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2024年7月

2024年7月27日 (土)

備忘録:邪念の払拭と将来的な課題をいただいてきました(笑)-TIASとその後の入交氏との懇談会にて

昨日、「2024東京インターナショナルオーディオショウ」(TIAS)に行って参りました。私は「そろそろ老後の資金を貯めないといけないので、オーディオ関連の散財はもう打ち止め!」と心に決めている(つもり=汗)なのですが、<煩悩>は拭いきれておらず(笑)、密かに「二つの野望」(笑)を持って、ほんの数時間だけ、ピンポイント参加したのです。

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【隠れた野望1】

 

これは何人かの方には打ち明けたことがあるのですが(笑)、ブログに書いたりすると「言霊」となって実現を迫られるのが恐ろしく(爆)、これまで書いたことはありませんでした。

 

それは、日本未上陸の「密かに狙っているスピーカー」があったというお話です。そのSPというのは、「MAXIMA AMATOR」というソナスのもので、実はこれ、私が持っているElecta Amator IIIと<全く同じユニット構成>のまま、「フロア型」にしたものなんです。もう何年も前から本国のHPにはLineUpされているのを知っており、ずっと気になっておりました(汗)。

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【写真はHPより引用】

 

なぜって、もしこれが手に入るのであれば、LCRをこれにして、EAIIIをサラウンドにすれば、あの、「甘い音」(笑)に囲まれる、バラの園のような(笑)サラウンドシステムの「香しい音」が聴けるだろうな、と夢想したからです。

 

幸いにも(?)、これまで日本では正規扱いが無いので、並行輸入なんて保証がない怖いことはできないヘタレな私は、指をくわえて見守っていたのですが、内心、「もしこれをノアが扱うようになったら…」と、期待と不安(汗)を持ち続けてきたものでした。

 

ということで、今回はこの「迷い」に決着を付けよう(笑)と、ノアのブースに足を運んで牧野社長(彼は伊豆の拙宅にお見えになったことがある)に「直撃取材」を敢行!

 

EAIIIのフロア型が存在するのはご存知と思いますが、これを輸入販売する予定はありますか?」

「取り扱う予定はありません」

「なぜですか?」

「試聴した音が気に入らなかったからです」

「低音が甘くなるんですか?」

「その通りです。これを入れることで、評価の高いEAIIIの評判が落ちるのを懸念したのです」

 

よっしゃー!邪念払拭!!! カタログ的にはエンクロージャーを大きくした効果と思われる、f特の最低域が数ヘルツ下がっているデータが掲載されているのですが、これはバスレフのf0が下がったからであって、ウーファーユニットを強化したからではないため、「低域が緩くなっているんじゃ…」と素人ながら予想していたのです。どうやらこの<へっぽこ予想>が珍しく当たったようでした。

 

言うまでもなく、つい数か月前に、主戦のSonetto VIII5台すべてチャンデバ化したばかりなので、その時点ですでにある程度は踏ん切りがついていたのは事実ですが、これで<完璧に>未練を断ち切れました(笑)。老後の資金、セーフ(笑)。

 

【隠れた野望2】

 

これは実はチャンデバ化で最もお世話になった、ご近所づきあいをしている自作ハイエンド2ch派のMyuさんにヒントをいただいていたものです。それは、「ツイーターを交換して高域再生能力を強化しては」というものでした。

 

Myuさんと私は、「空間表現」がオーディオ再生に於ける大事な要素である、という点で価値観を共有しており、この「空間表現」をより洗練するのに、f特上のハイエンドを伸ばす、というのは効果があるということ自体は、私も完全に同意していました。オーディオショーやショップなどで、40KHzあたりまでの高域再生能力を備えた最新設計のSPを聴かせていただくたびに、超高域の再生能力と空間表現能力は比例関係にあるという経験則を形成していたからです。

 

とはいうものの、さすがにツイーターを12台すべて交換するのは大変なので(汗)、手っ取り早い高域強化方法として「スーパーツイーター=STを足してみたら?」と考え、Add-onでどうなるのかを確かめようと、最初に向かったのは、FYNEオーディオのブース。このブランドは、最近、「SuperTrax」という名前のAdd-on用のSTを出したばかり。私はもしSTを自分のシステムに入れるなら、「無指向性」のものが欲しいので、これは候補の一つです。音質もさることながらデザインを無視できないワタシ(笑)は、このWoodyな仕上げだけで高評価(笑)。

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会場にはグランドスラムさんとご一緒したのですが、どうやら最初からST付きでプレゼンしているようでした。幸い、ここの輸入代理店の営業担当の方がグランドスラムさんとお親しい(さすが、彼は顔が広い!)ことから、私の無理なお願い(汗)を聞いていただき、「SuperTrax」の有無の比較試聴をさせていただきました。

 

…やはり、いい! STオンだと、むしろ高域の荒々しさが無くなり、スムースになります。で、なぜか中低域も締まった感じがする。下方への倍音の影響なんでしょうか?(ロジックは私にはわからず…) そして肝心の「空間表現」ですが、お部屋が確実に広くなったように感じました。Add-onでも期待通りの効果があるようです。

 

次に向かったのは、ELACのブース。ここには昔から有名なリボンの無指向性Add-on用STの最新バージョンの、「4PI PLUS V」がフロア型(多分、VFSシリーズ)のSPの上に乗せられてプレゼンをしていましたが、お部屋が狭いうえにお客さんがあふれていて、とても「有無の実験をしてください」と頼める状況ではありませんでした(写真も撮りそこなったし)。あの狭い部屋にあれだけ吸音体(=人間)が入っていると、その音をうんぬんするのは控えるべきでしょう。ただ、リボンの高域表現はかつてシバンニ邸のPiegaでじっくり聴かせていただいて、品位の高い表現力を持っていることを知っているので、これもかなり有力な候補です!

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【写真はHPより引用】



最後に、これは立ち話だったのですが(汗)、業界関係者のMさんのご紹介で、ジャーマン・フィジックス(GP)の輸入代理店の庵社長とお話しすることができました(ダイナのSさんも通りかかってお二人も親しいようで、「じゃれ合って」(笑)おられました!世界は狭いなあ・・・爆)。GPには前々から並々ならぬ興味を持っていることは以前もどこかに書いた気がしますが、その理由は、あの「ダースベーダーの頭」(笑)そっくりのDDDユニットが、超高域まで再生できるうえに、それが<球面>に音を放射できる恐らく唯一(?)のツイーター(?)であるからです。

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【写真はHPより引用】


DDDユニットをSW?と組み合わせたセットはかつてGRF邸で体験しており、その印象は今は亡きPhile-Webに書いたはずなので割愛しますが、この「DDDユニットをAdd-onできないか?」というのはずっと前から持っていた<野望>だったのです。しかし、長らくGPが日本に正規輸入されていなかったので、「妄想の外」にありましたが(笑)、幸か不幸か、正規輸入が再開され、その社長さんが目の前に。

 

DDDユニットって、買えますか?」

「今は、メーカーからの指示で、単体での販売はしておりません」

 

オーマイガー!

 

まあ、売ってます、と言われたら、別の意味で悩んだ(確実に、先の二つよりお値段が…)と思うが(笑)。

 

さて、ここまでがTIAS編なのですが、この【隠れた野望2】には、その日の夜の「Auro-3D友の会の懇親会」にお招きした入交氏との会話の中で、オチがつきまして(汗)。

 

「実は、伊豆のシステムにスーパーツイーターを付けようかと思っているんですが」

Add-onですか?」

「ハイ」

「なら止めた方がいいです」

「なぜですか?」

「位相が狂うからです。2chなら、多少位相が狂った方が空間的な広がり感につながる場合もありますが、Auro-3Dの場合は確実におかしなことになります」

 

うーん、「入交教」の使徒(爆)としては、彼の助言に逆らうことはできない(この後、「やっぱ、ST入れました」なんて言ったら、二度と拙宅の敷居をまたいでいただけないだろうし、このような懇親会にも来ていただけないであろう・・・汗)。確かに、Add-onの場合は、私が信頼するDirac Liveの「管理外」になるので、COやスロープ、そして「位相」をDiracが自動調整することはできない。入交氏は、STがダメ、と言われたわけではなく、「Add-onによるSTがダメ」ということだったので、STを入れてもチャンデバで4分割(=4Way化)にすればOKなのだろうが、それは機器面、金銭面、技術面すべてにおいて、無茶苦茶ハードルが高い(大汗)。

 

ということで、私が長年?温めてきた【野望】は二つとも、昨夜、完膚なきまでに潰えたのでした…(お財布的には、めでたしめでたし…なのだが=泣)。

 

最後に、入交氏との懇親の席でのやり取りで、ちょっと気になった点を備忘録として。

 

Auro-3Dの最大の魅力は、2chでは実現できない「高解像度に支えられた立体的な音像定位」。そのためには、STの導入なんて言ってないで、SPユニット自体をテコ入れし、完全に13台を揃えた方がいい。原理的に位相が狂わないフルレンジにしたらどうか?少なくとも同軸で(ムジークを勧められました…)。

 

