2025年3月14日 (金)

And in the End…

これは自分のシステムに関する、当面の締めの記事です。

 

拙宅のAuroシステムの主力であるSonetto VIII 5台を、デジタルチャンネルデバイダー・マルチアンプ駆動化してから、ちょうど一年。これから先の1年は本務(Auro-3Dは余技です、私にとっては=笑)に集中するためあまりハードいじりに時間をかけたくないので、今年度内に「いったんケリをつける」覚悟でこの春休みに集中的に取り組んだことをここに整理して、現時点でのFinishとしたいと思います。

 

23月に、「おなじみさん」を中心にしたオフ会を拙宅で開催し、5人の方に来ていただきました。そのうち、初めてのお客さんは一人だけでした。

初めてのお客さんはともかく、何度目かに来たお客さんには、「前ほどの感動が感じられない」とか「ソナスらしさが消えている」とか「SPユニットが無理して音を出している感じがする」「前より音のフォーカスが甘くなっている」などと言われたのですが、それにショックを受けることは全くなく、実は「お、なかなか鋭いな!」と納得していたのです。というのは、自分自身、その原因に対してそれぞれ心当たりがあったからです。

そこで、一連のオフ会終了後、友の会の仲間に「背中を押していただいたので」(笑)、私が重い腰を上げて取り組んだことは、大別すると以下の3点です。

 

1.Mid用パワーアンプのシングル化

2.サラウンドとサラウンドバックのパラ化

3.チャンデバ設定の再々再々…調整(笑)と、それを反映したDirac LiveART)の設定

 

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1については、High用のパワーアンプとしてA-0を導入したのに伴い、これまでSTA-9BTL化してMidに使用していたことはすでにご報告済みです。 

 

実は、チャンデバ化する前は、このステレオパワーアンプであるSTA-9を、「敢えて、片チャンネルだけ使う」、つまりモノーラルアンプとして中高域用に使っていました。

 

そのメリットは、「理論的には」二つあり、一つは、アンプの電源部に余力が出ることによる<力感の向上>、もう一つは、チャンネルセパレーションの向上による<混入ノイズの減少>だそうです。

 

このうち、私の駄耳でも確認できたのは後者の方で、それは以前もどこかに「余韻がきれいに出る」と書いた記憶があります

 

実は、これはチャンデバ化改造で大変お世話になったMyuさんにも、私がSTA-9BTL化してMid用にしたときに、「個人的にはシングル使いの方が遠近感がより出ていて好みだ」と言われていたのですが、「せっかくHigh用のパワーアンプを3台追加購入して、STA-95台フリーになったのだから、今回はすべてBTLで運用してみたい」という、単なる好奇心が当時は勝ったのでした。

 

しかし、昨年秋にA-0をツイーター用に導入した後、いろいろとチャンデバをいじってみているうちに、Midが少しSonusらしくない、「荒々しい」=逞しすぎる?=音がするのが目立ってきました。これはおそらく「相対的な感じ方」で、以前は気が付かなかったものが、A-0の「静謐な感じ」との比較で気になるようになったのだと思っています。

 

Jazzメインの方であれば、「荒々しさの表現力」は大切なポイントだと思いますが、「教会のオルガンや合唱」が好きな私にとっては、「静謐さ」のほうに軍配が上がるのは当然です。

 

一応、今回の組み換えの際に、「念の為」(笑)、STA-9のBTL出力をLowに使うのも試してみましたが、やはり前回の実験のときと同様の結論(StormPA-16のほうがSolidな低音)となり、STA-9は「シングルでMid用がベスト」、という判断となり、5台とも組み換えました。

 

結果として、荒々しさより、Silkyさが特徴の「Sonusらしさ」が少し戻り、S/Nと遠近感の表現力が向上しました。

 

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2の「サラウンドとサラウンドバックのパラ化」とは、サラウンドSPとサラウンドバックSPLRごとにまとめて、パラレル接続する、という意味です。

 

実はこれ、かなり前に入交さんに教えていただいたテクニックなんです。現状、拙宅では、「入交教の信者の証」として(笑)、サラウンドの開き角(方位角)を90度、つまり、LPの真横にしてあります。ただ、このポジションは第一層が7ch、つまりサラウンドバックも使っているときに有効というのが入交さんの主張で、第一層が5台のSPによる再生になる場合は、御存知の通り、ITUの規定するサラウンドの開き角は110度が標準であることは言うまでもありません。

 

私は、最近はSACD MultiDVD-A5chソースもほぼAuro-Maticで聴くので、この場合は拙宅のStormだと「強制的に」(笑)第一層は7ch(+6ch13ch)に拡張してくれるため、特にこのままで不満は感じていなかったのです。

 

しかし、拙宅のシステム環境では、ダウンロード購入したAuro-3D9.1chソフト(5.1.4)をRoon Bridge経由で再生するときだけは、なぜか、Stormの方で第一層だけは7chに拡張してくれず(?)、5.1.5.111.1ch再生になってしまうのです(不思議なことに、同じ9.1chソフトをOPPO205Magnetar 800のネットワーク機能を使って再生すると、ちゃんと、7.1.5.113.1chに拡張します…)。

ただし、11.1chのソフト(7.1.4)は、Roon Bridge経由の再生でも、Stormの方で、7.1.5.1の13chフルに拡張されるのです。

 

P(これ、上がInputs、下がOutputs。Roon Bridge経由の9.1ch再生だと、LB・RB(左右サラウンドバック)にInputが無く、Outputもないのが分かる。これがMagnetar経由の再生だと、OutputsはLB・RBからも出力がある=拡張される)

20250312-182006

なにかRoonの設定変更等での解決法はないか、とずっと探ってきましたが、未だ見つからず(ご存じの方がおられましたら、ご一報ください!)。

 

NASにあるAuroソフトは、Roon Bridge経由で再生したほうが音がいいので、オーオタとしては当然こちらを使うのですが、せっかく最近Sonetto IからIIにパワーアップさせたサラウンドバックSPから「全く音が出ない」のは、その状態が<オリジナル>とはいえ(笑)、なんとなく釈然としない感じが続いていました・・・

 

実は拙宅のサラウンドのSonetto VIIIにはキャスターが付いているため(笑)、やろうと思えば、110度の位置に移動させることはできます。つまり5ch用の理想の位置にサラウンドSPを置くことは物理的には可能です。しかし、前の記事で書いたことが自分に跳ね返るのですが(汗)、Lは問題ないが、Rは、110度に設置すると、リビングからキッチンに行くドアの真ん前に立ちふさがる(笑)のです。「キャスターがせっかく付いているんだから、いちいち動かせばいいじゃん!」といわれそうですが、実践的には音楽を聴いている途中で、のどが渇いて冷蔵庫に行くたびにSPをゴロゴロ動かすのは、「勘弁」したいところです(汗)。

 

P(SR=90°とSBR=135°。110度は、この間、ドアの真ん前!)

Img_0106

という「悩み」を以前、入交さんにお話したところ、この「パラレル接続=サラウンドへの入力をサラウンドバックにも送る」という解決法を教えていただいたのです。こうすれば、現在のサラウンド(90度)とサラウンドバック(135度)の位置はそのままに、両者の間、つまり、112.5度の位置にサラウンドSPを置いたことと同じ効果があると。

 

でも、これも前に書いたことで、「幽霊」はダメですよね?と入交さんに言うと、「人間は真横より後ろの定位感は甘いのです。特にClassicを聴くのであれば、そこには普通はホールからの反射音や残響音しか入っていないはずでこれらは音像定位とは無縁なため、全く問題ありません」。

 

まあ、「教祖様」(笑)が太鼓判を押してくれれば、それを信じて実行するのが「信者」というものですが(笑)、実はこの助言を受けてから1年近く、捨て置いたんです(汗)。

 

その理由は、「パラレル接続にすればいい」って簡単に言いますけど(汗)、それってスピーカーとアンプのケーブルを繋ぎ変えるってことですよね?それをまさか、9.1ch AuroRoonで再生するときだけにいちいちやるんですか?11.1ch Auroのときはまた戻すと?BDの時も?

 

・・・やってらんねぇ(笑) それならまだ、ドア前にゴロゴロとSPを移動するほうがマシですよねぇ(笑)。

 

しかし、今回、見つけてしまったんです!私のStormって、サラウンド(だけじゃないが)を複数台設定できるということを。これは、自宅でのパーティー文化のあるアメリカなんかでは、大きな部屋に10人ぐらいのお客さんを入れてみんなで映画を見る、なんていう使い方があるのに対応している機能のようです。つまり、サービスエリアを広げるために、1chのソースを複数のSPで再生する機能がBuilt-inされているのです。

 P(これ、右側にある、"Configuration"に注目。Rs(右サラウンドのこと)とLs(同左)が、1と2と、二つある!)

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しかも、アンプと複数SPをパラレルに接続する方法では不可能な、当該SP間の音圧やf特などの調整もバラバラに行える(AVプリから別々にバランス接続されているため)ことが判明しました。拙宅の場合、サラウンド(Sonetto VIII)と、サラウンドバック(Sonetto II)が同じSPではないため、パラ接続しても「正確には」1台とみなせることはないのは素人的にもわかっていて、それゆえ以前のサラウンドバックがAmator IIIだったこともあって、この「パラ接続」は見送っていたのです。

 

しかし、Dirac Liveがきっちり別々に測定したうえで、「Sonetto VIII」と「Sonetto II」を<1台のサラウンドSP>として調整してくれる機能がある(実は、この機能は、映画を見る際にスクリーン上下のSonetto IVirtual Centerを形成しているものと同じだった…)ことを知り、これなら面倒な配線も切り替えも必要なく実現できるため、Why not? と今回やってみたわけです。

 

で、無事、Roon Bridge経由の9.1chソースの再生でもサラウンドバックからも音が出るようになり、イマーシブ感がUP!これで、配線の繋ぎ変えも、ゴロゴロとSPも移動することも無く、PC画面からConfigを切り替えるだけで第一層が5chのときは112.5度の位置にVirtualサラウンドSPを置く設定に変更できるようになりました。

P(上記と同じソフトをRoon Bridge経由で再生したところ。Inputsは5ch設定になっているためLRBが無いが、OutputsのLRSが「4ペア」出力されている点に注目。これは、3Wayマルチアンプ出力+もうワンセットのLRS=サラウンドバック用のSPに出力があること示している)

20250312-184058  

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3つめの、チャンデバ設定の再々再々…調整(笑)と、それを反映したDirac LiveART)の設定ですが、前も書きましたが、このところ、「チャンデバいじり遊び」をやりすぎて(笑)、<怪人二十面相>状態、つまり、「どれが本当の自分の顔だったのか?」がわからなくなってきた部分がありまして(汗)。

 

自分でも、「なんか、前の音とは違っているな、ちょっとたまに嫌な音がするなあ」ぐらいの認識はあったのですが、この春休み中のオフ会で、Siltechさんと、K&Kさんに「前来た時より、音がおかしい」というようなご指摘を受け、自覚・納得する部分があったのです。

 

そこで、1の、STA-9のシングル使いにすることでBTLに比してゲインが二分の一になるので、理論的には6㏈下げる必要があることもあり、この際、昔Myuさんと一緒にユニット別のImpulse応答をみて設定したDelay値(これが王道。その後f特をみながらこれをいじったのは完全に邪道…)に戻し、これを基本としながら、サラウンドのDelay値は、LCRとの距離差をレーザーセッターで測定したうえで、理論値を計算し、それを当てはめました。音圧に関しては、測定値をベースにしつつも、それを自分の耳で微調整しました(入交さんもこの方法を推薦されている。オーナー=人間=の耳は、マイクとは異なり、形や向き、感度に至るまで左右差があるため)。

 

そしてこのマニュアルで設定したパラメーターを入れたうえで、Dirac Liveの測定を行い、ARTを適用したのです。

 

お恥ずかしい話ですが(汗)、実はこれまでは、「Dirac Liveは何でも調整してくれるのだから、パラメーターはDefault値のままで測定だけして後はお任せでいいんだ」と思い込んでいたのです。ゆえに、前回DLを回してARTを設定したときには、その前に「遊んでいた」メチャクチャな(汗)パラメーターのまま、DLを適用していました(理論上、ウーファーだけが数メートル前にあるようなパラメーターだった・・・)。ここだけの話(笑)、3月のオフ会のお客さんたちにはこれを聴かせていた・・・(大汗!)

先日、別件で、Dirac Liveのカスタマーサービスとメールで遣り取りをすることがあり、そのときに、念の為に(笑)、「チャンデバで使っているんだけど、ユニット別のパラメーターはそっちで設定してくれるんだよね?」と確認してみたんです。

 すると、「DLはマルチアンプシステムのユニット別の測定とそれを元にした調整はしていない。<完成されたMulti-Wayスピーカー>として認識して、そのf特や他のSPとの位相調整は行うが、ユニット間のDelayや音圧の差は、DLを適用する前に、マニュアルで調整することを推奨する」との回答が来たんです!

 

「正しい」パラメーター入力後にDirac Live(ART)を適用した音は、Beforeの設定を残しているのでPC上で簡単に切り替えて聴き比べができますが、DLらしい、「パリッとした空気感」がより出たのがわかります。Stormのチャンデバ機能を使う場合は、Dirac Liveに完全お任せするのではなく、ちゃんと測定の上でパラメーターを設定してから、AI補正に委ねる必要があることを理解した次第です・・・(Trinnovはどうなんだろう?)

