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2024年5月

2024年5月27日 (月)

Sonetto VIII 5ch 完全チャンデバ化プロジェクト(その7:検聴オフ会編)-そして誰も何も言わなくなった?(笑)

普段は、オフ会の記事というのは、自分がお邪魔した先で「発見したこと」を書くのであって、お招きした場合は、こちらとしては普通は「何の発見もない」のであえて書かないのを常としていたのですが、今回だけは別格(笑)。

 

どう別格かというと、この2月に始めた当初、多くの方から「無謀だ、やめとけ!」と言われた(汗)「Sonetto VIII 5ch 完全チャンデバ化プロジェクト」で、「やる気だけはあっても、知識も経験もない」私のサポートにおいて中核的な役割を担ってくれた、御三方(Myuさん、K&Kさん、Tomyさん)のうち、海外におられるTomyさんを除くお二人への「完成お披露目」であったことに加え、同じ「既製品チャンデバ化仲間」である、Cmiyajiさんもお招きし、さらにさらに、プロのピアニストであられるお連れ合いにも来ていただいたからです。

 

特にこの、「プロのピアニスト」をお迎えするというのは、Auro-3Dの録音エンジニアの入交さんをお迎えした時と同じぐらい、緊張しまして(汗)。ピアノ好きとしては、もし、「この音、全然ピアノに聞こえない!」なんて言われようものなら、もうオーディオ止めるしかないだろうな、という「悲壮な覚悟」で臨んだのです(大汗)。

 

結論から言えば、そのような「ダメ出し」は幸いありませんでした。ここに当日皆さんからいただいた「社交辞令」を書き連ねるのは私の趣味ではないので控えますが(笑)、以下に自分の備忘録として、印象に残ったことをいくつか紹介したいと思います。

 

1.まず、今回の「お披露目」のための<勝負セッティング>ですが(笑)、これは、前回の「再調整編」 で試行錯誤した中の「3番」のパラメーターを全5台に採用し、Dirac Liveのキャリブレーションを行なってARTでの補正をしました。

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記事にも書きましたが、この「3番」はMyuさんの一押しでしたが、私は、チェロやボーカルなどの音の厚みがやや物足りず、Sonusらしくない、と感じていたものです。しかし、その後、Siltechさんのところの「課題曲」に使った 、「Eye in the Sky」をReferenceにしてパラメーターをいじって試してみたところ、この「3番」が最も<空間感>に優れていることがわかりました。

 

ここで、一晩考えたのです(笑)。音質を取るべきか、音場か。そして私が出した結論は、拙宅のSonetto VIII5台は、Auro-3D用なのだから、やはりその最大の特色である、<音場>を優先させるべきだろう、というものでした。この際、<音質>は2chAmator IIIOctaveに任せようと、割り切りました(笑)。

 

その「成果」を今回ご参加の皆さんに感じていただいたソースは、これでした。

 

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私は実は、「マーラーは苦手」でして(汗)、これまでほとんど真面目に聴いたことがありません。もちろん、よそ様のオフ会では結構よく聞かせていただけるので、オフ会後に自宅のシステムと聴き比べるために、手元に幾つかは置いてあります。ただ、どうしても私の駄耳には冗長に感じられ、構築的な、凝縮された魅力に乏しい、というイメージで(ファンの方、すみません。一個人の感想です!)、敬して遠ざけておりました。

 

にもかかわらず今回、これをオフ会メニューの一つに加えたのは、Myuさんがブログで、この曲の名盤として私でも知っているショルティ盤を紹介しておられ、 そこのレス欄で、「うちのAuro-Maticによる再生と聴き比べましょう!」というようなやり取りをさせていただいたからでした。

 

このマイケル・トーマス盤は、SACDマルチなので、これをさらにAuro-Maticにするととても「映える」ことを経験的に知っていますので、これを選びました。試聴に使用したのは、第二部の最後の3パートで、新システムの「空間表現力」がいかんなく発揮されたようです。

 

2.何曲か聴いていただいている途中、K&Kさんに、「これ、ちょっと低域盛りすぎじゃない?」と言われたのですが(汗)、むしろ今までのDirac LiveDefaultのターゲットカーブがピラミッド型すぎると私も感じていて、今回それを修正し、低域を控えめに設定していたのです。その証拠(笑)を以下にお見せしたいと思います。

 