←これは、恐らく、私のブログを入交さんがたまにご覧になっていただいていて、私がよく、「Auro-3Dの最大の魅力は<音場>」と書いているのをご存じだからだと思います(汗)。確かに、素人感覚でも「音場感」はそこまでRigidなシステムでなくてもある程度は出せるような気がしますが、精緻な「3Dの定位感」(これは以前にも、「舞台俳優に当たるスポットは、それが正確に調整されていれば、スポットが多いほどくっきりする」というようなお話を聞いたことがあります)を実現するには、1.13台完全同一SP、2.13ch完全同一パワーアンプ、3.13台完全等距離(LPから)―による、<電子的補正を一切使わない>Auroシステムを構築するしかありません。入交さんはこれが「究極のAuro-3Dの音」であり、そこを目指せ、とおっしゃっているのだと思います(「一度体験するために、仕事場に作ったら?」とまで言われてしまいました・・・汗)。

 

入交さんには拙宅にお見えになったとき、一応拙宅のAuroシステムに「合格」は出していただいてますが、やはりプロからみれば、所詮「家庭用の音の範疇における、合格」に過ぎず、モニターレベルには程遠いのだろうな、と思います。

 

今後の課題としては、「音場感」はさることながら、Auro-3DのNativeソースを再生した場合の、「3次元的な定位感」を磨き上げることに注力したいと思います。ソースとしては、Auro映えするオーケストラではなく(汗)、ソロ楽器やボーカルなどのソースを使って、検証を進めるべきでしょう。問題は方法論で、X1さんのように、もう一部屋作る余裕があれば、「All 目玉のオヤジ」のシステムを組むのですが…(汗=ソナスを全部売って買い替えればおつりが来るって?=笑) 「理想」は理想として理解しますが、そこまでハードル上げたら、誰もAuro-3Dなんかやれなくなると思うので(爆)、今の自分の環境でできることとすれば、スピーカーの種類の同一化をなるべく進めることや、より精度の高い設置位置や角度・距離を(まるで2chのように)ミリ単位で微調整するということでしょうか? これについては今後の課題として、詰めていきたいと思いました。

2024年7月24日 (水)

入交氏のAuro-3D 13ch 音源の「現場と演奏」を確認してきました!

矢継ぎ早の投稿ですが(笑)、私は季節労働者なので、今、夏休みモードなんです!(だからといって、こんなことばかりしていてはマズいのだが・・・汗)

 

今回は、前回のDonguri邸訪問に先立って行った、清里におけるピアノコンサートにまつわる、Auro-3D的エピソードを少々(笑)。実は、これ、すべて我らが!WOWOWの入交さんと関係しているんですよ!

 

まず、会場の清里の「オルゴール博物館」。

 

すでにピンと来ている方も多いと思いますが、ここは、今年の228日、KORGLive Extremeという方式で、入交さんがエンジニアリングをしておられた「世界初の?映像(フルHD)+音声AURO-3D (Auro Codec/96kHz/5.1.4ch)フォーマット」による、Liveストリーミングが行われた発信元の会場です。

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わたしはもちろん参加試聴させていただいたのですが、伊豆のインターネット環境の問題か途中でブチブチと途切れたし(泣)、また当時は「Sonetto VIIIのチャンデバ化作業」に追われていたこともあり(汗)、ここのブログで記事にするのは見送ってしまいました。

 

幸い、我々友の会のDonguriさんがPhil-Mに記事をUPしてくれましたので、そちらで知ったという方も少なくないかもしれません。

 

今回、この同じホールでのコンサートとのことで、一応(社会)科学者の端くれとして(笑)、「伊豆の拙宅のシステムで再生された、Auro-3D Nativeによる音場・音像・音質感と、現場の本物の音の違いはどの程度あるのか?」という問題意識を抑えきれなかったというのが参加を決めた理由の第一。

 

そして、さらに興味を引いたのは、ピアノピアニストピアノ曲

 

「オルゴール博物館」にあるグランドピアノは、アメリカのアンピコというメーカーの「チッカリング9フィートモデル」というものです。これは今はもう存在しないメーカーだそうで、日本ではかなり珍しいピアノではあるようです。1926年製ということで、約100年前のもの。長らく放置されていたらしいのですが、最近、弦?とハンマーをすべて交換して、蘇らせたものだそうです。

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私は、楽器の中ではピアノの音色が一番好きで、ピアノ曲であれば、ショパンでも武満徹の曲でも、ビルエバンスでもポリーニでも久石譲でも(笑)、何でもOKなんです。で、最近、ピアノにはとてもお詳しいKKさんの影響でピアノのメーカー別の音色の違いにもちょっと関心を持つようになり(笑)、この前のLive Extremeの際に、自動演奏装置によってここのピアノが鳴らされていた「音」が結構気に入って、「本物を聴いてみたい」と思ったというのが、理由のその二。

 

そしてピアニストの福井真菜さんという方。特にどこかのレーベルに所属しておられるわけではなく、ソロのプロなので、そこまで知られている方ではないかと思います。で、「なんでそんな方をお前が知っているの?」というと、それは、先日入交さんに誘われて参加した、OTOTENで彼女の演奏を聴いたからです(以下の写真はその時のもの)。

 

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ただし、OTOTENですからもちろん「生演奏」ではありません。入交さんのAuro-3D Native 13ch 録音です。

 

彼が、福井さんのピアノ演奏を録音した(会場はオルゴール博物館ではない)ソースをGenelecのブースで聴いたのですが、その演奏が気に入ったんです。司会をしておられたオーディオ評論家の山之内さんが、「いつもあんなにゆっくりとしたテンポで演奏されるんですか?」と会場にゲストで来ていた福井さんをイジっていた(笑)ぐらい、独特な演奏で、<甘いもの>なら何でも好きな私の好みにぴったり(爆)。フランスものを中心にしておられるようで、その時もドビュッシーの曲が一番多かったと思うのですが、演奏時のこだわりが、「微妙なタッチのために素足でペダルワークをする」ことだと伺い、これは一度見てみたいな、と(笑)。

 

あまりに気に入ったので、終了後ご挨拶をさせていただき、「今度、Liveコンサートはいつ、どこ?」と伺うと、「清里のオルゴール博物館」だとおっしゃるではないですか!何たる偶然!!!

 

そして最後の決め手は、ピアノ曲。ドビュッシーの「沈める寺」というのは、ピアノ好きな方なら知らぬ方はいないであろう名曲で、いままで何度も聴いているはずでしたが、今回、OTOTENで入交プロヂュースによるAuro-3D Native、しかもGenelecGLMという最新システムと最強モニターSP群の組み合わせで聴かせていただいた「沈める寺」に、鳥肌が立ちそうなぐらいの感動を覚えまして(笑)。特に最低域の鍵盤を「ドーン」と鳴らす部分がとても印象的な録音になっていました。「この曲にこんなに感動的な低音が入っていたとは!」と、家に帰ると早速Streamingも使って他の演奏者の録音(ただし2ch)のものをいくつか聴いたのですが、正直、入交録音版ほどの感動が得られない。せいぜい、グラモフォンのメナヘム・プレスラーというお爺ちゃん(笑)が演奏するTakeがそれに近いぐらい。

残念ながらこの曲はこれまで私はLiveで聴いたことが無かったので、「こりゃあ、生でどの程度の低音が出ているのか、実体験するしかない」と、「オルゴール博物館」での福井さんの演目の中に「沈める寺」が入っているのをネット検索で確認し、チケットを取ったというわけです(笑)。

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ということで前置きが無茶苦茶長くなりましたが(汗)、偶然にもすべて入交さんつながりで、ここに行くのがDoomedであったかのような(爆)。

 

さて、当日は関東地方では公立学校が夏休みに入ったばかりというタイミングでしたが、さすがに家族連れが来るような選曲ではなく(武満も入っていましたし=汗)、指定席方式ではなかったのでちょっと早めに行ったこともあり、なんと、一番前、ピアノが置いてあるのと同じフロアで距離約1.5M!!!の、演奏者の真横の席に陣取ることができました(まるで、KKさんのご自宅の音楽室みたいな距離感だった・・・あそこはスタインウェイだけど)。

 

<私の席からの写真!!!> クラシックで(ジャズならまだしも)、プロのピアノ演奏をこの距離で聴いたのは初めて!