 

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一連のオフ会<後>にこれら3つの改良?をしたのは、言うまでもなくオフ会<前>にやってみて変な音になって元に戻せなくなったら目も当てられないからです。幸い、この3つの効果はとても大きく、今は、<ものすごくまともな音、クセのない普通の良い音(笑)>になりました。

 

この春休みに、せっかく来ていただいたお客様方には大変申し訳ない(大汗)。また機会があれば「違い」を確かめにお越しください!

2025年3月12日 (水)

山本剛トリオ 『ア・シェイド・オブ・ブルー』 Auro-3D版の先行試聴会のお知らせ

イマーシブ録音エンジニアの入交さんから、下記のお知らせがFacebook経由で届きました。

転載許可をいただきましたので、以下にそのまま貼り付けます。

参加ご希望の方で、Facebookのアカウントをお持ちでない方は、この記事の「コメント欄」からご連絡いただければ(返信用のメールアドレスを明記してください)、入交さんに転送します。

 

私はもちろん、このBDを購入して自宅のシステムで視聴する予定ですが、そのReferenceとして、WOWOWのスタジオのプロ用システムで視聴できるというのは、見逃せ(聞き逃せ)ません!

 

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皆様
WOWOWオムニクロススタジオで<山本剛トリオ 『ア・シェイド・オブ・ブルー』>の完成披露 全編試聴会を開催します。
主催のエボリューションミュジックの方からFBで告知する了解を得ましたので、ご興味ある方はご参集ください。

ご希望の方は、何日の何時の回に参加したい旨、私にメッセンジャーを通じてお知らせ下さい。

以下は案内文から抜粋です。
前略
〜視聴会では商品に収録される、今注目のイマーシヴ・オーディオでレコーディングされた最新3Dオーディオと4Kカメラで収録された映像をご覧いただき、是非“没入体験”をお楽しみください。

日時:2025年3月18日(火): 1回目13:00〜 / 2回目17:00〜
3月19日(水) 1回目11:00〜 / 2回目15:00〜
※開始10分前までにWOWOW放送センター受付前に集合ください。
会場:WOWOW 辰巳放送センター内 オムニクロス・スタジオ https://wowowent.co.jp/company/access/
※サイト内下部“アクセス”をご覧ください。

視聴会内容:
1.ご挨拶
2.『ア・シェイド・オブ・ブルー』のビデオ商品本編の鑑賞(所用時間は2時間で途中退出可能です。)
3. 質疑応答

【『ア・シェイド・オブ・ブルー』について】
2023年11月24日にMQA-CD / SACD / LPを先行発売した山本剛トリオのライブ・レコーディング・アルバム『ア・シェイド・オブ・ブルー』。
作品の評判は海を超え、アメリカで35年続くジャズのオンラインメディア「JAZZIZ」でその年の12月の“ベストアルバム10枚”に選出され、他にもインタビュー含め60近い海外メディアに取り上げられました。
映画業界では「3Dオーディオ」の作品が数多く公開されていますが、音楽シーンでもグラミー賞に「イマーシヴ」部門が誕生し、非常に優れた作品が世に出てきています。
イマーシヴ・オーディオの最先端技術が集結して制作された本作は次世代のホームエンターテイメントを体験出来るものと確信しております。ステレオの表現を遥かに超えた色あせない名曲と迫力の演奏をヴァーチャルではない、リアルなサウンドでお楽しみください。

2025年3月 7日 (金)

Auro-3Dに向かない💦システム(環境)考

この「友の会」の主目的は、左側の「関連リンク集」の中の、「Auro-3D友の会」について、にありますようにAuro-3Dというイマーシヴオーディオフォーマットを使った<音楽鑑賞>(映画ではない)に対する「啓蒙・普及」なので、基本的には「アゲアゲ」の情報ばかりを書いてきました。しかし、正直に申し上げれば、「Auro-3D」及び疑似的にAuro-3Dらしく拡張する「Auro-Matic」は、あらゆる音源や装置、部屋においても<万能>、というわけではなく、はっきり申し上げて全く<向かない>ソフトやハード(環境)もあることは、比較的早い段階からある程度の経験値を積み上げてきたものとしては認めざるを得ません。

 

ソフト面については、Auro-3Dに向かない「音楽の嗜好」については、左サイド「関連リンク集」の中の「アナタのAuro-3Dチェックリスト!」で確認できますし、Auro-Maticに向かない「ソース」については前回書いたばかりですので、今回は、Auro-3Dに向かない「ハード」(環境)面について自分のこれまでの経験からまとめてみたいと思います。

 

つい先日もなのですが、「Auro-3D友の会」の会長として、これまで私は、会員・非会員含め、いろいろな方のお宅で、“完成”したとオーナーは考えている(笑)Auro-3Dのシステムの音を聴いたり、「見よう見まねでやってみたから助言をくれ」と招かれたり、またこれからAuro-3Dに挑戦しようとしている人の現状のシステム(2ch5chATMOSなど)を聴いて、「どうすれば、これを完成度の高いAuro-3Dシステムに持っていけるか?」と尋ねられたり、「今度新築をする。イマーシブオーディオも楽しめるようにしたいので相談に乗ってくれ」と設計図を見せられたり-と色々な状況やシステムでのAuro-3Dを聴いてきました。

 

かくして、もしかすると、「Auro-3Dのシステム(部屋も含む概念)の良し悪しに関する経験値」だけは、その辺のATMOS一辺倒のAVショップのインストーラーよりは高いかも?(笑)、という自負がないわけではありません(笑)

 

さて、その私が、自身の独断と偏見が排除できないことを十分自覚しながらも(汗)、ここまでの記事の逆張りの集大成(笑)として、「ダメ考」を論じてみたいと思います。

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<一番、Auro-3Dのシステム構築がうまく行かないケースとは?>

 

1)元々2chステレオで「音楽」を聴く趣味があり、すでに相当、そのシステムに投資(金額的にも時間的にも)している。そのため、それ以外のSPのサイズやクオリティが、「相対的に」かなり劣っている

2)LR以外のSPの設置の自由度がほとんどない

 

 

1は、「往年のオーディオマニア」に非常に多いパターン。何十年も精魂込めて磨き上げてきた、<ハイエンドオーディオ>をお持ちの方が、「最近流行りのイマーシブオーディオというのもかじってみようか?」と思って、そこら辺に転がっている(ベテランの方であればあるほど、部屋の片隅や物置に、昔買って今は聴いていないフロア型やブックシェルフ型のSPをたくさんお持ち!)SPを、「再活用(廃品利用?=笑)」しようとするケース。こうなると、100%、「LR2chで再生する方が音質・音色がいい」結果となり、結局せっかく構築したAuro-3Dシステムを聴くことが無くなっていきます。

 

「映画鑑賞用」を兼ねたシステムUPであれば、これでもいいのです。映画の場合は、要は後ろからとか、上からの「銃撃音」や「飛行機のエンジン音」が聞こえればいいので、それぞれのスピーカーは、「他のスピーカーと同じ音を出す」ことが少ない。つまり、はっきり言えば、「そこから<音>が出ていることが重要」であって、その音色が他のSPと多少違っていても気にならないのです。特に映画の場合は映像があるので、脳は70パーセント以上視覚に支配されていますから、前と後ろの音色の違いなんて意識のうちに入ってきません。

 

ところで、LR2ch音楽を聴いている方で、左右で異なるSPを入れている人は見たことがありませんよね。それはLRの「間」に音像が形成されるために、LRの能力や音色が揃っていないと上手くファントム合成されないからです。当たり前のことで、「お前は何を言っているんだ?」と言われそうです(汗)。

 

しかし、ではこれを「マルチ化」する際に、上下左右およびセンターのスピーカーとLRが揃って無いことに無頓着な方(汗)が多いのはなぜなのでしょうか?

 

先に述べた「映画」ではなく、「音楽」をマルチで楽しむ場合、録音側はファントム合成させる音像を、LRの間だけでなく、LとC、LSLLとハイトLとの間にも作り込んでいます。にもかかわらず、LR<だけ>同じSPにして、L、C、SL、ハイトLと別々のスピーカーを使っていることがいかに無茶苦茶なことか!これらの<間には音が無い>とでも???(笑)

 

つまり、LRとそれ以外のSPの間に、能力や音色に差があればあるほど、「LRだけでの再生音」の方がクオリティが高い、と感じるのは当たり前なのです。プロのオペラ歌手二人に音痴のド素人が数人加わった「合唱」より、オペラ歌手二人だけの「Duet」の方が素敵に聴こえるのは当然に決まっていますよね!(笑) ですから「ハイエンドLR」に、数段落ちる「その他大勢」のSPを配したAuro-3Dの音は、「下手な歌い手に足を引っ張られる合唱」となるんです。

 

ここは「勘違いしやすい」ので、換言すると、マルチチャンネルシステムは、サッカーやラグビーのような「チームプレー」スポーツに似ているところがあって、スターだけが目立っているチームより、プレーヤーの粒が一定上のクオリティで揃っている方が<強い>=音がいい、ということなんです。もう何度も書いていますが、私は熱海の入交さんの仕事場に度々伺っています。そこはプロ用の専用スタジオとして設計された部屋ではない、普通のマンションの一室なので、モニター用にお使いのSPはエクリプスの「目玉のおやじ」(笑)という、はっきり言って、先に書いた「オーディオベテランマニアの家に転がっている、今は使っていないSP」よりもお値段だけで言えば多分「安物」で、f特などの性能も低いと思います。

 

で、その件の典型的なマニア宅、例えばLRは数百万円レベルの4Way巨大フロア型、それ以外のSPは数十万円レベルの2Wayブックシェルフ(=「目玉のおやじ」よりは高い!)で揃えているシステムの音と、入交さんの仕事場の音を聴き比べると・・・(何度も経験してます、ワタシ・・・)

 

これ、前者はお互いの良さを下手すると消し合ってしまったり、LR支配の音場・音質に変な残響音が付いたりといった、「足し算」ではなく「引き算」になることが往々にして発生するのです。もちろんセッティングの差もあるとは思うのですが、後者の方は、特に「音場感」というAuro-3Dならではの部分で、「毛利の三本の矢」(笑)のように、<同じ矢が揃っている>ということが「足し算」どころか「掛け算」の効果を生むんです!

 

この、「引き算」と「掛け算」の違いを生む原因は、先の音色の違い(≒周波数特性)ともう一つ、異なるSP=異なる位相特性という問題が隠れているのです。「位相」については私の「永遠のテーマ」(笑)ではあるのですが、ここで詳しくは書きません(あと5000字ぐらい必要だから=汗)。ただ、異なるSP=異なるクロスオーバー周波数+異なるネットワーク特性(スロープなど)=異なる位相特性(時に、逆相のユニットが混じっていることも!)となり、この異なるSPを組み合わせることによる位相特性の違いが、相互に低域や高域の音を強調しあったり、逆に弱めあったりするのです。

 

これがマルチチャンネルシステムの怖いところで、「総額で上回っているシステムのほうが音がいいとは限らない」という怪現象?が、SPの数(種類)が多いために、2chシステム以上に頻発するのです。だから、LRだけ他よりいいSPを使い、他よりいい場所にセッティングしている「LR中心主義」のところは、よほどの工夫を凝らさない限り、2chソースのAuro-Matic再生はともかく、<13ch音楽=Auro-3DのNativeソース=の再生システムとしてはイマイチ>になる事が多い傾向があります(これに気づかれ、Auroをあきらめ、2chの世界に戻って行かれた方もいます)。

 

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次に、2の「LR以外のSPの設置の自由度がほとんどない」という状況は、部屋が狭いわりに、動かせない窓・ドア・家具などが多い場合によくあるケースで、つまりリスニングルームにおいて、LR以外は「ここにしかSPを置けない」状況であることを意味していますが、こういう状況の場合は、オーディオ的には二つの問題を内包します。

 

一つは、特にAuro-3Dは「チャンネルベース」で録音がされているので、スピーカーの位置(Max13ch)が、厳密に定義されています(左サイドにAuro-3D®導入マニュアル」へのリンクがありますので、確認してみてください)。ここで定義されている位置=角度には「方位角」と「仰角」があり、さらには「SP面の向き」まで決められています。ご存知のように、2chも同じように「チャンネルベース」で録音されていますので、リスニングポイント(LP)から左右のSPとの距離は等距離、LRの開き角は原則各30度、と「SPを置く位置が決められている」のと全く同じです。

 

この「決められた位置」に家具や窓・ドアなどがあって、SPをどうしても「そこには置けない」場合は、私の経験から、再生される音質・音像・音場を大きく損ねると断言できます。これは2chステレオで、「LRが狭すぎる、広すぎる、LPとの距離が左右バラバラ」、といった設置しかできない場合に、どういう音がするかを考えればすぐにわかることです。Auro-3Dに取り組むのであれば、まずは部屋にこれらのSP群を「正しい位置」におけるスペースがあるかを確認してからにすべきです。

実は私自身も、伊豆の部屋において最初からAuro-3D配置のSP群を揃えたわけではなく、「映画用に」7chマルチを設置してあった(ただし、いわゆる「第二層」に)部屋をUpgradeしたものです。当初AVアンプを買い替えようと思って調べていたら、Auro-3Dというオーディオフォーマットがあることを知り、その求めるSP配置をほとんど労なくしてほぼ完ぺきに伊豆の部屋なら実現できる(第二層にある各SPの真下の床の上にSPを配置して、VOGを増設するだけ)ことに気づいて、「面白そうだからやってみよう」と思い、当時出たばかりのマランツの8805を購入してみたのです。つまり、私の場合は、「Auro-3D(Matic)を聴きたいからチャレンジした」(そもそも聴く機会は当時どこにもなかった…)、というより(笑)、「手持ちの部屋がAuro-3Dの求めるSP配置にぴったりのスペース!」ということから興味本位で導入してみた、というのが真相です(汗)。