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これは、LCRに対するARTによる補正画面ですが、測定されたf特がかなり下の方まで暴れていなかったので(これはチャンデバによる成果かもしれません)、補正の上限を思い切って250Hz近辺にまで下げました。つまり、ウーファーのLPF値よりかなり下だけを補正させたということです。しかも、最下限まで直線的な補正をしようとするデフォルトのカーブを大幅に修正し、ターゲットカーブを測定値のf特なりの素直なものにしました。

 

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これは、SW3台の測定値とターゲットカーブです。これも同様に、測定値なりのターゲットカーブに修正し、低域をなだらかに落としています(つまり、補正によって全く持ち上げていない)。

 

このように、むしろこれまでのDirac Liveによるデフォルト補正よりかなり低域を「スピーカーなり」にしているのですが、K&Kさんに指摘されるまでも無く、低域は今回、かなりしっかりと出ていたと思います。

 

恐らく、その原因は、アンプをウーファーに直結したことによる、ウーファーの制動力の向上だろうと思っています。言い換えれば、ユニットの性能限界ギリギリまで使うことができているかと。先のクルマのアナロジーで言えば、MTだとレブリミットのレッドゾーンまでエンジンの回転数を上げることができますよね(ATは基本出来ない。エンジン保護のためその前に自動でシフトアップする)。もちろん、これはエンジンブローと紙一重ですが、ギリギリのところを使えば、最も速くクルマを駆動することができるのは、ちょっとドライビングをかじった方ならご存知でしょう。実は今回、SWとDirac Liveを全く使わない、無補正の2chと5chConfigも用意して、皆さんにお聞かせしたしたのですが、「これ、本当にSW使ってないの?」(笑)と真顔で何度も尋ねられたぐらい、これまでのSonetto VIIIでは決して再生することができなかった低域が出ていたのです。

 

3.上記で触れましたが、今回、SWもDirac Liveも使わずに、チャンデバのパラメーターで音圧やユニット別の距離補正をしただけの「無補正」の2chと5chシステムを組んでみたのですが、これが思ったより評判が良く、まあ自分でもなかなかイケてると思いつつも、「ヤバい、これではDirac LiveとSWにこれまでかけてきたコストと時間が・・・」と焦ってしまいました(笑)。

 

流石に、私の耳では、(超)低域の解像度だけは、SW3台を束ねるARTに軍配をあげていますが、無補正の生々しさも捨てがたく、長らく「Dirac Live教」の熱烈な信者だったのに、ちょっと「信仰」が揺らいでいます(笑)。もちろん、それはあくまでも2chや5chまでの世界に限った話であって、13chもあるSPの音圧、Delay、位相を全て手動で合わせることは拙宅のシステムでは絶対に不可能なので、Auro-3D(Matic)を聴く際の、Dirac Liveへの「信仰」笑には、いささかの揺らぎもありません!

 

それにしても、この「無補正の、チャンデバ・マルチアンプ化された」Sonetto VIIIの音は、当日、同じ2ch同士で、Amator IIIと比較試聴していただいたのですが、もはや同じメーカーのSPとは思えないぐらいの<違い>ができてしまいました。当初の心づもりではこの事態だけは避けたかったのですが(汗)、前回の「再調整編」のレス欄でTomyさんと議論させていただいたように、途中で「改造前と同じ音色・音質にするのは原理的に不可能」であると気がつき、最終的には、「Sonetto VIII5台は徹底的にチャンデバらしい音にしよう」と開き直りました(笑)。

 

今回の来客は皆さん、ご自分のシステムがチャンデバ・マルチアンプですので、ある意味「聴き慣れた音」でしょうから、評価は悪くなかったのでしょうが、もし、Sonus大好き派の方が聴いたら、恐らく、泣き崩れる(笑)か怒り出す(汗)と思います・・・まあ、自分的には、むしろ最近影が薄くなっていたAmator IIIのレゾン・デートルが強調される結果となったので、まあ同じ部屋に2セット持つ意味を再確認できたかな、と前向きに受け止めています(笑)。

2024年5月23日 (木)

静電式スピーカーを体験してきました!