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入場前にピアニストの福井さんが出迎えてくれ、私のことを覚えていてくれたようで「あら、本当にいらっしゃってくれたんですね!」と握手(笑)。

 

正面に「リモール」と呼ばれる巨大なオルゴールがあり(残念ながらこれは聴けなかった)、その前に「チッカリング9フィートモデル」が置いてある。演奏開始までに時間があったので、中を覗かせてもらうと(普通のコンサートホールではいくら演奏前でも舞台には上がれないですよね!)、弦やハンマー、その他の金属パーツはピカピカで、中身は新品のよう(交換したばかりなので当然か=笑)。

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時間になると照明が落とされ、福井さんが入場。本当に<はだし>で入ってきた(冬ならどうするんだろう?=笑)。自己紹介の後、着座されると、右足の親指と人差し指(とは言わないな=汗。第二指というのかな?)の間に、3つある中の一番右側の真鍮(恐らく)のペダルを挟むように。

 

ここから先は私のような音楽的素養の無いものには、楽譜の解釈なり、演奏のテクニックを描写する語彙は残念ながらありません(泣)。

ただ、音場感としては、天井が高く、かなりLiveな会場のAtmosphereは、Auro-3DLive配信を拙宅で受けたときと極めて近い印象を持ちました。

 

音像感(定位)は、これは目の前1.5Mですし、圧倒的にLiveの勝ちです。目を瞑っても指が左右(音像的には<前後>です)に動くのが分かる。右手は手前(私から1.5Mのところにある弦をハンマーで叩いている)、左手は奥(私から2.5Mは離れている)。この1Mの音源の位置の差は、私の席でなら誰でも聞き取れると思いますが、さすがに、Streamingによる拙宅のAuro-3Dシステムではここまでの再現性は無かった(まあ、Mikingにも拠るのかもしれないが)。

 

音質も、これも言うまでもないです。もし2月末に聴いたものが、Live Streamingではなく、Onマイク、Offマイクを多用したマルチ録音ソースを、エンジニアが「これでもか!」というぐらい、f特も位相も定位も盛りに盛って(笑)ミキシングして作り込んだ録音ソースとの比較であれば、<Liveあるある>で(汗)、自宅のシステムの方が音(音像定位と音質)がいいかも?、という感想を持つこともあるかもしれないが、1.5Mの距離にあるグランドピアノを小柄なピアニストが腰を浮かせて全体重をかけて弾く(というより「叩く」)フォルテを、「完璧に再現できる」オーディオシステムなんて何億円かけても、いくら我らがAuro-3Dシステムでも、作れるはずがない(笑=一応、コンサートの翌日、donguri邸を辞した後伊豆まで車を走らせて、ミシェル・ベロフのSACDマルチによる同曲をAuro-Maticにしてほぼ同じ音量の下で聴き比べてみたが…)。

 

最後に、「沈める寺」の低音パートですが(これを聴きに行った=笑)、「チッカリング9フィートモデル」、結構深い低音がでていました。会場が木造の教会のような作りで、前述の通りピアノが置いてある木製のフロアと観客席が地続きなので、床の振動も多少感じられ、Literallyに(笑)、「腹に響く」低音を体感できました。これはちょっとだけ、伊豆の拙宅でも、Auro-3Dが形成する「平面波」と、強力なSW3台のサポートを得ての「体感する低音」を彷彿とさせるところがありました。高級なプロ用モニターヘッドフォンでも20Hzは出るそうですが、やはり、このあたりの周波数は「耳で聴く」だけでなく、床や壁の共振およびそれらによる空間の空気の振動込みで「体で聴く」感じの方がRealityがありますよね!

 

これは事前にKKさんと情報交換したことなのですが、この世の中には、通常のグランドピアノの鍵盤を、さらに低い方に9鍵のばした、「ベーゼンドルファーのインペリアル」というピアノがあるそうで、KKさんによると楽譜上は「沈める寺」ではこの延長された鍵盤を使うことはないそうですが、このピアノを使えば倍音としては作用して低域の量感が増すらしいです。OTOTENで聴かせていただいた入交さんの録音の「沈める寺」が、この「インペリアル」を使ったものかどうか、今度お会いしたら是非伺ってみたいと思っています。

 

結論的に言って、「Auro-3DによるLive Streamingの再生音」と「現場の再生音」の比較では、音場感はまあまあいい勝負ができているが、音像定位はやはり「現場」に軍配(ただし、これはLive同士の比較だから。人為的に作り込まれた録音芸術作品との比較であれば話は別)、音質は低域に限ってのみそこそこ、という印象を持ちました。

 

それにしても、あの、福井さんのAuro-3D Naive ソフト、発売してくれないかなあ!もう一度、今度は伊豆のシステムで聴いてみたい!!! 入交さん、頼みますよお(笑)。

2024年7月22日 (月)

Donguri邸Revisitedー「もう、これで打ち止め」、とまた言われましたが・・・(笑)

ちょうど1年ぶりに、Donguri邸にお邪魔して参りました!

 

我々友の会のAuro-3Dオタクは留まるところをみなさん知らないようで(笑)、donguriさんも前回、【実践編】でご紹介した時から<かなりの変化>を遂げておられます。

 

彼はPhil-Mに結構マメにアップデート報告をされておられるので、詳細はこちらのサイトをご覧になっていただければと思いますが、私が、この1年の間の変化で気がついたところだけをざっと列挙すると:

  • ルームアコースティック(自作品多数=笑。ご本人によると、特に、LRの背後へQRDを導入し、音場が奥に広がったことが大きかったとのこと)
  • センターハイトSPの位置の調整(HLCRの高さと距離を揃えた)

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  • SWの強化(B&W DB4S 2台体制に=LRの下のお手製の棚の中に格納されている)
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  • AVアンプの強化(SR-8015から、同じMarantzの最新のCinema 30へ)
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  • Dirac Liveの導入(Bass Controlまでのフルヴァージョン。これだけで800ドル!)
  • LR駆動用パワーアンプの変更(Accuphase E-370 のメイン利用から、LINN4chマルチパワーアンプAKURATE 4200へ。この結果、LRのみならず、Cも同じパワーアンプ使用となった)Img_2709

 

「ざっと」なのにこんなにある(笑=恐らくまだある!)。たった1年で(笑)。「もう打ち止めです」とはご本人のセリフだが、それって、1年前に805D36台揃えたのを機にお邪魔した時も同じことおっしゃっていましたよ!!!(完全に「オオカミ少年」、いや中年=爆)

 

今回は、清里でのピアノコンサートの「ついで」(笑=時系列的にはこちらが先なのですが、まずは礼儀として訪問記を優先!)に立ち寄ったために午前中しかお邪魔する時間がなかったので、着くなり挨拶もそこそこに(笑)、いきなり最近一番のお気に入りのReferenceソフト、Auro-3D Native9.1ch)のピアノソロのLiveアルバム  を使い、早速検聴モードに突入!

 

まずは、前回から大幅に増殖しているルームアコースティックの効果と、Dirac LiveDonguri邸でどの程度の力を発揮しているのかを見極めたく、Dirac LiveOn/Offを試させていただく。使用曲はMozart Piano Sonata No.9

 

Offから聴かせていただいたが、拙宅(伊豆)に比してピアノとの距離感をかなり感じる。お部屋はLPから正面の窓まで、3Mもないのだが、かなり奥行きのある音場になっている。恐らくこれはQRDの効果なんだろうな、と納得(流石に、QRDの「有無」の実験まではできなかった=汗)。

 

ただ、「こりゃ、かなり前と変わったけど、ちょっとピアノが<遠すぎない?>」と内心思ったのだが(笑)、次にDirac Liveをオンにしてもらうと、きちんと「適切な位置」までピアノが出てきた。

 

そして、やはりDirac LiveDirac Liveであった(笑)。私がDirac Live欲しさでStormを導入した時の最初の驚きと全く同様、空間が澄んで、音数が増えて、おたまじゃくしが空間を乱舞するのが見えるような解像度と、低音に芯が通るのを感じた。私はお邪魔する前に仮説を立てていて、「Dirac Liveは拙宅のような左右非対称などの悪条件がある部屋において効果が高いのであって、Donguri邸のような専用室でルームアコースティックに気を配られている部屋では効果が薄いのでは?」との予想だったのだが、完全に見込み違いであった!(まあ、これはグランドスラム邸でも経験しているのだが、再確認させられた) こりゃ、M1邸も軽男邸もいつまでも様子見してないで、やるしかないですよ!!!(笑)

 

ただ、最近聴き込んでいるこのReference曲を聴き進めていくと、拙宅に比してホールのノイズが目立たないことに気がついた。「ノイズが目立たない」というのは、もちろん<音楽鑑賞にとっては褒め言葉>なのだが、オーディオマニア的には(笑)、「おお、ここに微かな足音が!」を発見するというのはオタク的喜びでもある(爆)。つまりは解像度ということになるのだと思うが、天下のダイヤモンドツイーターなのに、ちょっと変だと思い、率直にそれをDonguriさんに伝えると、どうやらDirac Liveのキャリブレーションを完全にデフォルトでなさっておられるらしい。

 

これはあちこちに何度も書いているし、ついこの前もグランドスラム邸で<何度目かの>秘技を披露(笑)してきたばかりなのだが、Dirac Liveはデフォルトでは、スピーカーがなんであれ、f特の補正をほぼフラット(正確にはやや低域上がり・高域下がり)に補正しようとする。これはf特がボコボコの安物のSPなら音質改善につながるかもしれないが、grandslamや805D3といった、マニアからも一目置かれているようなSPは、その音色の「個性」は中高域に宿るのである。ここを均してしまっては、完全にそのSPの「個性」を殺してしまう。SP選びとはつまりは「音色」選びであり、オーナーはその「音色」が気に入ったからこのSPを選んだわけだから、その「大事なところ」をいじってはいけないと私は強く思っている。

 

ということで、Donguriさんの許可を得て、またまた(笑)、Dirac Live出張サービスモードに! PCで計測済みデータを読み出し、1Khz以上はf特の補正はしない(ただし、位相などの補正は有効なまま)設定に変更。再計算後、新しいキャリブレーションファイルを読み込ませて再度、試聴。

 

うーん、うるさくなった(=ホールノイズが=爆)!こうこなくちゃ、このアルバムは!!!