 

ちなみに、一部AVアンプで、「SP位置をファントム補正する」機能が付いているものがありますが、ファントム(幽霊)が、リアル(実スピーカー)と「同等」の機能を持つ、と信じている方は、少なくとも<オーディオマニア>にはおられないでしょう(笑)。「実SPを正しい位置に設置すること」は、Director's intentionを再現する基本的な第一歩なので、「友の会会長」(笑)的には絶対に譲れないところです。

 

もう一つ、「ここにしか置けない」場合のオーディオ的に大きな問題は、「そのピンポイントの場所が、SP設置にふさわしい条件を備えているとは限らない」という点です。これは1とも関連していますが、LR<だけ>、オーディオ的に理想的な設置をしても、それ以外のSPの設置位置や方法が「オーディオ的にダメダメ」な設置位置・方法であれば、たとえ、全てを<同じスピーカー>で揃えたとしても、<同じ音>が出てこないからです。

 

「オーディオ的にダメダメ」なSPの設置位置・方法というのは、オーディオ歴の長い方ならよくご存知のように、例えば、部屋の上下のコーナーにぴったりくっつけている、とか、タンスの上、本棚の中のような、強度不足で低音が共振しやすいところやSP周りに空スペースがほとんどないようなところにSPを置いているようなケースです。

 

音というのは360度に広がる性質があるので、「理想的には」スピーカーは空間にぽっかり浮いているのがベストなのです。しかし、普通はそのような設置は非常に難しく、床の上とか、壁かけとか、天井から吊るす、など、一つの面(床・壁・天井)を利用して固定するしかありません。ただ、この<面>はSPの近くには少なければ少ない方が反射音の影響を減らせて音質的には良いことは2chの世界ではよく知られていることなのですが、なぜか、マルチ・3Dになるとこの「原則」を忘れてしまう方が多いようで(笑)、「ここにしか置けない」ことを言い訳(笑)にして、二つや三つの<面>に囲まれるような位置にSPを設置している方がよくおられます。

 

また、音は空気を振動させることで伝達するので、SPは「振動発生装置」なのですが、その振動による「共振」がエンクロージャーでとどまらず、SPが触れている床や、SPの近くの壁などで発生すると、音を濁らせるわけです。

 

この設置位置の強度(共振)とスペース(反射)の重要性については、先日の「イマーシブオーディオの再生技法」のセミナーでも、講師の入交さんが、「何千万円という装置を持っていても部屋が安普請で共振するような状況ではいい音はしない」、「すべてのSPをすべての壁から最低1M離せば反射の影響をほぼ無視できる」と指摘しておられました。

 

特に重要なことは、このSPを囲む<面>の多い少ないや近い遠いの違い(=反射)で、また、接地面(床・壁・天井)の強度(=共振)の違いによって、同じスピーカーでも音が全く異なってしまう(=音の汚し方が異なってしまう)点です。これはつまり、たとえせっかく同じSPを準備しても、「同じ設置環境=SP周りの空間の状態」を準備できない限り、1で指摘したのと同様の、「LRに異なるSPを使っているがごとし」の状態になることがお分かりになると思います(2chのマニアレベルの人で、Lは部屋のコーナーにピッタリくっつけて、Rは部屋のど真ん中で空間たっぷり、なんてセッティングをしている人はいません!)。

 

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以上をまとめて結論的に言えば、1.同質・同レベルのスピーカーを揃えられない 2.正しい位置(方位角・仰角)にSPを置けない 3.SPの設置環境(反射や共振のクオリティ)を揃えられない―の3重苦>が揃ってしまっているような最悪のケースでは、Auro-3Dフォーマットでの音楽再生に取り組んでも音質・音像・音場すべての再生品質に不満が出るだけです、残念ながら。この場合は、マルチは映画用と割り切って、音楽はLR2chで楽しむ方が「音質」や「音像」の面からはベターだというのが、私のこれまでの経験から言えることなのです。

 

もちろん、これを仕事にしているプロは別にして、趣味でしているアマチュアでこの3条件を完璧に揃えている方は、実際には「Auro-3D友の会会員」といえども、会長の私自身を含め一人もおられません。この「3条件」のなかで、2の「位置・角度」はレーザー測定器などで距離を測定したうえで、三角関数を使えば簡単に角度が出せるので、それでチェックできるとして、1と3の音色に関わる部分において、それが自分のシステムで整っているかどうかを測定器を使わずにTestするもっとも簡単な方法は、各スピーカーからピンクノイズを個別に出して、LPにおいて当該SPに正対して自分の耳で聴いて判定することです。

その際、重要なことは、LPに於いて正面(センターSP)に顔を向けたままの姿勢で各chからの音の聴き比べをするのではなく、一台一台、音を出しているSPを正面に捉えて聴き比べをする、ということです(顔・耳の向きで音が変わるため)。これが「すべて同じ音」に聞こえれば100点満点ですが、普通は、「こっちは高音が強く、こっちは低音が強い」ってな感じになるはずです(たとえ同じSPでも)。

この音色や、位相特性は、先日お邪魔したハイエンダーのシステムでも、もちろん私の伊豆のシステムでも完全には揃っていません。これを揃える最も簡易な方法は、最近のAVアンプなら必ず内蔵されている「自動f特補正」(位相特性の補正はソフトによる=私はそのためにAVプリをStormに買い替えた)を利用することですが、マニアの方々は往々にしてそれを良しとせず(汗)、あくまでも物理的な方法による「100点満点」を目標にして、様々な工夫で<高み>に近づける不断の努力をしておられるようです(笑)。我々「友の会」の皆さんも、オーディオ道何十年(笑)というベテラン揃いなので、一つや二つ程度の<欠点>ならテクニックで補う、ということに日々挑戦しておられます(詳しくは、このブログの<実践編>を御覧ください)。

 

ただ、上記悪条件が三つとも揃うと、さすがにカウントThreeKO(笑)、どんなテクニックでも、どんな補正ソフトでも限界がありますから。再起をするなら、1.今あるSPを売り払って、なるべく同じSPを買い揃える(実際、実行された会員がおられます=汗) 2.部屋を建て替える(これも実際、実行された会員がおられます=汗)―という「大手術」をするしかありません。「たかが音楽を聴くのにそこまでは・・・」という方が、「せっかくたくさんSPを設置したのに、こんな音?」とがっかりされて、それを「Auro-3Dっていい音しない!」とフォーマットのせいにされても・・・(泣)。

 

2025年3月 4日 (火)

入交氏の「最終講義」案内 (Facebookからの転載)


皆様、入交です。

改めてのお知らせです。私、入交は3月一杯を持ってWOWOWとの契約が終了します。イマーシブオーディオは、映像の世界ならモノクロームからカラーへ、音の世界なら、モノフォニックからステレオフォニックに相当する革命と位置づけられています。そして、イノベート時期から普及時期へと歩みを進めています。
4月以降は地元、関西に戻って、さらなる活動を続ける所存ですが、この節目にイマーシブオーディオ変遷についてお話しさせていただく機会を作りたいと考えました。

概要は下記の通りですので、お話に付き合っていただける方は、下記フォームからご登録いただけますと幸いです。
出席できない方も、6月には新しい拠点で活動を開始しますので、改めて活動内容等ご報告メールを差し上げたいと考えています。引き続き、私の活動に興味を持っていただける方につきましても、下記フォームからメールアドレスをご登録いただけますと幸いです。
なお、先着順に受け付け、定員になり次第締め切らさせていただきますので、申し込まれても受付できない可能性が有りますことをご了承下さい。

講演概要

イマーシブオーディオとの邂逅
〜 イマーシブオーディオとともに歩んだ半世紀〜
講演者:入交英雄
時:3月16日(日)15:00開演(14:30開場)17:00終演予定
 :3月17日(月)15:00開演(14:30開場)17:00終演予定
於:WOWOW放送センター(有楽町線 辰巳駅下車)
  オムニクロス・スタジオ

音の世界に魅せられたあの日から50余年。
EXPO70の鉄鋼館で聴いた"不思議な音"が、私の音響人生の幕を開けました。
それから今日に至るまで、空間音響録音家として、イマーシブオーディオの探求に明け暮れてきました。
本講演では、これまでの歩みを振り返りながら、イマーシブオーディオがどのように進化し、自分自身がそれとどう向き合ってきたのかをお話しします。当時の作品を実際に聴きながら、技術の変遷や、空間音響が生み出す表現の可能性についても紐解いていきます。
イマーシブオーディオの未来を見据えた オムニクロススタジオ で、自分の経験を語る機会はこれが最後でしょう。
これまで培ってきた哲学や、音響エンジニアにとって大切なことをお伝えするとともに、特に若いエンジニアの皆さんには、未来へのヒントを持ち帰っていただければ幸いです。
音を愛するすべての方へ …

2025年2月26日 (水)

5chソースの、Auro-Matic化 再論

表題に取った「Auro-Matic」とは、このサイトの常連さんには言わずもがな、ではあるが(笑)、<これからイマーシブ>という方がGoogleの検索などでここに辿り着くことが最近結構あるようなので、改めて。

 

Auro-Matic」というのは、Auro-3DNative ソフト(Auroコーデックでエンコードされたもの)ではないソース(2ch5.1chなど)を、<Auro-3D風に>仕立てるUp Mixの名称。これは有名な所でいえば、「Dolby ATMOS」と「Dolby Surround」の関係と同じと考えていただいていい。

 

だから、「Auro-3D対応」というAVアンプを持っている方であれば、もれなく「Auro-Matic」も使える(ただし、それが使える設定をしていれば=笑)。

 

先日の入交さんによるWOWOWのセミナーの時も、オーディオショップの方から質問が出たが、Auro-3DNative SoftにはClassic系が多いため、それ以外のジャンルの音楽がお好きな方が、対応AVアンプとスピーカー配置を整えたうえでAuroの「世界観」?を味わいたい場合は、どうしても「Auro-Matic」のお世話になることになる(AVショップの方でもこの二つを弁別していない方もおられるが、「Auro-3Dを聴く」のと「Auro-Matic」を聴く、のは全くの別物です)。

 

斯く言う私自身も、Auro-3Dのシステムを揃えたばかりの頃(Marantz88052018年の春=約7年前=がスタートだった)は、Auro-3DNativeソフトが世の中にほとんどなく、ノルウェーの2Lレーベルが出しているBDを輸入して取り寄せてはいたが、当時はノルウェーの作曲家・演奏家によるアヴァンギャルドな作品が多く(汗)、保守的なClassic好き(笑)としては「二度目は聴かない」(泣)ものが少なくなく、お気に入りのSACD MultiAuro-MaticAuro化したものを主に楽しんでいた。

 

そうした経験を基に、もう何年も前になるが(初出がいつだったかのデータが無い)、Phileweb Communityという、今は亡き「オーオタ交流サイト」で(笑)、Auro-Maticについては自分なりに「ケリをつける」(笑)論考を書いている(これはPhil-Mで保存されているコピー)

 

そこの結論部分だけを以下に引用する。

・・・・・・・・・・・・・・・ 

Auro-Maticがイケてる「普通のソフト」の条件>

5.1ch2ch(やはり、元のチャンネル数が多い音源の方が、効果は出やすい)
・音数の多いもの(大編成のオーケストラなど)
・アヴァンギャルドな演奏(ストラビンスキーなどの20世紀音楽。例えばシェーンベルグはピアノソロでも最高!)
・オルガン、合唱(つまり、バロック系のミサ曲なんてバッチリです)
・金管楽器(ビブラフォン含む。木管も悪くないですが、金属音の方がどうもAuro-Maticがより得意とするようです)
・教会などの高さのある(またはOpen Air)録音現場(これなら、RockでもJazzでもイケます。オペラはオペラハウスでのLiveならホール感を伴う声楽を楽しめる=風呂場のカラオケ状態?)

