方が多い)ようなもので、下手をすると「漂流」したり、「難破」したりするリスクがあることが、最大のデメリットでしょう。

 

この「絶縁」後の音質の変化は、やったことのある方しかわからないとは思いますが、「見た目は全く変わらない」のに、「同じスピーカーから出ている音とは思えない」ほどです(汗)。それがよい方向への変化なのか、悪い方向なのかは、人の主観ですが、<生々しくなる>、とだけは確実にいえます。モネの『睡蓮』が好きか、パリ郊外にあるモネの「庭園」が好きか、は人それぞれですが、後者の方が「生々しい」(=というか「生」そのものだが!)から「やはり本物の自然には芸術は勝てない」と考える方もいれば、「本物には情緒が感じられない。ロマンを掻き立てる絵の方が好きだ」、という方も多いですよね。

 

とにかく、チャンデバ・マルチアンプ化改造を経験して、良くも悪くも、「ネットワークの有無で音が変わる、換言すればネットワークが<オリジナルのスピーカーユニットの音>を変えている」ことだけは、身をもって知ることができました。

 

  • 「アンプをスピーカーユニットに<電線だけで直結>する」ことの、工学的なメリット・デメリットとは何か?

 

ここに書くことは、実はついこの前まで私は知らなかったことなんです(大汗)。「そんなことぐらい、勉強してからチャンデバ・マルチアンプ化しろ!」と先達には叱られそうです(笑)。

 

まず「工学的なメリット」の方ですが、直結はアンプとSPユニットの間に電力を消費する「コバンザメ」(笑)が無いのですから、アンプが発生させた電力を電線以外では損なうことなくSPユニットに届けられる点にあります。このことは、人間の耳でその差が知覚できるかどうかは別にして、「論理的には」同じアンプ出力でも直結の方が「音圧」は上がる、ということだけは確実な「メリット」と言い切れるでしょう。

 

次に「工学的なデメリット」ですが、「直結」にすると、最悪、スピーカーユニットのボイスコイルが焼き切れる可能性があるそうです(知らなかった・・・幸い、未経験=汗。以下の記述は私の理解力では確信を持てないので伝聞調になります=笑)。

 

スピーカーがどうやって音を出すかは、昔から本質的な原理は変わっていないそうで、フレミングの右手だか左手だか(笑)の法則とやらで、コイルに電気を流すと磁気が発生して、そこで発生する磁力を利用して、振動版を動かして空気を揺らすのだとか。

 

で、この「コイル」というのは要するにボビンと呼ばれる輪っかに「糸巻状に電線を巻き付けてあるもの」だそうで、この電線が熱で焼き切れたり、熱でボビンが変形してしまうリスクが、「直結」だと高まるんだとか。

 

どうして電流を電線に流すと「熱」が出るのかというのは、いわゆる「電熱器」の要領で、要は電流というのが電線の中を流れにくくなると熱を発生するらしい(汗)。ではどうして「流れにくくなるか」というと、1.電気が通りにくい「不純物」?が多い素材を使っている、2.道の細さに対して、とても一気に通りきれないような大量で強力な?電気が襲ってくる―のいずれからしい。

 

スピーカーユニットのボイスコイル用の電線には1を使うはずない(多分=汗)ので、トラブルの原因は必ず2になる(多分=汗)。

 

で、この「大量で強力な電気?」の発生するメカニズムには、二通りあるそうで、一つは、「クリップ」、と言われる現象、もう一つは「直流(DC)漏れ」と呼ばれるものだそう。

 

まず、「クリップ」ですが、これは出力波形がきれいな正弦波にならず、頭打ちになる状態を指す。音質的には「歪み」となり、ひどい場合は人間の耳でもわかる(ギターのディストーションはコレ)。いろいろな原因があるようですが、自分のシステムで問題になる可能性のあるクリップのメカニズムは、「パワーアンプでは最大出力を超える場合、出力信号がクリップする」ことで、ということは出力の小さいアンプで大きなスピーカーを鳴らすとクリップしやすくなるらしい。

 

私は入力でも出力でも過大入出力で機器が処理できる限界を超えると「クリップ」という状態になり、それが「歪み」を生む、というのは経験的に(汗)知っていましたが、出力の小さなアンプの方がクリップさせやすいとは知らなかった・・・むしろ出力の大きいアンプの方が、過大出力をスピーカー側が処理しきれず、「クリップ」させると思っていました(そのようなクリップのメカニズムもあるらしいが)。