久しぶりに、グランドスラム邸に行って参りました。「久しぶり」と言っても、昨秋以来ですが(http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2023/10/post-a0fd8e.html)、東京と会津って結構<時間的な距離>(会津には新幹線は通っていない)があるので、年に2回ぐらいのペースでお邪魔しているって、盆と正月の実家への里帰りでもあるまいに(笑)。

 

さて、今回の訪問に際しては、彼のところでAuro-3DMatic)に関する新展開があったわけでも何でもないので(汗)、最初は記事にするつもりもなかったのですが、まあ、せっかく会津まで行ったんだしということで、でも友の会的には「訪問記」としては書きにくく、「その他のオーディオ関連」カテゴリーで簡単に紹介したいと思います。

 

今回の訪問の主目的は、実は、今、Auroシステムを導入しようかどうか検討中の名古屋のOさん(春に拙宅に「試聴」にお越しになっている)が、「判断材料としてグランドスラム邸でも是非Auroシステムを試聴したい」ということで、かつてご自宅でのハープシコードの私的コンサートにグランドスラムさんと共に招かれた(http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2024/03/post-e07284.html)ことの御礼も兼ねて、随行することにし、あわよくば(笑)グランドスラムさんと二人で「友の会」に引き込もうというものでした(笑)。

 

グランドスラムさん的には、なんと、昨秋お邪魔したときに、なぜかうまくいかなかったARTのキャリブレーションが、未だ「そのまま」で放置されている(汗)というので、わざわざ私の宿泊費を出してまで(笑)呼び寄せたかったらしく・・・うーん、私、NaspecDirac Liveの社員じゃないんだけど(爆)。

 

そして私的には、「中古で集めた静電式SPの修理を終えたので、一度聴いてみない?」とのオーオタごころをくすぐるグランドスラムさんの甘言に抗えなかった(笑)、というところです。

 

かくして、三者三様の思惑を持って(笑)会津の地に集合したわけですが、先のOさんがどのようにお感じになってどのように判断されたのかは、いずれ「公共財」とすべくどこかに紹介してみたいとは思いますが、今はこちらとしてはJust Wait and See!という状態。グランドスラムさん関連では、今回はわざわざ私のMacMicを持参したお陰で(笑)、幸い、無事ARTのセッティングが成功したので、これはいずれご本人がその印象を含めどこかに書いてくれるでしょうから、それを待つことに。

 

ということで、残るネタは私が関心を持って聴かせていただいた、静電方式による2chシステムの話なので、ほとんどAuro-3DMatic)には関係ありません…(汗)。

 

まあ、でもなかなか「世にも珍しいもの」であることは間違いないため、紹介する意味が全く無いわけでもないので、以下にチラッと(笑)。

 

まず、最初に聴かせていただいたのが、これ。

 

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「静電式」というのはかつて高校生の時に一度だけ、名古屋の栄電社でQuadというメーカーのものを聴かせてもらった経験があるのですが、これはその同じQuad社の製品で、21世紀(アバウトですみません。グランドスラムさん、フォロー頼みます!)に入ってからの、比較的新しいものだそうです。なんか背の低めな、黒い「モノリス」のような(笑)見た目です(昔聴いたQuadはもっとWoodyだった記憶が…)。

 

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これは背面なのですが、よく見ると、スピーカー端子の横に電源端子があるんです。そう、お詳しい方はよくご存知でしょうが、「静電式」のSPというのは、常に電源につないで電圧?をかけていないと音が出せないそうで、でもパワーアンプが内蔵されているわけではないので、さらにそれも別途必要という、なかなか手のかかる(というか、設置場所が限定されそうな)仕組みのようです。

 

実は今回は同じ静電式でメーカー違いでもう1セット聴かせていただくことができました。

 

それがこれ。

 

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こっちは、完全にあの巨大なグランドスラムが見えなくなっていることから想像できると思いますが、高さは正真正銘の「モノリス」(見たことないけど=笑)ぐらいありますが、仕上げがWoodyでサランネット(というか取り外しができない、保護用の布切れという感じ。一部ほつれているのは御愛嬌!)もベージュという家具調になっていました。これは日本製でSTAXというメーカーが40年?近く前に作ったものだそうです。言うまでもなく静電式は精密機械なので、OH無くしてこんな古いものからまともに音が出るわけがなく、手練れの職人さん?の元から戻ってきたばかりだとか。

 

こちらも静電式の証、パワーアンプからの入力のほかに、電源供給が必要です。

 

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さて、この二つを聴かせていただいた印象として、私が最初に感じたのは、「位相が合っている音だなあ」というものでした。幸か不幸か(汗)、私は位相にはちょっとうるさいのです(笑)が、何度も書いている通り、「位相の揃っている音」というのは、真冬の田舎の山の上で晴天の夜中に見る、「満天の星」のイメージです。遠近感があり、澄み切った音質・音像・音場感があります。

 