 

<ダメなものの条件>

Pops Jazzのスタジオ録音盤のボーカル(どうしても口が大きくなる) 
On 録音されているピアノソロで、ホール音があまり収録されていないもの(アタック音などが甘くなる。高音の「硬質感」がやや損なわれる傾向。これは音のFocus2chに比して、どうしても落ちるためと思われる)
・天井の低いJazz Clubなどでの録音(リアリティが落ちる。かぶりつきの緊迫感が無くなり、ゆったり聴けるようになってしまう=笑)
Rockは録音による。空間感を演出するような壮大なサウンドはOKだが、タイトな音像を求める、シンプルでストレートなスタジオ録音は×(野外ライブはイケる!)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

基本的な印象は今も変わってはいないのだが、上記記事を書いた時と今では、自身のシステム的にかなり異なっており、特に、ちょうど一年前に主力の5台のSonetto VIIIをチャンデバ・マルチアンプ駆動に改造したことによる「音の変化」はとても大きいものがあると日々感じている。どう違うかと言えば、簡単に言えば、改造のご指南を受けたMyuさんにもはっきり指摘していただいているように、それは駄耳の私でもはっきりと分かる、「まるでスピーカーとパワーアンプをグレードの上のものに総入れ替えしたような」、馬力と瞬発力という、およそSonusらしくない側面(笑)を中心とした再生能力・品質の向上である。

 

この「向上」は、Sonetto VIII単体の能力向上なので、当然のことながらSWDirac Liveなど、「他の力」を借りていない状態どうしの比較の方が差がはっきり出る。拙宅では、「2chソースを2chで聴きたいとき」は、かつてはAmator IIIOctave Class Aの組み合わせを使っていたが、チャンデバ調整後は、Sonetto VIII2台とLPで理想的なポジショニングを作った環境に移動して聴くようになっている(2ch派のMyuさんには、「これ以上、何が要るの?」(笑)とまで言っていただいているが!)。

 

しかし、5ch再生に於いては、これまでは「5ch5chで聴きたいソース」の場合も、Sonetto VIII5台+SW3台+Dirac LiveART)というセットで聴くことが多く、Sonetto VIII5台だけの「Pure 5chセッティング」で聴くことはほとんど無かった。その理由は、ARTによる「締まった低音再生」が捨てがたいのと、正直に言えば、Dirac Liveを使わない場合の「様々なパラメーターの手動調整」に自信が無かった&面倒臭かった(汗)からだ。

 

ところが、この春の「伊豆合宿」(笑)で、チャンデバ調整でf特も変化することが分かり、MyuさんとTomyさんのご指南を受けて、曲がりなりにも満足のいくパラメーターを見つけることができ、しかもf特だけでなく聴感上の出音の変化もちゃんと確認できたので、「これで、Pure 5ch を組んだらどんな音がするかな?」と、相変わらずの好奇心(笑)が抑えきれず(春休みでヒマもたっぷりあるし!)。

 

残念ながら、拙宅のSonetto VIII 5台(LCRSLR)は「完全等距離配置」にはなっていない。LCRLPから約2.9m、SLRは約1.3mの位置にある。これまではユニット間の位置(でっぱり)の差だけをパラメーター入力し、「あとはDirac Liveにお任せ」(笑)で、ch別のDelay(距離)と音圧を自動調節してもらっていた。ただ、今回、新たなパラメーターを「発見」したので、SLRにも新たな数値を入れる際に、「もしかして、これって、5chだけなら単純にLCRとの距離差を測定して足し算や引き算をすれば、手動でも調整できるのでは?」と気が付きまして。

 

で、早速手持ちのレーザー測定器でミリ単位でLPからの距離を測定し、それをDelay値に反映させ、さらに、チャンデバいじりのお陰で「距離が半分になると音圧は6㏈増える」、ことも勉強していたので(笑)、それも考慮して音圧のパラメーターもSLR用に調整した。

 

SWは、定在波などの問題があり、手動での調整が難しい(はっきり言って完全無響室でない限り、どんなゴッドハンドでもARTには絶対に勝てないのが明白)ため、今回はパスし、5.0chのシステムとした。SWを使わないのであれば、3Way 5ch をすべてデジタルチャンデバ・マルチアンプ駆動にしているメリットを活かせば、Dirac Liveを使わないでもかなりの補正ができると考えたからだ。

 

そもそも、Dirac Liveのお仕事は、1.f特の補正、2.位相の補正、3.定在波の抑制(ART)-なのだが、1は、今回の5台だけならチャンデバの調整で何とか誤魔化した(笑)し、2は、デジタルチャンデバはミリ単位でユニットを「動かせる」わけで、この目的はユニット間のタイムアライメントを揃えることにある。理論的に<各SPからの直接音だけで考えれば>(DLは複数SP と反射音まで計算したLPにおける位相合わせをするのがウリではあるが)タイムアライメントを合わせれば、位相もある程度は整う「はず」(笑)。3は、恐らく結構差が付くポイントだろうと想像できるが、まあSWという大物を外せばそこまで不快な音にはなるまい、と判断。

 

で、試行錯誤を経てなんとか完成させまして(チャンデバいじりは、どこかで見切りをつけないと「無限ループ」に陥る=汗)。客観的な評価は近々来ていただくお客様にお任せするとして、主観的には(笑)、「これは、5台ある、3Wayスピーカーを、すべてチャンデバ・マルチアンプ化している者しかできないテクニック」であるという点だけで、もう満足(笑)。

 

これまで一応、一通り手持ちの5chソフトを片っ端から聴いてみての結論を言えば、以前書いた、<Auro-Maticするとダメになるもの>はさらにそのダメさが際立つこととなった。チャンデバ・マルチアンプの、「一音一音が、とてもはっきりする」という2chで確認できていたメリットが、5chでも発揮されるようになったため、「ボーカルとかシンバルの音のくっきりした定位」、なんていうところに聴きどころがある、Pops/Rock系は、5chソフトでもAuro-Maticにすると、「せっかくの鋭い音・定位感が鈍る」(繰り返しますが、これはMaticであって「Auro-3D」ではありません。Auro-3DのNativeソフトであれば、2chや5chよりはるかに正確で立体的な定位感が得られます)。かつては、どちらかというと5chソフトなら大抵のものはAuro-Maticで再生した方が個人的には好みだったのだが、今回改めて聴きなおしてみて、「これは5ch Nativeで聴くべき!」と判定したソースがかなり増えた。もちろん、Auro-Maticにするとステージが広がるという<メリット?>は相変わらずあるのだが、この<メリット>がとても重要なジャンルの音楽では必ずしもないことがよりはっきりしたのだ。

 

Rockの典型的なテスト音源は、高校時代の思い出の(笑)、Pink Floydの天下の名作、『狂気』

P (これは、いくつかのSACD Mulitがでているが、この写真上にある、Analog Productionの盤が一番音がいい=アナログじゃないけど=笑。ちなみに、これはATMOS版(下)も出ているが、音質自体は私はSACDの方が好み)

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Pops/JazzのMultiの名盤もいくつか聴き込んだ

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写真にあるもの以外にもいろいろ聴いたが、Auro-Maticからはやや脱線するかもしれないが、Pops/Rock/Jazzだと、SWって無い方がいいのでは?と改めて思わされる曲が多かった(拙宅のシステムでは、Auro-Maticにすると必ずSWが参入するセッティングになっている)。ここで拙宅のシステムの名誉のために(笑)お断りしておきますが、一般に映画用をメインにしておられるお宅のSWの音を想像して「そりゃそうだろ、そんなこと、今頃気付いているのか、このご仁!」と思っている方がおられるかもしれないが(汗)、拙宅の低域はSWにある5つのユニットを含め、全部で33のウーファーユニットをDirac LiveARTという技術が統合的にコントロールしていて(まだStormAVアンプでしかARTは世に出ていないので、聴いたことがある人はとても少ないと思うし、日本のオーディオ雑誌ではほとんど取り上げられていないが)、一般的な「音楽にSW? 邪道でしょ、それ。低域が膨らんじゃって」というイメージとは正反対で、はっきり言って、その辺のフロア型2chシステムより、3台のSWが入っているウチのシステムの方がTightで解像度の高い音が超低域まで出ます(断言!証人多数!!!)

でも、このクオリティの超低域ってPops/Rock/Jazzではほとんど不要で、むしろ、ここの解像度が上がることで恐らくエンジニアが意図せざる暗騒音が聞こえてしまって、不快な思いをすることが多々あるのです。Pops/Rock/JazzLFEを使っているものは、たいてい「下品」な(笑)、映画のような効果音(EDMのような)が多く、普通の2ch録音はSWを入れることをエンジニアは想定していないはず。だからSWをいれてしまうと、「想定外」の音が出てくることが起きるようです。

いずれにせよ、数年前の印象に比して、拙宅のシステムアップは、<Maticはダメなソース>を増やす方向に働いたようです。

 

逆に、<Auro-Maticにするとイケてるソース>については、拙宅で聴く場合は、少し減ったような気がしています。

 

例えば、マーラーの『交響曲第8番』(いわゆる、『千人の交響曲』)。私は前にもどこかに書いたと思うが、実はマーラーは苦手(汗)で、あまり聴かないのだが、先日の入交さんのWOWOWのセミナーでこの曲が「Auro-3DNative (22.2chだったかも?)で再生されていて、「・・・」と唸ったのです(いい意味で!)。Cmiyajiさんが、「これ、Auro-3Dで販売してくれないかなあ」とおっしゃっておられたが、全く同感。マーラーはキライですが、この曲のコーダだけは好きです!

 

さて、この『千人』であるが、先に書いた「Auro-Maticにイケてる音楽の条件」のほとんどを備えている曲です。

 

・大編成のオーケストラ

・オルガン、合唱・金管楽器(ビブラフォン含む。木管も悪くないですが、金属音の方がどうもAuro-Maticがより得意とするようです)

・教会などの高さのある(またはOpen Air)録音現場

 

有名な、ショルティの『千人』は2chなので、2chの大編成Classicは圧倒的にAuro-Maticに軍配があがることには変わりはないのだが、5chについては、拙宅のシステム変更を経て少し印象が変わり、オリジナルのPotentialに気づくこととなりました。

 

以前は、このような「Matic映え」する条件が揃った曲は、5chでも<圧倒的に>Auro-Maticの方が素敵に聴けたのだが、今回、手持ちの『千人』(キライ、と言いながら実は何枚も持っている。だって、<オフ会ご用達>ですもん、マーラーは・・・リクエストされた時用に=笑)の中で、特に比較的録音が新しく、優れていると思われる、ギルギエフのLSO Liveとトーマスのサンフランシスコ交響楽団(いずれも録音は2008年)のSACD MultiNative 5ch Auro-Maticで最後のCodaを聴き比べてみると・・・

 

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5chでも、部屋の空間容量を十分に「音(と振動)」で満たす大音量で再生すると、なかなかの感動力! これ、以前の5ch再生だったらここまでボリュームを上げると「うるさく」感じて、聴くに耐えない感じだったのだが、ちゃんとパラメーターを調整した5chはうるささを感じない。これだけの音量にすると、Live録音ならではの位相情報の再現と部屋の中の反射音も盛大になるからだろうか、微妙なビブラートがかかったような音質と、拙宅の天井の高さをちゃんと感じさせる空間表現もなかなかのものだった。

もちろん、この曲はPops/Rock/Jazzとは違って、グランカッサやオルガンが入っているので、20Hz前後と思われる帯域の再生品質に於いては、言うまでもなくAuro-Matic13ch+3SWART)の方が勝っている。しかし、Dirac Live無しのオリジナル5chSWも無し)の方が、張り詰めた緊張感のような部分でAuro-Maticを上回る空気感が感じられ、「こりゃ、一長一短、あるな」と今回初めて思った。

 

ただ、5ch Nativeの場合は、ある程度の音量を上げないとここまでの「実力」を感じられないので、集合住宅にお住まいの方や夜に音楽を聴く趣味のある方にとっては、(モンテモンテさんが指摘されているように)「音量が低くても、空間的な広がりを感じられるAuro-Maticに分がある」と思うだろう。

 

結論的に言って、5ch Nativeなら(2ch Nativeの場合は、どんなハイエンドでも大編成のClassic音源なら私の耳にはAuro-3DMatic含む)には及ばない。入交さんがセミナーで指摘しておられたように、音源が2か所しかないための「マスキング効果」でどうしても音数=楽器=が消えるし、いくら部屋を工夫しても、2台のSPだけではホールの反射音を完全には再現できていないと感じる)、

1.五台とも同じSPを使っている 

2.ITUの完全等距離配置になっていてLPで5台間の位相の狂いがない 

3.設置環境(壁との距離・角度など)も5カ所が完全に同一条件で、LPにおける5台のSPから届く音の各f特に差がない

―というような条件を満たしたうえで(拙宅はデジタルチェンデバシステムを使ってある程度調整したが=それでも2.3の条件は完全には満たせていない=汗、それが無い場合は上記3つの物理的条件を整えるしかない)、さらに(笑)、

4.部屋にある程度の高さがあり(これは5chの場合、高所からの音は部屋の天井からの反射音に頼ることになるが、そこに十分な距離が無いと「残響音」として感じられないため)、

5.そしてある程度Liveである(Dead過ぎる部屋だと天井や壁からの反射が少なすぎて、ホール感が出せない)というルームアコースティックの状態において、

6.<大音量再生>ができる環境

であれば、AVアンプの世話(補正)になる必要もなく、5chソースを「Auro-Matic」で拡張する必要はないかもしれない(笑)。

ただ、ここまでの条件を揃えるのはスペース面、経済面、家庭環境面などで無理(典型的なのはウチの東京の書斎!)、というほとんどの(笑)方は、5chソースもAVアンプを使った「Auro-Matic」で聴くことをお勧めします!