 

では、この「クリップ」がなぜスピーカーを壊す可能性があるのか?これは特にツイーターが危ないらしい。

 

というのは、入力信号がクリップすると、元の信号には存在しなかった高周波(超高音?)や高調波(電源の周波数=50Hzとか60Hz=の整数倍の音波?)が生まれてしまうらしい。そしてツイーターには普通ローパスフィルターは入れていないため青天井の周波数の入力を許容してしまうので、この「クリップ」が継続的に発生し続けるとボイスコイルが過熱して損傷する可能性があるのだとか。

 

次に「直流(DC)漏れ」ですが、私はかつて、Sonetto VIIIのスピーカーユニットの「逆相接続問題」(既製品のPassiveネットワークでは、中高域ユニットが低域ユニットに対し逆相になっている)に悩まされたことがあり(これもSonetto VIIIをチャンデバ・マルチアンプ化改造に踏み切った大きな理由の一つ)、その時にスピーカーユニットが正相接続されているのか、逆相接続されているのかを確かめる方法として諸先輩方に伝授いただいたのが、「乾電池のプラスマイナスをそれぞれスピーカー端子の+と-につないでみる」という方法。

 

これをやると、スピーカーユニットが前か後ろのどちらかに動いてくっついたまま(汗)になる(その動く方向を見ると、正相か逆相かを判断できる)。つまり振動はせずに前か後ろに動いたのちに固まってしまうのだが、この状態が、直流がSPに流れている状態。普通は交流(AC=+と-が交互に入れ替わる)の電流がSPに行って、だからスピーカーユニットは「前後に振動」して人間には「音」として聴こえる。直流だと人間には「音」として聴こえないはず。

 

もし、この直流がスピーカーユニットに流れ続けると、ずーっとコーン紙が片側に貼りついた状態になるのだが、これは直流は常に一定の電流が流れ続けるためらしい(交流はプラスからマイナスに変位していく電流のため振幅があり、一瞬ゼロになるポイントすらあるそうだ)。つまり、直流は交流と違って「一息つかせてくれない」(笑)。このため、持続的なエネルギーで加熱しやすく、ある程度のパワーを持つ直流が流れ続けるとボイスコイルに巻かれている細い電線が焼き切れてしまうらしい。

 

では、なぜ、このような「直流(DC)漏れ」が起きるかというと、私には詳しいメカニズムはよくわからないのだが(汗)、要するに、ソース機器やプリアンプやパワーアンプの品質が悪いか、保護回路が付いていないか、または古くなって保護回路の部品が劣化して来ると「漏れる」可能性があるんだそうだ。だから、「ある程度の高級ブランド品を10年程度で買い替えていれば問題はない」、というようなことをあるオーディオショップのベテランに教えてもらった(安かろう悪かろうの途上国?の製品や20年以上のヴィンテージ品をレストアもせずに使っているとアブナイとか・・・)。

 

  • 結局、拙宅のシステムで「アンプをスピーカーユニットに<電線だけで直結>する」ことの最大の懸念は何で、最終的にどうしたのか?

 

「直結」のリスクのうち、「クリップ」を防ぐには、対処法としては、「パワーアンプの出力をなるべく大きなものを使う」ことしかない。

 

現状、Sonetto VIIIは、

 

ウーファー用に、PA-16 200W8Ω)

スコーカー用が、STA-9BTL290W  (4Ω)

ツイーター用に、A-0 10W8Ω)

 

を当てており、どう見ても(汗)、ツイーター用だけがやたら出力が低い。

 

問題は、この出力で、ハイパスのCO値を4000Hzに設定したSonetto VIIIのツイーターが、「実用上」、クリップしているのか? である。

 

そこで、いろいろと調べましたよ(笑)。

 

  • Classicのみならず、JazzPops/Rockも「私以上の大音量で」(笑)お聴きになられるチャンデバ・マルチアンプ化でお世話になったMyuさんが、かつて「9W」という最高出力のアンプでドーム型ツイーターをドライブして2年弱もの間お使いになっていたが、その間、一度も「クリップ」を感じたことはない、という証言を得た。

 