この印象をお伝えしたら、グランドスラムさんによると、何でも静電式SPというのはフルレンジなんだとか。ほう、ということはこれは入交さん愛用の「目玉のおやじ」と同じということで、そりゃあ、原理的に位相の狂いがほとんど生じないはず。

 

しかも、真裏からも全く同じ音が出ているそうで、ほんとかよと試しに後ろに回っても音楽を十分楽しめました。つまり、これって、かつてtaketoさんのところで聴かせていただいた「オープンバッフル」という仕組みと同じ? 言われてみると透明感と低域の薄さ(汗)が共通してました(笑)。

 

ボーカルと弦が特にいい、というのでたっぷり聴かせていただきましたが、普段Sonusの甘い音に慣れ切っている私の耳には、弦(特にチェロ)はAmator IIIOctaveの方が好みでしたが、ボーカルの再現性は素晴らしいものがありました。単に甘いという色付けをしているというよりは、Breathが分かる感じ、といえば表現できているかな?男性ボーカルも女性ボーカルも、やっぱりフルレンジでクロスオーバーが声の帯域内に無いからでしょうか、また、静電式というのは微細な信号をコーンをマグネットで振動させる普通のSPよりOmitしないのでしょうか? 専門的な知識はないワタシですが、とにかくボーカルは特に素晴らしかったです(念のため、先日Siltechさんのところで聴いてきた、「Eye in the Sky」も再生してもらいましたが、最初の数フレーズで聴くのを止めました=汗。RockのようなPulsiveな低音との、二兎は追えないようです)。

 

QuadSTAX の比較では、似た傾向にありましたが、やはりSize does Matterなのか、低域の再生能力に於いては、より大型のSTAX に分があると駄耳では聴きました。ちなみに、グランドスラムさんによると、この両者を聴き比べると78割の方はSTAX に軍配を上げる、とのお話でしたが、実は私は少数派のようです(汗)。Quadの方がより設計が新しいからでしょうか、位相耳のワタシにはより「すっきり」聴こえたような気がしました(ただし、静電式というのは電圧?をかけてWarming Upをしてからの方が音が良くなるそうなのですが、今回は設置場所と時間の都合もあり、つないですぐ音出ししていましたので、私のImpressionは話半分に聞いておいてください!)

 

かなり独特な魅力を感じ、これ、まるで畳一枚のような「板」なので(笑)、タペストリーみたいに壁に掛けられるのなら、伊豆の家の階段の吹き抜けの壁にでも掛けようかなと、グランドスラムさんにどちらか譲ってもらおうかと一瞬考えましたが、先に書いたように後ろからも全く同じ音が出るため、セッティングに際しては背面に相当なスペースが必要なようです(汗)。ある意味、大きなお部屋の真ん中に「間仕切り」のように置くと、それで仕切られた二つのスペースの両方で同じように「いい音楽」が楽しめるので、そういう使い方がベストなのかも!

 

最後に、無理やりAuro-3D(Matic)に結び付けてちょっと妄想してみたのですが、こういう原理的に位相の狂わないSPにぐるっと囲まれたマルチチャンネルシステムの音は素晴らしいだろうな、と思う反面、まるでストーンヘンジの中で「宇宙と交信している古代人」(爆)みたいな「変な気分」になりそうな気がしてきて、妄想を止めました(笑)。音は耳ではなく、脳(つまり視覚も入る)で聴きますからね!

2024年5月11日 (土)

『Auro-3D入門』<実践編>(No.8 Siltech邸)-空間表現で2chに負けるAuro-Maticなんてあり得ないでしょう?(笑)

久しぶりの、実践編です。今回は、千葉のSiltech邸にお邪魔しました。

 

Siltechさんは、この3月末に、ここのブログを通じて連絡をいただきまして。その主訴()としては、「DVD-Audio、BD、SACDのソースで、音だけのマルチチャネルを再生も時々していますが、いまいち、感動することができず、2chに戻ってしまいます」というもの。「友の会」のブログを読み込んでいただいたようで、Auro-Maticならお好きなプログレ2chソースの新しい側面を見せてくれるのではないか、と思われたようです。彼との詳しいやり取りは、以下の二つの記事のコメント欄にあります。

 

http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2023/06/post-10c9b4.html

http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2024/04/post-019455.html

 

決断と行動のずいぶん早い方のようで()、4月末までにはAVアンプとしてDenonA1Hを入手され、Auro-3DMatic)用のTOPVOG)スピーカーも電気屋さんに取り付けさせましたとの連絡をいただきまして。

 