2025年2月21日 (金)

改めて、WOWOWのセミナーでの入交氏の「結論」の確認と、Auro-3Dの第一層のSP配置について

先日の入交さんと共同企画したWOWOWでのセミナーには、二日間で延べ50人ほどの方にご参加いただきました。その中の少なくない方が、イマーシブオーディオ界のインフルエンサー(笑)だと拝察しており、あそこで学んだことを「拡散」していっていただけることを、Auro-3Dの普及を目的の一つとしている「Auro-3D友の会」の会長としては期待しております。

 

ただ、これまでに二日間のどちらかに参加された方に「セミナーで何を学ばれましたか?」と伺うと、こちらが期待する答えが必ずしも返ってこないことが企画側としては気になっておりまして(汗)。

 

入交さんと一緒に作成した「進行案」(台本)には、はっきりとしたメッセージを送り出そう、ということが書かれているにもかかわらず、必ずしも伝わっていないような・・・。

 

確かにお話は音響理論から始まって、プロ品質の「純正13chAuro-3D音源」と、2ch5chATMOS22.2chとの聴き比べなどがあり、その間(後?)にスピーカーの配置に関する説明があるなど、盛りだくさんでしたので、参加者の興味関心によって、強く記憶に残っているポイントが異なるのはある意味当然です。

 

しかし、企画側の狙いとしては(汗)、セミナーの案内文にも書きました通り、「Dolby ATMOSAuro-3Dなど、多様なフォーマットが存在しているにもかかわらず、それぞれの特徴や、セッティング方法の違いなどを「正しく」理解・実践している方は少な」い現状に対し、<理論的・実践的に考えて>何が最も「正しい」実践方法なのか?をお示しすることにありました。

 

そして、その方法とは、「規格が乱立するイマーシヴオーディオ(音楽再生方式)ではあるが、Auro-3Dが定義するSP配置が最も音響理論的に合理的であるため、Auro-3Dのルールに準拠したSP配置をしておいて、ATMOS<>楽しむようにするのが現時点ではベスト」ということで、これは進行案メモに書いてあったんです!!!(Auro-3Dの何たるかに無知なAVショップのインストーラーに任せると、AVアンプ=映画=ATMOSとの固定観念から断りもなくATMOS配置にSPを設置して(恐らく、不勉強でそれしか知らない=泣)、「これでAuro-3D<も>楽しめますよ」、と言ってくるので、AmazonやAppleの「イマーシヴオーディオ」(音楽再生)をメインにしたい方はくれぐれもご注意!!! 2chソースのUp MixはAuro-Maticがベストだとお感じになっている方は多いと思いますが、ATMOS配置でAuro-3D(Matic)にしても「いい音」しませんから(汗)。ATMOS音源でもいい音が楽しみたいのならAuro-3D配置一択!シーリングSPなんか使ったらホテルのロビーのBGMレベルの音です(笑) これは入交さんと我々「友の会」の完全共通見解です!)

 

これ、入交さんは当日、ちゃんと強調されたと思うのですが・・・記憶に残ってない方も散見されますので(汗)、ここに改めて、はっきり・きっぱり(笑)書いておきますね!

 

さて、ここから先が本日の新ネタです(笑)。

 

先日、セミナーに参加されたK&Kさんが追加的な質問がある、ということで、入交さんとの3人でメールのやり取りをしまして。以下はそのやり取りに基づき脚色したものです(著作権は入交さんにあり、ここで公表することに関し、ご本人の許可はいただいております)。

 

私は今回のメールの中で、せっかく13chすべてをSonettoにしたこともあり、「やるならさらに<完璧>を追求!」とAuro-3Dの第一層を7chとする場合のSP配置において、前から気になっていたことを議論させていただいたのです。

 

何度も書いてますように、伊豆の拙宅には、これまで入交さんに度々お越しいただいており、その度にSP配置のチェックを受けて今に至っています。拙宅のシステムは「友の会」の横綱級の方々の装置に比べれば、「小結」程度なのですが、唯一、その横綱に土を付けられる点があるとしたら(笑)、拙宅は「入交さん手ずからのセッティング」である、という点であることはもう何度も書きました。

 

http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2024/09/post-84e82d.html

http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2022/12/post-a2b624.html

https://philm-community.com/auro3d/user/diary/2022/09/23/9861/

 

しかし、いままで34回ほどお見えになっていただいているのですが、実はその度毎に「サラウンドバック」(以下、Auro-3Dのマニュアル表記に従い、LrsRrsと表示)の位置が微妙に違っていたんです。拙宅ではLrsRrsについて、「どのスピーカーを使って、どこに置くか」にずっと悩んでいて、ある時は後方の出窓を大工さんに広げてもらった「棚」の上にSonetto Iを置いたり、ある時はキャスターに乗せたAmator IIIをサラウンドバックにしたり。でもその位置や開き角(同マニュアルでは「方位角」とありますので、この記事中では「方位角」を以下、使用)は、都度、バラバラでした。

 

入交さんも、拙宅で、LrsRrsについては特に厳しいご指摘をされなかったのです(LCRについては、「2度」ズレている、とまで言われたのに・・・)。その理由はセミナーの時も説明しておられたように、「人間は後ろからの音の定位感は甘い」ためで、「できるだけ7chを等距離に配置して」、LrsRrsの方位角は、我々「友の会」が翻訳したAuro-3Dの「マニュアル」 にあるように、「135度から155度の間に入っていればいいですよ」とのことだったのです。

 

拙宅では残念ながら部屋の形状から7chの等距離配置は難しく(やろうと思えば、半径1.5Mぐらいの小さな空間になってしまうが、Sonetto VIIIにこの距離で囲まれると圧迫感がハンパでなく、心理的にイヤ=笑)、仕方なくAVプリ側でDelayをかけているのですが、その分、方位角だけは正規のものにしようと心がけてきました。

 

しかし、これも以前彼と議論したことがあるんですが、Auro-3Dのマニュアルに書いてある「サラウンド」(以下、同様にLsRsと表示)の方位角って、「90度-135度」って書いてあって、なぜかここだけやたら許容範囲が広いんですよね!(他のSP20度ぐらいしかAllowanceが無いのに、サラウンドだけ45度もある!)

 

なんですかい、<135度>だったらLsRsLrsRrsを同じところにおいてもいいってんですかい?(笑)と、江戸っ子調に突っ込みを入れたくなりますよね。

 

今回、入交さんとのメールのやり取りで分かったことは、「第一層を7chにした場合の、LsRsとLrsRrsの位置については、業界レベルで統一されたものが無い」ということ!

 

皆さんよくご存じのように、5.1chにはITU基準という世界的な基準があり、C=0度,LR=30度、LsRs110度となっています。

 

じゃあ、これにLrsRrsを足して7chにするなら?

 

「マニュアル」では、それは150度の位置に増設、ということになっています(いずれも「標準値」)。つまり、Auroの正規の第一層7chの標準位置は、LsRs=110度、LrsRrs=150度となっています。

Auro_20250222073701
 

(「Auro-3D友の会」編Auro-3D導入マニュアルver.1 p.20より引用)

しかし、実はこの150度っていうのは、入交さんによると、「110°と150°と表示されているのは、5.1chのサラウンドチャンネルをデフューズ(パラで鳴らす)する場合の基準」だそうで、これはパラレル接続ということは二つの距離が等しければそのど真ん中にレベル差定位をしますから、要するに「130度」。ここで先に書いた、LsRsLrsRrsの方位角の上限と下限が重なっているのはこれに近い、「135度」であることに気が付かれましたでしょうか?

 

「マニュアル」には方位角の標準値としてはどこにも入っていない「135度」ですが、実はこのように「強く意識されている角度」(笑)なんです。

 

ここに目を付けた?のがATMOSで(笑)、ATMOSで第一層を7chにする場合は、入交さんによると「暗示的にLsRsが±90°で、LrsRrsは±135°を推奨して」いるそうです。

 

Dolby-atmos

(DolbyのHPより引用)これ、確かによく見ると、サラウンドSPは90度、サラウンドバックSPは135度に位置に描いてある!

 

そしてここが大事なところで、「人は後ろ側の定位閾値が大きい、すなわち定位感覚が鈍いことを考えると(第一層のSP配置に関しては)Atmosの方が良い」。特に音楽の場合は通常は前からの音に集中するので、「正面側の定位感覚が鋭い方のスピーカー密度を上げる方がコストパフォーマンスが高い」とのこと。

 

うーん、これは新知見!確かにこれまでも何度も書いてきた通り、第一層が7chの場合のLsRsの方位角は、「90度」つまりLPの真横がいい、というのは入交さんの従来からの主張ですし、彼の仕事場のモニターSPの配置もこうなっています(つまり少なくとも入交さんが制作されたAuro音源は、LsRs90度に置いていないとDirector’s intention通りに再生されない)。

 

しかし、LrsRrsについては、私は「マニュアル」の標準値である150度がいいのかな、と思ってこれまで実践してきました。これだと、LsRs90度に置けば、ちょうど60度刻みできれいにLrsRrsが並ぶし、LRLPを挟んで対角に位置することになるので、「なんとなく(笑)合理的で、美しい配置」のような気がしていましたが・・・。

 

ところがです、「人間は前の音に敏感で後ろの音には鈍いので、前重視!」という入交さんのロジックは、なるほど説得的です。

 

ただし、入交さんは、「プロの場合、9.1ch5.1chとの互換性まで考えなくてはいけませんので、左右を±100LbRbを±135°とすることが多いと思います。この配置で作成する所が多いので、再生も同じようにするのがよろしいかと思います」と、<どの録音エンジニアの作品でも許容できるようにするためには>LsRsを100度、LrsRrsを135度を推薦されておられるようです。

 

しかし、「Auro-3D推進派」(笑)の入交さんが、第一層のLsRsLrsRrsの方位角については、「ATMOSの方が優れている」とまで言われたことの重みは相当なもので、彼個人はそう考えていることが伺えました。

 

ということで、<生粋の入交教信者>を自任する私は(爆)、LsRsを90度のままにして、Sonetto IITAOCのキャスター付きの台に乗せたLrsRrsをこれまでの150度から135度に速攻で移動させました!

 

p この写真は、LPのほぼ真上から見る、サラウンド(90度)とサラウンドバック(135度)の位置関係

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P 椅子の下にある白いテープがLP (この真上の梁の、さらに上にTOPがある)

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この「新配置」で、早速いくつかのAuro-3D Nativeソースを聴いてみました。不思議なのは、「後ろのSPの配置を変えた」はずなのに、「前から来る音、前にある音」の音場・音像が変わったと感じたことです。でも最もはっきりとした効果を感じたのは、フォッサマグナツアーの課題曲にも選んだ『Polarityで、 LsRsLrsRrsの「間」にいくつかの音がはっきりと定位して感じられる曲が増えたのです。言うまでもなく、従来この二つのSPの開き角は60度だったものが、今回45度になったわけですから、「定位感の鈍い」後方の音とはいえ真後ろではなく左右斜め後方であり、かつ45度の狭さの間なら、ある程度くっきりと知覚できるようです。その代わり、頭の真後ろの2台のSPの開き角は従来の60度から、90度に開いたわけですが、ここには「真後ろ」に音源(ここではドラム)があるものの、その定位感は変わりませんでした。やはり入交さんがおっしゃる通り、後ろの音は「ここがシンバル、ここにタムタム」と10センチ刻みで位置が分かるような定位感は無いらしく、90度でも60度でも「まあ、後ろにドラムセットがあるよな」程度で変わらず、それで十分でした。

 

P サラウンドバック(Sonetto I)はこのようにかなり開き角が大きくなるのが「正解」(正面上下にある4台のSPはATMOS=映画用)

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以上、ここまでの結論をまとめますと(笑)、

 

1.第一層が7chの場合は、ATMOS配置がよい(LsRs=±90°、LrsRrs=±135°)

2.第二層は、Auro-3D配置がよい(仰角、スピーカーの向き、垂直配置など)

 

【おまけ】

 

実は、私はリラックスしてAuro-3Dを聴きたいときは、べスポジより、数十センチ下がったところで「本を読みながら」とか「パソコンをやりながら=今も=笑」聴くのが好きなんです。で今回、入交さんが、サラウンドの位置について、「正面に正対して聴くとき、音楽の拡がりという観点からは(中略)、後ろに定位が必要無ければ、±7090°が良いくらいです」と書いてこられ、「おお、これは私の好きなリスニングポジションのことじゃん!」と膝を打ったのです。

 

私が好きな音源はClassicなので、「後ろに定位」が無ければならないものはほとんどありません(Tacetレーベルの室内楽なんかで、たまーに、右後ろにチェロ、左後ろにコントラバスみたいな録音があるが=笑)。そして、LPを数十センチ下げるという行為は、まさにサラウンドSPが斜め前に来ることになるわけで、方位角は70度ぐらいになっているかもしれません(その分、LRの開き角が狭くなり、逆にLrsRrsの開き角が広くなるが)。

 

拙宅の場合、TOPVOG)を2台使っているのでサービスエリアが縦に長いのもありますが、コンサートホールの真ん中やや後ろ目(=私の好きなポジション!)でやや遠めのオケを見ながら聴いている感じがして、なかなかいいですよ!是非、お試しあれ!!!

2025年2月12日 (水)

「画竜点睛」を、ついに描きました!

これまで、私の伊豆の別宅においでいただき、そこのシステムをご覧になった方なら、<必ず>思う(口に出すかどうかは別にしても・・・汗)のが、「ここまでやったら、あと一か所だけなんだから、TOP=VOGSonetto にしたいよね・・・」ということでしょう。

 

まあ、そんなことは、Ownerが一番日々(笑)感じていることで、「Complete癖のある男の子」なら誰でもやりたいとは思いますよ、そりゃ。

 

ただ、「言うは易し、行うは難し」で、いや正確に言うと、「行う」は<技術的には>それほどは難しくはありません。一階の出窓の下、ソファの後ろに隠してあるパワーアンプから、天井までスピーカーケーブルを引けばいいだけのこと。大工に頼めばすぐだし、器用な方ならご自分でも脚立に乗ってやることができるでしょう(天井が普通の家より高いのでちょっと怖い思いをするとは思うが=笑)。

 

ただ、それはつまり、この「美しい部屋」の壁の隅々にモールが蛇のように這うことになり、Ownerの私はそれはどうしても<美的に>許せない。いくらその方が「理論的には」音色が揃って音が整う(はず)と言われても、その代償として音楽を聴くたびにモールが目に入って、「あーあ、せっかくのXXホーム自慢の珪藻土のシミひとつない白壁が台無しだ・・・」と毎回思うようでは、耳で聴くのではなくて、「脳で聴く」音楽を堪能できないというのが私の<哲学>(笑)。

 

13分の1に過ぎない1スピーカーの音色の多少の違い(1chだけ違うSPと言ってもわざわざシルクドームという、同じ素材・方式のツイーターのものを選んでいる)より、見た目の違和感の方が「脳で感じる音」を悪化させると頑なに信じ(笑)、これまで、誰に何と言われようがTOPには無線Activeスピーカーの、DynaudioXEOを使い続けてきました。

 

とはいえ、「ソナスから無線Active SP出てくれればなあ…」と思い続けて数年。出たんですよ、昨秋! 