そして何より、私が普段よく聴くAuro-3Dの様々なNative音源(オーケストラあり、リストのピアノソロあり、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲あり・・・)を、普段聴く音量より「気持ちさらに大きめ」で再生しても、<私の駄耳では>汗、クリップ=歪みなどを感じることは全くなく、むしろ、リストのピアノ曲における高音の強打のパートでは、今までSTA-9(=120W )をつないでいた時よりも、最大出力10WA-0の方が「澄んだ、透明感のあるフォルテ」が聴けて、「もしこれがクリップしている音なら、私はこちらの方が好きだな!」と思えたことが決定打となった。つまり、クリップに起因するツイーター損傷事故の発生リスクに関しては、「現状で問題なし」と判断

 

次に、「DC漏れ」については、これが起こると、真っ先に危険な状態になるのはこれもツイーターだそうだ。というのは、低域再生能力がある=たくさん空気を動かす=強力な磁力が必要=ボイスコイルに大電流が必要=使用されている線材が太い=ため、ウーファーやスコーカーは一時的な「DC漏れ」程度では使用されている線材が焼き切れることは起きにくいらしい。

 

ということで、諸先輩方の進める対処法は、「ツイーターとパワーアンプの間にコンデンサーを挿入する」という方法。この「コンデンサー」というのがどういう機序でDC漏れの防波堤になるのかは皆さんに教えてはいただいたが、自分の言葉で書く、というレベルまでは呑み込めていないのでここでは割愛。もちろん、チャンデバ・マルチアンプ化をしている方がすべて「コンデンサーを挿入」しているわけではなく、入れずにチャンデバ・マルチアンプで運用している人も少なくない。

 

P ツイーターを「DC漏れ」から保護するには、こういうものを挿入する必要があるらしい(これは過日お邪魔したTomy邸のもので、単なるイメージ=笑)

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ここは、オーナーの<判断>が別れるところであり、私もここらでその決断をしなければいけない。

 

ただ、一つ言えることは、コンデンサーを入れれば、それは「真の直結」ではなくなる、ということ。アンプとスピーカーユニットを「直結」するメリットは上述した通りだが、そこに「何か?」を介入させれば、確実に「出音」は変化する(劣化する、かどうかは主観によるのでここでは触れない)。

 

つまり、ここで比較衡量しなければならないのは、「コンデンサーを挿入する」場合のコスト(ここでは金銭的なものだけでなく、手間や見た目の変化なども含む)と、「コンデンサーを挿入しない」場合のリスク(その確率とコスト)のどちらがより大きいか(メリットはその逆概念)。

 

整理すると:

 

【コンデンサーを挿入すると】

 

1.音質が変化する

2.コンデンサー代・手間(市販品はないため、自作の必要がある)がかかる

3.DC漏れが起きた場合、ツイーターを保護する

4.クリップの防止にはならない

 

研究の成果(笑)では、1、2,3はすべて関連していて、「音質の変化」の度合いやベクトル(それがオーナーの趣味と合った方向への「変化」なのかどうか)は、使用するコンデンサーの種類・品質=価格に左右される。そして「保護」性能は、コンデンサーの容量を増すほど高まる=コストが上がる。

 

具体的に、お詳しい先輩方にいろいろなブランドのコンデンサーを紹介していただいたが(私には初めて聞く名前ばかり=汗)、一番安ければ数千円程度、ハイエンドクラスだと10万円を超える(定価数百万円のSPはネットワークの部品にこういうレベルのものを使っているらしい)。現実的には、ツイーター用なら35万円程度のものがいいのでは?と。

 

さて、ここで比較衡量タイムである。

 

1の問題はオーディオとしては最重要ポイントではあるし、コンデンサーを選べば「好ましくない音」への<変化>だけでなく、「私の好みの音」への<変化>もあり得るのだろうが、その「好ましいコンデンサー」に巡り合うためにメーカーのエンジニアのラボには何十ものコンデンサーがあって、それを入れ替えながら試聴を繰り返すらしい(笑)。だが、私にそのようなことができるか?というと、答えは明白である(泣)。だからあるコンデンサーを挿入して、その音質の変化が自分の好みの方向かどうかは、「やってみなければ確実なことはわからない」という、完全な「賭け」であると判定

 

2のコストと、3のリスクは、「リスクの被害の大きさと、その発生確率に対し、コストが見合っているか」を検討するのがビジネスの常識ですよね(笑)。

 

ツイーターのコイルが焼損した場合のリスクは、1.ツイーターをReplaceするコスト(代金と手間)、2.その焼損が、他の機器・家具などに与えるリスク―に弁別される。

 