 

ピアノの音も冴えに冴えた。やはりダイアモンドツイーターによるピアノ再生はいつ聴いてもAddictedである(笑)。ピアノの音が冴えたおかげで、S/Nがものすごく向上したように感じられた。

 

Donguri邸のS/Nは、最初に聴いた時から「こりゃ、以前とは比べ物にならんな」と思っていたのだ(ご本人によるとパワーアンプの交換が決定的だったらしいが、ルームアコースティックの度重なる工夫や、MarantzのハイエンドAVプリメインへの交換なども総合的に寄与しているのは間違いなかろう)が、Dirac Liveによるf特補正を1Khzまでに絞ったおかげで、中高域の「もや」が晴れ、さらに「下方リニアリティ」(これは、ご近所でお世話になっているMyuさんの用語。弱音の解像度、というような意味と私は理解している)が向上した感じがした。これなら、深夜に、奥様を起こさないような音量でピアノを聴いても、十分感動できるであろう!

 

さて、さらに聴き進めていくと、ARTによるSolidな低音再生にすっかり耳が慣れてしまっている私(汗)には、ちょっと低域に甘さ(この言葉は、善悪、両義的に使っている)が感じられたので、またまたお節介を(笑)。

 

測定されたLR805D3f特をよく見ると、50Hzあたりに山があり、そこから下は急峻に落ちている。恐らくこの辺に定在波のPeakがあり、その下がバスレフポートのf0?になっているのだろう。これを見た時、私の頭の中では、「ARTならこのPeakは打ち消されるな…」とイメージしてしまったのだが(汗)、Dirac LiveBass ControlDLBC)はデフォルトではSWとのCO値を70Hzにしてあった。つまり、この50Hz近辺は805ではなく、SWに担当させよう、というのがDLBCの作戦のようだ。

 

私はまたまたDonguriさんにお断りをして、実験的にもう一つの補正ファイル(MarantzAVアンプには複数のSlotに補正データを入れることができる)をつくらせていただくことにし、SWとウーファーとのCO値をデフォルトの70Hzから50Hzに下げたものを作ってみた。

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で、早速試聴。

 

狙い通り、低域がSlimになって、私的には締まった感じがしてARTっぽくてそこそこ好みなのだが、やはりこれも事前の予想通り、量感がかなり減少し、オケのコントラバスの通奏低音が細くなってしまい、音楽的な「感動力」が下がってしまった(汗)。実はこの作戦(=SWとのCO値を、Diracのデフォルトより下げる)は、伊豆で最近実行して気に入っているのだが、あちらはチャンデバ化に伴い、ウーファーの低域再生能力(=質)が上がった(気がする=汗)ことに対応したもの。Donguri邸では、805のウーファーの再生可能最下限域を無理に使わず、質のいいSW2台でカバーする方が音楽再生用途としては優れているようだった。

 

これ以外にも色々な曲を聴かせていただいたのだが、長くなるので割愛。最近、すっかりS/Nに耳がいくようになっているのだが、今回のDonguri邸の音は、とてもS/Nに優れた清明で見通しの良い音だった。Dirac Liveもいじらせていただいて、自分としてもまた一つ経験値を上げられた訪問だった。

 

Donguriさん、今度はチャンデバ化した拙宅の、「ホール音」の<うるささ>(爆)を聴きにきてくださいな!

2024年7月18日 (木)

アンプのセパレート化と蓄電機の威力を再確認しました!

今回のネタは、手持ちの機器を「配置転換」し、設定を切り替えただけのお話なのですが、その効果が当初想定したより大きかったので、記事にしてご紹介しようと思い立ちました。

 

私の東京の書斎の、狭小なスペースに無理やり作ってある、「なんちゃって、Auro-3Dシステム」については、以前も【実践編】で紹介しました。

 

そして最近、ハード的にはサラウンドハイトを図らずも(笑)入れ替え、結果的に強化したということも記事にしています。

 

このお部屋の音は人様にお聞かせするほどのものでもないのですが(千客万来・熱烈歓迎=爆=の伊豆の別宅と異なり、これまで、Taketoさん、Tomyさん、K&Kさんしかお招きしていない)、「都市部の狭小なスペースでもAuro-3Dを楽しめるんだ」、ということをアピールするために恥を忍んで(笑)、紹介してきました。

 

SPも機器類もほとんど余り物の寄せ集め(大汗)で、新品で揃えたのは、Auro-3Dの再生ができるミニマムのAVアンプである、Denon3800と、SP取り付け金具(爆)ぐらい。

 

まあ、当初は「実験用、お遊び」という位置付けだったのですが、Dirac Liveにカネを注ぎ込み始めて(すでに800ドル以上、払わされている…)、徐々に音のクオリティが上がってきたのは感じてはおりました。

 

そんな中、「書斎のボロシステムもどげんかせんと!」と思わされたのは、ここでもご紹介した、Auro-3D nativeの、Royal Concertgebouwでのピアノソロのライブソフトを東京の書斎で再生したことがきっかけでした。

 

このソフトはとにかくS/Nの高さが再生のキモで、伊豆のシステムで初めて聴いた時の興奮冷めやらぬうちに東京に戻り、書斎のシステムで同じ曲を聴いた時の「ガッカリ感」といったら!(泣)

 

確かに、東京の書斎のシステムでS/N対策を特段何かしているか、と問われれば、せいぜい、NASにあるAuroNativeファイルを再生する際に、古いノートPCを生贄にしてRoon Bridgeを介していることぐらい(これは、このブログでは詳しく紹介していないかもしれませんが、効果大です)。

 

ここのシステムは、目を釣り上げて対峙する(笑)「本気聴き用」の伊豆のシステムとは異なり、「仕事で疲れた脳を癒す」ためのものという位置付けなので、小編成の音楽を中心にしてあまり大音量では再生しない(住宅街だし…)のですが、やはり「癒し」には、正確なSPレイアウトや厳密なLPの設定による音像定位や性能の高いアンプやSPが実現するダイナミックレンジの広さなんかより、S/Nの方が断然大事だな、と。

 

そこで、実は前々から「脳内シミュレーション」だけはしてあったものの、めんどくさい(笑)ので実行に移していなかった、「書斎システムS/N向上大作戦!」をついにやってみることに。

 

今回の「大作戦」の要諦は以下の2点:

 

①プリアンプとパワーアンプの完全分離

②電源

 

この2点は、S/Nの向上策として、ケーブル類を交換したり下手なアクセサリーをつけたりというような姑息な(笑)手段に比して、確実で、かつ費用対効果が断然高いのは、オーオタなら誰もが知っていることですよね!

 

まず①に関しては、書斎では、昔マランツの8805というAVプリと組み合わせて使っていた、YamahaMX-A5200という、AB級のアナログ11chマルチパワーアンプを、3800と組み合わせて使っております。しかし、これまでは、この5200の持つ、BTL出力機能を使ってみたいと考えて、書斎の9台あるパッシブSPLRDynaudioは内蔵チャンデバ・デジアンPowered)のうち、7台を5200に繋ぎ(BTL2台とバイアンプ1台)、2台だけは3800のパワー部を使うという運用をしておりました。この時の判断は、BTL接続はS/Nはやや落ちるが、パワーアップによるダイナミックレンジの拡大の方を優先させたということです。

 

このBTL接続を通常の接続にすれば、11chのマルチパワーアンプで、9台のSPを全て賄える(センターのSonetto VIIIは、「K&Kフィルター」を使うために、バイアンプが必須なので、10chの出力が要る)ことは当初から理解はしておりました。

 

さらに、この3800というAVアンプには、プリアンプ部を切り離せる機能が付いているのも知ってはいたのですが、チャンネルごとでもアンプをオフにできるために、3800から2ch分だけのパワーアンプを使って、残りの7ch分のパワーアンプを殺せば、十分S/Nは稼げるだろう、という素人考えで、この機能は未使用でした。繰り返しになりますが、とにかく当初はBTL接続による「迫力」を重視したのです。

 

このプリアンプ部を切り離すモードを、Denonでは「プリアンプモード」と呼んでいまして、今回、切り替えに踏み切るべきかを判断するため、その効果の予測をしようと、カスタマーサポートにメールで問い合わせてみました。その回答が以下です。

 

・・・・・・・・・・・・・・

ご質問の件につきましてご案内いたします。

 

Q1: Auro-3D用11.1ch SPレイアウトの状態で、「アンプの割り当て」において、「プリアンプ」モードを選ぶと、5.5.1(TS)で設定したSP配置が、強制的に7.4になってしまいます。Auro-3D11chモード(5.5.1)のまま、「プリアンプ」モードに設定する方法はないのでしょうか?

 

⇒アンプの割り当てで11.1にして設定するとそのまま11ch構成可能ですが、プリアウトのモードにすると、サラウンドバックが有効になりますので、プリアンプに設定した後、レイアウトでサラウンドバックを無しにしてから、ハイト5チャンネルの設定すると可能かと思います。

Q2: 「プリアンプ」モードと、すべてのチャンネルのスピーカー接続を「プリアウト」にした場合とで、内部動作的な違いはあるのでしょうか?

 

⇒アンプの割り当てをプリアンプにすると、すべてのパワーアンプが完全STOPになります。

スピーカーの各チャンネルをプリアンプ(ママ:筆者注=恐らく、プリアウトの間違い)にしてもアンプ自体は動いている状況です。

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

Denon お客様相談センター

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これで設定方法もわかったし(流石にこれ、やる人が余程少ないと考えられているらしく、マニュアルに詳細な実施方法の記述が全くない)、「プリアンプモード」では、パワーアンプ部が完全停止(おそらく電源を止めるのだろう)になるということもわかり、「これはかなりの効果が期待できる」と判断、実行することに!

