Sonetto VIII 5ch 完全チャンデバ化プロジェクト(その7:検聴オフ会編)-そして誰も何も言わなくなった?(笑)
普段は、オフ会の記事というのは、自分がお邪魔した先で「発見したこと」を書くのであって、お招きした場合は、こちらとしては普通は「何の発見もない」のであえて書かないのを常としていたのですが、今回だけは別格(笑)。
どう別格かというと、この2月に始めた当初、多くの方から「無謀だ、やめとけ!」と言われた(汗)「Sonetto VIII 5ch 完全チャンデバ化プロジェクト」で、「やる気だけはあっても、知識も経験もない」私のサポートにおいて中核的な役割を担ってくれた、御三方(Myuさん、K&Kさん、Tomyさん)のうち、海外におられるTomyさんを除くお二人への「完成お披露目」であったことに加え、同じ「既製品チャンデバ化仲間」である、Cmiyajiさんもお招きし、さらにさらに、プロのピアニストであられるお連れ合いにも来ていただいたからです。
特にこの、「プロのピアニスト」をお迎えするというのは、Auro-3Dの録音エンジニアの入交さんをお迎えした時と同じぐらい、緊張しまして(汗)。ピアノ好きとしては、もし、「この音、全然ピアノに聞こえない!」なんて言われようものなら、もうオーディオ止めるしかないだろうな、という「悲壮な覚悟」で臨んだのです(大汗)。
結論から言えば、そのような「ダメ出し」は幸いありませんでした。ここに当日皆さんからいただいた「社交辞令」を書き連ねるのは私の趣味ではないので控えますが(笑)、以下に自分の備忘録として、印象に残ったことをいくつか紹介したいと思います。
1.まず、今回の「お披露目」のための<勝負セッティング>ですが(笑)、これは、前回の「再調整編」 で試行錯誤した中の「3番」のパラメーターを全5台に採用し、Dirac Liveのキャリブレーションを行なってARTでの補正をしました。
記事にも書きましたが、この「3番」はMyuさんの一押しでしたが、私は、チェロやボーカルなどの音の厚みがやや物足りず、Sonusらしくない、と感じていたものです。しかし、その後、Siltechさんのところの「課題曲」に使った 、「Eye in the Sky」をReferenceにしてパラメーターをいじって試してみたところ、この「3番」が最も<空間感>に優れていることがわかりました。
ここで、一晩考えたのです(笑)。音質を取るべきか、音場か。そして私が出した結論は、拙宅のSonetto VIII5台は、Auro-3D用なのだから、やはりその最大の特色である、<音場>を優先させるべきだろう、というものでした。この際、<音質>は2chのAmator III+Octaveに任せようと、割り切りました(笑)。
その「成果」を今回ご参加の皆さんに感じていただいたソースは、これでした。
私は実は、「マーラーは苦手」でして(汗)、これまでほとんど真面目に聴いたことがありません。もちろん、よそ様のオフ会では結構よく聞かせていただけるので、オフ会後に自宅のシステムと聴き比べるために、手元に幾つかは置いてあります。ただ、どうしても私の駄耳には冗長に感じられ、構築的な、凝縮された魅力に乏しい、というイメージで(ファンの方、すみません。一個人の感想です!)、敬して遠ざけておりました。
にもかかわらず今回、これをオフ会メニューの一つに加えたのは、Myuさんがブログで、この曲の名盤として私でも知っているショルティ盤を紹介しておられ、 そこのレス欄で、「うちのAuro-Maticによる再生と聴き比べましょう!」というようなやり取りをさせていただいたからでした。
このマイケル・トーマス盤は、SACDマルチなので、これをさらにAuro-Maticにするととても「映える」ことを経験的に知っていますので、これを選びました。試聴に使用したのは、第二部の最後の3パートで、新システムの「空間表現力」がいかんなく発揮されたようです。
2.何曲か聴いていただいている途中、K&Kさんに、「これ、ちょっと低域盛りすぎじゃない?」と言われたのですが(汗)、むしろ今までのDirac LiveのDefaultのターゲットカーブがピラミッド型すぎると私も感じていて、今回それを修正し、低域を控えめに設定していたのです。その証拠(笑)を以下にお見せしたいと思います。