このうち、1に関しては、かつてSonetto VIIIのスコーカーに「歪み」を感じ、ユニットを交換してもらったことがありますが、その時のコストから想像して、ツイーターの交換も10万円は行かないと思われます(幸い、ダイヤモンド素材じゃないので!)。A-0に現在つながれているツイーターは全部で5台ですが、これらが「すべて同時にコイルが焼き切れる」ということは考えにくい(雷でも落ちれば別だが=汗)ので、「一度の事故」でのツイーター交換用の損害額はMax10万円。それに対するコンデンサーの備えは、5台分必要(どれが焼損するかはわからないため)なので、導入コストは金額のみだと約25万円。

 

次に2に関しては、コイルの焼失時に他への損害を与える可能性を検討すると、まず、コイルの焼失というのは、「煙が出る」ことはあっても、「爆発的な火災」にはつながらないことが調べて分かりました。つまり、他のユニットやエンクロージャーや、さらには家具・家までも焼失するような出火の仕方はしない。つまり損害はツイーターそのものに限局されている。

 

では、ツイーターと電線でつながっているパワーアンプを損傷するリスクはないのか?

 

これについては、A-0の機能について、Soulnoteのエンジニアに問い合わせたところ、「弊社のA-0に実装されている過電流検出機能およびDC検出機能もアンプとスピーカーの両方を保護する役割を果たします」との明確な回答をいただいた(ただし、「通常でも±0.1V程度の直流成分が出力されることがあるため、ツイーターには、良質なフィルムコンデンサ(10㎌程度)を間に入れる方が良いかと思います」とのアドバイスが付いたことも付言しておく)。これを受け、私としてはパワーアンプが損傷するリスクは低いと判断。

 

さて、最後は、「事故の発生確率」である。ツイーターのコイルが焼き切れるようなことが、音楽を3回再生すると一度は必ず起きるのなら、「絶対に」(笑)コンデンサーを入れる(笑)。

 

これについては、先に紹介したMyuさんのチャンデバ・マルチアンプシステムに於いて、コンデンサーレスで、アンプとツイーターを「電線だけで直結」した状態で、2年間弱運用されて、「一度もツイーターは飛ばなかった」という事実は大きい。繰り返すが彼は私以上に(?)大音量を出されることがあり、しかも、恐らくほとんど毎日のように再生をしておられたはず。一方の私の伊豆の別宅は、月に多くて2度、電源を入れるだけである。使用頻度と事故発生が比例的な関係にあるとすれば、確率論的に言えば、現状の使用頻度であれば、拙宅のツイーターのコイルが焼き切れるのは、30年間でも1度もないことになる(笑)。

 

さらに、拙宅のツイーターを駆動するA-0は、このメーカーの技術的信頼性は私には評価できないが、少なくとも最新設計の製品を「すべて新品」で揃えたものである。ということは先に紹介したベテランオーディオ店員の談によれば、少なくともこの先10年は、アンプ側の過電流検出機能およびDC検出機能という保護回路が誤作動を起こす確率は極めて低いということになろう。

 

ここまで理詰めで来ても、最終的にどうするかは「オーナーの性格・哲学」というもので決まる。事故が起きる可能性は、ゼロではないからだ。いつかTVで、「1000万円かけて地下に核シェルターを作った」という方が紹介されていた。この場合、私は「1000万円分、楽しい思いに使って、核ミサイルが飛んで来たらサヨナラする」(笑)という考え方をするタイプである。

 

結論的に今、私は何の迷いもなく「真の直結」で5台のSonetto VIIIが奏でる、<澄んだ高音>を楽しんでいる。ただし、数年以内に1台でもツイーターが飛んだら、「羹に懲りてなますを吹く」(汗)で、その後は5台すべてにコンデンサーを入れようと決めてはいるが(笑)。

 

【おまけ】

 

昨日、オーディオ評論家の 傅 信幸(ふう のぶゆき)氏のメインの2chシステムである、「カタツムリ」をグランドスラムさん、Myuさんと共にお邪魔して、聴かせていただきました。

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その音の感想をここに詳細に書くのは、このブログの趣旨から外れますし、「Auro-3D耳」になりきっている私(汗)がハイエンド2chの音をうんぬんできるような資格はないと謙虚(笑)に思っておりますので、耳の肥えたグランドスラムさんやMyuさんにお任せしたいと思いますが、この記事は最初から、このネタで締めるつもりで上梓するタイミングを見計らっていたのです(笑)。

 