 

P 【すべてのチャンネルのスピーカー接続を「プリアウト」にした設定画面=パワーアンプ部は作動している】

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p【「プリアンプ」モードにした設定画面=パワーアンプ部を完全にオフ】

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繋ぎ変え作業は少々面倒でしたが(汗)、その甲斐は私の駄耳でも十分わかるほどありました。まあ、2chでもセパレートアンプを持っている方は、全く異なる機能である整流部と増幅部を、電源ごと切り離す効果が特にS/Nに関していかに絶大であるかはよくご存知と思いますので、当たり前すぎて多言を要しないですよね。ただ、「同じアンプをプリメインとプリOnlyに切り替えて聴き比べた」方は少ないと思いますので、改めてセパレートにすることによるS/Nに対する効果をはっきり確認することができました。

 

この効果に気を良くし、さらに②に進みます。

 

これは、伊豆のように独立電源工事なんて大掛かりなことをする気はなく、書斎でこれまで2chシステム(Arcam SA30+Marantz SACD30n1000Mの組み合わせ)用に使っていた、HONDA E-500 という蓄電機を、「AVプリ」となった3800の方に使うという移設をするだけです。この蓄電機は以前、Phile-Webという交流サイトで諸先輩にご教示いただいたもので、当初、伊豆でStormAVプリ用に導入したものです。その効果についてはかつてTomyさんも拙宅で聴いて驚いた、という逸品で(笑)、あまりに気に入ったのでBackUp用にもう一台購入して書斎でも使っていたのです。

 

かつては、「密閉SPならではの音質」を求めたい時には1000Mの方で聴いていたのですが、最近はSWの強化とDirac Liveの導入もあり、書斎の2chより圧倒的にAuroシステムの方の電源を入れることが多くなっていたので、この際、「主力」の座を3800に譲るという象徴的な移設となりました。今回3800を<プリアンプ>としたことで、消費電力がかなり下がったことも、蓄電機の利用の背中を押しました(プリメインモードで使用し続けると、充電が追いつかず2時間ぐらいでEmptyになって電源落ちしてしまう)。

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結果、ボリュームを上げられない深夜のピアノ曲が、落涙を誘いそうなほど(笑)、心に染みるようになりました。かつてモンテモンテさんが、Auroシステムはボリュームを下げても楽しめるのが美点、と指摘しておられましたが、その際、「感動度」をさらに上げるにはS/Nが良好であることが必要条件だと思います。ゆえに、完全防音部屋のない都市部居住者のAuroシステム構築においては、セパレート化と蓄電機、オススメかもです!!!

 

とはいっても、今回、私の場合はすべて手持ちのものを利用したのですが、もしこれをゼロから新品購入するとなると、総額でMarantzのCinema 30が買えるぐらいになってしまいます。となると、セパレート+蓄電機とハイエンドプリメインAVアンプのどちらの方が、S/N他の音質や音像・音場表現に優れているのかという興味が出てきますよね。私の勘だと、メカニズム的に考えてS/Nだけは、セパレート+蓄電機に軍配が上がり、それ以外の部分ではパワーアンプ部の性能はYamahaとMarantzでどっこいどっこいでも、プリ部はDenonのエントリーグレードよりかなりおカネがかかっているであろうCinema 30の方が特に音像・音場表現では上かな?と想像しますが、さすがに残念ながらこれを検証する財力はないので(汗)、この検証はHiViあたりに期待したいところです!(笑)

2024年7月15日 (月)

ついに、11.1chのAuro-3Dファイルのダウンロード販売が始まったようです!!!

これは、前回Are you ready? 上原ひとみin Auro-3D:アナタのシステムで、Auro-3Dフルバージョン13chStreamingは再生できますか?Auro-3Dファイルを正しく再生する方法>」、前々回「たまには、Auro-3D音源の紹介!-最近のダウンロード購入から」と密接に関連したネタです。

 

おさらいになりますが、Auro-3DNativeソースは、規格上は13.1chがフルスペックですが、少なくとも音楽の市販ソフトではこのフルスペック版は今のところ私の知る限り存在しません(泣)。

 

これに準じるスペックが、11.1chで、規格上は5.(1).5.17.(1).4が存在することになっています。この両者の違いは、第一層のサラウンドバックSPの有無と、第二層のセンターハイト(CH)および第三層のトップ(=Voice of God、デノマラでは、TS=Top Surround と表示される)の有無にあります。

 

このブログでも頻出キーワードである、「平面波」の形成は、私はAuro-3D再生における<音質>面での最大の魅力の一つと考えておりますので、個人的には5.(1).5.17.(1).4なのですが、これも残念ながら私の知る限り、現時点で市販されている、11.1chAuro-3D Nativeソフトは、すべて、CH, TS抜きの7.(1).4です。

 

ただし、Auro-3Dの開発に深くかかわったStorm社のAVプリは、CH, TSの重要性をよく認識しているからか、すべてのAuro-3Dソフトに対し、CH, TSチャンネルを必ずEmulationで生成して出力する仕組みになっています(デノマラも「拡張モード」で同様の対応をしています。ただし、YamahaPioneerOnkyoAuro-3DCH, TS抜きしかないという「腰の引けた」=笑=対応をしていますのでご注意!)。

 

市販のAuro-3Dソフトに、CH, TSチャンネルが無い理由は、入交さんによると、「恐らく、3Dフォーマットとして先行して普及しているATMOSSPレイアウトとの互換性を、営業戦略上重視せざるを得ないから」だそうです。ご存知の通り、CH, TSATMOSSPレイアウトには無いため、Auro-3Dというフォーマットを知らない(またはそれに対応したAVアンプを持っていない)方は、CH, TSを部屋にインストールしていません。つまりすでにATMOS用のSP配置を完了してしまっており、わざわざマイナーな(汗)Auro-3Dでしか鳴らないSP2台も天井に追加で取り付けたくない、というATMOSメインの多数派のための、妥協したフォーマットが、CH, TS抜きの9.1chまたは11.1chAuro-3Dソースというわけです(泣)。

 

さて、現在主流のこの二つのAuro-3Dフォーマット、9.1ch11.1chですが、2Lレーベルを中心に数年前にAuro-3D音楽のBDが世に出始めた頃は、9.1chしかありませんでしたが、その後、11.1chのBDも出るようになりました。

 

一方、BDという実ディスクではなく、Auro-3Dファイルのダウンロード販売という方式も徐々に浸透してきており、実ディスクと違って「輸入」する必要が無いことから、今後主力になっていくであろうと予想されます。

 

しかし、このダウンロード版にはこれまで一つ大きな問題がありました。それは、9.1chフォーマットのAuro-3Dソフトしかない、裏を返せば11.1chは実ディスクでしか入手できない、という問題です。

 

私はこの原因は、恐らく96Khz/24Bit のクオリティで11.1chとなると、ファイルサイズが大きくなりすぎてダウンロード販売には向かないと考えているんだろうな、と思っていました。だからこれまで、実ディスクも販売している2Lのサイトでは、11.1chフォーマットのアルバムはBDだけで供給しており、ダウンロード販売はしていなかったのです。

 

たとえば、Best Immersive Audio Album 62nd GRAMMY Winner 2020  を獲得し、「2LレーベルにAuro-3Dあり!」とその名を知らしめた、LUX』も、BD11.1chで収録されているのに、ダウンロードファイルは、9.1chなのです

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ところが、つい最近、見つけたのです!!! 11.1chのダウンロード版Auro-3Dソフトを!

 

それがこれ

 

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Auro-3Dソフトで先行するLレーベルが、ついに11.1ch版のファイルの販売も始めたようです。

 

見つけたからには、「Auro-3D友の会会長」という立場上(笑)、<人柱>となるのは不可避(汗)と覚悟を決めて、入手してみました。先のブログに書いたように9.1chファイルは5.1chファイルの中に折りたたまれておりますが、11.1chの場合は、7.1chファイルに格納されているはずで、それが自分のシステムで無事Unfoldできるのかを試してみたかったからです。

 

先のブログでご紹介した通り、Unfoldに失敗すると、ただの7.1chとしてしか再生されません。

 

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久しぶりにちょっとドキドキしましたが(笑)、幸いにも、書斎のDenonでも、別宅のStormでも、無事Unfoldされ、7.(1).4として認識されました!

 

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ただ残念ながら(笑)、これを含め2Lはかなり「前衛的な」作品が多いので(汗)、古典的な優美でメロディアスなクラシック音楽好きな私としては(笑)、他のレーベルでも早く11.1chAuro-3Dファイルをダウンロード販売して欲しいですね。技術的には可能なことを2Lレーベルが示したと思うので、あとに続くレーベルが増えるよう、皆さんも機会があれば要望を届けていただければと思います。

2024年7月 9日 (火)

「シン・X1おやじ邸」マルチ部屋訪問記-前より何倍も良くなってた!!!