こうなると、Auro-3D友の会会長()としては責任重大でして(汗)、「こりゃ、一刻も早く伺って、最初のクリニック(上から目線ですみません…笑)をしなきゃ」ということで、行って参りましたよ、千葉まで。

 

お会いしてすぐに判明したのが、私と同学年だということ。私もプログレにハマっていた時期があり、上記やり取りの過程で「世代が近そうだな」とは感じていたのですが。ということで早速打ち解けて(=得意!)、いきなり本題に。

 

まずはSiltechさんのメインシステムの2chから紹介していただく。このブログの趣旨は言うまでもなく「Auro-3Dシステム」の紹介ですから、これまでも2chシステムを別に持っている方のシステムについてはそれほど詳しくは書いておりませんので、ここでも簡単に留めておきます(というか、私では説明されてもよくわからなかったというのが本音=汗。グランドスラムさんなら興味津々だろうなあ!)。

 

スピーカーは、InfinityというメーカーのIRS-BETAというものだそうで、X1邸のYGのように、中高域のタワーと低域のタワーが分かれています。中高域に使われているユニットはリボン型?静電型?のようです。リボン型は、友の会のシバンニ邸のPiegaシステムによるAuro-3Dを聴かせていただいていますし、KK邸や私の東京の書斎でもスーパーツイーターとして馴染みがあります。静電型なら昔、Quadというメーカーの「衝立」というか、北海道の家によくあるパネルヒーター()みたいなものを聴いたことがありますが、それ以来かも(グランドスラムさんが今度STAXを聴かせてくれるはず!)。それにしても、よほどインピーダンスが低下することがあるようで、再生中、Jeffが時々気絶してました(音量が大きすぎた?=汗)。

 

P1.右側がInfinity(ch再生用) 左側がFocal Grande Utopia(映画・マルチ再生用)

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P2. これはInfinityの低域タワー。パッシブウーファーが4つ。Focalの後ろの方に、内向きに置いてある。

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P3. これは駆動用のパワーアンプ。つい数年前まではお店でしか見たことがなかった超ハイエンド品なのに、なぜかいつの間にか「ここもか」って感じで見慣れてしまっている…(爆)

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P4. これはDeqxとかいうメーカーのプリ(?)で、Dirac Liveのような音場補正もしているらしい。説明されたけど私にはよくわからなかった・・・(汗)

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P.5 これもなぜかここ2,3年、すっかり見慣れてしまって驚かなくなった()、エソのハイエンドソース機器群。

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ここまでで十分お分かりのように、部屋は吸音、拡散の工夫に溢れ、20畳ほどの広さの床は、スピーカー部はコンクリート敷きの完璧な剛性、ケーブル類はハンドルネームから推して知るべし、仕上げに「My電柱」までお持ちの、全くスキのない、コアなベテランオーディオマニアであられます。

 

次に、マルチチャンネルシステムの説明を受ける。

 

こちらのシステムの紹介こそが、本命であるべきなのですが・・・() フロントLRは、Infinityの隣にある、Focal Grande Utopia。これは初期モデルなんでしょうか? 最近TIASで見た最新のものと同じではないことだけは私にもわかりますが(汗)。

 

P6.TOPスピーカー(Polk Audio ES35

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P.7 Center (celestion100+なんか小さいのが棚の裏に他に2台あった…)

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P8.  Surround (Diatone DS1000z

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P9.  Surround Height (manger)

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P10. Surround Back (B&O) ただし、SB Heightの位置に設置してある

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P.11 A1HOPPO 205

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P.12 Front Height (Bose)

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P.13   Front Center Height (celestion100)

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うーん、どう見ても典型的な「LR突出型」で、嫌な予感・・・() これらのSP群を、今はAudysseyで補正しているそうですが、何と!パワーアンプも全部A1H一台に任せているとか!(いくら何でもFocalのハイエンド超大型SPAVプリメインの2/16のパワーでドライブって・・・笑)

 

さて、一通り機器の紹介を受けたところで、最初の「お題」として、Alan Persons Projectの「Eye in the Sky」を、まずはSiltechさんお気に入りの2chシステム(Infinity)で聴かせていただくようお願いしました。

 

曲が終わると、すぐに「同じ曲で、Auro-Matic(Focal etc.)で聴かせてください!」

 

次に、「Auro-Matic(Focal etc.) のセンターレス設定でもう一度!」

 

というわけで3回、同じ曲を最初から最後まで聴きました。

 