 

これです!(なぜか、輸入代理店が違うような・・・?)

 

早速、購入完全前のめり(笑)でカタログを取り寄せて調べてみたんですが・・・

 

「うーん・・・」

 

<うーん、その1>

私が12台まで揃えているSonetto シリーズは、「すべて同じツイーターを使っている」という点が最大の特徴で、このDuettoというのも同じツイーターなら、と期待して詳細にチェックしてみると、まず、カタログ上で径が1ミリ違うのです。Sonettoシリーズが29ミリ径のシルクドームなのに対し、このDuetto28ミリ径と、たった1ミリだけですが小さいようです。

 

「まあ、これはもしかすると測定誤差かな?イタリア人の仕事だし・・・爆」とPreferredに捉えつつ、さらに少し調べてみると、Sonettoの方には、「高域には、ソナス・ファベール独自の「アローポイントDAD (Damped Apex Dome)」テクノロジーに基づく」とカタログにあるのに対し、Duettoの方には、「ドーム周囲にウェイブ・ガイドを設けてワイドな音波放射を実現」との表記があって、どうもチト違う。見た目もSonettoのツイーターには、「橋」(笑)が架かっている(これは、Amator IIIも同じ)のに対し、Duettoのツイーターは、何もなし。

 

まあ、ここまで見ればいくら素人の私でも、この二つのツイーターが同じではないことぐらいは分かりました(泣)。

 

<うーん、その2>

これ、カタログをよく読むと、無線で送れるソースはBluetooth経由だけで、それ以外はソース機器から「有線で」片側のSPに接続しないといけないようです。Bluetoothって、スマホじゃあるまいし、ワシのStorm AVプリにはそんなもん、付いてませんがな・・・。AVプリからの出力はXLRしかないので、それをRCAに変換し、またそれにBluetoothアダプターを付ければもしかすると可能かもしれませんが、そんなんで音質はどうなんでしょうか?さすがに、「音がでればそれでいい」レベルのオーディオではない(汗)ので・・・

 

ということで、結局、カタログ検討の段階でDuettoの試聴すらする気が失せ、当初の前のめりが、すっかり「後ろのめり」に(笑)なったのが、昨年末。

 

そこで一旦は諦めたんですが、今年に入ってセミナーの準備などをしているときに、なぜかふと、「パワーアンプもSPと一緒に3Fに乗っければ、長いSPケーブルを部屋中に張り巡らせる必要はないのでは?」とひらめきまして。つまり、AVプリの出力をパワーアンプの入力まで飛ばせればSonetto Iをパワーアンプと一緒に天井に乗っけりゃイケるんじゃ?と。

 

そこで思い出したのが、かつて、螺旋階段の上の踊り場にSW(最終的にはELACのRS500 )を設置した際に、そこまでAVプリからXLRケーブルを引くのではなく、無線で飛ばしたこと!これはTomyさんに教えていただいたアイデアで、日本ではなぜか売ってないのでアメリカのAmazonで探して装置を取り寄せたんです(アメリカでは、部屋が広いので、SWの場所までケーブルを延々と引きたくない、というニーズは結構あるらしい)。この装置はXEOと同じ2.4GHzの電波を使っているため、Bluetoothに比べ音質もCDクオリティで、Delayも少ないというメリットがあるのです。実際、私の「第二層のSW」は、Dirac Liveが対応できる範囲でのDelayの距離(20Mぐらい離れていると認識されている=汗)に収まっています。

 

「これと同じようなものを探して、AVプリ(出力側)とパワーアンプ(入力側)に応用して接続すれば!天井に電源はある(天窓の電動ブラインド用のタップから分岐)ので、パワーアンプもオーディオトランスミッターのレシーバーも電源は取れるはず!」と探したところ、ちゃんと今回は日本のAmazonにもありまして、速攻でポチったのが、1月の上旬。

 

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セミナー前に届いたのですが、さすがに仕事も残っていて時間が取れず、セミナー後、「春休み」(笑)に入って伊豆に来てから開封しました。これは「LR」として2ch送れるタイプなので、SW用(1ch)ではないようですが、私が今回TOPに設置したいSPSonetto I2台(ただし、Mono)なので、ステレオパワーアンプを使うのに2chの入出力があればSplitしなくていいので便利です。アンプは今、サラウンドバックのさらに後ろにAtmos映画用に置いてあるUL-6XEOに置き換えれば、そこに使っているSTA-9を回せると計算。

 

さて、いざ伊豆に来て早速やろうかと思ったのですが、XEO3の代わりに今、サランドバックとして使っているSonetto Iを乗っけるのはいいとして、じゃあ、Sonetto Iの後のサラウンドバックはどうなる?ってことにこちらに来てから気が付く始末・・・(まさかUL-6じゃあ、Sonus Completeという目的は果たせないし・・・完全にボケ始めているナ=泣)

 

実はこの秋にSonettoシリーズにG2が出て、私が揃えているSonettoシリーズが「旧モデル」になった時に、「在庫処分で安くなっているなら、サラウンドバックをSonetto Iから、同じブックシェルフ型のもう一回り大きなIIか、いっそフロア型のSonetto IIIに代えちゃおうかな?」(理由は後述)という、「ボーナスを前にした悪魔のささやき」が聞こえてきて(笑)、輸入代理店のノアさんに「まだ在庫ありますか?」と問い合わせたことがあるんです。

 

その時は、畏れ多くも(笑)社長の牧野さん(拙宅にお越しになったことがある)からわざわざメールをいただき、「IIIならありますよ」と。で、ダイナのSさんにお幾ら?と伺うとさすがに新品だしそこまでは安くはならなかった(汗)・・・で、「いやー、いくらなんでも、ダウンロード版のAuro-3Dソフト(=9.1ch)ではほとんど鳴らないSPにそこまでカネかけても・・・IIでいいんじゃ?せっかくAmator IIIの純正SPスタンドもあるし」などと迷っているうちに、年末の<師走>になりまして、多忙の中、すっかり忘れてしまっていました。

 

その時思い切ってIIIを買っていれば、今頃Iが余っていたはずなのですが、さすがに今ではもう「旧モデルの在庫品=新品」はないようです。

 

「じゃあ、程度のいい中古でもいいか」(私は素人なので<長期保証が付かない中古品>は買わない主義)とネットを検索するとIVIII(つまり一番小さいものと大きいもの)なら中古である程度出ているようですが、お目当てのIIIIIは見つからなかったんです。

 

「今回の伊豆滞在中には無理だな」と諦めムードになってふて寝をして、タブレットでダイナのHPを見ていたところ・・・ここは中古も扱っているのですが、普段は中古のページを見ないため、ぱっと見した時には「SonettoIIIII、ここもないなあ」と思って、他のサイトに移ろうとしたら仰向けで見ていたためか、手が滑ってどこかを押したらしく、そしたらダイナの中古の「裏サイト」(ウソです、単に「2ページ目」があって、そこに行くにはクリックをしなければいけないのが分からなかっただけ・・・笑)が出て、何と、あるではないですかIIが。

 

しかも、「店頭展示品」と書いてあるので、これはつまり、保証は買った日からまるまる1年付くはず!

 

翌日、開店を待って(笑)電話を入れて、まだ在庫ありというので、即決(牧野社長、すみません=笑)。信頼マークのダイナですから試聴もせず、「今、カード決済するから明日の朝、伊豆に届けて!」と(爆)。

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で、昨日の午前に届きまして(前の晩のうちにはしごを買っておいた!)。

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あとは大工的な苦労話も多々ありますがこれはオーディオとは関係ないのでパス。ということで、TOPXEO 3Sonetto ISurround Back: Sonetto ISonetto IIという、今回のSystem Upが完了しました。

 

Before

P

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After

P (トランスミッターもSTA-9も無事収まりました!)

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AVプリ→TOPXLRアウト→RCA変換→RCA into 2変換→オーディオトランスミッター(LR)→同レシーバー(LR)→STA-9Sonetto I2台)

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設置上の変更点は、前のXEOより横幅が広いので、レールの幅を広げたことと、前のXEOがリアバスレフだったのに対し、Sonetto Iはフロントバスレフなので、ウーファーの下についているバスレフポートを塞がないように前よりかなりBox(梁)から離したこと。

 

ついでにSonettto IIIの記念写真(笑)

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ちなみに、今回交換した3台のカタログSpecは:

 

XEO 3:14センチウーファー  (リアバスレフ)  48Hz22kHz

Sonetto I15センチ (フロントバスレフ) 45Hz25kHz

Sonetto II16.5センチ (フロントバスレフ) 42Hz25kHz

 

うーん、最低域がきれいに3Hz刻み(笑)。たかが3Hzですが、この帯域における3Hzの差は、音質の差だけでなく、重量・大きさの差や金額の差(汗)に結構なることは、皆さまよくご存じの通り(笑)。

 

さて、まだ<慣らし>の最中でDirac Liveでのきちんとした「調整」をしていない段階なので、「音」がどう変わったかを断定的には言えませんが、いくつかの「決め」ソースをざっと聴いてみたところでは、1.オーケストラや合唱などで、やや「迫力」を増した(気がする=笑)、2.頭の後方上部あたりの音像がしっかりした(気がする=笑)、3.空間(特に天井感)が少し高くなった(気がする=笑)-程度で、駄耳には<激変>というほどではありません(汗=入交さんなら両者の「違い」に敏感だろうけど)。

 

ただ、今回のSystem Up、物理的に(?)改善された点が二つあるのは確かです。

 

一つは、TOPの最小再生音の閾値がなくなった、ということ。これはどういうことかというと、XEOはトランスミッターやSP内蔵のパワーアンプ部の保護のためか、入力が「無い」時にはSleep Modeに入るという機能が常に働く設定になっています。「無い」と書きましたが、これには電気的な「閾値」があるようで、例えば、Boleroの始まりの部分のような超ピアニッシモ(笑)の部分では、入力「無」と判定されてしまい、Activeになりません(つまり、TOPからは音がでていない状態)。これはOwnerは前から気になっていたのですが、お客さんにはずっと「内緒」にしてました(笑)。

 

今回StormSTA-9との間をつなぐ無線装置はこのような「おせっかい」な機能は無く、ずっと電源が入りっぱなしなので、ちゃんと「超ピアニッシモ」の部分も、超微弱な音(LRではなく、TOPは元々相当音量が小さいのは皆さん、よくご存じですよね)が確実に出て、超弱音のホール音を演出してくれているはず(笑)です。

 

もう一つは、サラウンドバックのツイーターの位置が、Sonetto VIIIで構成されるLCRSLRより、少し上がった、という点です。

P(ツイーターの高さが10センチほど違う) 

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これは先日のセミナーでも入交さんが少し言及されていましたが、7.1.5.1のフルバージョンのAuro-3Dの正規の配置では、ATMOSのようなトップリア(Auro式の表現なら「サラウンドバックハイト」と言えるかな?)がありません。Auro配置では、真横にあるサラウンドSPの真上(=サラウンドハイト)が、第二層では「最後尾」となるわけです。つまり、耳の後ろの上の方には音源が無いのです。

 

しかし、特にClassicの生演奏を聴く方はよくお分かりのように、普通のClassicの演奏会場って、階段式の後ろ上がりですよね(例外で有名なのはウィーンのムジークフェラインかな。昔の記憶ではカーネギーホールも?)。ということは、Jazzはともかく、少なくともClassicでは我々がLive会場で体験する「後ろからの反射音」って、やや上方からだって意識してました?

 

つまり、Auro-3Dの13chでは、「耳より後ろ」からの音は、第一層のサラウンドバックLR<だけ>で担っているのです(11chシステムでは、サラウンドとサラウンドハイトの4台が「耳より後ろ」に置いている場合があるが、これはLRとの開き角が60度以上になるため「中抜け」リスクが高まるとして、入交さんは推奨していない配置)。もちろん、後方上部からの音の形成には、「耳の真上」にあるTOP(VOG)も分担しているのですが、あくまでもSBとの間で形成されるファントムであり、リアルのSPがあるフォーマットとの違いははっきりあります。ここがフルバージョンAuro-3Dの正規配置の「数少ない」?弱点で、先日もWOWOWのセミナーで同じソースを22.2chと切り替えたときに気づいた方もおられるかもしれませんが、22.2chとAuro-3Dで一番差が出るのは実はココなんです。

 

この欠点を解消する方便の一つとして、入交さんは、「第一層はツイーターの高さを耳の位置に揃える、というのがマニュアル的ではあるが、実は、サラウンドバックだけは少し高めでも(の方が?)良い」と常々おっしゃっているんです。実際、WOWOWのあのスタジオも、サラウンドバックSPの設置位置が階段席の上方にあることもあり、ツイーターの高さは他の第一層のSP群よりある程度高い場所にあるのに気が付きましたでしょうか?