行って参りましたよ!皆さん待望のシン・X1邸!!! 今回は地理的に私のお近くにお住まいの「友の会会員」にお声がけし、都合のついたdonguri, K&K, Cmiyaji, Siltechの各氏と私の5人による「東京組査察団=笑」を結成して。これ、最初、「どこよりも早い・・・」という見出しを付けて書こうと思い、わざわざ「仙台組」の予約の日程の前に無理やり訪問させてもらった(爆)のですが、私より一日先にお帰りになられたSiltechさんに先を越されまして、残念!(笑)。

 

すでにご本人もお書きになっているように、新築なったX1邸は、2chとマルチ(+映画)に、別々の専用ルームをあてがわれておられます。「2chとマルチの共存」というテーマは、記事を書いたら数多くのレスが付きそうな、古来(笑)からある普遍的なテーマですよね。一般的に、マルチ(AV)とピュア?オーディオを両方楽しむ方法論としては、① 2chシステムを包含したマルチシステムを組む ② 同じ部屋の中に、2chシステムとマルチシステムを別々に設置する(=拙宅の方法) ③ 別々の部屋に、それぞれのシステムを組む―の3通りが考えられますが、私のこれまでの短くない人生で、③のアプローチで、しかも<両方ともに専用ルーム>を作ったという「XXXな人」(爆)には初めてお会いしましたワ(笑=2chは専用室、映画=マルチはリビングで、なら結構いるが)。

 

で、私が2ch(マニアはなぜかこれを「ピュアオーディオ」と呼ぶ。私は自分のAuroシステムも「ピュア(マルチ)オーディオ」だと思っているんだけど仲間に入れてもらえない…)について語れるほどの実践経験を積んでいないのは自覚しているので(汗)、2ch部屋のレビューは他の参加者の会員にお任せし、ここでは、シン・X1邸のAuroシステム(AVシステム全般となると、またまた経験不足なので、こちらもパス…)に絞ってご紹介したいと思います。

 

1日目:まずはお披露目編】

 

X1邸には、3回お邪魔したことがあり、2回目の訪問記3回目の訪問の記録はこのブログ内にあります。

 

マルチ部屋のマルチシステムについては、旧来のものをほぼそのまま引っ越しているので、システム機器の詳細はここでは割愛しますが、1点だけ前回お邪魔した時(昨夏の「フォッサマグナツアー」)から大きな変更となっていたのが、これ。

 

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WilsonWatchシリーズとかいうセンターSPです(型番は説明を受けたけど忘れた・・・汗)。LRを構成している同じWilsonALEXXという弩級SPとツイーターやスコーカーなどのユニットが共通しているそうで、前回のCELLO AMATIから変更されていました。

 

このブログを熱心に読まれておられる方はご記憶かもしれませんが、2回目の訪問時に、私は不遜にも(笑)「LRが突出していて、センターレスの方が音がいい」(大意)との指摘を恐る恐る(?)したのです(汗)。まあそのせいではないでしょうが(笑)、その後、センターを交換されていたのです(印象は後述)。

 

一方、お部屋の方ですが、これはまず、前よりはこじんまりとしました(笑)。といっても、これは単に「比較」上の表現で、以前のお部屋は「バレーボールの試合ができそう」だったのが、今度のお部屋は「バトミントンの試合なら出来そう」となっただけで(笑)、平均的なオーディオルームより巨大であることには変わりません。

 

持ち込んだレーザー距離計で実測したところ、長さ7.5M、幅5M、高さはこの部屋の天井は勾配天井で、その下に木枠の桟とFinがあるのですが(暗くてスマホでは写真が撮れず)、取り敢えず部屋のほぼ真ん中あたりで、桟の奥の天井までの距離が約4.2Mありました。LP(床ではない)からVOGまでが2.3Mで、これは伊豆の拙宅と同じぐらいです。

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LCRと後ろの壁(スクリーンではない)までは2M近くはスペースがあり、スクリーンが170インチもあるというのにLRと横の壁の距離も1Mは確保されているという素晴らしさ(普通、スクリーンを部屋幅ギリギリの大きさのものを入れたがる人が多いので、LRが壁にぴったりほとんど接している、というところは少なくない。オーオタなら全員、このSPセッティングは音響的には×なのを知っている…)。LR間は3.5MLPとの正三角形を形成しており、これは伊豆の拙宅より1M近く長い感じ。

  

サラウンドとサラウンドバックは、さすがに同じ距離(3.5M)はLPから離れてはいませんが、角度はPerfect(私は常々、距離は電子的に補正(Delay)できても開き角は補正できないので、「角度」が一番重要と繰り返し主張してます!)で、目測ですがサラウンドがほぼ90°くらい、サラウンドバックが150°あたりでした。サラウンドバックの方がややLPに近いのですが、その代わりこちらはサランネットがかけてありました(笑)。

Img_2689LPの背後には、機器のラック、その後ろにDiscのラックがあり、どちらへもゆったりとアクセスができる空間が取られているので、恐らく、LPから背面の壁までは2M以上はあると思います(これ、反射の観点から、とても重要!ウチの東京の書斎のように壁を背にしたソファで聴いちゃ、「ピュア」とは呼べないわな!=泣)。

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第二層のKEF LS50の位置もAuro-3Dのマニュアル通りで完璧でした!第一層の5chとの垂直関係、仰角、スピーカーの向きの3ポイントとも、<入交氏お墨付きの!伊豆の拙宅>とほぼ同じ感じに見えました。

 

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しかもその取り付け金具がとてもガッチリしていて、これはいいな、と思いました。やはりここの剛性が甘いと共振を招くし、なにより、地震の時に怖いです(汗)。スクリーンメーカーのオーエスのLineUpで見つけたそうで、これは他の方も是非参考にしていただきたいです。

 

部屋の内装は、様々な音響的仕掛け(拡散・吸音)がしてあるようですが、最も目に(耳に)ついたのは、壁に濃紺の「布」が張ってあった点。これはシアター用には迷光を防ぐとともに、オーディオ的には高音の反射を吸収するので、高域はかなりDeadに私は感じました。でも映画で最も重要なセリフの音域は結構ツヤを感じて英語の子音なども聞きやすかったので、中域はそこそこLiveかもしれません。低域に関しては、床が全面コンクリート敷の上に床板なので、「こりゃ、もしかしてマンションみたいに低音の逃げ場が無いんじゃ?」とイヤな予感がしましたが、そこはさすが、TrinnovOptimizerがきれいに整えていて、不快なボワつき音(定在波)とは無縁でした。

 

外形的な紹介はこの辺にして、肝心の「試聴」と行きましょう!

 

すでにお部屋に通していただいた時に、X1さんが拙宅でお聴きになって気に入られてご自分でもお求めになった、RCOGattiの『春の祭典』(BD, Auro-3D 9.0ch)がBGMV付き)風にかかっておりました。これは私の愛聴盤でもあるので、即座に反応! 部屋に入ってすぐの第一印象が、「S/Nが無茶苦茶いいな、これ」でした。エアコンの音が気になるぐらいでしたから(笑)。

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これは言うまでもなく、この部屋の防音性能の高さと、機器類のクオリティの高さ、電源・ケーブル回りの吟味、などの成果ですが、それなら前の部屋も同じです。でも明らかに前のお部屋よりさらにS/Nが良い。

 

なんでかな?と見渡すと、やはり、壁の布のお陰ではないか、と思いました。映画館とコンサートホールって、入室した時の「ザワ感」が全く違いますよね。この違いは言うまでもなく前者がDead、後者がLiveな部屋の作りになっているからです。伊豆の拙宅は、庭木に集う鳥の鳴き声が聞こえる防音性の低さもさることながら(汗)、ここ「シン・X1邸マルチルーム」に比してかなりLiveなので、その差が大きいな、と喝破しました(笑)。

 

さて、BGMモードから「本気モード」にチェンジして、そこそこの音量で(汗)、最初からもう一度『ハルサイ』をお願いしました(スクリーンは上げてもらいました。やはりスクリーンで音が反射するので、スクリーンを上げた方が音に奥行きが出ます。私は伊豆ではAuro-3Dを聴くときは、映像付きのソフトでもスクリーンは出しません)。

 

この時のチェックポイントは、「序奏」後の「踊り」のパートの再生で、Auro-3D独特の音場である、「平面波」が正しく形成されているか?です。

 

実は、先の訪問記に書いたのですが、旧X1邸は、部屋がデカすぎて(笑)、SP同士の距離が離れすぎて、さらに空間容量があり過ぎて、「平面波」の形成がイマイチだったんです。ほとんどLRだけで頑張っている音でした。

 

今回は…迫ってきました!面で!低音が! 写真では暗くて見にくいかもしれませんが、Before/Afterのフロント面6台のSPの位置関係を見比べてみてください。

 

P(以前のオーディオルーム)Img_1882_20240709101601

 

旧邸では、やはりLS50の「守備範囲」を越えた配置だったんですね。新居ではDefender間の距離がコンパクトになって、簡単には低域を後ろに逃がさない「鉄壁の守備」ができたようです(笑)。

Img_2687

ここで、「試聴に入るときにプロの入交さんが必ずやる、オーディオチェックをしてみましょう」と提案し、持参のAuro-3D用のチェックディスクを取り出しました。

 

PImg_2664

 

これは単純に13.1chAuro的に正しくチェンネル分けされているかどうかを確かめるもので、各チャンネルごとに音が出るものです。

 

BDですので、PioneerLX800Discをいれて、メニュー画面から「Auro-3D 13.1ch」を選択して再生すると・・・

 

え、ええーっ(冷汗)

 