ウーム、なぜか2ch(Infinity)の方が奥行き感が出ている・・・(泣)。Auro-Matic(Focal etc.) だと、Denonの押し出しの強いところが裏目に出るのか、音が前に揃ってしまって平面的になってしまう。上にも後ろにも、13chもあるはずなのに。そして、Auro-Maticでのボーカルの音質は明らかにセンターレスの方が良かったです。ここのセンターとLRの落差は、グランドスラム邸やX1邸、Cmiyaji邸の比じゃないぐらい激しいから、これは完全に予想された結果…

 

最初の奥行き感の差に関しては、「位相耳」の私には、2chの方が完全に位相があった音に聴こえました。位相が合うと空間が広がって遠近感が出て、くっきりとした「冬の夜空」になるのだけど、これは完全にInfinityの方が優れていましたね。恐らく、あのスピーカーのリボン?静電?って、原理的に<タイムアライメント由来の位相>は狂いにくいのでは?だって、全部平面だもん()。実は今、伊豆に来ていて、この原稿を書く確認のために、拙宅のシステムでも、まずはSonetto VIIIの2chで「Eye in the Sky」を聴いてみたのですが、すると、この曲は前回の記事でいうところの3番の設定の方が空間感に優れるんですよ…これはMyuさん一押しの設定で、なるほど、音源が変わると「視点=聴点」が変わり、評価も変わるんだな、と、また迷路に・・・泣。

 

 

ちょっと脱線しかかりましたが(汗)、一方、マルチチャンネルシステムの方は、やはりAudysseyの音響補正では限界があるよなあ、と強く感じましたね。全く位相がバラバラな感じの音でした。ここはDirac Liveを導入すれば、もう少しは改善するような気はする。

 

ただ、それ以外にも問題がありました・・・(汗)。実は最近の私は位相に敏感だけではなく、「歪」にもやたら敏感になりまして()。東京の書斎で2回、伊豆で1回、歪を検知していますから、もうほとんど「探知犬」並み()

 

で、ここでも感じてしまったんですよ。最初の「Eye in the Sky」をAuro-Maticで聴いているときから、右のサラウンドハイトとして使っているMangerに。このSPは見るのも聴くのも初めてでしたが、「モニターSPとして超有名」ってことぐらいはさすがの私でも知っていたので、どんな音がするのかと興味津々で耳をそばだてていたら…(前からの音だけに集中しない、<Auro耳>ですので・・・笑)

 

恐る恐るSiltechさんに申し上げて、確認のため「歪みやすい名倉のマリンバ」(Auro-3D)を再生してみると、結局両方のMangerが派手に歪んでいることが発覚し、これ以上、聴いていられなくなったので、Siltechさんが2台のMangerSPケーブルを抜いてしまわれまして(汗)。

 

つまり、ここから先は、サラウンドハイト抜きのAuro-3DMatic)再生となってしまったので、全くFairな評価にはならなくなりました()。ゆえにリュックに入れてたくさん持ち込んだAuro-3Dソフトも、まあせっかくだからいくつか聴きはしましたが、特に上方の音像定位が乱れてしまってダメでした。なぜかのメカニズムは説明できませんが、全体的に音像が高くなり過ぎてしまっていました。

 

まあ、それでもSiltechさんに「面白いなあ、ちょっと本気で取り組んでみようかなあ」と言っていただいたので、<種まき>としては良しとしておきましょう()

 

結局、後半戦は私の「検聴」はあきらめ、同年代Talkに花が咲きまして()Siltechさん手作りのおつまみ(料理、お上手!)をいただきながら、シャンパン系の泡ワインをしこたまいただいて、気が付いたら8時間近くもお邪魔してしまいました!

 

ということで、次回はSiltechさんを伊豆の<総本山>(自分で言うな!=爆)にお招きすることになっていますので、そこでAuro-Maticの可能性を彼がどう判断するか。責任重大だなあ()

 

その前に、いいかげん、チャンデバの設定決めなくちゃ!(大汗!!!)