ここを読んでおられるような方ならよくご存知と思いますが、「カタツムリ」(その後の、名が体を現わしていない「偽カタツムリ」と弁別するため、敢えてNautilusとは書かない)は、天下のB&Wの4Wayのチャンデバ・マルチアンプによるスピーカーシステムです。傅さんはオリジナルのアナログチャンデバを、アキュのデジタルチャンデバに交換しておられますが、CO値やスロープ設定などは、私のSonetto VIIIと異なり(大汗)、ほとんどオリジナルを踏襲しているそうです。もう一点、拙宅と大きく異なっているのは、パワーアンプを、Jeff4chマルチをLR用に各1台を当てているため、4Wayのスピーカーユニット4台を「同一のパワーアンプ」で鳴らしている点です。傅さんによると、以前は上下で異なるパワーアンプを使っておられたそうですが、同一にしたときに、「位相が揃って、音の輪郭がはっきりした」とおっしゃっておられました。

 

Wayではありますが、「敢えて」(笑)3つとも異なるパワーをつないで「遊んでいる」ものとしては、「でも、ウチのはDirac Liveでユニット間も位相補正しているから」(傅さんは電子的な補正はされていない)と内心強がりながらも(汗)、ちょっと刺さるお話でした。

 

そして、この記事の締めに傅邸訪問エピを持ってきた最大の理由は(笑)、「これ、コンデンサー入れてます?」との質問をしたことです(実はお部屋に招き入れてもらって、挨拶もそこそこに伺った!)。

 

「ツイーターとの間だけには入っています」

 

このスピーカーシステムは、各ユニットの入力部分に別々にアクセスすることができない構造になっていて、オリジナルの状態で太いケーブルが一番下の黒い四角い「台」のような部分の後ろから出ていて、そこに4台分8本のカラフルに色分けされた電源ケーブル(=意外に細い!「電線病」の方が見たらひっくり返りそう!!!)がまとめられているんです。ゆえに、オリジナル状態でこのうちのツイーター用の電線の先のエンクロージャーの中に、コンデンサーが入っているようです。さすがメーカー製!安全First!!! (だって、これ、ネジを使わない構造のエンクロージャーになっているので、万一の時にスピーカーユニットを交換するのにBWのエンジニアしかできず、作業がものすごい大変なんだそうで…だからメーカーとしては、スピーカーユニットの修理に追われたくないだろうと想像!)

 

P 太いXLRケーブル4本のそれぞれの下に見える、「細い」(笑)カラフルな電線が、それぞれ4つのスピーカーユニットにつながっている

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さて、先に「音質には触れない」と宣言しましたが、自分の持ち込み音源を再生してくださいました(いい選局、とお世辞をいただきましたし=笑)からには、一応オーオタの端くれとしてやっぱり書きたいので(笑)、私の駄耳による様々な印象のなかで、一点だけ(本当はいろいろ書きたいが、長くなるので自重!)。

 

今回お邪魔した三人組が普段聴いている音量よりやや低めの出音に最初に触れたとき、「フルレンジみたいだな」と思いました。しかも、上下に音域の伸びたフルレンジ(=これは理論的にはあり得ない)。これはマルチWayスピーカーに対しては恐らく最高の誉め言葉の一つでしょう(今の私のように、アンプを変えたらツイーターの音の美しさが目立つようになったのを喜んでいるようではダメなんですよね=汗)。

 

Wayなのに、1Wayに聴こえる。ご本人は全く語られませんでしたが、これを実現するために揃えた機器やケーブル類の吟味や調整にかけた時間とコストと「鬼気」が出音ににじんでいて、試聴中、正直申し上げると<少し寒気がした瞬間>がありました。間違いなく「マルチWay, マルチアンプシステムの究極の到達点」の一つを体験させていただきました。

 

最後に、これに触れないわけにはいかない。以下の写真を見てください。コレ、我々が無理やりお願いしたものではないんです。グランドスラムさんとは旧知の仲とはいえ、私とは数回会合で食事をご一緒させていただいた程度、そしてMyuさんとは初対面、かつ3人とも初訪問なのに、傅さん自らが記念にと我々を手招きし、こんなフレンドリーな姿態で被写体になってくださったのです。高名なオーディオ評論家なのに、全く偉ぶるところがない。そしてとても細かいところまで気配りをされる(帰り際、寒空の中にもかかわらず、外に出て我々を見送ってくださった)。

こうした人格が音に出ていました。

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