第二・三層から音が出てない・・・正確にいうと、フロントハイトLCRから出るべき音がその真下のLCRから、サラウンドハイトから出るべき音が、サラウンドSPから出ている。Trinnovの表示では、「DTS 7.1ch」と認識されてしまっている。これは明らかに、第一層の5chに折りたたまれている、第二層の音をUnfoldできていない。急遽、この問題を解決するのに6人のオヤジ(笑)が総力で、ああでもない、こうでもない・・・と。

 

この先は前回のブログとレス欄を読んでいただきたいのですが、 何とか解決したら、今度は、サラウンドハイトChの音がサラウンドの上にあるSPではなく、リアハイトの位置にあるSPから鳴るという、前回の訪問時に指摘した問題がまだ残っていることに気が付き、「あれ、これリアハイトの無いセッティングのデータを作ることで解決したんじゃ?」というと、「あ、設定切り変えるの忘れてた!」とX1さん(笑)。

 

ここまでで30分近く使ったかしら。「Auro-3D友の会」のオフ会なのに(滝汗)。もう私の持ち時間は終了(他の4人も当然聴きたいソフトがあるので、私一人で独占するわけにはいかない!しかも、午後は私以外の皆さんの「本命」であろう、2ch部屋に移動しないといけないし)。「まあ、明日また来ますから」ということで、初日は私的にはここまで。

 

【二日目:音場・音像・音質編】

 

二日目は、私とKKさんの二人だけで「抜け駆け的に」(笑)お邪魔しました。私は一応「会長」(笑)として、Auroシステムだけは責任を持って(?)きっちりと前回との比較検聴をしなければならないという使命感があり(笑)、前回使用したソフトをPCに入れて、持参してきたのです。本当は初日に他のメンバーの方が居る中でも再生しようと思っていたのですが、前述のように思いもかけない「トラブル」が発生し、時間切れになったため、翌日持ち越しとなりました。

 

例によって(笑)、MacTrinnovにつないで、非売品のAuro-3D Nativeソフトをいくつか聴かせていただきました。

 

その詳細は事情があってここには書けません(詳しく知りたい方は、今度の「懇親会」で!)が(汗)、素晴らしいソフトで、お部屋に3人しかいない状態で(人間は「吸音材」なので、人数が多いと音場が狂うんです、実は。キャリブレーションの時と同じ人数がベスト!)、おしゃべりもせずに(笑)真剣に聴かせていただきました。

 

その結果(笑)、前日からうすうす気が付いていたことに確信が持てました。それは、センターSPを交換した成果です。

 

前の訪問記にも書いたのですが、ぶっちゃけ、旧邸では、センターレスの方が音がよかったんです、マルチでも(汗)。その理由は、あきらかに、LRとの音質が揃っていなかったからです。ピアノソロなんかでも微妙に音がにじんでいるような感じがあったんですが、今回は、そのような違和感が全くと言っていいほどありませんでした。シン・X1邸のセンターは、Auroのマニュアルが要求するLCR同一SPではありませんが、LRとほぼ同じユニットで構成されていて、しかも、数日前にポジションを数センチ上げてLCRの高さをある程度揃え直して再キャリブレーションをしたそうです。

 

その成果は意外なことに、「音場面」で、サラウンドやサラウンドバックの音のつながりの改善にも寄与している気がしました。前回お邪魔した時は、「何を聴いても」(笑)LRが主役で、それ以外のSPは「バラの花束の霞草」(笑)だったのですが、今回はちゃんと一体感があって、全部のSPが正しく「消えている」。これはちょっと自分でも論理的には説明ができませんが(汗)、センターが第一層の中で音色的に浮かなくなったことで、LCRの前方からの音だけではなく、S, SBからの音にも聴感上いい影響を与え、LRを含めたすべてのSPが消える(これは、マルチ再生、特にAuro-3Dでは最高の誉め言葉。拙宅でもMyuさんにそう言われた時はお世辞でもとても嬉しかった! ちなみにATMOSだとSPが<残る>方が望ましいかも・・・)という、最上の状態に近づいたようです。

 

それから、前日に「平面波」形成効果だけは確認した、第二層のSPレイアウトの改善の効果ですが、もう一つ、「音像面」で、「奥行き感の表現」の向上を私は聴き取りました。前回訪問時も今回の訪問時も自分の記憶のReferenceは言うまでもなく、自分のセット(伊豆)であり、この伊豆のSPレイアウトは前回のX1邸評価時とほぼ変わっていないので、自分の中の比較の「軸」は前回と同じなんです。その「軸」から見たときに以前の部屋では、「なんか、ちょっと平面的」な部分が感じられたのですが、今回はくっきり3D(笑)。

 

これはセンターSP交換の効果もあるかもしれませんが、私の長年の(笑)経験では、第二層の働きが奥行き感には効くんですよ、不思議なことに。だから、多分、以前は「そこにSP=音があるだけ」(ATMOSの映画ならこれで十分)でAuro的には有機的に機能しきれていなかった6台のLS50が、SP間の距離が縮まり、空間容量がコンパクトになり、さらにこれが恐らく決定的だと思いますが、「サラウンドハイト」が、<正しく、サラウンドの真上で鳴る>(前回は、「リアハイト」が鳴っていた)ことで、Auroらしい「有機的な結合」を果たしてきたのかな、と分析してみました。

 

最後に、これは初日から、いや前回、前々回から変わらずの印象ですが、拙宅のReferenceとは「音質面」でかなり違う。味わい深い。うちのは「8年物」ぐらいですが(最近、チャンデバ化して余計若々しくなったかも…)、X1邸の音は「24年物」ぐらいの感じ(私は昔、1年間スコットランドに留学していたので、チト、ウィスキーの味にはウルサイ=笑)。しかも、X1さんによると、「まだまだ部屋のエージングが進んでいない。あと数年は音が落ち着くまでにかかる」と言われるので、数年後には、「40年物」ぐらいの超高級ヴィンテージ味になっているのかも?!

 

今からすでに、「再訪」が楽しみです!!!

2024年7月 4日 (木)

Are you ready? 上原ひとみin Auro-3D:アナタのシステムで、Auro-3Dフルバージョン13chのStreamingは再生できますか?―<Auro-3Dファイルを正しく再生する方法>

前々回の記事の最後に、とても画期的なイベントのご案内をしていたのですが、「見出しに取った方が多くの方の目に留まりやすい」とのご助言を受け、「Auro-3Dファンを増やすこと」をMissionの一つに掲げている「Auro-3D友の会」としては、ここにそれを再度宣伝することにしたのですが、実は友の会の仲間うちですら、このKORGが提供するAuro-3Dのフルフォーマットである13chのストリーミングを「正しく」再生するのに苦労をした方が少なくない、という事実に直面しました。

 

さらに、前回、ここで最近私がダウンロード購入したAuro-3D音楽ソースのオススメをご紹介しましたが、Auro-3Dダウンロードファイルもちゃんと[Auro-3D]として実は認識されていないまま再生しておられる方も少なくない…かも?ということで、<Auro-3Dファイルを正しく再生する方法>の奥義(笑)ここに公開したいと思います!

 

まず、Auro-3D13chのストリーミングのご案内の再録

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WOWOWでは6/21Jazz not only Jazzと銘打った主催公演を行い、石若駿セプテット+ゲスト(ゲストの中には上原ひろみも)のAuro-3D Native Live収録をしたようです。

それをKORGが開発している「Live Extreme」で、8/16から1週間のビデオオンデマンド アーカイブ配信をするそうです。

スペックは、96kAuro11.17.14H)48kAuro13.196kAuroHeadphones

参加方法や申し込みなど、詳しくは以下のサイトをご覧ください。

https://teket.jp/10343/35750

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上記については、後ほど詳しく設定の「奥義」(笑)を紹介しますが、その前に「基本のおさらい」を。

 

ここから先は、最近、DenonMarantz(以下、デノマラ)の新型のAVアンプを、(恐らく一義的には映画鑑賞目的で=汗)お買い求めになり、Atmos映画を見るために、5.(1).4またはそれ以上のSP数をセットされ、失礼ながら(笑)「Auro-3Dはオマケで付いてきた」というご認識のユーザーの皆様をメインターゲットとして書かせていただきます。

 

恐らくですが、今、皆さんは「意外にAuro-3Dっていいじゃん!」と思っておられませんか?(笑)Atmosじゃない映画やテレビ放送、または音楽ソフトを再生するときに、「せっかくこんなにたくさんのSPを設置したのだから」と、<拡張モード>と呼ばれる、オリジナルのチャンネル数(2chとか5.1chとか)を拡大する機能を使ってますよね?