2024年5月 2日 (木)

Sonetto VIII 5ch 完全チャンデバ化プロジェクト(その6:再調整編)-過ぎたるは猶及ばざるが如し

癪である(笑)。この記事を書くこと自体が(泣)。

 

つい先日、「調整完了」と題した記事を書いた、その舌の根も乾かぬうちに…前回の記事の最後に、「あとは鳴らし込んで」と書いた通り、Auro-3Dの様々なソースで聴き込みを開始して三日。「嫌な音」がするソースが見つかってしまったのです。

 

この「嫌な音」というのは、自分だけの感覚的なものなので、言語化するのが難しいのだが、最初、私はスピーカーが「歪んでいる」のだろうと、ユニットを疑った。詳細は割愛するが、その後Myuさんにご助言を求めて、あれこれ「実験」をするうちに、ユニットのせいではなく、どうやら、私のチャンデバ設定のせいだということが分かってきた。

 

そこで、仕方なく、「振出しに戻る」(泣)。以下は、チャンデバをいじったことの無い人にはほとんど実用性はない内容なのだが、個人的には「Multi-Wayスピーカーそのものの仕組み」というものに対して、ものすごく理解が深まった、と<負け惜しみ>を言っておこう(笑)。

 

GWの初日に、最終?設定の「決め手」となったのは、前回の記事に書いたようにチェロの再生音だった。チェロの胴鳴りをSonetto VIIIが「魅力的に」増幅する設定として選んだのは、下記であった。

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ちなみに、Sonetto VIIIのデフォルトのCOは、270Hz3000Hzである。この値をチャンデバで設定して、24B/octでつなぐというのは、もちろん、改造後の一番最初にやったことであり、クリーンではあるが、恐ろしいほどつまらない音が出た。当然である。既製品は、中高域のユニット二つを「逆極性」にしているのだから。PC上の操作で、この二つのユニットをInvertにすると、「いい音」になることは確認済みだ。

 

しかし、今回、チャンデバ・マルチアンプ化の改造に踏み切った最大の「合理的理由」は、Sonetto VIII3ユニットをすべて「正相接続」にして、Auro-3Dを構成するこれら5台以外の8台の2Wayスピーカー(=すべて正相接続)と極性を合わせたかったからである。ゆえにここは絶対に譲れない。全ユニット正相接続を前提に、如何に魅力的な音を鳴らすSPに仕立てるか。これが今回のプロジェクトの最大の課題であり、「迷走」の出発点である(笑)。

 

先の記事に書いた通り、ボーカルを中心に調整を進め(この段階ではf特も計測した)、今回伊豆に来て、Auro-3Dシステムに組み込んで<最後>(となるはずだった…)の調整に使ったのが、鈴木秀美「バッハ無伴奏チェロ」SACDマルチをAuro-Maticにしたものだった。Auro-3DNativeソフトにもこの有名なチェロの演奏は収録されており、もちろんそれも使ったのだが、昔から一番聴きなれているこのアルバムを最後には使ったのである。

 

朗々と鳴り、伊豆の部屋全体が美しく共鳴しているような感覚を得られていた。

 

満足して、一晩ぐっすり寝て、翌朝から他のソフトを聴き始めた。

 

その中に、私の「決めソフト」の一つである、名倉のマリンバ演奏がある。言うまでもなく、これは私がご指導を受けている、入交英雄氏の作品である。東京の関口教会という、残響音6秒という丹下健三設計のコンクリート造りの尖塔の中で録音されたものだ。

 

マリンバというのは不思議な楽器で、基音が1Khzほどありそうな音階の鍵盤?を叩いているのに、「逆倍音」?なのか、かなりの超低音も付帯してくる。もしかするとこれはマリンバ、というより、関口教会独特の現象かもしれないのだが、この高域と低域が合わさって得も言われぬ波動が生まれ、普段はそれが私の琴線に響くのだが、今回はどうも、琴線に届くどころか、「胸騒ぎ」を招くような、不快な音波が発生しているような感じを受けた。

 

他にもいくつかのAuro-3Dソフトを聴いてみると、もう一つ、「嫌な音」が乗る音源が見つかった。『The Horn in Romanticism』である。

 

高校生の頃、地元名古屋のオーディオショップに入り浸っていたころ、ブルックナーの交響曲が好きだと言ったら、「ソフトドームにホルンは鬼門」ということを店長が言っていたが、確かにSonetto VIIIのツイーターはシルクドームであり、1000Mのようなハードドームや、JBLのようなホーンのツイーターほどには、管楽器は鋭く吠えない(笑)。それは分かっていても弦楽器の美しさにシルクドームを選び続けているのであるが、それにしても、改造後のSonetto VIIIからは耳障りなホルンが聞こえる。何かに共振をして、それが音を汚している感じがした。

 

先にも書いたがユニットの故障ではないとすれば、パッシブネットワークで使っていた時はこんな音は出ていないのだから、これは単純に私のチャンデバ設定のせいである。

 

そこでもう一度オリジナルのパッシブネットワークのCO値を再確認したうえで、私の「チェロ偏愛設定」で思いつく「嫌な音を出す原因」としては以下の2点。

 