これは、LCRに対するARTによる補正画面ですが、測定されたf特がかなり下の方まで暴れていなかったので(これはチャンデバによる成果かもしれません)、補正の上限を思い切って250Hz近辺にまで下げました。つまり、ウーファーのLPF値よりかなり下だけを補正させたということです。しかも、最下限まで直線的な補正をしようとするデフォルトのカーブを大幅に修正し、ターゲットカーブを測定値のf特なりの素直なものにしました。
これは、SW3台の測定値とターゲットカーブです。これも同様に、測定値なりのターゲットカーブに修正し、低域をなだらかに落としています(つまり、補正によって全く持ち上げていない)。
このように、むしろこれまでのDirac Liveによるデフォルト補正よりかなり低域を「スピーカーなり」にしているのですが、K&Kさんに指摘されるまでも無く、低域は今回、かなりしっかりと出ていたと思います。
恐らく、その原因は、アンプをウーファーに直結したことによる、ウーファーの制動力の向上だろうと思っています。言い換えれば、ユニットの性能限界ギリギリまで使うことができているかと。先のクルマのアナロジーで言えば、MTだとレブリミットのレッドゾーンまでエンジンの回転数を上げることができますよね(ATは基本出来ない。エンジン保護のためその前に自動でシフトアップする)。もちろん、これはエンジンブローと紙一重ですが、ギリギリのところを使えば、最も速くクルマを駆動することができるのは、ちょっとドライビングをかじった方ならご存知でしょう。実は今回、SWとDirac Liveを全く使わない、無補正の2chと5chのConfigも用意して、皆さんにお聞かせしたしたのですが、「これ、本当にSW使ってないの?」(笑)と真顔で何度も尋ねられたぐらい、これまでのSonetto VIIIでは決して再生することができなかった低域が出ていたのです。
3.上記で触れましたが、今回、SWもDirac Liveも使わずに、チャンデバのパラメーターで音圧やユニット別の距離補正をしただけの「無補正」の2chと5chシステムを組んでみたのですが、これが思ったより評判が良く、まあ自分でもなかなかイケてると思いつつも、「ヤバい、これではDirac LiveとSWにこれまでかけてきたコストと時間が・・・」と焦ってしまいました(笑)。
流石に、私の耳では、(超)低域の解像度だけは、SW3台を束ねるARTに軍配をあげていますが、無補正の生々しさも捨てがたく、長らく「Dirac Live教」の熱烈な信者だったのに、ちょっと「信仰」が揺らいでいます(笑)。もちろん、それはあくまでも2chや5chまでの世界に限った話であって、13chもあるSPの音圧、Delay、位相を全て手動で合わせることは拙宅のシステムでは絶対に不可能なので、Auro-3D(Matic)を聴く際の、Dirac Liveへの「信仰」笑には、いささかの揺らぎもありません!
それにしても、この「無補正の、チャンデバ・マルチアンプ化された」Sonetto VIIIの音は、当日、同じ2ch同士で、Amator IIIと比較試聴していただいたのですが、もはや同じメーカーのSPとは思えないぐらいの<違い>ができてしまいました。当初の心づもりではこの事態だけは避けたかったのですが(汗)、前回の「再調整編」のレス欄でTomyさんと議論させていただいたように、途中で「改造前と同じ音色・音質にするのは原理的に不可能」であると気がつき、最終的には、「Sonetto VIII5台は徹底的にチャンデバらしい音にしよう」と開き直りました(笑)。
今回の来客は皆さん、ご自分のシステムがチャンデバ・マルチアンプですので、ある意味「聴き慣れた音」でしょうから、評価は悪くなかったのでしょうが、もし、Sonus大好き派の方が聴いたら、恐らく、泣き崩れる(笑)か怒り出す(汗)と思います・・・まあ、自分的には、むしろ最近影が薄くなっていたAmator IIIのレゾン・デートルが強調される結果となったので、まあ同じ部屋に2セット持つ意味を再確認できたかな、と前向きに受け止めています(笑)。
最近のコメント