 

で、DolbyDTSなどの<拡張モード>より、Auroによる拡張モードの方が好み、という方は私の周りにもたくさんいらっしゃいます(というか、ほとんど100%の方が拡張モードならAuroに軍配を上げる感じ!)。

 

ここで、気が付く方は気が付きます。アナタが気に入っているAuroは、あくまでも拡張モードの「Auro-Matic」というものであって、ホンモノの、「Auro-3D」ではないことに。

 

ここでいう<ホンモノのAuro-3D>とは、録音段階から、Auro-3Dフォーマットでエンジニアリングされているものを言います。詳しくはこのブログの左サイドにリンクが張ってある、「Auro-3Dマニュアル」およびカテゴリー欄の「Auro-3D入門編」をご覧ください。

 

さて、「拡張モード」のAuro-Maticによる音場・音像・音色が気に入ったアナタは、「拡張のMaticでこんなにいい音なら、純粋なAuro-3Dの音はどんな音がするのだろう?」と興味津々のはずです(笑)。

 

そこで、ホンモノのAuro-3Dの音源を探すことになると思います。Auro-3Dの音楽ソースは、以下のレーベルが多く扱っているので、リンクを張っておきます。実ディスクが欲しい方はBD形式となりますし、これらのサイトからダウンロードで、Auro-3Dファイルを購入することもできます。

 

https://www.nativedsd.com/

https://trptk.com/

https://spiritofturtle.com/

https://shop.2l.no/

 

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実は、ここで、強調しておきたい、非常に重要なことがあります!!!

 

Auro-3Dは、SACDなどで先行する5.1chDTS7.1chのマルチチャンネルフォーマットをベースに、それを「3階建て」にしたテクノロジーです。それゆえ、Auro-3D対応していない機器で再生しても、5.1ch7.1chで再生できるという「下位互換」を保った規格になっています。

 

ところが、たまに、Auro-3D対応している機器で再生しているのに2階建て(5+4 & 7+4)や3階建て(5+5+1 & 7+5+1)<ホンモノのAuro-3D>としての再生に<失敗>することがあるのです。

 

これはどういうことかというと、Auro-3Dは下位互換を保つために、5.1chまたは7.1chのフォーマットの中に、2階(4 or 5ch)・3階分(1ch)のデータを折りたたんで(Fold)作成されています。この折りたたまれたデータを、Auro-3D再生に対応しているデコーダーを内蔵しているAVアンプが正しく展開(Unfold)して、ホンモノのAuro-3Dである、9.1ch 11.1ch、あるいは 13.1chとして出力する仕組みなのですが、「何らかの瑕疵」があると、このUnfoldができず、下位互換フォーマットの5.1chまたは7.1chで再生されてしまうのです。

 

ここでTrickyなのは(汗)、もしアナタがAVアンプの設定を「Auroモード」にしていると、Unfoldに失敗して、5.1chまたは7.1chのソースとしての情報しかない(つまり、23階の情報は再生されていない)にもかかわらず、それをAVアンプ側が<ご丁寧に>(笑)Auro-Maticで拡張し、11ch13chにして再生してくれます。だから、本当は<Auro-3D化に失敗した>5chソースの<Auro-Matic>を聴いているのに過ぎないのに、23階から「ちゃんと音が出ている」ために、自分は<正しくAuro-3Dを再生して聴いている>と勘違いしてしまうことが非常に多いのです(大汗)。

 

この「Unfoldの失敗」は、BDでは起きにくいのですが(HDMI周りの不具合などで起きることもある=後述)、ファイル再生だと結構起きます

 

Auro-3DAuro-Matic であることは、両者の違いを聴きなれた「Auro耳」(笑)ができている方であれば一瞬にして分かるのですが、初めてAuro-3DNativeソフトを買った、という方には恐らく耳で聴いただけでは識別できないと思います。どちらも、すべてのSPから音が出ていますので、「包まれ感」だけは共通しているからです(大きな違いは、音場感と音質に出ます。ソースによっては音像定位も狂います)。

 

では、どう見分ければいいのか?両者の簡単な見分け方は、どのAVアンプにもある、InputとOutputの入出力画面を常に確認することです。

 

以下に、恐らく今、Auro対応AVアンプでは最も利用者が多いであろう、デノマラの設定画面を例に取って、説明します。

 

この二つの画面をよく見比べてください(画像をクリック!)。これは私のサブシステムである、Denon3800からのモニター画面ですが、デノマラならほぼ共通している表示画面だと思います。

 

P1.2.Img_0247 Img_0243_20240704193601

 

まず見ていただきたいのが、この両画面の右下の、「Active Speakers」というところ。どちらも、「11.1ch」(3800の最大出力チャンネル数)になっているのが分かると思います。つまり、これはどちらの再生方式でも、同じ数のスピーカーから音が出ているというわけです。

 

しかし、左下の「Input Signal」に違いがある点に注目して下さい。上は第一層の7.1chだけであるのに対し、下はFHL/RSHL/Rと、ハイトスピーカー4台にInputがあることが分かります。

 

つまり、これは、上は7.1ch(実際は5.1chで、SB/LRは存在しない)への入力を11.1chに<Auro-Maticで水増し>しているのに対し、下は9.1chの「2階建て」のAuro-3Dファイルを11.1chに<Auro-3Dで拡張>しているのです(拡張しない設定も可能)。

 

さらに注意深く比較すると、左上の「Signal」の部分で、上は「PCM」となっているのに対し、下は「Auro-3D/PCM」となっているのが分かると思います。どちらもその右側の「Sound」は「Auro-3D」となっているのですが、この表示に誤魔化されてはいけません(笑)。片方は、所詮、「Auro-3Dもどき」のSoundだからです(笑)。

 

さて、Auro-3Dの再生に於いて、Unfoldが正しくできているかどうかを確認することが大切である、ということが分かったら、いよいよ、本命のAuro-3Dフルフォーマット、13.1ch再生に挑戦しましょう!

 

まずは、HDMI出力のあるPCHDMIケーブルでAuro-3Dに対応しているAVアンプにつないで、 Korgの配信テストページにあるWindows/Macそれぞれの設定マニュアルに従ってパラメーターをいじって、このテスト用ストリーミングを再生してみてください。

 

一発で以下の画面が出た方は、もう「免許皆伝」(笑)。これより先は読む必要はありません!

 

P Trinnov Trinnov=左側中央に、FMT: PCM | Auro 13.1 UPMIX: None とあるのが、正常な状態です。Upmix されて Auro 13.1になっている場合は、FMT:PCM UPMIX: Auro-3Dと表記されます(情報は、きょやさん提供。写真も)

 

PSucess-storm  Storm=一番上の黒いバーに、「Upmix」が「Native」(=つまり「素のまま」でAuro-Maticは使っていないという意味)の状態で、その右側に、Audio StreamPCM-Auro-3D 48Khz 13.1 となっていればOK

 

PSucess-denon  デノマラ=Infoボタンを押して、左下のInput SignalCH, TSも入った14Inputが確認できていればOK。左上の「Signal」も「Auro-3D/PCM」となっているはず。

 

上述したように、13.1chの場合は、7.1chの形式のファイルの中に23階部分の6ch分が折りたたまれています。これが上手くAVアンプ側でUnfoldされていない場合は、AVアンプ側のInput表示が、「7.1ch」となってしまっているはずです。

 

このようになっている方は(実は、「友の会」のメンバーでも結構出ました=汗)、以下の諸点をチェックしてみてください(以下は我々の仲間が、MLで情報交換をした成果です。メンバーの「苦闘」(笑)の記録は、ここにもあります。

 

キモ:データがBit PerfectでAVアンプに送られないと、Unfoldできない。つまり、送り出し側で少しでもデータを改変していると、AVアンプ側でUnfoldできないということ。

 

上記を頭に入れたうえで、基本的には、KORGのテストページからリンクが張られてある「設定方法」を<正しく>守れば大丈夫なんですが、うっかり見逃しやすい部分も含め、「友の会」的チェックポイント&Tryすべきことを以下に列挙してみます。

  • PC側の出力は100%か?(99%でも、101%でもダメ)
  • ファイルのフォーマットと、PCの出力フォーマットが一致しているか?例えば、チャンネル数やビット数、周波数。
  • 特に注意しなければならないのは、9chと11chのAuro-3Dファイルは、前者が5.1chソフトで、後者が7.1chソフト。Resolutionはどちらも96Khz/24Bitだが、13chの場合は、48Khz/24Bitに落とす必要がある点。特に混乱しやすいのは、11.1chと13.1chの違いで、どちらも同じ7.1chファイルとして提供されるが、この二つのファイルをデコードする際には、それぞれ前者は96Khz/24Bit、後者は48Khz/24Bitに設定する必要がある。

→Windows の場合

48

→Macの場合

Img_0242

  • HDMI周りの不具合や「相性」の可能性(=恐らくノイズの混入がダメ=この問題はBDでも起きる)
    • AVアンプ側のHDMI入力端子をいろいろと変えてみる(何度か抜き差ししてみる。微妙な接触不良でもUnfoldできない)
    • HDMIケーブルを交換してみる。安物はダメなことが多いが、高級品でも光ケーブルはダメという情報あり。長さは短い方がよい。
    • なるべく変換コネクターは使わない(例えばType CHDMI変換器など)。どうしてもコネクターが必要な場合は、一流ブランドの高級品を使う。

 

我々、「友の会」としては、Auro-3Dに対応しているAVアンプをお持ちの方が、一人でも多く、今夏のKORGのAuro-3D Streaming配信を体験してもらいたいと思っております。ゆえに、もし、KORGのテストサイトで、「正しく」Auro-3Dが再生されなかった方は、まずはKORGに問い合わせて(笑)、それでもダメだったら、この記事のコメント欄に書き込んでみてください。我々友の会は、様々なAVアンプを持つメンバーで構成されており、Mac使いもWindows使いも揃っております。Auro-3Dの普及による、「共存共栄」を願う者として、ボランティアでできるだけのご助言は差し上げたいと思います。

 

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