  • ウーファーのハイカットを上げ過ぎている?(270500)ただしこれは、ウーファーユニット単体のf特を見る限りでは、「余裕で出せる」帯域のはずだが・・・
  • スコーカーとツイーターのクロスオーバー帯域を重ねている→オリジナルは3000だが、私の「チェロ偏愛設定」(笑)では、スコーカーのハイカットを3500とし、ツイーターのローカットを2500として、25003500の間は両ユニットから100%出力をダブらせていた。f特を見る限りは、この設定の方がフラットになるのである。

 

そこで、「チェロ偏愛設定」を1として、他に、2-4までの3つの設定を新たに作ってみて聴き比べることにした。

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試聴に際しては、チャンデバの設定の違いの音だけに集中するため、Sonetto VIII2台による、LRステレオ再生のセッティングを作り、SW無しのLarge設定、もちろんDirac Liveも無しの完全な「素の状態」とした。マルチソースも再生時には2chDownMixして試聴した。

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まずは問題の、名倉『Bach ParallelsAuro-3D

 

低域は、パッと聴きでは、確かに1の方が2より「ふくよか」で量感がたっぷりあるが、長く聴いているとやや「気持ちが悪くなる」感じの音であることが分かった。2の方が残響音がすっきりとスムースで、「あく」がない感じ。チェロなら1だったのだが、マリンバ(残響音たっぷりの関口教会録音)では、2の方が聴きやすい。

 

高域で、フィナーレに鉄琴(またはトライアングル?)を打ち鳴らす曲がある。ここは2の方が、「金属の硬質感」がはっきりわかる。重なりの多い1だと少し、寝ぼけた音になる。ここでツイーターのCO3500に上げて重なりの無い3にすると、やや硬質感が落ちる。自分の好みは2である。4にすると「木質感」が落ちる。

 

次に、ピアノとボーカルを試したいと思い、Thomas Quasthoff「魔王」p. Argerich: 2ch Stereoを聴き比べた。

 

独唱は、1より2の方が、ドイツ語の子音がはっきり聞こえるし、高音の声に艶がある。4は子音はよく聴こえるのだが、どうも歌い手の「熱」を感じない。

 

ピアノは、1は音が低すぎて華やかさが薄い。2,3の比較では、打鍵時の「強さ」の点で、2が3より勝る。4はあっさりしすぎている。

 

結論的に私が選んだのは、2である。これは、ウーファーのハイカットを350に引き下げ、スコーカーとツイーターの重なりを3000-3500500Hzに減らしたものである。どうやら、このウーファーは中低域までは使わない方がよく、このスコーカーは3000Hzあたりから上が「おいしい」ところで、それ以下は「味が落ちる」ようだ、というのが私の駄耳による印象である。

 

よくよく考えてみると、2の設定って、Sonetto VIIIのオリジナルのCO値である、2703000に限りなく近い・・・天邪鬼な性格(笑)の私は、「せっかくチャンデバ化で<自由に設定できる権利>を持ったのだから、ソナスの職人よりいい音の設定を見つけてやる!」と意気込んで、わざとオリジナル値から大きく外れてみようといろいろと試したのであるが、結局、「プロが決めたCO値は伊達じゃない」という結論に落ち着いたようで、ちょっと癪ではある(笑)。

 

その後、丸一日、2ch状態で、クラシックだけでなく、JazzRockPopsなどを聴き込んでみたが、これまでのところは、「嫌な音」は感じられない。ただ、今回私はCO値の違いによる「音色」の違いFocusして聴き比べをしたが、Myuさんには、次のステップとして、Delay値(=位相)の違いによる「ボーカルの立体感」の違いFocusしてみては、という宿題をいただいた。まだ「完成」までの道のりは長いようである。

 

ただ、ここまでで時間切れ。GW後半は東京で用事があるため、戻らなければならない。取り敢えず、この新たなチャンデバ設定をベースにした、月末の来客に向けたAuro-3D用セッティングのためのDirac Liveのキャリブレーションをしなければ、Auro-3DMatic)をお客さんに聴かせることができない。Auro-3D(Matic)が聴けない伊豆の拙宅なんて、ハンドルネームの名折れである(爆)。これは来週また伊豆に来てやることにしよう。

 

最後に、先達のMyuさんから頂いた「金言」を紹介して締めたい。

 

<自分で調整できて「見え過ぎて困る」のがマルチアンプ方式なのです()

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