 

だから私は今回、この効果を狙ってSonetto IIIIIを探していたんです。Iだとまだちょっと低くて効果が薄いかな、と思って。拙宅のサラウンドバックSPTAOCのキャスター付きのSP台の上になるので、フロア型でもSPスタンドでも、通常設置状態より20センチぐらい高くなるため、狙い通り、今回、サラウンドバックのツイーターの位置を「耳より10センチ近く」高くすることができました。

 

先ほど書いた、「今回の変更にともなう、音の変化」は、多分にこれら二つの「物理的な改善?」も貢献していると思います。

 

もちろん、今回の苦労の最大のメリットは、「心理的な改善」であることは言うまでもありません(笑)。

 

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(醜いモールが見えない壁は、やはり美しい!)

 

かつて、グランドスラムさんに、「My電柱の効果は?」と尋ねたところ、「オーディオルームを作った時からだからBeforeと比べられないので効果は分からない。ただ、電源に関しては<これ以上はない>という安心感はある」とおっしゃっておられましたが、私も今、同じ思いです。

 

これで、Auro-3Dで再生するシステムにおける13chのツイーターが全く同じもの(Sonus FaberのSonettoシリーズVIII×5、II×4、I×5) になり(拙宅では、TOPは2台パラレルで使用しているので、台数的には14台) 、少なくとも「音色の統一」度合いに於いては、<これ以上は(ほぼ)ない>という、安心感というか達成感(脳内ドヤ顔=爆)。

 

今は、ムッチャ、いい気分!!!でAuro-3Dの音楽を聴けています。 これで4月から心置きなく、日本を離れられる!(離れたくなくなる?=笑)

 

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追記(2月15日)

 

これは、単独記事にするほどでもない、「一部マニア向け」の内容なのですが、当方としては備忘録にしておきたい(何をしたか、書いて残しておかないとすぐ忘れてしまう・・・)内容なので、「追記」とします。

 

今回、「ハード的な変更」をした点をこの記事で書いたのですが、それだけで<完了>するほど、私の現行システムは単純なものではなくなっています(汗)。これだけ特性の異なるSPを入れ替えれば、当然、Dirac Liveもやり直さなければ、f特も、音圧も、位相も、狂った状態で聴く羽目になります。

 

「やり直す」と書くのは簡単ですが、拙宅の場合、まずSP数が23台あり、これらのSPで構成される、Auro-3D、音楽用ATMOS、映画用ATMOSはすべて使用するSPの位置や台数が異なるので、これらのフォーマット別に<イチイチ>(笑)Dirac Liveのキャリブレーションをしなければなりません。しかも、拙宅の「ウリ」の一つである、Dirac LiveのARTを設定するには「測定箇所を減らす簡易版」を許さない(汗)ので、やるとなったら1台1台、Sweep音を聴き終わってマイクを何度も移動する、というBoringな作業が半日は続くんです・・・

 

で、今回、「どうせ測定をやり直さなければならないなら」と、以前、チャンデバ調整をした際に、この道の大先輩である、ご近所のMyuさんに、「クロスオーバー周波数、減衰特性、ゲインは調整されたとありますが、タイムアライメントの状態を確認して欲しかった」とのコメントをいただいたのですが、これに関する「実験」をしてみようと。これ、素人の私はその「真意」が汲み取れず、その後直接お会いした時に教えを請うと、ナント!、f特って、Delay値を変更しても変わるものなのだとか!

 

このロジックは、2Way以上のSPで出音が「重なっている」周波数帯に影響があることなのですが、この二つのユニットの出音のタイミングによっては、この重なり部分の周波数(=音)が、相互に高めあったり、逆に弱めあったりすることが起きるということ(=定在波の節と腹の原理)。ゆえにこのユニット間の出音のタイミング(=Delay値)を調整すると、f特が変わるというんです。

 

実際にはこの方法でf特をいじるのは恐らく「邪道」で、まず、タイムアライメントを合わせてから(=出音のタイミングを同じにする)、他の手段を使ってf特を調整するのが「王道」のはずです。

 

しかし、今回、私がやってみたのは、タイムアライメントを合わせるのではなく(汗)、Delay値を変えることによってf特がどの程度変わるかを実験してみたいという知的好奇心からの所業です(Tomyさんに入れ知恵していただきました笑)。

 

さて、前置きが長くなりましたが、結果を以下に示します(このグラフは、私が測定したデータを見やすいようにMyuさんが加工してくれたものです)。

P

Auro3d-before-and-after_20250213202158

青がBefore、赤がAfterです。Afterでやったことは、1.MidのDelay値を11㎳から15㎳に増やす、2.Highの音圧を3㏈下げる―です。

 

「邪道」は重々承知ですが(Delay値を動かしすぎ=笑)、かなりf特の直線性は変化しました(だからと言って、音が良くなったとは限らない=汗)。理論(机上の知識)が実証でき、私の知的好奇心は満たされました(笑)。その後、これをベースにDirac Liveで補正をしたので、正確なタイムアライメント調整については、「そっちでやってくれているだろう」と、大船に乗った気分で(爆)、音楽を聴いています。さて?肝心の音質の変化については、月末にお客さんを予定しているので、「第三者委員会」(笑)の評価を待ちましょう!

 

再追記(2月20日)

コメント欄でTomyさんに指摘された通り、前回の調整はDelay時間(ミリセコンド=ms)をいじったので、距離に換算するとメートル単位で動かしたことになっていました(汗)。このまま晒しておくのもあまりにおかしいデータなので(笑)、今度は、距離(ミリメートル=mm)単位で調整してみました。1ミリ単位でMidを動かしてf特を測定したところ、スコーカーから7ミリツイーターを出す(LPに近づける)ときが最もf特が改善されました(以下)。

 

ただし、私はいい加減な人間なので、マイクとSPとの距離も、高さも適当なので、前回の結果との厳密な比較の対称性は取れていません(汗)。単に、カーブの変化状況だけに注目してください(笑)。クロスオーバー(3.5Khz)付近のDipが改善されていますが、200Hz付近のDipは変わらずですね(前回、ここが改善されたのは、やはり距離換算で「1メートル以上」スコーカーを動かしたからのようです=200Hzの波長は約1.7メートル=汗)。出音も、今回は結構はっきりと変わりました。少し、もやが晴れて鮮度が上がった気がします。チャンデバいじりは面白いですね!音響とか、マルチWay SPの仕組みなどに対して、ものすごく勉強になります。

 

Delay

 

 

 

 

2025年2月 4日 (火)

日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まる?(笑)

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(写真はX1おやじさん提供)

 

先にご案内しました、「直伝 イマーシブ・オーディオ再生技法」セミナーは、2月2日(日曜日)、3日(月曜日)の二日間、WOWOWのスタジオで開催され、無事終了いたしました。

 
詳細につきましては、友の会のDonguriさんがすでに詳細なご報告をネット上にUPしてくれておられます。またFacebookの「イマーシブオーディオ同好会」のグループでも、友の会のグランドスラムさんがご報告をされております。どちらもリンクを張っておきますので、ご覧ください。

 

入交さんと二人で昨年末から企画を練っていたにもかかわらず(汗)、残念ながら初日は仕事でセミナーには参加できなかったのですが終了後の懇親会には参加、二日目はセミナーの司会を務め、懇親会でもしっかり「司会」を務めさせていただきました(笑)。

 

どちらの日程も定員の25名がすぐに満員になる盛況ぶりで、やはりストリーミングでイマーシブオーディオ配信が始まったことで、エンドユーザーも業界の方々もにわかに関心が高まっているということを実感し、Auro-3D友の会の面々は「ようやく時代が我々に追いついてきたか!=笑」と大喜び?で準備を頑張りました!

 

今回は特に、業界関係者の方々の参加が目立ち、オーディオメーカーからはSonyとFostex、オーディオショップからは、ダイナミックオーディオ、SISオーディオ、オリオスペック、AURAS、サウンドラインモノリス、ハイファイ堂、マイクロファラッドからのご参加がありました。その他に音楽業界からは東京芸大(バイオリニスト)と新国立劇場から、さらに、オーディオマスコミ関連ではステレオサウンド、音元出版からのご参加がありました。また、オーディオ評論家の麻倉先生、山之内先生、土方先生のお三方には、ご参加いただいただけでなく、セミナーの進行に於いて司会やコメントを頂戴いたしました。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。

 

今回は、これまで何度か伊豆の家をお互いに行き来してご助言をいただいてきた入交さんが年度末でWOWOWを離れて独立されるため、友の会としてはWOWOWにおける最後の入交さんとの共同イベントになりました。

 

今回のセミナーがここまでの盛況となったのは、我々の努力もさることながら、入交さんという、「イマーシブオーディオ界のBig Name」あってのことです。

 

今回のセミナーが、「日本のイマーシブオーディオブームは、ここから始まった!」と後世になって語られるべく(笑)、我々友の会としても、今後の入交さんの益々のご活躍をサポートしつつAuro-3Dの良さを広く知らしめるよう、努力していきたいと思っております!!!

2025年1月31日 (金)

オーディオにおける 「ひかり」って?

今回は、前回の記事の最後に触れた、【おまけーネットワーク環境のしょぼさに改めて気付かされてしまった・・・】の、続報。

 

しかし、記事にも書いたように、<ネットワーク環境>と一言で言っても、自分のようなITに無知なものが思いつくだけでも、「モデム、ルーター、ハブ、NAS、そしてこれらをつなぐLANケーブル」と多岐にわたっており、これらを<全部、一気に>オーディオグレードのものにするなら軽く車一台は買える予算が必要だろう(汗)。この分野はまだそこまで私の周りには先達が多くないため、どこを、どの程度やれば、投入金額に見合った効果が得られるのかどうかに確信が持てるほどの情報は残念ながら私は現段階では得られてない。

 

ただ、ネットワーク環境を改善するとかなり?音が良くなるらしいことに「気付いてしまった」以上、私はそれを<放置>できる性格ではないので(笑)、何か<お試し>的に手軽にLow Costでやれて、コスパのよさそうなものはないかと・・・ネットサーフィンをしていてふと目に留まったのが、「光アイソレーター」といわれるものだったが・・・。

 

私は、これまで、いわゆる、「オーディオアクセサリー」と呼ばれるものにおカネをかけることを、基本的には敬して遠ざけてきた。

 

その理由は2つある。

 

一つは、まだ自分のシステム本体のクオリティUPにおカネと手間をかける余地がかなり残されていて、システムの「完成」の途上であるため、「アクセサリー」の影響を正しく判断できるほどの「レベル」に達していないと判断している、という点。

 

これは、これまでもアナロジーを披露してきたクルマの世界で言えば、例えば、「エンジン・加速の吹き上がりが良くなるオイル」というものがある。しかし、これを普通の市販車で使って、それを体感できるレベルのクルマは、ごく一部の本格的なスポーツカーだけだと自分の経験から断言できる。私がこの、オイルの種類によるエンジン・加速の吹き上がりの違いを体感できるようになったのは、MT車のクラッチ板とフライホイールを軽量のスポーツタイプに交換したあとであった。つまり、ノーマルの重い(その分クラッチミートが多少乱暴でもエンストしにくい=笑)クラッチ板とフライホイールのままでは、オイルの粘度や質の向上によるエンジン回転や加速の吹き上がりなんて「体感」することはできない。タイヤやマフラーなどの交換の効果も全く同じで、それに関連する部分がノーマルのダルな特性のままでは、「交換の恩恵」なんて微々たるものに留まってしまうのを、若い頃に経験済みだ。

 

翻ってオーディオも然り、だと思っている。これが一番目の理由。

 

二つ目には、これは私の知識不足もあるのだが、工学的なクルマの世界に比して、電気・電子工学的なオーディオの世界は、「改造」と「成果」の間の<因果関係>がよくわかっておらず、「オカルト」としか思えないものが私には多いからだ。

 

だから、これまでも「1メートルで数十万円」というような電源ケーブルをご親切に「貸していただいた」ことがあり、確かにその「効果」は確認したものの、どうしてもそのケーブルの仕組み?と出音との<因果関係>が私には理解できず、導入を見送ったことがある。理系的な知識が皆無に近いとはいえ(汗)、一応(社会)「科学者」の端くれとしては、自分で納得できるロジックが見いだせないものは、Superstitionとしか思えないからだ・・・

 

ということで、ネットで見つけた「光アイソレーター」なるものも、「映像ならともかく、<音>を良くしたいのに<ひかり>ってなんだよ?怪しげだなあ」(笑)と、名称からのイメージだけで深く研究することもなく完全にスルーしていた(後ほど分かるのだが、映像=光学=ひかりケーブルで関連していると思っていたが、これは完全に間違い=汗)。

 

ところが、である。

 

実は先にTomy邸にお邪魔した時の記事にも書いたのだが、「これ、すごい効果があるよ」と音質改善の手段で「ひかりHDMIケーブル」をTomyさんに勧められ、「まあ、そんな高いものじゃないから、騙されたと思って一つ買ってみたら?」といわれ、ノリでその場でとりあえずと1本ポチッたものがその後3本に増えたと書いたが(笑)、実は今ではさらに5本に増殖している(爆)。

 

HDMIケーブルというのは普通はAV用途(つまり映像+音)で、私もプロジェクターとBDプレーヤーの「映像出力」との間をつなぐHDMIケーブル(5m)には「光」を使っている。これは以前使っていた「4K対応」のPanasonicの銅線?ケーブルではUHDを再生すると時々Black Outする瞬間があり、「8K対応」の光ケーブルに変えた方がいい、とグランドスラムさんに指摘されたからだ。これは「転送スピードの改善」という、文系の私にも納得できるロジックがあったから交換した(お陰で、確かに改善された)。

 

ただ、Tomyさんに推薦された光HDMIケーブルの用途は、RoonBridgePCAVプリをつなぐケーブル。いうまでもなく映像とは全く関係がない、純然たる音楽用だ。音楽データなんて、どんなにハイレゾでマルチチャンネルでも、UHDの映像データとは比較にならないほどの小ささなので、ケーブルの転送スピードを現状(銅線?4K対応)より上げても「理論的には」(笑)意味があるとは思えない。時速100キロまでしか出ない軽自動車が高速道路を走るのに、速度無制限のアウトバーンを走らせたからといって100キロ以上出るようになるわけではないからだ。

 

でも、使ってみると確かに音は良くなる(今では、伊豆と書斎の両方のRoon Bridge用のみならず、両方のBDプレーヤーの「音声専用HDMI出力」からAVアンプへつなぐものもFIBBRの光に交換!)。CleanClearになり、鮮度が上がるのだ。

 

しかし、なぜ<ひかり>にすると音が良くなるのかの「ロジック」は分からないままだった(汗)。このままでは「科学者」(笑)の名が廃る、と思いつつも・・・(言行不一致=汗)

 

そんな中、年末に伊豆のご近所のMyuさんに「検聴」(ツイーター用のアンプを交換&チャンデバ調整後)に来ていただいた際に、彼のチャンデバ仲間でネットワークオーディオを主要ソースにしておられる方が、「音質改善策をいろいろやったが、一番効果的だったのは、光アイソレーションだった」と言っておられた、というお話を伺った。その時は、正直言って、「何それーしょん?」という感じ(笑)だったのだが、Myuさんのお宅の音はとにかく、「高解像度、ハイスピード、低ノイズ、鮮度感」を極めておられるもので、彼の自作SP/チャンデバ仲間の皆さんも同じような方向性と聞いていたし、最近、すっかり私のチャンデバ化後のメインシステムも(Myuさんの影響で?)そっち方面への音にベクトルが向きつつあるため、ネットサーフィンした時に「ヒカリって、ちょっと前にどっかで聞いたような気がするキーワードだな?」と気になって、今回、少々真剣に「ひかり」と「オーディオ」との関係を調べてみた。

 

すると、以下の理解に私なりに達したのです(お詳しい方、間違いがあればご指摘ください!)。

 

1.HDMILANケーブルが運んでいる「データ」は、映像も音声も、すべてデジタルである

2.ただし、銅線?のケーブルを流れる「電気的信号」には、「データ」のみならず電磁波や電波、電源などの影響を受けて発生する「ノイズ」も含まれる

3.光ケーブルは、「入口」で電気的信号のうち「データ」<だけ>を<ひかり>に変換し、「出口」で「ひかり」を電気的信号に戻している

4.光ケーブル内を流れる「ひかり化されたデータ信号」は、論理的に電磁波や電波、振動などの影響を受けない。

―つまり、デジタルデータ信号の場合、回線のどこかで、電気的信号を<ひかり>に変換すると、「そこまでの銅線回線の経路上で付加されたノイズを完全にカットできる」らしい?

 

ということで、「科学者」(笑)として「光アイソレーター」が何をIsolateするのかについて<論理的に?納得>した気になったので(笑)、試聴もせずにお試し導入を決定!!!

 

で買ったのが、コレ。

 

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早速、書斎のボロシステムで、Roon Bridgeとして使っているPCへのLAN入力端子の前に挿入してみた。これで理論的には、この「光アイソレーター」に届くまでに混入した電磁的・電気的ノイズはカットされたはず。もちろん、その先のLAN&HDMIケーブルやPC内、AVアンプ内において再度ノイズの混入リスクはあるが、システム全体のノイズ混入リスクとノイズの付加量は理論的には減少していることになる。

 

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さて、肝心の結果は?

 

言うまでもなく、効果が出ていなければこの記事は書いていない(笑)。個人的には(好みは分かれるとは思うが)、特に鮮度感の向上度合いにとても満足し、書斎のボロシステムでこの効果なら、伊豆のシステムならもっと効果が出るだろうと予想(だだ、伊豆ではオーディオ用の電源工事などもしているから、逆に効果が薄い可能性もある)し、来月のセミナー後、伊豆に行って実験して結果が良かったらもう一台買おうか、考えているところ。ただ、Roon BridgeAVアンプをつなぐHDMIケーブルを「ひかり」にするありがたみは多少減じた気がするが、これは「理論通り」で納得のいく結果(でももう買っちゃっているので、光HDMIケーブルを使ってますが=笑)。

ただし、光HDMIケーブルのまま、LANケーブルの中継として「光アイソレーター」を入れても明らかに音が良くなる。この現象は、PCからAVアンプへのケーブルを<ひかり化>すれば「そこまでに付加されたすべてのノイズがカットされるわけではない=末端効果だけでは十分ではない=LAN+光でカットされるノイズと、HDMI+光でカットされるノイズが異なる」ことを示唆しており、ここは「理論的には」私ではよくわからないのだが・・・どなたか、説明できる方がおられたらお願いしたいです! 

それともやはりデジタル・ドメインでもオカルトは残るのがオーディオ道ってもん???(笑)

 

2025年1月18日 (土)

Chopinのピアノ・Bachのオルガンー王道のAuro-3Dソフト登場!

今、今年に入って初めて伊豆に来ています。年始は土日問わず仕事が立て込んだので、約3週間ぶりかな?

 

といっても、来月の「セミナー」の準備のため、伊豆のご近所の入交さんと相談をする「仕事」が結局あるのですが(汗)。

 

今回、伊豆での楽しみは「温泉」や「金目鯛」だけではもちろんなく、年末にダウンロード購入したAuro-3D音源を伊豆のメインシステムで聴き込むことです!!!

 

いくつかあるので全部は紹介しきれませんが、その中でも特に今回は、Auro-3D初心者の方にもお勧めな、ClassicのBig Namesを入手しましたので、ご紹介します。

 

これまでAuro-3Dの音楽ソフトって、特に先行していたノルウェーの「2L」のものが典型なのですが、「音はいいけど、聞いたことのない現代音楽ばかり・・・」というものが多かったのですが(汗)、ここ1、2年、あちこちのレーベルでAuro-3Dファイルをダウンロード販売するようになり、チラホラと、私のようなClassic初心者でも知っている、Big Namesのスタンダード曲を録音してくれる演奏家が現れてきているのは、同慶の至りです。

 

その中でも今回は、出色のものを見つけました!

 

まずは、Chopinです!!!(これ、昔、英語のリーダーの時間に、「チョピン」と訳した奴がいて、「教養のなさを曝け出しているな」とクラス内で英語教師にからかわれていたという強烈な、<アカハラ>の記憶があるなぁ・・・今のご時世なら超問題発言だったワ)

 

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https://spiritofturtle.com/collections/auro-3d-9-1-immersive-audio/products/chopin-a-private-story-download-kopie?variant=49929104064839

 

私のように「ピアノ好き」を公言している人なら、Chopinは「神」ですよね(笑)。でもなぜか、今まで私の知る限りでは、少なくともChopinの珠玉のピアノ曲だけを集めたAuro-3D録音のアルバムは無かったと思います(あるのをご存知の方がいれば、是非、教えてください!!!)。

 

これはバラードだけ、とかノクターンだけ、マズルカだけというChopinのアルバムにありがちな「シリーズもの」ではなく、このピアニストの個人的な好みによるランダムな選曲集です。超有名曲からあまり演奏・録音されていない曲まで含まれていますが、個人的には、Chopinベスト3に入れている、「Fantaisie-Impromptu」が入っていて、これをAuro-3D Nativeの立体的な音像・音場で聴けるだけで、完全に元取れてます(笑)。

 

お次は、Bachです(これはアメリカに留学していた頃、NYの現地の奴らは「バック」と発音していた・・・単にNew Yorkerが無教養なのか?それとも英語圏では彼は「バック」なのか?)

 

Bach: Six sonata for organ

 

PBach

 

https://spiritofturtle.com/products/bach-six-sonatas-for-organ-bwv-525-530?_pos=1&_psq=Bach+Six+sonata+for+organ&_ss=e&_v=1.0&variant=50306643755335

 

Bachは元々教会でオルガン奏者として働いていたこともあるため、彼の作品で恐らく最も力を入れて作曲した楽器の一つがオルガンであることはどなたからも異論はないと思います。

 

ゆえに珠玉の名曲が綺羅星のようにありますが、その中では、残念ながらこの「Six sonata for organ」はそこまでの超有名曲ではありません。しかし、しかーし!

 

Bachのオルガン曲もまた、私の知る限り(かなり狭いか?)、Auro-3D録音ってありましたっけ???

 

はっきり言って、私が本格的にAuro-3Dにのめり込むきっかけになったのが2Lの『LUX』で、あれにもオルガンは「伴奏」として使われています(メインは合唱)。ヨーロッパに学会などで出張があると、学会が休みになる日曜日に近所の教会に行って、信者のフリをして(笑)、教会のオルガンを聴くのを密かな楽しみにしている私にとって、Auro-3D=オルガン再生専用フォーマット!!!と当初思い込んでいたぐらいですから!

教会で聴くオルガンの、あの身震いするような「神々しさ」は何十年と2chオーディオに取り組んできても一度も「自宅では」体験できなかったのに、それを初めて「教会ではなく自宅で」擬似体験させてくれたのが、Auro-3Dだったんです!

 

つまり、Auro-3Dのオルガンの音に出会わなければ「友の会」もこのブログもなかったわけで、そのオルガン曲の「シンボル」のようなBachの作品が、いままでAuro-3Dで録音されていない?のは理解に苦しむところだったのです(泣)。

 

もちろん、先のChopinともども、伊豆に来る前に書斎の「寄せ集めAuro-3Dシステム」でもすでに何度か聴いていましたが、システムと部屋の差はやはりピアノソロより、オルガンの方が絶大に出ます。

 

伊豆のAuro-3Dシステムでオルガンを聴き慣れると、その辺のしょぼいコンサートホールとか教会のオルガンの音が貧弱に聴こえるようになっちゃって・・・本末転倒(笑)

 

私は何度も書いてますが、音楽については素人なので、曲の良し悪しとか演奏の良し悪しは語れませんが、「教会で聴くオルガンの世界観」はちゃんと表現できています。お手持ちのAuro-3Dシステムのクオリティが高ければ高いほど、オススメです!

 

【おまけーネットワーク環境のしょぼさに改めて気付かされてしまった・・・】

 

今回、東京の書斎でダウンロードしたAuro-3Dファイルを、SSDのUSBに入れて伊豆に持ってきて、こっちのNASに入れたのだが(これって、「合法」ですよね???)、その際、ちょっと遊び心が出て、Magnetar 800のUSB入力に挿したものと、NAS経由のものを聴き比べてみて、びっくり。

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再生機器(メディアプレーヤー?)は同じMagnetarなのに、USB経由の方が断然音がいい。音がいいというよりは、クリアだ。いわゆるベールが一枚剥がれている感じ。

 

この差はどう考えても、USB経由は、「USB→Magnetar→HDMIケーブル→Storm」とシンプルな経路でデジタルデータが送られているのに対し、NAS経由は「NAS→LANケーブル→スイッチングハブ→LANケーブル→Magnetar→HDMIケーブル→Storm」と複雑な経路を通っているという違いにあるとしか思えない。

 

最近、私の周りでも、100マンを超える<オーディオ用>NASとか、同じく100マンを超える<オーディオ用>スイッチングハブなどを導入するオーオタ仲間が出始めているが、「流石にそれはやりすぎじゃ?デジタルドメインでそこまで音が変わるかよ」と内心冷ややかに見ていたのだが・・・

 

なんせ、今のハブもケーブルも完全にPCグレードで、昔から使っているやつだから、ノイズ対策なんて全くしていないだろう(PCはデータがデジタルビット落ちしなければ、データ外の「ノイズ」なんて関係ないもんね)。「これを一式<オーディオ用>のにしたら結構差が出そうだな」と予感させるには十分な体験でした(問題は、先立つものだねぇ・・・)。

 

ちなみに、伊豆のダウンロードファイルの現在の主力再生方式は、「NAS→LANケーブル→スイッチングハブ→LANケーブル→Mac Book Pro(Roon Server)+Windows PC(Roon Bridge)→HDMIケーブル→Storm」なのですが、MagnetarへのUSB直挿しとの比較では、さすがにRoonの方が音の深みと音像の立体感で優っている(=安堵!)。恐らくこれは、NASのデータをStormに送り込むまでのメカニズム?、つまりMagnetarのNASのデータ転送・再生機能(これは「おまけ」の機能のため、さすがにそこまでお金はかけてないでしょう) VS Roon (Mac OS? CPU?+Windows? Intel?)のチカラ+クオリティの差なのでしょうね?(ここを極めたい方は某氏(笑)のように、TAIKOまで行っちゃうんだろうなあ・・・)

 

そういえば、この前ダイナの島さんのところで、評論家の土方先生を呼んで「ネットワークオーディオ講座」をやったらしい。ちょうど、お二人に今度のセミナーでお会いできるので、「とりあえず、何から始めればいいのか?」をちょっと聞いてみよっと!

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